JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

ツインデルタループ 144MHz 移動用

2009年04月30日 | ループアンテナ
 コンパクト化が困難で持ち運びにくい理由から、これまでループ系のアンテナはヘンテナを含めて敬遠していたのですが、デルタループならなんとかなりそうと思い、いくつかのホームページを参考にして作ってみました。デルタループのインピーダンスは約100オームとのことで、50オームとなるようにツインにし、直接給電としました。一見するとAWXアンテナのようにも見えますが、一辺が約70センチ×6の一つのループになっています。利得は5db程あるそうです。風の抵抗を考えて、アンテナマスト直結型としました。




《材料》
・伸ばした状態の長さ80センチのロッドアンテナ4本
・ビニール線72センチを2本
・みの虫クリップ4個
・塩ビパイプ50センチ1本

 80センチのロッドアンテナ4本は近所のマルツパーツ館で調達。1本500円で計2000円でした。その他の材料は有り合わせのもので作りました。

《作製》
・塩ビパイプにドリルで3ミリ穴を1センチ間隔で2箇所空けます。
 穴はパイプの後ろ側まで貫通させます。
・同軸ケーブルは芯線、網線それぞれに端子をハンダ付けしておきます。
・ビニール線両端を1センチ程剥いてみの虫クリップをハンダ付けしておきます。
・ボルトに同軸芯線端子、ワッシャー、ロッドアンテナ2本の順に通した上で、
 上の穴に通し後ろから蝶ねじで固定します。
 同軸網線端子の方も同様に取付けます。
 
 組み立ては以上です。


給電部


給電部拡大1


給電部拡大2


ロッドを伸ばす前の状態


みの虫クリップ取付け


ビニール線をクリップではさんで完成した状態


《設置・撤収》
 三脚の目玉クリップに塩ビパイプを固定し、ロッドアンテナを上下90度程度になるように伸ばします。2本のビニール線をみの虫クリップで上下ロッドの先端をはさむようにします。あとはケーブルをハンディ機につなぐだけです。撤収は、この逆なので、1分もかからないと思います。




《調整》
 ロッドアンテナの長さで調整します。はじめ、4本のロッドをすべて70センチでSWRを計ってみたところ、1.7程で若干高めとなりました。伸ばしたり縮めたりした結果、最終的には、4本全て75センチ程で1.1まで落ちました。帯域も広く、バンド内ほぼベタ落ち状態です。上下エレメントの角度は80度くらいです。ビニール線を75センチくらいで長めにカットしておいた方が、ロッドエレメント側の寸法を短くできるので、強度も増すのでは?と思います。


《持ち運び》
 下のロッドが邪魔して、上のロッドが完全に下向きにならず、斜めになっています。これが難点ですが、ケーブルごと袋に入れてしまえば、デイパックにすっぽり納まります。重さは350グラム程です。






《使用感》
 まだベランダで使ってみただけです。ロッドアンテナとみの虫クリップ留めなので、耐久性はほとんどありません。三脚に固定しても、いかにも頼りない感じで、風が強い日は厳しそうです。市内の信号が聞こえておりましたので、アンテナを回したところ、はっきりとした指向性がありました。給電部方向を向けると強く入感します。同じベランダの3エレ八木との比較では、S2つくらい弱いです。利得5dbの評価どおりの性能と思います。丸森町(当局より約50キロの距離)からのCQが59で聞こえましたので、応答したところ、同じく59のレポートとハンディ機4Wでこのくらい入感していれば立派なものとのコメントをいただきました。とりあえず、実用にはなるようです。連休中にいくつか山行を計画していますので、天候の条件が良ければ、さっそく使ってみたいと思います。

《追記》
 見ておわかりの通り、ビニール線を取り付けなければ、AWXアンテナとしても使えます。その場合は、4本のロッドアンテナの長さを49センチに調整します。これでSWRは144MHz、430MHz共に1.1とたいへん良好でした。2バンドOKです。ロッドアンテナ先端の細い部分を使わないので、耐久性も上がります。移動の時は、風の強さ次第で、こちらで使う場面も多くなりそうです。



《追記2》
 ツインデルタループの状態で使ってみました。運用場所は、山形県朝日町の一本松公園。棚田百選の「くぬぎ平」を見下ろす風光明媚なところです。周りは山また山なので、必ずしも無線に適しているとは言えないのですが、棚田を眺めながらのQSOに惹かれて登ってみました。
 指向性があるので、0エリア朝日連峰方向に向けてCQを出したところ、バックから応答がありました。約1時間で石巻市、大崎市田尻、七ヶ宿町(刈田岳駐車場)、山辺町、村山市と交信できました。石巻市とは55-55、大崎市田尻とは51-51でした(どちらも直線距離で100キロ程度)。スケルチが開いて呼ばれているようなのですが、まったく了解できないケースもありました。アンテナを回してみると、給電部方向で強く入感し、バックもさほど変わりません。サイドの信号はスパっと切れて聞こえなくなります。これが8の字特性というのでしょうか。風さえ強くなければけっこう使えるアンテナではあるようです。
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モービルホイップのカメラ三脚取付け方法

2009年04月23日 | 移動運用装備
 前回に続き、24KGのようなヘビー級のホイップアンテナを、簡単確実かつコンパクトにカメラ三脚に固定する方法について、考えてみました。

 タイミング良く、5月号CQ誌別冊付録「移動運用を楽しもう」の中で、ホイップアンテナの三脚取付け用アダプターの作製例が紹介されていました。これ以外のアイディアも含めてたいへん参考になったのですが、L型金具にタップを切る必要があり、当局にとっては敷居が高い方法でした。要は、モービル用のMJコネクターが三脚ネジで固定できればよいわけなので、初めから三脚に取付けることを目的とした「ネジ穴付きコネクター」があれば解決するのですが・・・。ネットでいろいろと検索してみましたが、残念ながら見当たりませんでした。
 そこで、それに近いアダプターを市販の部品で作ってみることを考えました。

《材料》
 ヨドバシカメラ仙台店のカメラコーナーで「SET SCREW 止めネジ(メス・メス)」なるものを見つけました。大きさは直径38ミリ、厚さ12ミリで、真ん中に三脚用のネジ穴が貫通して切ってあります。本来の使い方は、三脚のエレベーター(首)部分が足りない時に追加するための部品のようです。材質はアルミで、黒く塗装がしてあります。これをMJコネクターの土台として使うことにしました。価格は588円でした。


 ◎型番 エツミ SET SCREW 止めネジ(メス・メス) E-6084




《作製》
 上記の土台にモービル用のMJコネクターを取付けます。ネジ留めはできませんので、接着のみで取付けました。強度不足の心配がなくもないのですが、致し方ありません。まずコネクターの底部分に金属用の瞬間接着剤を使って張り合わせました。予想以上に強力で、これだけでもびくともしませんでしたが、念のため、コネクター外周部分を透明ボンドで、乾いては塗りを3回繰り返し、強化しました。ボンドが乾くのに時間がかかり、3日を要しました。重いホイップを乗せて風の強い山頂で使うことを考えても、強度は十分、確保されたように思われます。








 まだ山で実際に使ったわけではありませんが、アルミ製なので軽量、しかも三脚ネジで簡単に固定でき、外すのも簡単。自分としては満足できる仕上がりとなりました。これで、持ち運びもコンパクトに納まるし、24KGが不安なく使えそうで、次の山移動が楽しみになりました。



 参考までに、これまでの二つの方法についても、長所短所をまとめてみました。


《目玉クリップ方式》

 何と言っても軽量で、ワンタッチで取付けられます。この手軽さは、一度使うと手放せません。短所は、クリップの強度の問題で、風が強い時は外れることがある、重いアンテナは取付けられない、という点です。モービルホイップならSB7(230グラム)まではOKです。自作のアンテナはすべてこれで対応できますし、手持ち八木、430用のスイスクワッド(シングル)もこの方式がたいへん重宝しています。





《モービル基台方式》

 前回採用した方式ですが、長所は重いモービルホイップをしっかりと取付けられることです。24KGでも大丈夫です。短所は、収納がよくないこと、重いこと。三脚の雲台をボルトで固定するため、雲台側の強度が心配なこと、基台を一度取付けてしまうとクリップ方式への切り替えが簡単にできないこと、などです。
 当局は、持ち運びは軽量コンパクトに、設営・撤収も手軽に、を信条としておりますので、山で使うには難点が多いと言えます。









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再び 24KG

2009年04月20日 | 移動用市販アンテナ
 コメットのモービルホイップ24KGは、長さが2.06メートル、重さ520グラムと重量級で、しかもラジアルが必要という面倒な仕様ですが、5/8λ2段でゲインの高さはトップクラスです。もともとはベランダ用に購入したのですが、これを山頂で使ってみたい気持ちが時々頭をよぎります。モービルで使う分には、半固定を前提にマグネット基台のみでもアースが取れると思いますが、これを山移動で使おうとすると、それなりの苦労があります。前回の教訓を反省して、再度このアンテナを使ってみました。

《三脚固定》
 重さが500グラム以上あることや根本部分が太いことなどから、いつもの目玉クリップでワンタッチ固定の方法は使えません。前回は、無理に支えましたが、これが最大のネックでもありました。今回はモービル基台をカメラ三脚の雲台部分にボルトでしっかりと固定し、これに取付けることにしました。



《ラジアル作製》
 MJコネクターにすっぽりと入る端子に4ミリ径の銅パイプ50センチをハンダ付けして作製しました。3本が理想と思いますが、今回は1本のみです。L型GPのイメージです。




《取付け》
 モービル基台の穴に下からMJコネクターを差し込み、ラジアルと24KG本体をねじ込んで固定するだけです。




《持ち運び》
 24KGは長さが2メートルあります。今回は5分割とし、一番長い部分で約50センチ、ラジアルとほぼ同じ長さに納まりました。



《調整》
 無調整でSWR1.5程度でしたので、ラジアルを折り曲げて、角度をつけてみました。アローラインほどの急角度ではなく、エレメントに対して120度ほど下向きにしました。端子の首を曲げると強度が弱くなるので、銅パイプの根本あたりを曲げます。これでSWRは1.2以下に下がりました。上手く下がらない場合は、ラジアルの長さの調整が必要になってくると思います。またラジアルの本数も1本で十分SWRは下がりますが、若干、指向性が出るかと思います。

 以上の準備をして、山移動(深山・山元町)で実際に使ってみました。
 持ち運びに関しては、デイパックに十分納まりますが、三脚の基台部分が大きいため、収納しにくいのは否めません。重さも、いつもの倍以上で肩にずっしりと来ます。約1時間の登山後、すぐに設営に取りかかりました。山頂での組み立てはスムーズにはかどり、前回とは比較にならないくらいしっかりと固定されました。三脚にすっくとそびえる2メートルのアンテナは壮観ですね。念のため、SWRを計ってみましたが、144MHzはバンド内1.3程度、430MHzは1.1以下で430の方が良好でした。

 さて、受信では、県外局もちらほら聞こえます。岩手県奥州市の移動局が59で入感。ただ相手局の信号はまったく入りません。約1時間の運用でしたが、石巻市、南相馬市、泉区、相馬市、宮城野区、角田市、大河原町、奥州市、各局と交信できました。使用感としては、期待が大きかったせいか、24KGがこれまでのアンテナと比較して特別良いという手応えは得られませんでした。もう少し時間的に粘れば違ったかもしれません。ラジアル1本による指向性も考慮する必要がありますが、いちいち方向を変えての実験まではできませんでした。

 今回、山での持ち運びと設営については一応クリアできましたが、三脚に取付けたモービル基台は見た目以上に大きくて重いです。重量級のモービルホイップを簡単確実に、かつ軽量コンパクトに、カメラ三脚に取付ける方法をもう少し考えてみたいと思います。

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