JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

垂直EHアンテナV

2012年01月21日 | EHアンテナ


 7MHzのEHアンテナを使い始めて3年数か月が経過しました。垂直設置も試してみたいと思いつつも、ベランダから水平に突き出した状態で使い続けてきました。今回、新型の垂直偏波型EHアンテナVシリーズを新たに購入。水平のEHアンテナの隣に設置してみました。




 購入したのはEH-V40miniという最も小型のタイプで、全長80cm~90cm程。耐入力200W。FRラジオラボの解説によると、1)7MHz帯のすべてをVSWR1.5以内にカバー、2)同軸ケーブル外皮に流れるRF電流の課題も解決され、誰でも自在に扱うことができるアンテナに進化した、とのことです。

 旧型と違って外形も大きく変わり、筒状のコイルユニットにエレメントを取り付けるようになっています。また、旧型に無かったGND端子が付いており、解説書にも「VシリーズはRF電流のリターン用として接地が必要」とあります。

 箱を開けると、コイルユニット、上下各エレメント、固定金具一式、SWR調整棒、などの他、解説書、CD、保証書が入っていました。


アンテナ一式

左がGND端子


 さっそくアンテナ本体を組み立て、4FベランダのBSアンテナ用のマストに垂直設置。付属のU字金具では寸法が合わず、ジャンク箱にあった別の金具で設置しました。アース線は、取付金具のネジに固定しただけです。金具からマストを通してアルミ手すり全体がGNDになればとの考え。鉄筋にはつながっていないので、心配な点ではあります。


GND線の処理


 このアンテナの良し悪しを決めるのはケーブルの引き回しにあることを前回経験しました。しかし今回は、「この問題は解決された」とのことなので、解説にある通り、マスト、手すりにケーブルを密着させることにしました。10mの同軸ケーブルの内、3m程がアルミ手すりに密着、5mをとぐろ巻、残り2mで室内に引き込みリグに接続。こんな感じです。

 さっそく、7.120MHzあたりでSWRを測ってみると、なんと3.0以上もあります。試しに水平EHに切り替えてみたら、なぜかこちらも3.0以上になっているのです??? 二つのEHが影響し合っているとか・・・。給電部の間隔は60cm程。近すぎるのか?このアンテナは何かをいじると必ず良からぬことが起こるのですが、これは予想外でした。


新型と旧型


 水平EHの方の突き出しを約80cmと長くして間隔を広げたところ、1.8程度まで下がってくれました。さらにケーブルの引き回しを少し変え、何とか1.5以下に納まり、こちらの方はこれで良しとしました。

 一方の垂直EH―V。こちらは相変わらず3.0付近。アナライザーで測ってみると中心は7.04MHzにありました。「広帯域」を信じこんでいたので頭が混乱してしまいましたが、バンド内にちゃんと共振点があり一安心。この新型は、上部エレメントで周波数を調整し、コイルユニットのナットを回してSWRを調整できるようになっています。まずは、エレメントの長さを調整して7.12MHzにもっていき、調整棒でSWRが下がるところを見つける、という作業を何度か繰り返し、1.0に下げることができました。上部エレメントの長さが26.5cm。全長は86.0cmとなりました。心配したGND線の処理は問題ないようです。


垂直EH(新型)

水平(旧型)

 ワッチしてみると、ノイズが少なく聞きやすいです。ケーブルを手すりなどの金属に密着するとノイズを拾うという現象を旧型で経験したのですが、今回は特に感じません。少なくとも受信に関して解説通りの引き回しで問題ないようです。水平EHとの比較では、水平(旧型)の方が、Sで1~3強い感じです。音質も低音が増す感じがあります。垂直(新型)に切り替えるとSは下がりますがノイズが少なく、軽い音質で聴きやすく、了解度は同等の印象。


 送信の方はまだ数局と交信したのみです(50W)。1、2、4、6エリアの各局より59のレポートをいただきました。こちらに59で聞こえていても、応答いただけないケースも何度かありました。CQを出してもまったく応答なしというケースもありました。1エリアの局からは「59ではあるが、けっして強力に入感というのではない」とのレポートもいただきました。たぶん、そんなところかと思います。垂直(新型)で呼んで応答なかったので、水平(旧型)で呼んだら何とか応答いただいたケースが1度だけありました。強力に聞こえているから呼べば応答があるだろうと期待すると「・・・???」となります。もちろんパワーの違いもありますが。

 新型EH-Vの印象は
1)ケーブルの取り回しの影響が少ない。
2)エレメントが付いて調整が格段に楽になった。
3)GNDはモービルホイップのようにシビアではない。
4)受信は悪くない。ノイズが少なく聞きやすい。
5)送信は受信に比べると、良くない。
6)解説されているほど広帯域ではない。旧型と変わらず。


 ケーブルを手すりに密着させず、中空にした場合、飛びが変わるか、といったことは次の課題です。水平と垂直の違いも、これからじっくり比較してみたいと思います。



コメント (2)
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ニューイヤーパーティ

2012年01月05日 | 里山 移動運用


 昨年の震災でJR常磐線や仙石線がいまだ一部復旧せず、電車やバスで行ける山は限られます。今年のニューイヤーパーティも結局、萱ケ崎山になりました。いろんなコースが縦横にあり、何度登っても飽きることのない、自分にとってはホームグラウンド的な存在です。標高379m。仙台市太白区。


 この日、最高気温が5℃と低く、晴天ではありますが、山頂は時折冷たい風が吹き付けていました。帰りのバス時間を考えると運用時間は約2時間。145MHzに加え、今回は430MHzも試してみることにしました。リグはいつものDJ-S57、パワー2W。

 はじめに430MHz。スイスクワッドを取り付けてワッチしてみると、なんとがら空きなのです。今日は間違いなく1月3日、ニューイヤーパーティ真っ最中のはず、430MHzはこれほどまで静かになってしまったのか・・・。



 周波数チェックの必要も感じない程ですが、一応チェックしてメインでCQを出したところ、うれしいことにすぐにコールバックがありました。相馬市から59。続いて仙台市内から次々と声がかかりました。さらに福島市、郡山市、山形の南陽市各局、ここまで13局連続で交信が続きました。静かなようでも、皆さん、ワッチはされているようです。いったん途切れてVFOを回してみると、福島県三春町の移動局が聞こえ、59-59。相手局も365mの高台とのことで、強力な信号でした。


 つづいて145MHz。アンテナはHB9CV。飯坂温泉の時、今一つだったので点検したら、エレメント寸法がいい加減になっていました。ロッドエレメントがザックに当たって短くなったようで、八木以上にこの辺りクリティカルです。



 ワッチしてみると、山頂だけあって空きを見つけるのに難儀しました。どこからともなく変調が聞こえてくるのです。南方向に向け、何度か周波数チェックを入れて、そのままCQ。さすがニューイヤーパーティ。誰かはワッチしているものです。すぐに、仙台市内、福島市、二本松市、郡山市、丸森町、白石市各局から応答いただき、十数局と交信。ところが、隣の周波数からの強力なかぶりが出て交信不能に。IC910ならこんなことは起こりえないのですが、ハンディ機の弱点ですね。

 この日の最遠方局は、東白河郡矢祭町の移動局で59-57。約160km。阿武隈山系の山々を縫い、もしくは那須岳あたりの反射でしょうか?いづれにしても2Wでも結構飛ぶものです。アンテナを北に向けると、岩手各局、陸前高田市などの信号も聞こえていたのですが、バス時刻が迫って、やむなく撤収となりました。

 帰宅後、あらためてカシミール3Dで調べてみると、萱ケ崎山から見通せるのは大小360山ほどもあり、北は早池峰山、薬師岳、六角牛山、五葉山、経塚山(焼石連峰)、物見石山、秣岳、栗駒山、室根山など。南は、安達太良山、鬼面山、阿武隈の日山、口太山などが見通しのようです。この山は、南に開けていると思い込んでいましたが、北も良さそうです。典型的な里山で、けっして見晴らしは良くないのですが、電波伝搬上は意外性のある山頂なのかもしれません。標高が低いからとか、何度も試したからと侮れませんね。


 今も昔も、山を見るとその彼方に何があるのかと誰しも思い描くのではないでしょうか。自分も、この山頂に登ったら、どんな景色が待っているのかと楽しみに登ります。同様に、ここから電波を出したら、何処の人がその信号を聞いてくれるのだろうか、そして応答してくれるのだろうか、そんな期待をもっていつもCQを出しています。今年も一山一局の出会いを楽しみに、山と無線を続けられればと思います。






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飯坂温泉の今

2012年01月04日 | 里山 移動運用


 年末年始、今年も飯坂温泉でのんびりしてきました。もう5年目、毎年の恒例になりつつあります。原発事故の影響で、温泉客も遠のいていると聞いていたので心配していたのですが、いつもの定宿も変わりない様子でした。震災直後は多くの避難者を受け入れ、満室状態で忙しい日が続いたそうです。今はそれがひと段落したものの、通常の観光客が減ってどこも苦戦を強いられているとのことでした。


摺上川に面した旅館群

 東北一といわれた飯坂温泉は、かつて多くの団体客でにぎわい、深夜まで町の明かりが消えることはなかったそうです。今、それらの旅館が少なからず営業をやめ、建物は取り壊されることもなく、残されたままです。飯坂の町を歩いていると、狭い路地や階段が縦横に走っており、そこにいくつも閉館したままの旅館が現れるのです。普通の民家と違って、旅館の廃墟というのはなにか物悲しいものがあります。かつて賑わいを極めた時代もあったのでしょう。増築を繰り返し複雑な形になったもの、数年前まで営業していたのか、敷地にはビールの空き瓶が所狭しと積まれていたりします。どの温泉地も似たり寄ったりなのかもしれませんが、廃墟の多さということでは、飯坂は日本有数かもしれません。これが温泉街全体に独特の雰囲気を醸しているのです。風評でこれ以上廃墟が増えることのないよう願うばかりです。


鯖湖湯周辺



波来湯前

 そんな飯坂ではありますが、昨年オープンした共同浴場「波来湯」では、元日の朝、恒例のつきたて餅をふるまう行事があり、温泉客でにぎわっていました。昨年はなかった摺上川沿いの公園も桜が植えられ整備されていました。堀切邸の公開など鯖湖湯周辺も訪れるたびに新たな発見があり、飯坂も変化の途上にあるようです。



愛宕山にて


 さて、無線の方は、大晦日、宿の室内からハンディ機で数局お相手いただき、翌日も近くの愛宕山から移動運用してみました。ここは昨年、福島、宮城、山形各局と交信できた手軽でFBな場所で、今回も同じアンテナ(HB9CV)でCQを出してみました。あまり飛んでいないのか、なかなか声がかかりません。そのうち、前日も交信いただいた福島市内の局に拾ってもらい、続いて宮城県の利府町から応答がありました。利府町とは相性がよく、こちらに59、相手局より53のレポート。QRP2Wにしては良く届いているとのこと。その後もぽつりぽつりと呼んでいただき、新年はじめのQRV、静かなスタートとなりました。

 近くにもう一つ、館山という標高230mの城跡があるそうで、次回の運用を楽しみに、飯坂の町を後にしました。



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