JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

2mJ型アンテナのデュアル化(エレメント交換式)

2020年12月31日 | J型アンテナ
 海外サイトを見ると2m用J型アンテナを430MHzで共用可能との記述が散見されます。145MHzの3倍高調波なので厳密にマッチングしなくともSWR2.5程度に収まることはありえるかな、とは思います。自分もD-STAR430レピーターへの短時間のアクセス程度ならそのまま使ってしまうこともあります。

 実際のところどうなのかと思い、IC-705のSWRプロット機能で測ってみたところマックス3.0を示し、共振点らしきものがあるのかどうかもわからない状態です。もう少し低めになるかと予想したのですが、いくら短時間でもこれで送信する気にはなれません。


145MHz用エレメントのまま測定


 自作したJ型アンテナはショートスタブの給電部を可動式にしてあり、これをスライドさせて調整を試みることは可能です。ただ、145MHzに合わせてあるので、できれば動かしたくありません。ショートスタブはそのままにし、エレメントの長さのみでマッチングが取れないか? ということで試してみました。その結果、ショートスタブ先端から74.5cmでSWRがストンと落ちてくれました。


430MHz用エレメントにて測定


 本来430用J型アンテナはショートスタブ17.5cm(1/4λ)、エレメント35cm(1/2λ)が基本です。今回の場合、おおむねショートスタブが3/4λ、エレメント1λとなり、どういう動作でマッチングが取れているのかは疑問です。ショートスタブの一部がエレメントとして動作しているのかもしれません。


ショートスタブを含む全長124.5cm


下の2本を430で使用


 使用感としては長さ40cmのハンディ直付けホイップよりも良く、RH770や5/8λダイポールと比べるとS1~2信号が弱まります。もととも145MHz用アンテナで、しかも給電部に手を加えずエレメントのみで調整したわりにはまずまずかと思います。




 実際の使用では3段の差し込み式銅パイプエレメントの上部2段を外し、430用の銅パイプを差し込むだけです。2m用に戻すのもさほど手間はかかりません。エレメント交換式デュアル。これでレピーターも安心してアクセスでき、里山移動の際はJ型アンテナのみでよいかな、と考えています。






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J型アンテナ(145MHz)バラン付きとバランなし

2020年08月15日 | J型アンテナ

 2週間ほど前、J型アンテナのバラン付きとバランなしの2本で交信比較をした際に、レポートでバラン付きが55、バランなしが51~52となり、こちらの受信状態もバランなしで信号が弱まる結果となりました。お相手いただいたJP7IEL局からはバラン付きの2.5W送信とバランなしの5W送信の信号が同程度とのレポートもいただきました。バランを付けた方が良いとの感触は漠然とながらあったものの、バランなしでも性能を発揮するアンテナとの印象もあり、こんなに違いが出るのは予想外で、なにか他に原因があるでは?と思い、バランなしの方を見直してみました。

<バラン付きJ型アンテナ>
 3D2V同軸ケーブルで作った4:1Uバランを給電部に直結しています。10年以上前に作り、ほとんど変更なしで使い続けてきたアンテナです。山で何度も風雨にさらされもしました。SWRグラフは下のとおりです。






<バランなしJ型アンテナ>
 今年3月に作ったアンテナです。50cmのショートスタブに1m(1/2λ)のエレメント。基本構造は同じですが、一回り太い銅パイプで耐久性を高め、かつ構造を見直して軽量化をはかりました。給電部直結でなくBNCコネクターとしたためバランは省き、クランプコアを2個取り付けています。直近の山岳運用はすべてこのアンテナを使っています。



<見直し修正部分>
 ショートスタブの先端(エレメントの反対側)を防水のため自己融着テープで巻いていたのですが、ここはJ型アンテナで最もクリティカルな部分です。実際、受信中にこの部分を手で触れると激しくノイズが発生し信号が低下します。とういうことで自己融着テープを取り除き、防水対策として銅パイプの穴をハンダで塞ぐことにしました。もう一点、ショートスタブの間隔を保つためにプラスティック板を結束バンドで固定し、さらに接着ボンドでかためていたのですが、先端近くの接着ボンドも影響を与えることがわかり、これも取り除き、位置も先端から少し下げて付け替えました。その結果、SWRが若干甘くなり、共振点は変わらず、でした。特に意図したわけではないのですが、バラン付きJ型アンテナとほとんど同じグラフです。






 本日、あらためてJP7IEL局に協力いただき比較してみました。JP7IEL局側のアンテナ取付位置が変更されたとのことで、いつにも増して信号が弱くUバラン付きで51-41~51。スケルチ限界でバックノイズにより聞き取りにくい場面もありました。続いて修正後のバランなしに換えたところ51-51。「同じ51でもバラン付きの時よりも信号が安定している」とのレポート。こちらも同様で、変調に強さが増した感触があり、このまま不安なく交信を続けることができました。




 本日の結果でバランなし方が良いということではもちろんありません。J型アンテナにおいてバランを付けても付けなくともさほど変わらない、というこれまでの感触が間違いではない、ということかと思います。そして、留意すべきはショートスタブ先端に余計なものを付けたり接触させてはならない、ということ。わかっていたのに、うかつだったな・・・と。しばらくこの状態で使ってみます。








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J型アンテナ調整 その2

2020年05月02日 | J型アンテナ



 連休は徒歩の範囲以外は出歩かないことにしました。こんな状況なので、この間自作したアンテナの再調整に時間を費やしています。

 厳しく整合の取れたアンテナはよく飛び、弱い信号も果敢に捉えてくれる、当然の話で理想とするところではありますが、実際はどこかで妥協し、ある程度の範囲内であれば良しとする、というのが現状かと思います。自分はロッドエレメントを使うことが多く、長さで調整はできますが限度があります。部屋の中やベランダで調整がうまくいったと思っても、フィールドでは予想以上にズレているということも多いです。ということで1)給電部に調整機構を備える、2)最終的な調整はベランダでなく野外でおこなう、ことを心がけています。

 最近作ったLCマッチングのバリコンホイップやJ型アンテナ。どちらも給電部に調整機構を備え、現地の環境に応じて共振点やSWRを追い込むことができます。バリコンホイップはコイル間隔やバリコンで調整しますが、コイルの内部応力が働くためか、微妙に変化します。再現性という点では、J型アンテナに優位性があります。何カ所か場所を変えてアナライザーで計ってみてもほとんど変化がありません。手持ちもできるように作ったのですが、ケーブル引き回しの影響も少ないような印象があります。




 以前書いたとおり、J型アンテナの調整ポイントは給電部の位置合わせにあります。なので、このアンテナを作る場合、給電部を可動式とすることは必須であるとあらためて実感しました。可動式の方法はさまざまあり、海外の製作例ではケーブルクランプで銅パイプにねじ止めする方式が多くみられます。自分は銅パイプ差し込み式の簡単な構造としましたが、特に問題ありません。構造的にも丈夫なため変動幅が少なく、給電部を上下させると見事に整合し、気持ちの良いSWRグラフを描いてくれます。






 いづれにしてもこのようなことは、アナライザーあっての話しです。SWR計のみでは目的の周波数で反射波(送信機への戻り)がどの程度なのかを知るのみですが、アナライザーではそのアンテナの性質の全体像を俯瞰することができます。条件を変えて繰り返し計測することで「固有の癖」のようなものがわかってくるのだろうと思います。アンテナ作りは、うまくいったときも、うまくいかなかったときも、調整という行為に面白さがあるのでは、と思えなくもないです。

 





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J型アンテナ帯域

2020年04月04日 | J型アンテナ



 一般にエレメントを太くし、電気的体積を大きくすることで帯域が広がります。モービルホイップなどは細く、おおむね狭帯域と考えられます。自分はよくロッドアンテナで自作しますが、太めなので少し広帯域になっているのかもしれません。海外サイトでみるJ型アンテナは2cmくらいある太い銅パイプを使い、広帯域をうたっているものが多く見受けられます。ふと、今回作ったJ型アンテナが他のアンテナと比べどのような違いがあるのだろうと気になり、アナライザーで比較してみました。

 場所はいつもの大年寺山。広い山中で一カ所のみテレビ塔や樹木等の影響を受けず、測定や調整をするのに好都合なポイントがあります。アナライザーの設定は145.0MHzを中心にプラスマイナス5000KHz。グラフ左端が140 .0MHz、右端が150.0 MHzとなります。


〈RH-770〉
 アンテナ比較でいつもこれを基準としています。10年以上使い続けていますが、劣化した感じはありません。ロッドアンテナなので下の方は直径1cmあり、今回測定したアンテナの中では最も太いエレメントです。グラフ左端から右端までSWR2.0以下。広帯域です。バンド内1.2以下。このアンテナの特性は素晴しく、どこで測ってもこんなグラフとなります。







〈アローライン〉
 純正のステンレス製エレメントを取り外し、それよりも太い3mmの銅パイプに換えてあります。ラジアル3本は純正のまま。ただし、角度はさらに下向きになっています。左端から右端までSWR1.8以下。比較した中では最も広帯域でSWRグラフは緩やかです。バンド内も1.2以下。このアンテナも安定した特性です







〈J型アンテナ〉
 スタブが5mm、エレメント下部が4mm、上部が3mmの銅パイプ。自分の自作アンテナはこの部材で作ることが多いです。左端がSWR3.0、右端が4.0。他の2本に比べ帯域は狭く、グラフも急カーブを描いています。バンド内ほぼ1.2以下に納まり、メイン付近は他の2本より良好な感じを受けます。






 帯域の広さは、アローライン>RH-770>J型アンテナとなりました。エレメントの太さのみでなく給電方式や形状からくる違いもあるかと思います。アマチュアバンド内はどれも1.2以下で、運用上は十分な帯域と言えます。バンド外まで広帯域である必要性は自分にはなく、むしろどこかに無駄が隠れているように思えなくもありません。広帯域を得ることで失われるものもあるのでは・・・? 他の2本に比べ今回製作のJ型アンテナの帯域は狭目ということがわかりましたが、これはこれで良い、と納得した次第です。ちなみにJ型アンテナの上部エレメントを取り外すと430MHzでもSWR2.0に収まります。レピーターアクセス程度であればデュアルで使えなくもないです。







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J型アンテナの調整

2020年03月22日 | J型アンテナ
 昨日の大年寺山では、ラジエーターを1/2λとしたベーシックなJ型アンテナを使いました。伝搬状況が芳しくなくJP7IEL局との交信はRH-770で31-51とかなり厳しく、J型アンテナに換えたところ51-53となり交信を続けることができました。給電部の高さは同じですが、J型アンテナの場合、電気的な給電点はスタブ上端となるため50cm高くなります。それが有利に働いているのかもしれません。どちらも1/2λの電圧給電であり、利得的に同等と思えるのですが、実際使ってみるとJ型アンテナの方に軍配が上がります。

 さて、今回作ったアンテナの給電部をスライド式にしたことは過去記事に書いた通りです。過去にも2回作り、給電部位置の確定に苦慮したことも以前に書きました。ショートスタブからの給電なのでLCマッチングなどに比べるとわかりやすいものの、調整の変数が多くクリティカルです。備忘録としていくつか要点をまとめてみます。



 今回製作の2m用J型アンテナの略図を書いてみました。BC-E間がスタブ、A-B間がエレメントとなります。スタブはマッチングセッション、放射するのはA-B間。

 マッチングの要所
1) エレメントの長さ
2) スタブの長さ
3) 給電部の位置

 スタブの幅をいくらに取るか?も諸説あるようですが、自分は特に理由なく3本とも2cmで製作しています(間隔を保つ必要があります)。

 以前にどこまでがスタブでどこからがエレメントなのかわからなくなる、と書きました。上図で言えば、C点を変更するとそこまでがスタブとなります。つまりB点も変更になります。たとえばCを長くすると、電気的にはBも長くなり、その分エレメント部は短くなるということです。スタブを長くすると共振点が下がる、短くすると共振点が上がる(エレメントも同じ)。これを前提に調整します。

 自分の調整法は次の通りです。

1) エレメント長およびスタブC点はいじらず、まずは給電部D点を上下し、50Ωとなるところを探す。下端のE点が0Ω、上げていくとC点近くで400~500Ωとなります。

2) 目的の周波数でSWRが下がりきらない場合は、CおよびBで調整する。どちらでも良いのですが、C点は極めてクリティカルです。たとえば共振点が上にあり、少し下に持っていきたい場合、B点(エレメント)を1cm伸ばすのとC点を2~3mm長くするのが同効果となります。エレメント側(B)で調整した方が楽かもしれませんが、自分は変動幅の大きいCで調整することが多いです。銅パイプ差し込み式なので、BもCも結束バンドで長さ調整できるようにしてあります。






 
 帯域としてはバンド内1.5以下ではあるので、通常は問題ありません。ただ、SSBの144.200あたりで厳密にマッチングを取りたい時に、給電部Dをハンダ付けしてしまうとB、Cのみで調整となります。その場合SWRが下がりきらないという問題が起こりえます。移動地の環境によって共振点がズレることもあります。前作2本では、給電部を付け直したいと思う場面が何度かありました。今回はB、Cに加え、給電部Dも可動式にしたことで、状況に応じて追い込むことができています。









 完全に調整するとB点で高インピーダンスが得られ、1/2λのラジエーター(エレメント)から効率よく輻射するというのがこのアンテナの特徴のようです。どなたが考えたのかわかりませんが、実際使ってみてホント良くできたアンテナと実感します。










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J型アンテナ 分岐導体バラン(その2)

2020年03月21日 | J型アンテナ
 室内やベランダにて分岐導体バランを付けた場合と外した場合、どのような変化があるのか? 位置をさまざま変えて試したところ、バランを付けるとかえってSWRが甘くなるというケースも見られました。J型アンテナはもともと周りの影響を受けやすいということもあるかと思います。ということで、本日、フィールドでの測定をおこなってみました。

 場所は大年寺山、いつもの運用ポイント。樹木から離れた比較的広い空き地です。アンテナ地上高は三脚+自撮り棒で約1.8m。




 分岐導体バラン付きの3D2V長さ2mの同軸ケーブルを接続。バランの有無でアナライザーのSWRグラフがどのように変化するのかを見ました。バランなしで共振点145.000付近、SWR1.2となりました。次にバランのミノムシクリップをコネクター芯線に接続。共振点、SWRともまったくと言っていいほど変化ありません。今度はクリップを芯線でなく、コネクター台座(網線側)に接続したところ、SWR1.1まで下がりました。この場合、回路としては網線側を52cmの分岐線でバイパスしたのみ、ということになります。シュペルトップの原理とも異なり、意外な結果に???でした。芯線側に接続した場合に変化がない、というのも腑に落ちません。ショートスタブに加え、いわば二重にショートさせているわけで、良くも悪くも何かあっても良いのでは? 


バラン接続(クリップ芯線側)




バラン接続(クリップ台座側)


 せっかくなので同軸ケーブルの違いで変化があるのか、見てみました。設置状況、給電部位置などは変更なし。RG-58A/U長さ3mに付け替えたところ、共振点145.000、SWR1.0ベタ落ちとなりました。ケーブル長による違いかと思いますが、これには驚きました。ついでに海外サイトでよく見かけるチョークコイル(同軸ケーブルを直径4cmで3回巻き)およびフェライトコアを取り付けてみました。もともとベタ落ちということもあり、どちらもアナライザーでの変化はみられませんでした。コアは3個付けるとSWRがわずかに上がってしまいます。


同軸ケーブル3回巻き


コア2個装着


どちらも変化なくSWRベタ落ち


 JP7IEL局との実際の交信では、「3D2Vのバランなし、バランあり(芯線側)、バランあり(台座側)とも特段の違いは感じられない。RG-58(パッチンコア2個装着)でほんの少し変調が太くなったような気がしなくもない」とのレポートをいただきました。送受信ともアナライザーでの測定結果通りとの印象です。

 今日のところは、分岐導体バランの手ごたえらしきものは得られませんでした。別の環境、あるいは他のアンテナではどうなのか? また試してみます。






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J型アンテナ 分岐導体バラン

2020年03月18日 | J型アンテナ
 3/4λJ型アンテナの挙動に手こずり、そもそもこのエレメント(3/4λ)を共振させること自体に問題があるのでは? ということで、いったん1/2λのラジエーター(1.01m)に差し替えました。不安定化しかねないショートバーも外しました。当然ながら給電点が変わってきますが、上下スライド式にしてあるので雑作ありません。スタブ下端から4.5cmでマッチングしてくれました。再現性も問題なく、落ち着いています。やはりこのアンテナは1/2λのラジエーターで動作が安定し、ベストな性能を発揮してくれるのではないでしょうか。


重さ約160g バランスもよくなりました



 さて、BNCコネクター方式としたため、バランを付ける方法が思い浮かばず、とりあえずバランなしとしたことは前回書いた通りです。その後、ネットで「分岐導体バラン」という存在を知り、興味がわいて試してみることにしました。

〈手順〉
・長さ52cm(1/4λ)のビニール線の片方にミノムシクリップを取付けておく。
・同軸ケーブルの端から52cmの箇所で外皮を少し切り取り網線が見えるようにする。
・ビニール線の片方を網線にハンダ付けする。
・ミノムシクリップ側を給電部コネクター芯線(ピン)に取付ける。

 以上、あっけないほど簡単です。


分岐点 3D2Vの網線にハンダ付け


分岐導体バラン


芯線側取付け


分岐線の引き回し



 このバランを取付ける前と取付けた場合の違いは次の通りです。


バランなし


バランあり



 効果は出ているようです。バランなしと比べSWRが下がります。周りの影響も受けにくくなるようです。同軸ケーブルとビニール線の間隔を縮めたり広げたりしたところ、特に給電部近くは密着させるとSWRが甘くなります。離した方が良好でした。測定位置を変えるなどして、さらに検証が必要かと思います。製作が手軽で、なにより軽量なのは利点です。


 J型アンテナを紹介している海外サイトではコネクター直結給電が多くみられます。自分の経験では、バランなしでも性能を発揮するアンテナではあるものの、付けた方が送受信とも安定性が増すとの感触はあります。このアンテナに限らず、自作アンテナのほとんどは145MHz用かつ給電部むき出しです。この分岐導体バラン付き同軸ケーブルで取付けてみて、なにか違いがあるのかどうか、追々試してみます。







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J型アンテナ比較(145MHz)

2020年03月15日 | J型アンテナ
 大年寺山にてラジエーター(エレメント)の異なるて3本のJ型アンテナの比較をしてみました。

 ラジエーターの長さ
 ・1/2λ(これのみバランあり)
 ・5/8λ
 ・3/4λ

 自宅では問題なかったはずの3/4λ。現地にてアナライザーで測定したところ、共振点にズレがみられ、SWRもまったく別のグラフを描いておりました。給電部を上下に可動させたり、スタブ上部の長さを変えてみたものの、SWRは1.5以下になりません。やはりバランなしでは環境による変化が大きいのでは? 腑に落ちないままではありますが、送信できないというほどでもなく、この状態で試しました。

 本日も約40km離れたJP7IEL局にお相手いただきました(双方ハンディ機5W)。


1/2λ

5/8λ

3/4λ

 はじめに基準となるRH-770にて52-53のレポート交換。続いてJ型アンテナ。

 その結果は
 ・1/2λ 54-54
 ・5/8λ 52-53
 ・3/4λ 55-55

 5/8λは1/2λに比べ少し信号が落ちました。原因不明。3/4λは1/2λより若干信号が上がります。JP7IEL局からは、聞いてすぐわかるほど強くなったというほどではない、とのレポート。こちらはID-51のSメーターで1個半上がり、バックノイズも多少抑えられているように感じました。ただ、期待したほどではなく、誤差の範囲と言えばそう言えなくもありません。RH-770との比較で5/8λが同等、1/2λ、3/4λはS1~2上、といった結果でした。




 ホームに戻り、3/4λのアンテナをあらためて調整し直してみました。銅パイプ差し込み式なので、どの部分の長さも自由に変えられます。スタブ59cm、給電部12.0cm(どちらもショートバーから)、ラジエーター102.5cmでマッチングがとれました。でも、この状態であれば1/2λなのでは? 全長163.5cm。前回も書いた通り、どこまでがスタブ(マッチング回路)で、どこからがラジエーター(放射エレメント)なのか? 実際の電気長は何センチなのか? その際の電圧分布はどのようになっているのか? それが有利に働くのかあるいは逆に働くのか? ますますわからなくなりました。これらの疑問を紐解くことで違った風景が見えてくるのかもしれませんが、現時点で言えば、このアンテナのラジエーターは基本の1/2λが完成型であり、いろいろ試しても1/2λを超えられない、そんな印象を強くしています。



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3/4λ J型アンテナ(145MHz)給電部可動式 

2020年03月15日 | J型アンテナ


 通常のJポールアンテナは1/4λのショートスタブに1/2λのラジエーター(エレメント)が載った構造となっています。全長は145MHzの場合、約1.5mです。以前にラジエーターを3/4λとし、スタブ給電したらどうなるのか? ということで、試したことがあります。しかし十分な完成を見ず、中途半端なままになってしまいました。大年寺山でのアンテナ比較では1/2λの通常型タイプでもなかなかの好結果であったことから、あらためて3/4λで作ってみることにしました。マッチング方法もちょっとしたアイディアを取り入れました。




〈ラジエーター〉
 モービルホイップNR2C(3/4λ)のエレメントと同じ寸法に銅パイプで作製。NR2Cの位相コイルはそのまま活用し、コイル位置もNR2Cと同じです。エレメント長130cm。このエレメントはいろんな使いまわしをしてきました。「3/4λノンラジアルアンテナ」にも使いました。今回はショートスタブからドライブしてみます。

〈ショートスタブ〉
 これまで何度か作ったものと基本、同じです。太さ5mm銅パイプ、長さ1mを半分に切り、別のパイプをつないでU字型にしました。間隔2cm。間隔を保つためプラスティック板と結束バンドで梯子状に固定。

〈給電部〉
 強度を考慮しBNCコネクターによる給電としました。バランを付けた方が良いのですが、コネクター方式を優先したため良い方法が思いつかず、とりあえずバランなしです。






 コネクターをそのままハンダ付けすると調整がきかなくなってしまいます。後からラジエーターの長さのみで調整しようとしても限度があり、給電部の位置を変えない限りベストのマッチングとはならないのです。そこでスタブの左右にきつめに入る銅パイプ(太さ6mm長さ2cm)を差し込み、その上にコネクターをハンダ付けしました。さらに給電部の下にショートバーを仕込んでおき、これも上下に動かせるようにしました。




〈調整〉
 2つのスライド機構で難なく調整できると楽観したのですが、予想外にうまく整合してくれません。結局、スタブの片方(ラジエーターと反対側)に銅パイプを付け足して調整を繰り返したところ、なんとかSWRが下がってくれました。










重さ200g。全長170cm。スタブ部含め4分割で収納時約50cm。


 1/2λ、5/8λ、3/4λとラジエーターの異なるJ型アンテナが3本となりました。5/8λと今回の3/4λは本当にその電気長で作動しているのか不明です。どこまでがスタブで、どこからがエレメントなのか、正直なところよくわかりません。海外ではJポールは人気のアンテナのようで、多くのサイトで自作の紹介や製品として販売もされています。バランは必要かとか、Jポールとスリムジムの利得に違いがあるのか、といった議論も盛んなようです。果たして3/4λなりの性能が出るのか、3本の性能にどのような違いがあるのか、興味深いところです。
 






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5/8λ J型アンテナを使ってみる

2016年08月28日 | J型アンテナ


 昨日作った5/8λJ型アンテナを試してみようと、いつもの大年寺山(仙台市太白区)に出かけてみました。あいにくの曇天、雨が降らないだけましです。自宅から歩いて20分ほどの散歩コース。

<装備>
ID-51+5/8λJ型アンテナ(145MHz)





  三脚に設置し、あらためてSWRを測ってみたところ、バンド内1.2に収まっていました。ベランダの測定では共振点が少し下にありましたが、簡易SWR計ではほぼフラット。やはりベランダとは微妙に違います。ちなみに給電部付近の同軸ケーブルにパッチンコアを取り付けたところ、かえってSWRが悪化してしまいました。直接給電の場合、バランの代わり、というかおまじないとして使うことがありますが、何にでも付けるのは良し悪しようです。




 約1時間。聞こえている局に応答したり、こちらからCQを出したり、できるだけパワー設定をスーパーロー(100mW)に設定し、運用してみました。

 泉ヶ岳、塩釜、若林区、太白区、利府町各局と交信、それぞれ59のレポートをいただきました。100mWでも市内周辺であれば難なく飛んでくれるようです。色麻町モービル局のCQが聞こえ、はじめ100mWのまま応答したところ拾ってもらえず、5Wに引き上げ57のレポート。デジタルモード(DV)は市内1局のみお声がけいただきました。本日の最遠距離交信は、山形県新庄市の杢蔵山移動局。双方5Wで55-57。相手局はRH770を2mのポールに取り付けてお使いとのこと、翁峠や泉ヶ岳が壁になっているようですが、終始安定した信号で交信を続けることができました。距離約74km。パワーを下げての交信もお願いすればよかったかな、と思いましたが後のまつり、終了後に気が付きました。




Lパイプ式三脚設置


 5/8λJ型アンテナの印象としては、使い勝手の良さを実感できたものの、性能という点では今日の運用ではまだわからず、といったところです。前作はケーブルとバラン直付けのため取り回しがいま一つでした。今回はコネクター接続方式にしたことで、設置と収納が随分しやすくなりました。山の運用ではちょっとしたことで使い勝手が大きく変わることがあります。三脚とのバランスも問題なく、Lパイプ式でワンタッチ。5/8λの手ごたえを感じられるということは特になかったものの、パイプ穴にショートスタブを通して固定する方式にしたことでスタブ間隔が保たれ、信号の安定性が増したのでは?などと考えています。見た目もスリムで気に入りました。機会をみてまた使ってみます。本日も交信いただきました各局さま、ありがとうございました。


<追記>
 自宅ベランダにて固定局同士の弱い交信が聞こえてきたので、受信比較してみました。一方の局は59、相手局はCSB7900(ベランダ固定)で変調確認できず、といった信号。RH770で入感ポイントを合わせると相手局もノイズまじりながら41に信号が上がりました。話の内容はなんとか了解可。5/8λ J型アンテナに換えてみたところ、ノイズレベルが下がり52で入感。100%了解可となりました。S/Nの良いアンテナとの印象です。





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5/8λ? J型アンテナ(145MHz)

2016年08月27日 | J型アンテナ


 7年前に初めてJ型アンテナを作り、山岳移動運用の半分くらいはこのアンテナを使ってきました。7年を経て、今も現役です。華奢な作りですが、風雨にもよく耐えてくれます。ただ、さすがに見た目はうらぶれた感じは否めません。今回、安定した性能かつ山での使いやすさを考え、あらためてもう一本、作ってみることにしました。




 海外のサイトを見ると、1/2λを2段とか、スタックなど様々なタイプが自作されているようです。固定局用が多く、使う銅パイプも太く、丈夫そうなものが紹介されています。そんな中で、エレメントを5/8λにすることで利得を向上させた製作例を見つけ、これを参考にしてみることにしました。自分の場合はあくまで山岳用なので、ある程度の丈夫さ、分割してザックに収納できること、設営が簡単なこと、が条件です。

 ショートスタブは前回1ループアンテナに使ったものをバラし、再々活用。長さ50cmの塩ビパイプ下部に直径6.5mmの穴を貫通させ、ここにショートスタブを入れ込みます。こうすることでパイプを挟んで安定して平行を保つことができるのではとの思いつき。スタブ、エレメントとも第1作に比べ、一回り太い銅パイプを使用し、4分割差し込み連結式としました。また給電部は直接給電とし、使い勝手と携帯性を高めるためBNCコネクターを採用することに。








 事前の実験では、エレメント124cm、スタブ給電点は下から9.5cmでマッチングが取れました。これで問題なし、と思ったのですが・・・。

 コネクターの取り付けを終え、アナライザーであらためて測ってみると、事前の実験とはまるで違い、共振点は144.000MHzあたり、SWRも2以下にさがりません。エレメントを伸縮させてもほとんど変化なし。どうして?? 給電点の位置を勘違いしてしまったとか? でも給電部はすでにハンダ付けしてしまっているので、今さら付け直すのも・・・。調整不能、途方にくれ、もうやめようかと思い始めたときに、ふとこんな考えが。ショートスタブにバイパスを設け、もう一ヶ所ショートさせみたらどうなの? さっそくコネクター取付け位置の下あたりをミノムシクリップでショートさせていったところ、下から6.5cmのところで、見事にマッチングしてくれました。共振点は若干下、144.800あたり、SWR1.0。やはり、給電位置を間違えて取り付けてしまっていたようです。エレメント長は最終的に117cmとしました。スタブを含む全長167cm。5/8λにしてはちょっと短め?




バイパスショート




4分割 収納約50cm


 2ヶ所ショートのこのアンテナ、本当に5/8λで動作しているのか疑問ではありますが、ベランダで受信したところ、近くの信号は7/8λモービルホイップ(CSB7900)より若干弱く、遠くの弱い信号は同等以上で入りました。ベランダという環境なので一概には言えないものの、悪くはない印象で何らかマッチングが取れていることは間違いないようです。今回は怪我の功名、こんなマッチングもあるのだな、と。





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3/4λ J型アンテナ

2016年07月30日 | J型アンテナ


 先日ブログに書いた3/4λ山岳用GPのエレメントをショートスタブでドライブしてみたらどうなんだろう、との考えが浮かび、思いつきで試してみました。つまり、3/4λのJ型アンテナ。1/2λのエレメントを使う通常のタイプより、利得向上が期待でき、GPと違ってラジアル不要、重さも軽減できるのでは?と考えたわけです。元はモービルホイップ、それがGPに、そしてさらに姿を変え・・・。




エレメントの長さは最終調整するとして、まずはショートスタブ。

<作製>
 直径5ミリ銅パイプ1メートルを半分に切断、直径4ミリ銅パイプをコの字に曲げ、5ミリパイプに差し込みU字型にする。塩ビパイプ継手に2か所の穴を開け、銅パイプ中ほどに固定する。先端部もプラスティック板で固定。2本のパイプ間隔は2センチ。下から上まで等間隔を保つ。


下部

中間部

上端


<給電部>
 1:4 Uバランを作っておく(3D2V 67センチ)。給電線を丸端子にハンダ付けの上、目玉クリップにボルト固定。この時点では、給電位置がわからないため、とりあえず目玉クリップで可変できるようにしました。アンテナ本体の組み立ては、GPのエレメント(直径4ミリ)をスタブの片方に3センチほど差し込み、結束バンドで止めるのみ。


Uバランと給電部

スタブ完成


<調整>
 目玉クリップを上下させながら、給電位置を探ります。下端から8センチあたりかな、と見当をつけたところ、12センチでSWRがストンと下がってくれました。共振周波数が高めだったので、エレメントを追加。位相コイルはそのまま使用し、長さ130センチで145.00、SWRほぼ1.0となりました。給電位置はけっこうクリティカルで、5ミリ程ズレても大きく変わってしまいます。



<設置>
 ショートスタブの間隔を保つために入れた中間の継手に、50センチの塩ビパイプを差し込み、いつものように三脚に大型クリップで固定。




収納約50㎝


 ベランダで受信してみたところ、以前に作った1/2λのJ型アンテナよりS1程度上がるようです。GPの状態との比較はしていないものの、同等かなとの感触です。ただ、この設置の仕方だと、クリップ内でパイプが回ってしまい、安定しません。スタブ本体の耐久性を含め、もう一工夫必要。さっそく山で使おうと考えていたのですが、このままではちょっと、といったところです。




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スリムジムアンテナ 帯鋼 145MHz

2011年01月09日 | J型アンテナ
 欧米ではスリムジムアンテナとJポールアンテナは区別されているようです。このブログで何度か紹介しているJ型アンテナは、正確にはJポールアンテナです。一方、国内でJ型アンテナと言えば、一般にはテレビフィーダーで作ったものをさしますが、こちらはスリムジムアンテナということになります。少し紛らわしいです。

 ホームページを眺めてみると、スリムジムのエレメント折り返し部分は特に動作に影響はなく、Jポールと同じであると書いてあるものが多いですが、中にはスリムジムとJポールは動作が異なり、別物であるとの記載も見受けられます。スリムジムは1λ、Jポールは1/2λのアンテナで、スリムジムの方が打ち上げ角が低く有利との解説もありました。果たしてどうなのでしょう。



 山岳移動用に分割できるスリムジムアンテナを作れないか、と構想を練っているときに、帯鋼の余りが5メートルほどあったのを思い出しました。スリムジムの構造は、下部1/4λのマッチング部分に1λのエレメントを取り付けて、半分に折り曲げてやればよいわけです。詳しくはslim jim antennaで検索すると欧米の製作例がたくさんヒットします。構造は簡単なのですが、これを三脚で自立させるとなると、1.5mの支柱が必要となります(145MHz)。水道用のパイプだとかなり重くなることから、前回7エレループで使った細くて軽い工作用の塩ビパイプを使ってみました。これに帯鋼を並行に添わせます。

≪材料≫
・帯鋼 約3m
・塩ビパイプ 細いタイプ50cm3本 太いタイプ3cm4本。
・直径5mmの銅パイプ少々
・同軸ケーブル2m

≪製作≫
3分割した塩ビパイプにエレメントを固定して、組み立てはパイプごと接続する方法としました。
・塩ビパイプ50cm3本の端と中間部に太い塩ビパイプを少しねじ込んで接着しておく(パイプの連結とエレメント幅の並行を保つため)。
・下部パイプの下から5cm程に直径6mm程の穴をあけておく。
・帯鋼を1m2本と50cm2本に切断する。
・50cmの帯鋼の1本は両端、もう1本は片側に3cm長の銅パイプを少し潰してはんだ付けしておく。
・以上で材料の準備はできたので、続いて給電部。穴をあけた下部塩ビパイプに帯鋼を通して、下から6cmのところに同軸ケーブルをはんだ付けする。今回は直接給電。
・上部エレメントはブラスティック板に帯鋼を熱して穴をあけ、塩ビパイプ上部に瞬間接着剤で張り付ける。ここに、帯鋼を通して、結束バンドで固定する。中間エレメントも同様に2本の帯鋼を平行にして結束バンドで固定。


帯鋼を銅パイプで連結

連結状態

給電部

トップエレメント折り曲げ部


≪調整≫
 欧米のホームページを見ると、エレメント折り返しの切れ目の部分が幅2.5cm程との解説があり(エレメントなど各部の長さを自動計算するサイトもありました)、そのように調整してみたのですが、AA-200で測ってみると共振点が142.000あたりにありました。下部エレメントのスタブ部を少しづつ切って短くし、切れ目幅が5cmの所で145.000でSWR1.2程に落ち着いてくれましたが、これ以上は調整しきれませんでした。スタブ部をカットするのではなく、切れ目は2.5cmを保ったまま、ラジエーターの長さで調整した方がうまくいったのでは?と後から思いました。Jポールもそうですが、エレメントの並行を保つとか、スタブ上部の影響とか、けっこうクリティカルなアンテナという印象です。


組立完成

3分割 大きめのデイパックに納まります


≪使用感≫
 帯鋼なので、連結するのに少し手間取ります。コツをつかまないとうまく銅パイプに入ってくれません。ベランダでJ型アンテナ(Jポール)と比較してみました。まず、受信ですが、ほとんど差はないです。かなり弱めの信号、モービルホイップ(SG2000)で了解しきれないものが、どちらもがんばれば了解できるという感じです。特別にスリムジムが勝っているという実感はありませんでした。

 続いて、送信。電界強度計での計測。1.5m離して0.8W送信。ハンディ機付属のホイップでまったく振れない針がどの程度振れるかの実験。

 Jポール  2.8
 スリムジム 2.5

 ほとんど、誤差の範囲ですが、ほんの少しJポールの方が振れは大きい結果となりました。ただ、大きく振れる位置(床からの高さ)が、二つのアンテナでは違っていました。Jポールはスタブ上部が電界強度計とほぼ同じ高さで最大、スリムジムはさらに50cm程上に上げた個所で最大となりました。ラジエーターの電圧分布が違うようです。ということは、やはり二つのアンテナの動作は別物ということになるのでしょうか。

 見通しの良い山頂で実際に使った場合は、何か違いとして感じられるのかもしれません。



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調整機能付? バネ線エレメント

2011年01月06日 | J型アンテナ
 J型アンテナのエレメント。トップヘビーを解消するため、帯鋼を使ったことは以前に書いたとおりです。その後、使用中に何度か、相手局からモービルですか?と聞かれることがありました。帯鋼が風でしなりすぎて、Sが変動するようなのです。見た目で確認しても、風が強まると帯鋼部分が90度近くしなった状態になることも珍しくありません。受信の方はさほど影響なく、こちらは気にならないのですが・・・。

 ホームに帰ってから、直立した状態と、揺れてしなった状態でどのようにSが変わるのか、電界強度計で実験してみました。いつもの通り、トリフィールドメーターからの距離1.5m、出力0.8W。直立状態でメーターの針は2.8。次にアンテナを揺すって、帯鋼エレメントを激しくしならせてみたところ、針は2.0から4.0の間を行ったり来たりしています。予想通りですが、相手局からすれば、モービル局と間違えられても仕方ありませんね。了解度にも影響が出そうな感じです。

 そんなわけで、トップヘビーにならず、かつ「しなり」の少ない材料はないものか、とホームセンターで物色して回ったところ、「ステンレスばね線」なるものが目に留まりました。30cmの長さに切ってあり、プラスティックケースに入れて販売されておりました。太さは0.3mmから2.5mmまで7~8種類あります。細いのは10本入りで、太いのは5本入り、価格はどれも560円。細いとしなるし、太いと重くなるということで、直径1.2mm10本入りを購入。



 これを2本使って、J型アンテナのトップエレメントにしてみました。エレメントの長さは50センチほどに加工する必要があります。ステンレスなので、切るという作業はほぼ不可能。致し方なく、30cmのバネ線2本を結束バンドで縛り付け、必要な長さを確保することとしました。中間エレメントとの接続のため、長さ2cmの銅パイプを一方に半田付しておきます。


バネ線を重ねて、結束バンド4個で固定
この部分をスライドさせて共振点を調整

中間エレメントへの差し込み部分

バネ線エレメントと帯鋼エレメント


 完成してみると、意外にこの方法は使えるということに気がつきました。結束バンド数本できつ目に固定すると、バネ線同士を微妙にスライドさせることができるのです。どの程度きつ目にするかは、結束バンドの締め具合次第。あまりに簡便で安易な方法と言えなくもありませんが、これで希望の周波数にジャストフィットさせることが可能では?

 山岳移動に限ったことではありませんが、移動地ごとに地形も違えば、樹木もあったり無かったりで、電界環境は異なります。アンテナの微調整はその都度現地でおこなうに越したことはありません。その際、いちいち工具を使うのも面倒ですね。この方法なら、エレメント長を3cm程度まで素手で調整できます。




《使用感》
 さっそくニューイヤーパーティの1月3日、実践投入してみました。この日は、穏やかで無風状態。これなら帯鋼エレメントでも問題ないのですが、あえて、ステンレスばね線エレメントで20局クリアをめざしました。運用地は亘理郡山元町の鷹討山。山頂にアンテナ設置後、アナライザーAA-200で測ってみると共振点144.200あたり、低めに出ました。やはりホーム室内とは違いますね。調整部分でエレメントを短くし、若干、共振点を上に持ってきました。145.000近辺でSWR1.1。



 さすがにバンド内にぎやかです。なんとか空き周波数を見つけてCQを出してみました。宮城県内ほぼ全域と福島、岩手、山形各局より応答いただき、20局を早々にクリア。2時間半ほど運用を続けて45局に年始の挨拶をいただきました。1回の山移動としてはこれまで最高の局数。何人かの方とは自作アンテナ談義を楽しみ、後味の良いスタートを切ることができました。調整機構付のバネ線エレメント、悪くありません。

 今回は、太さ1.2mmを2本使いましたが、下を太く、上にいくにしたがって細くして数本組み合わせるなど、ロッドアンテナ的応用もできるのでは? ただ、これは手元に設営して数時間の運用だから可能な方法で、固定やモービル用には耐えられません。また何かに使ってみます。


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帯鋼エレメント

2010年11月15日 | J型アンテナ
 性能、設営のしやすさなど山岳移動用として、当局にとって最も使用頻度の高いJ型アンテナ。多少トップヘビーの構造だったこともあり、強風に煽られると、かなりの力が加わるようで、エレメント部分の「曲がり」が気になってきました。製作から2年。思えば幾多の試練に耐え、苦楽を共にしてきました。ある時は雨まじりの突風、三脚ごと倒れてしまったことも一度や二度ではありません。曲がったエレメントを見るにつけ、「苦労かけたね」と浪花節的感傷がこみ上げてきます・・冗談。


 そんなわけで、エレメント部分をリニューアルすることにしました。差し込み式になっているので、マッチング部はそのまま使います。これまで通り銅パイプのみで作れば、性能が再現できるわけですが、トップヘビーは改善されません。そこで、ハムフェアで入手した「帯鋼」というのを使ってみることにしました。ゼンマイのバネの材料。たいへんしなやかで、緩く曲げても元に戻ります。直角に曲げてしまうとポキッと折れやすくなってしまいます。当初、エレメント部分のすべてを帯鋼にしようと考えていたのですが、実際1mの長さに切ってみると、しなりすぎて直立しません。直立可能なのはせいぜい50cm。ということで、下部は直径3mmの銅パイプ、上部のみ帯鋼としました。

 今回は工作という程のこともありません。
・マッチング部に差し込むための3mm銅パイプ46cmを用意(下部エレメント)。
・下から4センチと上から1センチのところに同軸芯線を巻いてハンダ付けしておく(ストッパー)
・直径4mm銅パイプ10cmを用意。
・銅パイプの先端を少しつぶして52センチ長さの帯鋼を差し込みハンダ付けする(上部エレメント)
・これを下部エレメントに被せてつなぐ。


ストッパー

4mm銅パイプ先端に帯鋼を差込みハンダ付け

2分割エレメント

上下接続状態


 4mmの銅パイプは下部エレメントと上部エレメントの単なる「継ぎ手」なので、10センチでなく、もっと短くても良いのですが、手袋をしたままでも扱いやすいこと、雪上に落とした場合に見つけやすいなど、山で使うことを考えてこの長さにしました。




《調整》
 J型アンテナの基本構造は、1/2λのホイップです。したがって長さは約1m。このエレメント(ラジエーター)の下端から給電してやります。そのためのマッチング回路がU型の部分。合わせると約1.5mのJ型となります(カテゴリー過去記事参照ください)。さて、上記のままの寸法で共振点は144.00MHz付近、SWRは1.2。予想通り共振点が下にありましたので、上部エレメントを少しづつ切り詰めて中心を145MHz付近に持っていきました。組み立てた状態でのエレメント部は101cmです(差し込み部分を除く)。SWRは144.5MHzから145.5MHzまで1.1~1.2と良好。ちなみにこれまでの銅パイプエレメントに替えてみたところ、ほぼ、同じ波形となりました。






《使用感》
 銅パイプのみに比べて軽くなり、トップヘビーはある程度解消されました。風でよくしなり、風がなければ直立状態を保ちます。


帯鋼エレメント部分をうまく写せませんでした・・・


 ホーム近くの愛宕神社(太白区)にて散歩を兼ねて実験してみました。この日は休日なのに静かで、あまり聞こえてきません。弱めの信号をとらえて、これまでの銅パイプエレメントと帯鋼エレメントを取り替えながら聞き比べをしました。その結果は、特に違いは感じられず、同じ性能と感じました。また、形状がその名の通り帯状になっているため、平面部を向けた場合と断面部を向けた場合で違いがあるかも比べてみました。こちらも特に差はみられませんでした。八木アンテナなどにこの材料を使う場合、平面部を合わせるのか断面部を合わせるのか悩むところですが、特に考える必要はなさそうです。

 交信は、市内のOMと1局のみ、問題なしとのレポートをいただきました。「しなり」が大きい分、了解度にそのまま影響が出るというわけでもないようです。もっとも山の強風は別世界、実際に使ってみないと何とも言えないところですが・・・。


 この帯鋼、こういう材質なので、ホイップや八木には不向きかと思いましたが、そうでもないです。特徴をまとめてみると、
1)とにかく軽い
2)ハンダ付け出来て加工しやすい
3)50cm程度なら直立も可能
4)バネなので丸めて仕舞っておける


先端をヤスリで丸く加工

 注意点は、切断にコツがいる(ニッパーで抑えてペンチで曲げるとポキッと折れます)ことと、切断面が鋭利なことでしょうか。

 たしかにグローバルアンテナ研究会推奨のループアンテナには最適ですね。また何かに使ってみます。




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