JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

紅葉川渓谷探勝

2020年08月16日 | 運用スタイルなど


 二口山塊にもたらした雨は分水嶺の尾根をはさんでいくつもの沢と支流を作り、西は最上川を経て日本海に至ります。紅葉川もその一つで、源は面白山、奥新川峠や権現様峠周辺。面白山高原駅あたりになるとかなりの水量で、方々に滝をつくり、駅から下流部分が渓谷沿いのトレッキングルートとして整備されているようです。いつも気にかかってはいたのですが、登山した後に余力をかって渓谷歩きまでしようという気にはなれません。一度歩いてみたいと思い、今日は渓谷探勝のみを目的に訪ねてみました。

 駅から線路を越すとすぐ「紅葉川渓谷トレッキングコース入口」の標識があり、階段状のところを下りていきます。その名のとおり紅葉時期がベストシーズンということになるのかもしれません。今日はXと自分の二人きりで途中誰にも会いませんでした。


渓谷入口(正面に藤花山荘) 


 沢に下るとすぐに対岸が藤花の滝、道は岩をへつりながら細々と沢沿いに続き、仙山淵の標識あたりで一気に荒々しい姿に変貌。爆流となって岩を縫い、岩と岩にかけられた何本かの橋や鉄パイプの階段を渡っていくと、今度は深い淵が現れてきました。ここからは淵の連続。足がやっと置ける程度の断崖を切り抜いた歩道は濡れて滑りやすく、実際、何度か滑りそうになってしまいました。はずみで態勢を崩せば数メートル下の激流に真っ逆さま、となりかねない箇所がいくつもあります。緊張しながらも左右に現れる滝、そして青龍淵、松尾淵と名付けられた美しい淵がこれでもかと続き、息をのむ景観に圧倒されてしまいました。変化自在の水流、淀みに透き通ったエメラルドブルー、谷間の断崖に細々と続く苔むした歩道、予想を超えるハイライトの連続でした。



藤花の滝

仙山淵付近



クジラ岩付近



絹糸の滝

青龍渕

松尾淵

淵が続く

歩道終点付近

線路下をくぐる

藤花山荘に到着(駅前)


 最後は線路下のトンネルをくぐり下流側の出口へ。渓谷の行程はわずか2kmばかり、2度の休憩を入れゆっくり歩きましたが、長く感じました。Xも相当緊張し、足がすくんだようです。それにしても仙山線の線路のすぐ下にこのような歩道が潜んでいたとは・・・。この先にどんな景観が待っているのか、めくるめく渓相。沢登りや渓谷の魅力にはまるのも少しわかるような気がしました。









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J型アンテナ(145MHz)バラン付きとバランなし

2020年08月15日 | J型アンテナ

 2週間ほど前、J型アンテナのバラン付きとバランなしの2本で交信比較をした際に、レポートでバラン付きが55、バランなしが51~52となり、こちらの受信状態もバランなしで信号が弱まる結果となりました。お相手いただいたJP7IEL局からはバラン付きの2.5W送信とバランなしの5W送信の信号が同程度とのレポートもいただきました。バランを付けた方が良いとの感触は漠然とながらあったものの、バランなしでも性能を発揮するアンテナとの印象もあり、こんなに違いが出るのは予想外で、なにか他に原因があるでは?と思い、バランなしの方を見直してみました。

<バラン付きJ型アンテナ>
 3D2V同軸ケーブルで作った4:1Uバランを給電部に直結しています。10年以上前に作り、ほとんど変更なしで使い続けてきたアンテナです。山で何度も風雨にさらされもしました。SWRグラフは下のとおりです。






<バランなしJ型アンテナ>
 今年3月に作ったアンテナです。50cmのショートスタブに1m(1/2λ)のエレメント。基本構造は同じですが、一回り太い銅パイプで耐久性を高め、かつ構造を見直して軽量化をはかりました。給電部直結でなくBNCコネクターとしたためバランは省き、クランプコアを2個取り付けています。直近の山岳運用はすべてこのアンテナを使っています。



<見直し修正部分>
 ショートスタブの先端(エレメントの反対側)を防水のため自己融着テープで巻いていたのですが、ここはJ型アンテナで最もクリティカルな部分です。実際、受信中にこの部分を手で触れると激しくノイズが発生し信号が低下します。とういうことで自己融着テープを取り除き、防水対策として銅パイプの穴をハンダで塞ぐことにしました。もう一点、ショートスタブの間隔を保つためにプラスティック板を結束バンドで固定し、さらに接着ボンドでかためていたのですが、先端近くの接着ボンドも影響を与えることがわかり、これも取り除き、位置も先端から少し下げて付け替えました。その結果、SWRが若干甘くなり、共振点は変わらず、でした。特に意図したわけではないのですが、バラン付きJ型アンテナとほとんど同じグラフです。






 本日、あらためてJP7IEL局に協力いただき比較してみました。JP7IEL局側のアンテナ取付位置が変更されたとのことで、いつにも増して信号が弱くUバラン付きで51-41~51。スケルチ限界でバックノイズにより聞き取りにくい場面もありました。続いて修正後のバランなしに換えたところ51-51。「同じ51でもバラン付きの時よりも信号が安定している」とのレポート。こちらも同様で、変調に強さが増した感触があり、このまま不安なく交信を続けることができました。




 本日の結果でバランなし方が良いということではもちろんありません。J型アンテナにおいてバランを付けても付けなくともさほど変わらない、というこれまでの感触が間違いではない、ということかと思います。そして、留意すべきはショートスタブ先端に余計なものを付けたり接触させてはならない、ということ。わかっていたのに、うかつだったな・・・と。しばらくこの状態で使ってみます。








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二口峠~仙台神室

2020年08月14日 | 奥山 移動運用


 仙台市の山で標高1300mを超えるのは大東岳と仙台神室の2座のみではないかと思います。大東岳は以前はバスの便もよく、何度も登りました。今は仙台中心部からのバス路線が廃止され、登りにくい山になってしまいました。一方、仙台神室の方は登山口まで車を使うしか方法がなく、自分は1度だけ仙人大滝から登ったことがあるのみです。このあたりの山域はあまり足が向きません。昨日、北蔵王縦走路の中で未踏になっていた部分を埋めようと、二口峠側から登ってみました。

 二口林道は宮城県側の秋保温泉から山形県側の山寺までの林道で、昨年舗装化されました。車を使うことにはなりますが、だいぶアクセスが良くなりました。秋保ビジターセンターから林道に入り、ぐんぐん高度を上げ、「二口峠」の標識を過ぎてさらに進むと山形県境のゲートが現れます。ゲート手前に細々とした登山道が見えたので車を置き、そこを登っていきました。標識や赤布はありません。あいにくのガスの中、30分ほど樹林帯を進むと「清水峠」に到着、高沢からのルートと合流します。ここに標識がありますが、その後、仙台神室分岐まで標識や赤布はありませんでした。一本道なので不要ということでしょう。途中、1239mと1272mの二つのピークを越えるのでアップダウンがきついです。


清水峠

1272mピークへの途中

仙台神室分岐

山形神室山頂

 午前8時、仙台神室分岐着。せっかくなのですぐ先の山形神室にまずは登ってみました。標高1344m。縦走路の通過点という感じの山頂。ガスで何も見えず、長居は無用。仙台神室へはいったん標高差150mのダンゴ平まで下り、急坂を登り返すことになります。ぬかるみ続きの悪路を登りきると、低木帯となり、見覚えのある狭い山頂に到着しました。8時45分着、登山開始から2時間30分。標高1356m。高度感があり見晴らしも良かった記憶があるのですが、今日は薄いガスがかかり視界はありません。誰もいない山頂。他の登山者が登ってくるまでの間、無線運用することにしました(QTH仙台市太白区)。


ダンゴ平付近

仙台神室山頂




<装備>
リグ FTM-10S(145MHzで運用)
アンテナ J型アンテナ

 いつもの装備。最近J型アンテナばかりですが、これでどのような交信ができるのか、もう少し試してみたいと考えています。約40分、宮城、岩手、山形、新潟の各局に交信いただきました。1エリアの移動局が入感し呼んでみましたが強い局に負けてしまうようで交信ならず、でした。0エリアは新潟市南区固定局と1局のみ交信いただきました。北は岩手県花巻市固定局。10局と交信、5人組のパーティが登ってきたところで終了としました。


 一気にダンゴ平まで下山。少しづつガスが切れ始め、振り返ると先ほどまでいた山頂が姿をみせてくれました。糸岳、大東岳など二口山塊の山々、そして磐司岩など秋保の山も独特の景観で印象に残りました。


仙台神室

秋保の山々

糸岳、大東岳、面白山方向


 峠からなので楽に登れるかと思ったのは甘かったようです。アップダウンあり、ぬかるみありで思いのほかきつい行程で疲れました。








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権現様峠~南面白山

2020年08月10日 | 奥山 移動運用
 20数年前の「山と高原」地図(エリアマップ)には面白山高原駅から権現様峠への登山道の記載はありますが、先週辿った奥新川峠ルートの記載はありません。当時、その地図をもとに権現様峠経由で大東岳に登ったことがあります。もうかなり前なのでほとんど記憶はなくなっていますが、沢を渡渉したことは覚えています。

 この間、何度か登っている南面白山。不安はあるものの、かすかな記憶を頼りに数十年ぶりにこの権現様峠のルートで登ってみることにしました。


峠への分岐


 いつものとおり仙山線始発に乗車。面白山高原駅から長左衛門平への登山道に入ると20分ほどで権現様峠への分岐となります。所々ロープの張られた谷筋の斜面を進むと、権現沢の第一の渡渉点に到達。前日の雨で増水しており、予想していたこととはいえ、水量はかなりのものでした。沢そのものが大きく、長左衛門平ルートの渡渉点とは比べ物になりません。滑って転倒するとそのまま流されかねず、濡れても構わない覚悟で慎重に足場を選び渡渉。無事渡り終えて緊張がほどけ、ふと上流を見上げた時、はっとさせられました。暗い断崖の谷間に木漏れ日が差し込んできたのです。流れ落ちる瀑布。断崖を這うように続く細道。秘境感漂う渓谷美。ここがこのルートのハイライトと実感しました。


第一渡渉点



渡渉点付近






 そのまま沢筋にそって進み、雷神瀑布の上流で第二の渡渉点に到達。水量はそこそこあるものの沢幅は狭く、難なく渡りました。斜面を巻きながら徐々に上流を詰め第三の渡渉点を過ぎるとブナ林の尾根道となり、最後は登山道とは思えない枯れ沢のような所を登り権現様峠に到着しました。駅から約2時間。標高910m。


沢筋を進む


雷神瀑布


第二渡渉点


峠への最後の登り


権現様峠


 峠の標記は消えてありませんでした。奥新川峠と違い、峠らしい雰囲気もありません。以前とは違ったような・・・。直進すれば大東岳、今日は右に進み南面白山方向へ。ブナの美林が続く緩やかな尾根道を経て一気に高度を稼ぐと、大東岳が目の前に迫ってきました。もう山頂直下。ここまで展望はまったくありません。10時15分、標高1225mの山頂に到着。歩き始めてちょうど3時間。こんなに大汗かいたのはしばらくぶりです。山頂からは遠く熊野岳、そしてそこへ至る山々を縫うように縦走路が続いていました。


峠から南面白山へ


間近に大東岳


山頂より蔵王縦走路


 さて、あまり人は来ないものの狭い山頂なのでここで無線運用はできません。山頂から離れた尾根筋にアンテナを設置しました。本日もいつもの装備。

リグ FTM-10S(145MHz)
アンテナ J型アンテナ




 今日は福島、宮城、山形、新潟、岩手各局に交信いただきました。0エリアは新潟市南区の1局のみ交信いただきました。山岳移動では鬼面山、栗駒山、薬莱山 各局と交信。下山と帰りの電車時刻を気にしながら40分ほどの運用で終了としました。


 旧スキー場へ一気に下山し、駅到着12時40分。自分にとっては緊張感と歩き甲斐のある行程で疲れました。権現様峠へのルートは登りに使って正解だったように思います。下りに使う場合は沢の水量によっては手こずることになり、時間も想定どおりにいかないかもしれません。きつい、危険、暗い3Kルート。その分、山頂まで誰一人会うこともなく、静かな山に浸れました。





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奥新川峠~1025m無名峰

2020年08月02日 | 奥山 移動運用

 南面白山から北面白山の間に、いくつかの小ピークと峠があります。その一つ、権現様峠はここから大東岳にかつて登ったことがあり、また南面白山から駅への周遊ルートとして下山に使ったこともあります。どちらも谷筋の危険な荒れたルートで、一般向きでないとの印象でした。

 権現様峠の北にもう一つ奥新川峠があり、地図上にはその北に1025mの小ピークが示されています。この周辺のみ自分にとって未踏となっており、本日、探索を兼ねて登ってみました。

 今朝、仙台は霧雨まじりの曇天。予報では宮城、山形両県とも晴れ間も期待できるとのことで、仙山線始発に乗車。面白山トンネルをくぐると、山形側は多少明るい雰囲気がありました。7時15分、登山開始。前回と同様、長左衛門平への沢コースにて紅葉川の源流を詰めていきます。45分で奥新川峠への分岐着。ここから先は初めて歩くルートとなります。






 この一帯は「これが本当に一般ルートなのか」と疑いたくなるような登山道が多く、奥に進んでから後悔する、ということがよくあるのです。辺りは濃いガスに覆われてきました。何か良からぬことが起こるのでは?と不安を抱きながら歩を進めると、意外にも拍子抜けするほどおとなしいルートで、上部はブナの美林が広がっていました。沢には一度も下りず斜面を巻いて登るため、険悪な箇所はありません。ただ、斜面が崩れ、道が崩壊しているところが数カ所あり、ロープがかけられています。分岐から50分で奥新川峠着。標高942m。






 北蔵王縦走路が交差します。右に進めば権現様峠を越えて南面白山。東の尾根に奥新川岳があるものの夏道はなく、峠といっても十字路になっているわけではありません。周りは背の高い笹に覆われ、たとえ晴れていても展望は期待できないのかもしれません。かえって濃い霧の中の峠の雰囲気がなにか印象深いものがありました。

 さて、ここから一登りで標高1025mの小ピークへ。峠から20分ほど、駅から約2時間で到着。山頂は4畳半ほどの小さな空間がぽっかり空いただけのものです。登山者にとって通過点に過ぎない無名峰。晴れていれば中面白山や北面白山が眼前に飛び込んでくるのかもしれませんが、何も見えず。ここで休止を兼ね無線運用としました。


1025m無名峰山頂



<本日の装備>
リグ FTM-10S(145MHzで運用)
アンテナ J型アンテナ

 バンド内ワッチしてみると今日はコンテストのようで、何局か聞こえてきました。ただ、遠方の信号はまったく入らず。200m以上高い山々に周りを囲まれている位置にあるため、西も北もブロックされてしまっているようです。1時間ほどCQを出したり応答したりで宮城、山形の14局と交信。信号の伸びは感じられず、早々に終了としました。






 小さな登り下りを繰り返し、長左衛門平へ下山。ガスが薄くなり、やっと山肌が見えてきました。


長左衛門平への尾根道

紅葉川源頭付近



 今日、自分が歩いたのは、この山域のほんの一部です。でも、初めて歩くルートというのはいろいろと発見があって良いものです。未踏の箇所が一つ埋まりました。




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