JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

熊野岳 山形県上山市

2010年04月26日 | 奥山 移動運用
 北蔵王の最高峰で標高は1840m。この山の東側(宮城県側)に有名な「お釜」があります。なので、観光客が多く、夏場であればズックで登ってきたりします。その分、登山の対象にはなりにくく、山好きの人が、この山をめざして登ることはまずありません。ただし、冬場は別で、完全装備の登山者だけの世界に変わります。

 エコーラインが開通する前日の日曜日、静かな山頂で無線でも楽しもうと、地蔵山から熊野岳をめざしました。天気は快晴。稜線からは月山、新庄神室、栗駒山をはじめ、朝日連峰、飯豊連峰も長く白い壁となって全容を現していました。一年に幾日もないような眺望です。


ゴンドラ終点 お地蔵様は半分雪の中


雁戸山方向


 ところが、地蔵山を過ぎたあたりから風が強まり、熊野の斜面では、一時、先行者(別の単独登山者)を見失うほどの地吹雪となり、山頂に着いてからも、終止、この状態は変わりませんでした。昨日降った新雪が巻き上げられているようです。上を見上げれば晴天、足下は雪まじりの強風。


写真では穏やかそうに見えるのですが・・・


 こんな状態ですが、山頂には単独行の登山者がもう一人、おりました。この方は「あなたが二人目で・・・最後・・・」と意味不明の言葉を残して去っていきました。終わりの方が風で聞き取れなかったのですが、なんだったのでしょうか・・・・?

 気を取り直し、山頂の石碑を風よけにして、無線の準備を始めました。今回はローカルのOMが大滝根山(福島県田村市)の仙台平からオンエアするということなので、お声がけしたいというのが目的の一つです。アンテナはHB9CV。リグはいつものDJ-S17、4W(エネループ)。三脚は雪で踏み固めて固定、それでもアンテナが激しく揺れ動きます。

 ワッチするとタイミングよく、田村市移動OM局のCQが聞こえてきました。さっそく応答、59-59で交信できました。標高800m程の仙台平駐車場から八木スタックでの運用とのこと。強力な信号でした。0.8Wに落としても59変わらずのレポート。交信距離約90km。

 目的の一つがあっさりと達せられ、今度はこちらからCQを出してみました。さっそく、天童市、米沢市、伊達市などから応答いただきました。風切り音がマイクを通して入ってしまうようで、「信号は強いが、風の音で了解できない。風を避けていただけませんか」とのこと。そう言われても避けようがないのですが、体の向きを変えたりしながら、交信を続けました。「春山の静かな山頂」を思い描いていたのですが、この風は想定外でした。

 続いて、二本松市の羽山山頂移動局(標高896m)とは今年3度目の山頂同士の交信。59-59。飽海郡遊佐町と57-59。涌谷町のの岳山局と59-59。大和町達居森山頂局(ハンディ機)と33-41。新潟市東区と59-59、等々。天気に恵まれて移動局も多かったようです。HB9CVは強風によく耐えてくれました。むしろ人間の方が、風と寒さに耐えきれず、ビームを合わせる気力も喪失して、1時間程で撤収となりました。




 地蔵山まで下山すると、風が弱まり、空気も温かさを感じるようになりました。100mの標高差の違いですね。まったく別世界のようです。ここで、ロッドアンテナRH-770にて運用してみることにしました。CQを出したところ、女川町、一関市、伊達郡、松島町、泉区、山形県内各局に応答いただき、FBに交信できました。1エリアの信号も31程度で聞こえていたので、少し待機したのですが、残念ながら交信のチャンスは巡ってきませんでした。




 今回は、風雪と格闘して終わった感じです。眺望でも楽しみながら、のんびり余裕を持ってQSOするのが理想なのですが、なかなかそうもいきません。




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ハンディ用アンテナRH-770

2010年04月20日 | 移動用市販アンテナ
 先日、JARLからQSLカードが届きました。その中に、興味深い交信証が2枚ありました。2枚とも相手局は同じです。当局が蔵王地蔵山に移動した時と、南面白山に移動した時にQSOいただき、相手局もそれぞれ八海山と米山に移動中でした。どちらも印象に残る交信でしたので、カードを見て、すぐにその時のことが思い出されました。

◎9月20日  
相手局  移動地 南魚沼市八海山 標高1778m 
     機種 ID-92   アンテナ RH-770  出力5W

当局   移動地 山形市地蔵山 標高1736m
     機種 DJ-S17 ヘンテナ(シングル) 出力4W

レポート 59-59 交信距離 約200Km

◎9月27日  
相手局  移動地 柏崎市米山 標高993m   
     機種 ID-92  アンテナRH-770   出力5W

当局   移動地 山形市南面白山 標高1225m
     機種 DJ-S17 J型アンテナ 出力0.8W(途中4W切替え)

レポート 59-52 交信距離 約220Km

 わずか1週間の間隔ですが、同じ局であったことにあらためて気がつきました。この方も山岳移動で、ハンディ機を使っていること、かなり遠方からの応答であったこと、にもかかわらず安定した信号であったことは、鮮明に記憶に残っています。交信中、アンテナのことを話したような記憶もあるのですが、てっきり、軽量な八木でも使っているのかな、と勝手に思い込んでいました。交信証を見ると、二回ともロッドアンテナRH-770をお使いだったことが判り、意外な感じを受けました。

 以前、鷹討山で運用している時に、たまたま通りがかったOMがRH-770をお持ちで、その方の話では、ハムフェアで購入したHB9CVと比較して同等だった、山ではこのアンテナで十分と話をされていたのを思い出しました。ハンディ用としては、良く出来たアンテナのようです。

 当局も出張用に1本持っています。ホテルから430で何度か使いました。伸ばすと93センチ、ハンディ付属の1/4λホイップに比べると格段に性能が上がります。ただ、145で使ったことはほとんどありませんでした(いつも出張セットの袋に仕舞い込んでいます)。

 145MHz用のロッドアンテナとしては、同じ第一電波のRH-205というのを使っていて、こちらは、山に行く時に、万が一のお守りとして持っていきます。伸ばした時の長さが134センチ、5/8λ。50MHzの1/4λとしても機能するそうです。メーカーとしては「受信用」という位置づけのようで、耐入力の表記がないのですが、5Wハンディ機なら問題はありません。普通に使えています。グループ登山で時間が限られる時や、狭い山頂の場合は、このアンテナだけで運用することもあります。ハンディ機直結なので、減衰がないのは利点です。そこそこ遠方とも交信できます。


 今回、あらためてRH-770の性能を確かめてみたくなり、RH-205との簡単な比較実験をしてみました。

 《トリフィールドメーターでの送信実験》
 1.5mの距離から送信して、トリフィールドメーターでの数値を読み取りました。出力は0.8W。ハンディ機付属のホイップでまったく触れない針がどの程度触れるかの実験です。

 RH-770  2.5(最大値)
 RH-205  1.5(最大値)

 RH-770の振れの方が少し大きくなりました。ただ、ハンディ機(給電部)を上下に動かすとメーターの振れが変わります。1/2λと5/8λの電圧分布の違いと思います。HB9CVやモクソンアンテナに比べると1/2から1/3で、送信については、過大な期待はできないようです。同じ長さのモービルホイップ同等かと思います。

 続いて、ベランダでの受信実験。ちょうど蔵王町移動局の信号が聞こえていたので、聞き比べてみたところ、どちらもSの触れ方は同じでした。ただ、了解度はRH-770の方が上です。変調に強さが感じられ、聞き取りやすいです。RH-205はバックノイズが大きい印象でした。


上がRH-770 下がRH-205 どちらも第一電波工業


中間のコイルの中に上部ロッドを収納 うまく出来ています


 散歩がてら、ハンディ機とRH-770で近所の大年寺山から運用してみました。大年寺山は当局のホームから歩いて15分程、標高100mあるかどうかの公園です。ハンディ機はいつものDJ-S17、4W。エネループ運用。

 電源を入れて、ワッチしてみると、山形県大江町の移動局のCQが聞こえてきました。山岳移動では時々お相手いただいている局ですが、この場所で入感するとは意外でした。すぐに応答して53のレポートをいただきました。こちらからも53。大江町の大山公園からのモービル運用(アンテナは数十センチのモービルホイップ)だそうです。普通にラグチューできる程の安定した信号でした。距離は約60Kmですが、奥羽山脈があり、ホームからは3エレでも交信できたことはありません。場所もさることながら、RH-770、なかなかの印象です。

 しばらくして、福島市の天上山移動局のCQが聞こえてきました。こちらには52程度で入感。応答したところ、コールサインを聞き返されて、厳しそうな感じです。ところどころ聞き取れなくなる、話の内容を七割くらいしか了解できないとのことで41のレポートをいただきました。何とかファイナルを確認して、無事終了となりました。こちらも距離は60Km程。
 その後、大年寺山の最高点付近からCQを出してみました。仙台市内各局よりお声がけいただきましたが、遠方からの応答はありませんでした。


大年寺山 最高地点付近と北方面の眺望 
最近、高いビルが増えました


 
 以上の主観的で限定的な実験からすると、RH-205より30cmほど短いRH-770ですが、良く出来たアンテナではあるようです。次回の山岳移動の時は、こちらをお守り代わりとして、別の比較でもしてみようかと思います。


《追記》



 AA-200で共振周波数を調べてみたところ、RH-205はなんと153MHz近辺に共振点があり、145MHzバンド内のSWRは2.0~3.0となりました。室内なので周りの影響が出てしまっていたと思いますが、位置を変えて測っても2.0以下になることはありませんでした。これでは、飛びが良くないはずです。念のため、パワー計で測ってみました。案の定、Hi設定で3Wしか出ていません(付属リチウム電池)。RH-770の方は、145MHz辺りに共振点があり、SWR1.2で問題ありませんでした(5W出力)。トリフィールドメーターでの差はこれが要因のようです。


RH-205のSWRグラフ 共振点もさることながら、SWRが下がりませんでした。


RH-770のSWRグラフ 


 それにしてもRH-205は、いったいどういう設計のアンテナなのでしょうか。やはり「受信用」なのでしょうか??







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