JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

山移動の楽しみ

2009年06月30日 | 運用スタイルなど




 開局して丸2年が過ぎ、3年目に入りました。コールサインをいただいたのはVUのFMハンディ機で登山の緊急用のつもりでした。その後、常置場所に固定機代わりとしてFT7800を導入、そのうちSSBも覗いてみたくなりIC910を、HFもと欲ばりFT450を導入し現在に至っています。

 1年経過したころからVU帯のアクティビティが下がりぎみとなり、長く続けるとしたら、どんな形態があるのだろうかと、考えていました。常置場所同士ですと、信号の届く範囲はだいたいつかめて、その範囲内のアクティブなアマチュア局も大方わかりますね。そこからさらに遠くと交信するには、空中線の飽くなき追求ということになるのだと思います。それが可能な恵まれた環境の方はよいのですが、当局のようなアパマンハムには叶えられません。何か革新的なテクノロジーによって、多エレメント八木をしのぐ夢のアンテナ?などあるはずもなく、とすれば、移動運用を取り入れていくのが自然の流れだったように思います。

 学生時代から山登りを続けてきましたので、当時から、無線が趣味に加わっていれば、楽しみ方も変わっていたことと思います。山仲間でアマ無線をしていた人はいたのですが、特に興味もわかず、ひたすら登ることのみに熱をあげていましたから、重いザックに加えて、無線機を持って登るなど論外でした。でも、今は、ほとんどが日帰り山行で、たとえ泊まりの場合も温泉に泊まって近くの山に日帰りで登る、というパターンが多くなりました。体力的な問題もありますが、山に対する興味の方向というか、接し方が変わってきたのだと思います。ザックの方もずいぶんと軽くなりました。

 そんなときに始めた無線ですから、いつのまにか山から運用するスタイルが定着してきました。デイパック一つに、昼食とテルモス、ハンディ機、アンテナ一式、三脚、予備バッテリー(乾電池)を入れても軽量で、余裕があります。日帰りなので無理はせず、天気が悪ければいつでも予定変更。交通手段も、電車、バスを使って歩き始めることがほとんどで、クルマはあまり使いません。

 たいていは、144MHZモノバンドハンディ機(アルインコDJ-S17)に自作アンテナのみの運用です。たまに八木や430MHZ機(DJ-S47)も持っていきます。山頂+ハンディ機+附属ホイップアンテナ(通常の登山)あるいはモービル機+外付けアンテナ((登山口駐車場など))の移動局はみかけますが、山頂(登山)+ハンディ機+外付けアンテナの組み合わせでの運用は少ないように思います。HFや6mで大規模な設備を展開される方もいるようですが・・・。当局の場合は、山頂という場所の利を活かし、そこにアンテナというパワーを少しだけ加えてやる、そんな感じです。八木も3エレまで、多くは垂直ホイップ系のアンテナです。

 以前なら、眺望を楽しみに登ったものですが、今は、地図を広げて、この山頂ならどんな電波の飛び方をするのか想像をめぐらし、実際に確かめてみるのが楽しみになりました。もっとも、登ってみたら山頂は雑木の中などということもしばしばです。なかなか声がかからないこともありますが、そこは山頂、ハンディ機といっても電波の届く範囲が格段に違いますね。これまで、一局も応答がなかったということは幸いにもありませんでした。CQを出して実際にお声がけいただけるというのは、アマ無線ならではの醍醐味で、ひとり山の上にいる時などは、ありがたさもひとしおです。

 CQ誌に、あるOMが「アマチュア無線は不確実な交信を楽しむ趣味である」と書いてありました。ある日、ある時、あるいくつかの条件の下で、たまたま交信が成立する、条件の一つでも変われば交信のチャンスはない、そこに趣味としての面白さがあるのだと。なにか目からうろこの一言でした。

 微弱な信号で変調も浅いのに不思議な安定感でもって交信成立とか、刻々と変わるコンディションに翻弄されながらコールサインをかろうじて確認。直後にノイズでかき消され、あきらめかけた時に再び信号が浮かび上がってレポート交換。とてもハンディ機で交信できるはずもないと思えるような遠方なのになぜか59で交信(相手局の設備がすばらしかった)。予想を超えた複雑な反射によって届く不思議な信号。などなど、その山頂にいたからこそ経験できたであろう様々な交信がありました。携帯電話が一人一台、「確かな通信」があたりまえの時代に、こんな意外性や「不確かさ」こそが無線のおもしろさではないかと感じています。

 ハンディ機と簡素なアンテナですから、多くを求めようとは思いません。一山一局の気持ちで、長く続けていければと思っています。そしていつか、自分なりの流儀といえるようなものを一つでもみつけてみたいものです。










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