JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

横長バーアンテナ

2011年10月23日 | ゲルマラジオ


 秋の夜長、マグネチックイヤホンを鳴らす実験用ゲルマラジオで毎晩、快適に聴いております。ふと、こんなに聞こえるのであれば、クリスタルイヤホンならコイル単体でも鳴るのでは?と思い、大型バーアンテナをつないで聞いてみました。なんと、かすかにではありますが、アンテナ、アースなしで聞こえるではありませんか。最大限の集中力を傾けて、何を言っているのか分かる程度。バーアンテナの向きを慎重に合わせると聞きやすくなり、窓際では、それなりの音量で聞こえます。スパイダーコイルや逆巻コイルも試してみましたが、まったく聞こえませんでした。これぞバーアンテナの威力?

 ものの解説によると、フェライトコアというのは、日本人の偉大な発明だそうで、昭和12年に現在のTDKが世界で初めて製品化したのだとか。空芯コイルより誘起電圧が高くなることから、容易に小型化でき、インダクタンスを確保できるわけです。この発明がなければ、携帯ラジオの普及はなかったと言えるかもしれません。

 では、逆にフェライトコアを大きく、長くすれば、どこまでも高感度なラジオができるのか?というと、今度はインダクタンスが増加して中波放送帯に合わず、コイルの巻き数を減らさざるをえなくなる、ということで、単純ではないようです。

 そんなわけで、あらためてバーアンテナの実力を再確認してみることにしました。

 前作の大型バーアンテナは、直径1cm、長さ16cmのフェライトバーを4本束ねて作りました。今回は、長さ14cmのバーを2本横につないで長くしてみました。直径は1cm、全長28cm。コイルは長さ3cm、リッツ線が巻いてあり、中間タップ付きの市販品を使いました。


材料一式



 工作は、2本のフェライトバーを透明ボンドで接着して、コイルを通すだけです。コイルはバーの中央に配置しました。少しなら左右に移動させることが可能。



 各タップ間のインダクタンスを測ってみると、
 ・右―中間 106μH 
 ・左―中間 125μH
 ・左―右間 397μH

 フェライトバーを2倍の長さにしたわりには、変化は少なく、これなら中波放送帯をカバーできそうです。

 各タップはラグ板にはんだ付けし、クラシックゲルマラジオに装着してみました。組み上がってみると、28cmの横長バーアンテナはなかなかの迫力です。昔のBCLラジオを彷彿とさせるような・・・でもないか。


クラシックゲルマラジオに装着

みの虫クリップでタップ切り替え


 さっそく、アンテナ、アースを付けないで、ゲルマラジオ単体で聞いてみると・・・思いのほか大きな音でNHK第一が耳に飛び込んできました。続いて、かすかながらNHK第二も。東北放送は耳を澄ましても聴こえてきませんでした。NHK第一に関しては、十分な音量。まだ、じっくり比較したわけではありませんが、バー4本を束ねたものと同等、指向性はこちらの方が強いようです。窓際から3メートルほど離れた室内でも聞き取れます。分離も良好。

  
 それならマグネチックイヤホンではどうか、ということで、トランスを接続して聞いてみると、NHK第一のみ、なんとか聞くことできました。ただ、窓際の受信環境の良い所でないと聞こえません。周りに騒音があると、かき消されるレベル。それでも、予想を上回る実力と言えるのでは?


ラジオ少年通販の20kΩ:8Ωトランスに接続


 アンテナ、アースなしの無電源ラジオで、マグネチックイヤホンを鳴らしたいという課題は、これで一応クリアできたことになります。でも、満足できるレベルかというと、まだまだ。空中に漂う電波を効率よく誘起電圧に変え、大きな音量で鳴らす、コイル作りの楽しみは続きます。



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逆巻コイル

2011年10月16日 | コイル作り

 ソレノイドコイルのように線を密着してグルグル巻いていくと、コンデンサーのような容量が発生してQを低下させてしまうそうで、密巻にせず、スペースをあけて巻いたり、8の字に巻いたり、様々な工夫が考えられてきました。

 少しでもQの高いコイルをめざして、『ぼくらの鉱石ラジオ』にイラストで紹介してあった「逆巻コイル」というのを作ってみることにしました。普通にボビンに巻いていって、ちょうど半分巻き終わったところで、逆回転に巻いていくコイルです。先人たちがどういう理由でそういう巻き方を考えたのかはわかりませんが、なんらか効果はあるのでは?

<材料>
・直径6cm、長さ10cmの塩ビパイプ
・0.4mmポリウレタン線12m
・丸端子、ネジ


中央の穴に通して巻向きを反転させます


 ボビンはホームセンターで見つけた黒い大きめの塩ビパイプを使いました。まず、これに丸端子取付用の穴2か所と、真ん中に巻線を反転させるための穴2個をあけておきます。ボビン直径が6cm、線が12m、これでどれほどの容量が確保できるのか、とりあえず、普通に巻いて、LCRメーターで容量を確認してみたところ、220μHありました。NHK第一、NHK第二、東北放送が聞こえればよいので、これで問題ないはずです。

 ボビンの穴に丸端子をネジで取り付け、ポリウレタン線を固定して巻き始め、ちょうど30回巻いたところで、反転させることにしました。巻終わり側の線の端を2つの穴に通して反転させるわけですが、この作業がとても面倒です。途中まで巻いたコイルを押さえながら、長い線を絡まらないように穴に通さねばなりません。この作業中にもっと簡単な方法を思いついたのですが、後の祭りです。
反転後、30回巻いて完成。正逆合わせて60回巻き。

 ところが・・・、LCRメーターでインダクタンスを測定してみると、なぜか102μHしかないのです。普通に巻いたときは、間違いなく220μHあったのです。なぜ??? 途中で逆向きに巻くと、容量が減ってしまうのでしょうか?


インダクタンスが半減


 実験用ゲルマラジオに装着してみると、これでもNHK第一は良く聞こえました。ただ、バリコンを左いっぱいに回してやっと同調している状態。

 コイルの性能自体は悪くなさそうなので、同じ径のポリウレタン線を巻き増ししてみました。巻終わりの丸端子を付直し、さらに20回巻き、合計80回としたところ、インダクタンスは189μHとなりました。これでも少な目ですが、下がNHK仙台第一891kHz、上が東北放送の1260kHz なのでなんとかなりそうです。



実験用ゲルマラジオに装着



 あらためてゲルマラジオで聞いてみると、前回作った直径38mmのソレノイドコイルよりも少し低音が増して力強く感じます。分離は、相変わらずNHK仙台第一が強すぎて混信気味ではありますが、他の2局も聞き取れるレベルです。

 2ICラジオにもつないでみたところ、木枠のコイル(リッツ線使用)よりもかなり感度が良くなりました。分離も良好。音も改善して、なかなかのものです。ゲルマラジオ用に作ったのですが、こちらで使った方が良さそうです。




 ソレノイドコイルとしては直径が大きいこと、線材も太めのものを使ったことで良い結果が出たと思われます。でも、肝心の「逆巻」の効果はどうであったのか? インダクタンスが減ったわけは? 素人を悩ます謎がまた増えました。




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小型ループ+ICラジオ

2011年10月09日 | ラジオ工作

 ゲルマラジオがもし鳴らなかった場合の保険として、ラジオ少年通販で買っておいたICラジオキット。製品番号KIT-1、商品名はFK708。ゲルマラジオではないので、電池を使うことは分かっていたのですが、添付の説明書を見たら、4.5V~9V必要とのこと。最低でもエネループ4本使うことになります。電池1~2本で動作すると思っていたので、なんだか作る気力が失せてしまって、そのままになっていました。

 ゲルマラジオがある程度の音量で聞こえるまでになったとはいえ、外部アンテナとアースは必須です。最終的にはコイル単体で聞こえる無電源ラジオが目標ですが、しまってあった簡単な増幅ラジオキットをつくってみることにしました。はたしてICの威力とは?


FK708


 回路は2つのICを使ったストレートラジオで、プリント基板にそって、部品をはんだ付けするだけなので、あっという間に組みあがります。これだけでは面白くないので、一緒に小型のループアンテナを作り、これに基板を組み込むことにします。

 まずはループアンテナコイル。材料は、菓子箱の木製の枠(幅3cm、縦20cm、横13 cm)。これに大型バーアンテナで使ったリッツ線(0.1mm×60本)の残りを巻きつけました。タップは3か所。全部で28巻。LCRメーターで測ってみると、最大で289μH。少し巻線が足らなかったかもしれません。


1段目が15回巻、2段目が13回巻


 さっそく、ゲルマラジオにつないでみると、NHK第一は強力に入るのですが、バリコンを回しても、それ以外の放送は受信できませんでした。やはり巻線が足らなかったかもしれません。もっともNHK第一以外に聞くことはほとんどなく、専用コイルということで、これはこれで良しとします。




 続いて、ICラジオ。キットの内容は、プリント基板、各部品、小さなバーアンテナ、スピーカーなどで、乾電池ホルダーやつまみ類、収納ケースは別途用意する必要があります。



 ループアンテナの中に組み上がった基板、スピーカーなどを固定していきます。バリコンは木枠に透明ボンドで接着しただけです。中央のボリュームは電源スイッチを兼ねており、バーアンテナ固定用のプラスティック足を使って固定しました。コイルは、みの虫クリップによるタップ切り替え式。


 
完成

スピーカーは付属のものでなくラジオ少年通販で別途購入したもの 

裏面 エネループ4本使用


 さて、エネループ2本で鳴るかどうか試したのですが、まったく動作しませんでした。うんともすんとも鳴りません。続いてエネループ4本(4.8V)を装着して、スイッチを入れてみると・・・。すごい音量で鳴ってくれました。スピーカーが割れんばかり、というか音量を上げると割れてしまいます。外部アンテナ、アースなし。家中、どの部屋でも問題なく聞くことができました。

 試しに、付属のバーアンテナに切り替えてみたところ、こちらもよく聞こえ、しかも分離も良好。NHK第一、NHK第二、東北放送が混信なしできっちり聞こえます。



 予想通りではありますが、これなら十分実用になります。さすがICの威力は絶大でした。



≪余話≫


 山頂にゲルマラジオのある風景

 先日、蔵王山頂(熊野岳1830m)にてゲルマラジオ実験。2m用J型アンテナとアース線10mを地面に這わして聞いてみたところ・・・何も聞こえず、でした。残念。


コメント (4)
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