JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

熊野岳 7/24

2022年07月25日 | 奥山 移動運用

 

 

 不安定な天候が続き、なかなか落ち着いた感じの好天になってくれません。朝、ライブカメラの映像をみると、蔵王は薄いガスがかかるものの、なんとか稜線が見える状態でした。深入りしないで登れる山、ということで熊野岳に向かいました。

 

 エコーラインの途中、「こまくさ平」あたりで刈田岳や熊野岳の東面が目に飛び込んできました。ここから眺める蔵王は噴火したままの姿をとどめているようで、荒々しさにハッとさせられます。車を降りて少し歩いてみました。コマクサはちらほら咲いていましたが、終わりかけのようです

こまくさ平

 

 午前5時30分、刈田岳駐車場着。すでに15台ほど止まっていました。目的の山頂までさほど時間もかからないので、写真を撮りながらゆっくり歩くことにします。この時点ではガスがかかることはなく、お釜はもちろん南蔵王や遠く朝日連峰の山々も見えていました。

遠くに朝日連峰

 

 午前7時前、熊野岳山頂着。標高1840m。さすがにまだ静かで、自分以外に登山者は一人のみでした。北の眺望が開け、月山、さらに鳥海山の上部のみ雲を突き抜けていました。ただ、飯豊、吾妻、安達太良の一部は雲の中で、上空には暗い雲が西から広がりつつあるように見えました。いつ天候が崩れるかわかりませんが、時間はたっぷりあるので急がず、広い山頂の一角にアンテナを設置。

雁戸山 仙台神室 船形山方向

 

 2mSSB夏の祭典ということでIC-705にいつもの3エレ。さっそくSSBをワッチしたところ、7エリア移動局の信号以外になにも聞こえません。コンディションは上がっていないようです。時間帯が早すぎるのかも・・・と思い、145MHzFMでCQを出したところ、ほぼ途切れることなく呼ばれ続け、3時間以上交信。その間、ときどきSSBに戻りワッチしましたが、1エリア、0エリア局が聞こえたものの、その先は聞こえず、8エリアも入感はなく、結局ほとんどの交信がFMとなりました。青森、岩手、秋田、山形、宮城、福島、新潟の43局に交信いただき、正午前終了。北は青森の岩木山(中腹)移動局と57-59。距離約280km。南は新潟県妙高市移動局と51-51。距離約240km。運用を始めてしばらくするとみるみるガスに覆われ、後半はポツりと雨も落ちてくる状態。それが影響してか伝搬のコンディションは終始上がることはありませんでした。

 

 最近は山に登っても短時間の無線運用がほとんど、こんな長い時間、山頂にとどまっての運用はしばらくぶりで、思いのほか疲れてしまいました。

 

 運用中、何人かの方に声をかけられました。その中に「若いころ、自分もアンテナを担いで毎週のようにここで運用した」という方がおりました。その頃は熱に浮かされたように通ったそうですが、今はハンディ機で気が向いた時に交信する程度とのこと。一方、登山熱は冷めやらぬようで、最近登ったいろんな山の話を聞かせていただきました。山頂は圧倒的に有利なロケなのでやはり無線は楽しみなわけですが、山歩きと無線運用とのバランス、どこか共感するところがありました。たくさんの局と交信できたり、遠方と交信できた、それは目的ではなく結果として受け止めるのみでよい、多くを求めず山と無線を楽しむ、そんな運用スタンスがしっくりくるのかな、と少し考えさせられました。

 

 

 

 

 

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泉ヶ岳 スプリングバレールートを登る 7/18

2022年07月19日 | 奥山 移動運用

 

 

 不安定な天候が続いて県内で豪雨被害も出ている状況ですが、昨日はよく晴れてくれました。朝起きるとしばらくぶりの青空。ただ、気象庁のライブカメラでは蔵王はガスの中。奥羽山系はあきらめ、近場の泉ヶ岳に向かいました。地下鉄泉中央駅前のバス停に行ってみると、7月16日から土日休日はスプリングバレースキー場まで延長運行されるとの表示がありました。これは好都合。6月にスプリングバレールートを下山に使いましたが、今回は登りに使い、泉ヶ岳を経て自然ふれあい館側に下山するルートで歩いてみることにしました。

 

 始発バス乗車の登山者は自分を含め二人のみ。天候を気にかけて見合わせている方が多かったのかもしれません。もう一人の方は自然ふれあい館前で下車。自分一人、貸し切り状態となり終点のスプリングバレースキー場に8時10分頃着。

スプリングバレースキー場バス停

 

 スキー場は夏場の営業期間に入っており、早朝から従業員の方々がアトラクションの準備などで忙しそうでした。そんな中、ゲレンデの東端を登り始めました。以前は「南回りコース」の標識があったらしいですが、現時点では何もないです(赤布もなし)。ゲレンデの端に沿って4~5分登ると左手に林道が続いており、ここが入山口となります(標識なし)。

ゲレンデ東端を登る

林道入り口(左手)

 

 20分ほどの林道歩きでゲレンデ中腹あたりに出て、あとは適当に登っていくとリフト終点、それを右にみて進んだ突き当りが「スプリングバレー登山口」となります。ゲレンデ途中に展望デッキがあり、薬莱山や近くの高倉山が眺められました。栗駒山は雲の中。標高900mのこのあたりは眺望広場ということでパラソルやベンチが設置されていました。ちなみにリフト稼働は午前10時だそうです。

展望デッキより

 

 先月下山した際は、登山口の木の根元に小さな標識が置いてあるのみでしたが、今回はルート図付きの立派な標識が整備されていました。

ゲレンデ奥の登山口付近

 

 登山口の標高が900mを超えており、尾根までの標高差はさほどありません。平坦であったり、ゆるやかな登り。ブナの森を進むとカツラの大木が左手に現れ、さらに目の前にもう一本の朽ちかけたカツラの大木。北斜面であまり日も差さないのか、苔むした木々も散見されました。登山者も少ないようで、この日も誰一人出会うことはありませんでした。

カツラの大木 ↑ ↓

 

 バス停から1時間10分、登山口から約40分で「くまざさ平」に到着。ここは泉ヶ岳と北泉ヶ岳の鞍部で、どちらに登るにも重宝なルートと言えるかもしれません。今日は泉ヶ岳へ。20分ほどで山頂西側の展望地着。

くまざさ平分岐(標識なし)

 

 ここでしばしの無線運用。145MHzをワッチすると岩手県九戸村の折爪岳移動局のCQが聞こえてきました。53-51でレポート交換。青森県境に近い山で標高852m。この山の移動局とは以前にも交信したことがあり、泉ヶ岳との相性は悪くないのかもしれません。距離214km。その後CQを出し、県内のほか岩手、山形、福島各局に交信いただきました。花巻市、奥州市、一関市など岩手局が多かったように思います。また、なぜか相性の良い山形県白鷹町固定局に今回も応答いただきました。いつも違う局で、今回も1stQSO。約1時間半、15局に交信いただき、終了。

 

 下山は「滑降コース」。1時間ほどで自然ふれあい館着。休んでいると、朝のバスに乗り合わせた方に声をかけられました。自然ふれあい館前で下車せず、そのまま乗車して行ったので気になったようです。登ってきたルートの話をしました。自分も最近知ったばかりですが、スプリングバレーからの登山道が整備されて5~6年経つわりには意外に知られていないのかもしれません。

 

 同じ道でも登りと下りで風景が異なり、印象が変わることが多々あります。今回も下りの際には気にも留めなかった気づきがいくつかありました。終点バス停を起点に北側山域を辿るのも面白しろそうで、延長運行されている期間に、折を見て歩いてみようかと思います。

 

<追記 2022.10>

 スプリングバレースキー場ゲレンデの至る所に「私有地により、いかなる目的であっても立ち入り禁止」の標識が設置され、ロープが張られています。現状、ここからの入山は不可能と思われます(リフト利用なら可?)。ご注意ください。

 

 

 

 

 

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胡桃ヶ岳ー中ノ岳 鳴子温泉散策

2022年07月12日 | 運用スタイルなど

 

 

 潟沼にある胡桃ヶ岳(くるみがだけ)の登山道が整備されたらしく、どんな様子なのかと思い、訪ねてみることにしました。ついでに県民割がまだ間に合うということで、数年ぶりに鳴子温泉に宿泊。

 

 東北本線で小牛田へ、陸羽東線に乗り換え鳴子温泉駅下車。今にも雨が降り出しそうな曇天の中、潟沼に向かいました。1kmほど車道を上ると三叉路があり、そのすぐ先の斜面に「胡桃ヶ岳登山口」の小さな標識を見つけました。

 

 細々ながら登山道はよく踏まれた感じで、藪っぽさはありません。ただ、もともと夏場に登るような山ではないわけです。蒸し暑さで汗だく、クモの巣にも注意を払いながら進むと、20分ほどであっけなく山頂に到着しました。標高461m。落葉の時期なら潟沼が樹間越しに見えるようですが、今時期は眺望なし。明治時代の古い石柱がありました。

胡桃ヶ岳山頂

 

 以前はここから先は藪状態だったようで、1年ほど前に登山ルートが整備されたようです。胡桃ヶ岳を後にもう一つのピークである中ノ岳へ。笹の切り残りがあって少し歩きにくい急坂を下り、潟沼への分岐を過ぎて登り返すと笹原の平坦地。さらに登ること数分、中ノ岳山頂に到着。小さな山なのでなんということもありません。標高440m。小広く刈り払われて眺望良く、潟沼の一部も見渡すことができました。蒸し暑いのは相変わらずですが、時折風が通り、涼を運んでくれます。この山頂は気に入りました。

中ノ岳山頂

 

 ダメ元の無線運用。ハンディ機でCQを出してみたものの、応答なし。低山かつ地形的に奥まっているためでしょうか。無線は早々にやめにしました。

 

 さらに登山道を先に進むと標識のない分岐点があり、ここから潟沼遊歩道に下りることにしました。どこからともなく硫黄の臭いが漂ってきます。潟沼は周囲1.3kmの火口湖で、湖底から絶えず熱水ガスが湧出する強酸性湖なのだそうです。晴天なら独特の色合いを見せてくれるのですが、あいにく霧雨に変わり、エメラルドグリーンとまではいきませんでした。

潟沼遊歩道に下山

潟沼より中ノ岳

 

 湖畔のレストハウスを後に、車道を歩いて下り、鳴子温泉街へ。途中数カ所に源泉があり、あちこちから湯気が立ちのぼっているのが見えてきました。鳴子は8種類もの泉質があるそうで、それぞれの旅館が独自に源泉を持っていて、どんな泉質なのかは旅館ごとに異なります。中には何種類もの源泉を持つところもあり、湯量の多さと泉質の多様さ、これが鳴子の魅力かなと思います。コロナ禍で苦境にあるのはどこの温泉地も同じようで、巨大ホテルのみが目立ち、それがかえって寂し気な雰囲気を醸しているように感じられました。

 

温泉神社 滝の湯付近

 

 駅から歩いてちょっとした山歩きのできる温泉場というのはそう多くはないです。胡桃ヶ岳、中ノ岳、潟沼周辺、そして鳴子温泉、無線には不向きなようですが、涼しくなったらまた訪ねてみたいと思います。

 

 

 

 

 

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南屏風岳・不忘山 7/3

2022年07月04日 | 奥山 移動運用

 

 

 梅雨が明けても蔵王は数日ガスが取れなかったのですが、やっと安定した晴天が望めそうということで、早起きして出かけました。南蔵王は十数年ぶりでしょうか。

 

 エコーラインの駐車スペースに4時頃着。すでに5~6台止まってました。みなさん早いです。これから歩く前山、杉ヶ峰、屏風岳が目の前に広がり、雲一つない晴天。南屏風岳、そして南端の不忘山はその奥。

 

 南蔵王縦走路入り口を4時30分出発。低木の中の登山道が続き、前山手前のガレ場あたりから朝日連峰、月山の眺望が開けてきました。前山を越し、はじめのピーク、杉ヶ峰に到着。標高1745m。小広く平坦な山頂であまり高度感はありません。北蔵王、二口、船形山など県境の重畳たる山々が霞の中に望まれました。

刈田岳とエコーライン(登山口)を振り返る

杉ヶ峰山頂

雁戸山、大東岳、面白山などの峰々

 

 杉ヶ峰の下り斜面から屏風岳、さらに芝草平湿原の先に南屏風岳が見えてきました。チングルマの咲く芝草平でしばし休憩。標高1700mほどの上下2段の高層湿原で、木道があるのは下段の方。涼し気な風景ですが、先が長いので急ぐことに。

 

 

芝草平

前方に安達太良、吾妻連峰

 

 ろうづめ平への分岐を過るとまもなく屏風岳山頂。標高1825m。東側が切れ落ちて、後烏帽子岳と水引入道の間に囲まれた秋山沢あたりの深い森が一望。登山口からここまで2時間弱。

屏風岳山頂

後烏帽子岳

水引入道

 

 さて、南蔵王はお釜や熊野岳周辺と違い観光客が入ることはなく静かで良いのですが、単調なアップダウンが続き地味な印象がなくもありません。最高峰の屏風岳も必ずしも到達感のある山頂とは言えかねます。しかし、縦走路のハイライトはこの先。

 

 屏風岳を後に少し進むと高山的な雰囲気へと変わり、南屏風岳、そして不忘山へと続く稜線が眼前に。この時点で初めて不忘山がその姿を現し、登らずにはいられない、そんな気持ちになってしまいます。

不忘山(左)と南屏風岳(右)

 

 午前7時、南屏風岳到着。標高1810m。月山、朝日、飯豊、吾妻、安達太良、今日は雲のかかる山は一つもなし。

南屛風岳山頂

 

 不忘山まではガレ場やクサリ場となり、小ピーク(アイハギの峰)を一つ越し、最後の急登を経て山頂。7時30分、縦走路の南端、不忘山着。1705mと標高こそ低いもののアルペン的な雰囲気と高度感を併せ持つ山頂。登山開始から3時間、早朝のため涼しく、あまり疲れず思ったより早く着きました。ただ、山頂は狭く、ここでの無線運用はできません。十数年ぶりにこの山頂に立てただけで十分です。眺望を堪能し、来た道を戻ることにしました。

不忘山へ

小ピークを越す

不忘山山頂

不忘山より南屏風岳と屏風岳

 

 無線は、展望よく広い山頂を持つ南屏風岳で運用しました。QTHは宮城県白石市。

 

 <本日の装備>

 リグ FTM-10S(145MHz)+小型PDバッテリー(12V給電)

 アンテナ 3エレ八木

 

 アンテナ南西向き(飯豊連峰方向)。6mダウンコンテストの最中だったようで、下の方の周波数で通常のCQを出しました。宮城県内のほか、岩手、山形、福島、新潟、栃木、長野各局に交信いただきました。佐渡市固定局と57-57、179km、最遠方は長野市固定局で52-52、約260km。呼ばれた時はノイズがからんで厳しいかなと思いましたが徐々に信号が上がり、ファイナル時点では十分安定した状態でQSOを終えることができました。1時間半、22局に交信いただき終了。

南屏風岳山頂にて

 

 登山中、不忘山までの往復は体力的に無理では? 行けたとしても帰りが・・・、そんな心配が何度かよぎりながらも、なんとか昼過ぎ登山口に戻りました。帰りは気温が上がって予想したとおりバテ気味、前方に見えているエコーラインが遠く感じられました。

 

 

 

 

 

 

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『地球の中身』

2022年07月02日 | 運用スタイルなど

 

 

 地球空洞説をもとにしたSF小説に「ペルシダーシリーズ」というのがあって、子どものころ夢中で読んだ記憶があります。その後、ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』も読みました。死火山の火口洞窟から地球中心部に達するという古文書を解読し、先人の足跡をたどりながらの地底探検。数々の困難を経てたどり着いた地球中心部には広大な空間と共に想像を絶する世界が広がり、マグマの上昇を利用して無事地上に戻るというような話で、空想科学小説の不滅の名作とされているようです。

 

 ブルーバックスから今年刊行された『地球の中身』という本を読みました。帯には「これが現代の地底旅行」とあります。SFではなく、地球物理学者である著者が地球の深部に何があるのか、どんなことが起こっているのか、地球はどのように生まれ進化してきたのか、といった最新の知見を一般向けにまとめた内容です。難解なところもありましたが、初めて知る驚きの世界という点では、なるほど現代の「地底旅行」なのかもしれません。興味深い本に出合いましたので、少しだけ紹介してみます

 

 地球の半径は約6400km。それだけの深い穴を掘れば地球中心部に到達するわけです。しかし人類が開けたもっとも深い穴の深さは12km。中心部までの距離のわずか0.2%に過ぎないそうです。火山によるマグマが運ぶ岩石にしても地下200kmより深いものはなく、表層のわずか3%に由来するものに限られるとのこと。それ以上深いところに何があるのか、目視した人はいないわけです。そこで著者たちは地球内部の高温と高圧を再現し、そこに存在するであろう岩石を作り出す、という方法で研究を続けているようです。

 

 地震波等の解析により地球の内部は、地殻、マントル、コア(外核、内核)の4層構造になっており、コア外核は液状の鉄、内核は固体の鉄が主成分というのもわかっているそうです。つまり中心部は金属。このことが重要な意味を持ちます。

 なぜ地球に磁場があるのかと言えば、液状のコア外核にコイルのような流れが生じることで内核の金属との間に電気が発生し磁力線が生まれる仕組みで、いわば地球は発電装置と電磁石を内蔵しているわけです。

 外核の流れが反対になれば、右ネジの法則で磁極も反転。実際に何度か繰り返されているそうで、最後の反転が起こったのは約77万年前、次の反転がいつ起きてもおかしくないのだとか。心配なのは、過去100年の間に磁場の強度が10%減少し、このまま弱体化すると地表に宇宙線や太陽風が降り注ぐことになり、大気が剥ぎ取られて海の蒸発を招き、遠い将来には火星のようになってしまうことも考えられるようです。

 

 地球の海の深さは平均3.8km。富士山がほぼ沈む深さで、とてつもない量に思えるのですが、地球全体の重量の0.02%に過ぎず、実際のところは地表に薄くへばりついている、という状態のようです。しかし、海水があることによりプレートが冷されてマントルへの沈み込みが起き、それにより液状コアの対流化が生み出され磁場が形成される。そしてその磁場が大気と海、生命を守る。大気、海、地殻、マントル、さらには中心部コアのすべてが連関し、生成と変化、対流を繰り返す。見た目は固い岩石でも長い時間軸の中ではけっして静的なものではなく、動的に存在し、影響を与え合う。まるで意思を持つかのような地球というシステム、そのダイナミズムと緻密さにホント驚くほかありません。

 

 ここに紹介したのは第Ⅰ部「現在」のほんのさわりのみ、新書判にもかかわらず内容の密度感はかなりのものがあります。特に第Ⅱ部「過去」。46億年の地球の歴史においてどんなビッグイベントがあったのか、生命惑星はどうやってできたのか、水はどこからやってきたのか、金星や火星と何が同じで何が違ったのか、などなど第Ⅰ部以上に興味深いものがありました。

 

 自分の足元深く、想像もしなかったことが日々刻々と繰り広げられ、その作用の中でかろうじて生かされているだけなのでは? 現代の「地底旅行」、いろんな思いがよぎりました。

 

 

『地球の中身 何があるのか 何が起きているのか』

ブルーバックスB-2192

著者 広瀬 敬

発行 2022年1月20日 講談社

 

 

 

 

 

 

 

 

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