JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

縦長ミニループ ゲルマラジオ

2015年07月25日 | ゲルマラジオ


 ループアンテナは、フェライトコアを使ったバーアンテナより手軽にQを上げられる利点があります。一方、コイル面積が広い分、大型になってしまうことが欠点と言えます。集合住宅の我が家では、テーブルに置いて使えるくらいのものがちょうどよく、それでもリッツ線を使えばけっこう実用になります。以前にもミニループアンテナ付きのゲルマラジオは作っていますが、今回は、スリムな縦型で作ってみました。先日、100円ショップで「木製皿立て」なるものを発見。これを2個使って巻枠にしてみました(前作の倍電流型ゲルマラジオにも使っています)。使えそうなものを発見すると、無性にコイルを巻きたくなる、困った性分です。



<材料>
コイル巻枠(木製皿立て)100円ショップ
リッツ線(0.1mm×100本)20m ラジオ少年
ダイオード 1N270 aitendo
バリコン 3連エアーバリコン 200pF+90pF+28pF ラジオ少年 
トランス  BT-OUT-100(100kΩ:8Ω) ラジオ少年 
基板 タカチTNF29-42
ステレオイヤフォンジャック
土台用木板


 まずはコイル。「木製皿立て」を2個つなぎ合わせ、余分な突起を切り落として、コイル枠を作ります。縦33cm、横10cm。四隅に残した長さ5.5cmの突起部分に線材を巻いていきます。20mの線材がちょうど30回で巻き終わりました。ほぐれないように四隅および線材の裏側からホットボンドで固定。ホットボンドって本当に便利で、コイル作りには手放せません。インダクタンス325μH。ちょっと巻き過ぎかな思いましたが、3連バリコン側で調整することにして、コイル部完成。


ミニループコイル




 今回は、ダイオードのみのシンプル回路。タカチの万能基板にトランスとダイオードをハンダ付けし、あとは木台の上に乗せ、定石通りに配線するのみ。ちなみに、使用したBT-OUT-100(100kΩ:8Ω)は、ミズホ通信研究所で扱っているものと同じです。音量、音質とも素晴らしく、いろいろ試した中でこれ以上のトランスは見当たりません。注意点として、現在ラジオ少年で扱っているBT-OUT-101(200kΩタイプ)とは形はそっくりですが、まったくの別物です。OUT-101も試してみましたが、良くありません。OUT-100の取扱いは今はもうないようなので、ぜひ復活を願いたいところです。


BT-OUT-100

ダイオード1N270


 最後にバリコンの接続。これもラジオ少年より購入したものです。4連構造になっていますが、使えるのは3連まで。コイルとの組み合わせを試したところ、200pF+28pFがベストでした。コイル巻き数を多めに、バリコン容量を少なめにするHiL同調回路?









 ということで約半日かかって、完成。さっそくステレオイヤフォンで聴いてみたところ、NHK仙台第一はパワフルに、NHK第二もそこそこの音量、東北放送もかすかに受信できました。分離も良好です。外部アンテナなし、無電源で、これだけ聞こえれば言うことありません。今回もループコイルのQの高さを実感した次第です。


<追記>
 昨夜、他のループアンテナを使ったゲルマラジオと比較しながら聞いてみました。ループは小型にも関わらず今回のこのラジオが最も高感度でした。NHK仙台第一は、コイルの向きを調整し音量を抑えてちょうど良いくらいです。窓辺でなくとも室内受信可。要因としては、コイルに太いリッツ線を使ったことや1N270の検波能力などが考えられますが、最大はトランスの性能かな、と思います。それとも縦長にしたのが良かったとか。たった数点の部品、それらのパーツも進化しており、以前のゲルマラジオとは格段の違いです。無電源でどこまで性能アップするのか、興味は尽きないです。





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倍電流型ゲルマラジオ

2015年07月20日 | ゲルマラジオ



 倍「電圧」をはじめ回路をいじっても、なかなか感度アップにつながらないことは以前に書いた通りです。では、ゲルマラジオ本体を2台作って、両方の電気信号を1本のイヤフォンに流し込んでみたらどうなのか?当然ながらアンテナも2本必要となります。この方式も多くの先人が試されているようで、「倍電流型回路」というのだそうです。ネットで検索したところ、あまり芳しくない、との記述も散見されます。物は試し、前回製作した「音質重視型ゲルマラジオ」をベースに、ミノムシクリップで簡単な回路を組んでみました。

<準備物>
・10mm×160mmフェライトバーを4本束ねたもの
・0.1mm×40本リッツ線
・ダイオード 1N270
・単連ポリバリコン


回路図 2個のダイオード極性を逆向きにします


 ベースとなるゲルマラジオはアンテナ、アースなし、フェライトバー4本の極太バーアンテナのみで、NHK仙台第一および第二が室内窓際で受信可能です。第一は明瞭に、第二は何とか話の内容がわかる程度。新たなバーアンテナも同様にフェライトバー4本を束ねて作りました。ただ手持ち線材の関係で、細めのリッツ線をスペース巻きとしました。34回巻き。インダクタンス136μH。これにポリバリコン、ダイオードをリード線で連結し、コイル部を窓際に置いて、ベースラジオのトランス入力に接続してみました。ベース側のバリコンをNHK第一に合わせた上で、連結側のバリコンを慎重に回してみると・・・、一瞬何も聞こえなくなり、さらに回すと急に大きな音量で聞こえてきました。そのピークはかなり尖鋭で、分離もたいへん良好です。次に、ベース側をNHK第二に合わせ、再度、連結側バリコンを回すと、こちらも十分了解できる程度の音量にアップ。倍電流を実感することができました。






 さて、ここで一つ疑問が。バリコンで同調を取っていることから、二つのコイルの電磁誘導による影響、もしくはフェライトコアそのものの影響により感度アップをもたらしたのでは? そこで、連結側のコイルの位置を変えながら、試行錯誤。その結果、ベースコイルの斜め5cm後方に設置したときにコイル誘導と思われる音量増加が、側方に3cm程離して設置したときにフェライトバーによる音量増加が確認できました。また、ベースコイルの中央部に垂直に設置した場合もわずかに音量増加がありました。電磁誘導による音量増加やフェライトコアによる音量増加は、倍電流によるものとさほど変わりません。ならば、単にコアを近くに置くだけで良いのでは?と思えなくもありませんが、設置位置が限定されてしまいます。倍電流方式は、コイル部(バーアンテナ)の位置を窓際とか、より電波の良好な場所に設置できるという利点があります。

 では、コイル間の影響を受けずに、感度をアップさせるにはどの程度の間隔を開ければ良いのか?これも試したところ、10cmまではほとんど音量増加はありませんが、15cmあたりから明らかに増加し始め、なるべく離した方がよいという結果に。ただ20cm以上離してもさほど増加はありません。したがって、二つのラジオをセパレート式にして、一定程度離して接続するのがベターなのかもしれません。

 以上の実験を経て、今回は、利便性を考慮して、ベースラジオの上部にもう一台の連結回路を組み、一体型の倍電流ゲルマラジオを作ってみました。


上下のバーアンテナは平行にして指向性をそろえる

上部

下部(ベース部)

1N 270 追加


基板部


 二つのコイルの間隔は20cmとし、そのため、木材で櫓を組み、ホットボンドで固定しました。二つの高感度バーアンテナのおかけで、外部アンテナ、アースなし。選局にはちょっとしたコツが必要ですが、倍電流回路の恩恵を十分実感できます。この方式は試してみる価値あり、です。






コメント (2)
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