JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

ゲルマラジオ用スピーカーアンプボード

2015年10月25日 | ゲルマラジオ



 製作した無電源ラジオの音量が思いのほか大きかったりすると、スピーカーならどの程度で鳴ってくれるかな?と、ごそごそジャンク箱から引っ張り出してつないてみたくなることがあります。つないでみたら蚊の鳴くような音しか聞こえず、がっかりすることが多いです。NHK仙台第一放送などはイヤフォンではうるさいほど鳴ってくれるのですが、スピーカーではこの程度。

 ゲルマラジオに興味を持ったころ、スピーカーを鳴らしたいという目標をもって取り組んだものの、何度も挫折を繰り返し、最近は、興味自体薄れていたのですが、たまにイヤフォンから解放されて聴いてみるのもいいかな?ということで、簡易的なアンプ付きスピーカ―ボードを作ってみました。

 <材料>
スピーカー  秋月電子 直径8cm 8Ω
アンプ    aitendo アンプキット[AKIT-7368]





 アンプは基板上にボタン電池フォルダーが付いて、3V~動作の低電圧タイプ。オーディオアンプIC TA7368P 1個で駆動します。ゲルマラジオを増幅するだけなので必要十分。スピーカーは何個かあった手持ちのもので、直径の大きいものにしました。と言っても8cm。aitendoのキットは、どれもビニール袋に無造作に入っているだけなのでいつも頭を悩ますことになるのですが、今回は部品数点のみでサクサク完成。スピーカー直結用とアンプ経由の端子を追加し、ゲルマラジオに合わせてバラック風に組んでみました。






 縦型ループゲルマラジオにつないてみたところ、やはりスピーカー直結では厳しいです。音が出るには出ますが、耳を近づけてなんとか聞こえる程度。それもNHK仙台第一放送のみ。10cmも離れると了解できなくなります。続いてアンプオン。ボリュームを上げると、普通のラジオと変わらない感じで鳴ってくれました。ゲルマラジオ+イヤフォンでは蚊の鳴くような音量でしか聞こえない東北放送が十分な音量かつ鮮明に聴こえるのには驚きました。低周波増幅しただけなのに、その効果は侮れませんね。また、ゲルマラジオ単体では感じられなかった微妙な混信(NHK第一のかぶり)も確認できました。コイル作りや回路など、さらなる改良の余地あり。思いつきで作った単純なものですが、意外と使えそうです。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゲルマニウム単結晶 検波

2015年10月20日 | ゲルマラジオ


 無電源ラジオの奥深さには日々、驚かされます。中でも、ダイオードによる検波から天然鉱石へと歩みを進めると、規格品デバイスでは得られない何かがあり、ますます興味が深まっていきます。歴史の流れを完全に逆行していますが、逆もまた真なり? 実際、紅亜鉛鉱+黄銅鉱、斑銅鉱の組み合わせによる接合型では、それまで体験したことのない良好な検波を得ることができました。これ自体は、多くの先人たちがすでに試されてきたことではありますが、毎年数種類の鉱石が発見されていることを考えると、まだまだ研究の余地はありそうに思えます。

 かつて先端デバイスの原料として一世を風靡したゲルマニウムも、近頃は太陽電池のボトムセルに使われるなど以前には予期しなかった活路を見いだしているようです。精製技術が進歩し、多結晶でも単結晶並みの性能とか、単結晶を人工で作り出す技術など、ゲルマニウムの研究は熱を帯びているのだとか。もう日の目を見ることのないと思われていたものが、意外なリベンジを果たす、技術あってのこととはいえ、天然の力は偉大ですね。

 いろいろな鉱石を検波しているうちに、ふと、ゲルマニウム原石で検波したらどうなの?ということが脳裏をよぎりました。半導体鉱物の代表格であり、ゲルマニウムダイオードの原料なので、当然、検波できるはず。でも原石ってどんなの? 調べてみると、ゲルマニウム原石というのはなく、銀鉱石などに微量に含まれているものを抽出、精製し、純度の高いインゴットに仕上げるようです。写真で見た感じは、シリコン(ケイ素)とそっくりで、銀色に輝く美しい鉱物です。さらに精製を繰り返し、最終的に単結晶や工業用ウェハーにまで仕上げます。それともう一つ、ゲルマニウムの新たな活路として、健康・美容産業への転進があります。科学的には??で、かなりいかがわしい世界ですが、精製会社にとっては今や大切なお客様となっているようです。それらは、インゴットを多結晶のまま整形し、粒状に加工して貼付剤やブレスレット、ネックレスなど健康器具として商品化され、ちまたに溢れています。


 前置きが長くなりました。入手したのは、そんないかがわしさの漂うゲルマニウム結晶です。一応、単結晶をうたっています。球形で直径わずか3mm。紐を通すためか0.5mm穴が貫通しています。ネックレス用? 純度99,999%とか。これも半信半疑。不純物が大量に混じってなければ、半導体としての性質は変わらないはずで、検波してくれるのでは? ということで、ゲルマニウム単結晶による検波実験をしてみました。


直径3mmのゲルマニウム結晶粒



 なにしろ直径3mmの球形なので、いつもの検波器は使えません。半田付け用のアームスタンドを使い、クリップで結晶を挟み、もう一方のクリップに検波針を装着して検波してみました。

 まずは定番のタングステン針(太さ0.2mm)。半導体特有の「ザッザッ」というノイズ音が聞こえるものの、表面が滑って安定した状態で接触させられず音声は聞こえませんでした。針をスズメッキ線に替えたところ、今度は一瞬、音声らしきものが聞こえてきました。これはいけそう! 針を慎重に探り、なんとか安定して検波できるポイントを見つけることができました。音量、音質とも思いのほか良好。続いて、UV線(銅線)の針に替えたところ、なんと、球のどこに当ててもほぼ安定して検波するではありませんか。ポイントによっては、1N270を凌ぐ音量。しかも2SA77に勝るとも劣らない高音質。

 以前の実験記事で、検波針の材質による変化は感じられないと書きましたが、今回に限っては音量、音質、検波のしやすさ、いずれも有意に変化が感じられました。ゲルマニウムと銅との相性が良いのでしょうか。ダイオードと違うのは、針を接触させた瞬間はさほど感度が上がらなくとも、その後、じわーっと音量が増してくるところ。ダムのように溜め込み、徐々に流しつつ安定していく。他の鉱石にみられる揺らぎとは違い、何か電波の底知れないエネルギーが充填されていくような感覚を覚えました。これまで試したダイオードなど各種デバイス、どの鉱石にも勝る最大感度。さすが本家本元のゲルマニウム結晶。精製されたものとはいえ、やはり天然は偉大です。健康に良いかどうかは別として、検波については本物でした。


鉱石ラジオにセットしてみました 本式ゲルマラジオ?








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

愛宕神社 移動運用

2015年10月18日 | 特小・DCR運用


 諸事情によりお休みしていたフリーライセンス無線。4ヶ月ぶりに声を出してみました。といっても我が家から歩いて10分、愛宕神社でのお散歩運用。DPR6にAZ350R直付け。



 CQを出したところ、ヨコハマDR302局(福島市吾妻富士)、ミヤギNE410局(宮城野区高森山)、ミヤギCW50局(若林区)各局にお声掛けいただきました。続いてフクシマFD55局のCQが聞こえ、QSO。年数回は自分も運用している吾妻高山とのこと。高山山頂から仙台市内と交信したことはありましたが、その逆は初めて。

 その後、ヤマガタSA88局(山形県寒河江市)よりお呼びだしいただき、弱いながらも交信を続けることができました。隣の大年寺山では何度か交信成立しているものの、愛宕神社ではこれまでSA88局の信号が聞こえたことはありません。これはサプライズ。八木を船形山に向けていただいたとのことで、絶妙な反射による信号。こちらは手元を30cm程動かすと、何も入感せず信号を見失ってしまいます。限界すれすれでしたが、この場所で交信可能なことが確認できただけで大収穫でした。最後にミヤギOS147局(大崎市新江合川堤防)と交信。同じく八木を船形山に向けていただいて入感とのこと。山形や仙北地域と仙台中心部とは船形山反射が良さそう。次回は、この場所から3エレでも使って試してみたいと思います。

 しばらくぶりの運用。交信いただきました各局さま、ありがとうございました。

 ヨコハマDR302局 福島市吾妻小富士移動 5-5
 ミヤギNE410局  宮城野区高森山移動  5-5
 ミヤギCW50局   若林区固定      5-5
 フクシマFD55局  福島市吾妻高山移動  5-5
 ヤマガタSA88局  山形県寒河江市固定  5-5
 ミヤギOS147局  大崎市新江合川堤防移動 5-5



〈ゲルマラジオ受信実験〉

 無線運用ついでに、ゲルマラジオの受信実験をしてみました。使用機は縦型ループゲルマラジオ。我が家では、外部アンテナとアースなしの単体で、NHK仙台第一が59、第二が55、東北放送は31~41程度でなんとか受信できます。さっそくステレオイヤフォンを耳にあてて聴いてみたところ、NHK仙台第一、第二、東北放送とも59となりました。東北放送が強力に聞こえることに驚いてしまいました。NHK仙台第一と遜色なし。こんなに強く、かつ周波数も近接しているのに、まったく混信しないところはさすが縦型ループ。東北放送の若林区荒井送信所は20kW出力で、ここから距離約8km。NHK原町送信所は約3.5km。距離だけで言えば、我が家もここも変わらないはずですが、この場所から二つの送信所は見通しとなっています。それにしても、この違いはいったい??? ゲルマラジオの移動運用、パワースポット探し? けっこうハマりそうです。














コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古いデバイス

2015年10月18日 | ゲルマラジオ


 ゲルマニウムで検波するからゲルマラジオ。1N60をはじめゲルマニウムダイオードが定番ですが、かつてのゲルマニウムトランジスタに検波させてもゲルマラジオであることに変わりありません。トランスを使わず、セラミックイヤフォンで聴いていた頃に2SA100を試したことがあり、1N60に劣らぬ感度だったと記憶しています。ネットで探したところ、少ないながらも何種類か入手できたので、あらためて、トランス+ステレオイヤフォンとの相性を試してみました。





トランジスター
2SA50
2SA77
2SA100

ダイオード
1N47  EWestern Electric製 1950年代レアダイオード

 ゲルマニウムトランジスタは他にも数種類試してみましたが、検波はしても音量が小さく、芳しくありません。上記の3種類のうち、2SA50と2SA100は音量、音質とも同等でした。セラミックイヤフォンではなかなかの性能を発揮しますが、トランスを介したステレオイヤフォンでは音量が小さく、相性はよくないようです。ダントツに良かったのは2SA77で、音量は1N60や1N270に若干劣るものの、なにより音質抜群で、音楽を聴くと楽器一つ一つの個性がはっきりわかり、まるで上質なアンプを入れたような音。これは素晴らしい。東芝製。FMラジオの局部発振用として設計されたものだそうで、足が4本付いています。接続方法を変えると音量、音質が多少変化し、好みの音質で聴くことができます。



 興味が涌いて入手した1950年代のレアダイオード1N47は、いかにも古色蒼然とした姿で、今のダイオードに比べると大きさも10倍くらいあります。そもそも使えるのか不安だったものの、きちんと検波してくれました。セラミックイヤフォンでは音量、音質とも1N60と同等。意外にも悪くありません。一瞬、昔の放送が聞こえてきた?なんてことはありませんが、60年前当時のリスナーたちと何かを共有できたような、ささやかな感動がありました。ただ、ステレオイヤフォンではなぜかFM放送と混信し、さらに、歪みもあり、実用には厳しいかなといったところでした。



 どれも古いものばかりで性能的には?なものが多いし、劣化もするし、品番は同じでもバラツキも多いだろうと思います。でも、思わぬ拾い物もありますね。入手はますます難しくなりますが、古くとも相性の良いデバイスを探して聴いてみる、これも無電源ラジオの楽しみ方の一つかな、と思ったりもします。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バーアンテナ試作

2015年10月12日 | コイル作り


 ゲルマラジオや鉱石ラジオのような無電源ラジオの高性能化をはかるには、ダイオード、トランス、イヤフォンなど数点の部品すべての性能が求められますが、もっとも大きな影響を与えるのはコイルです。外部アンテナなしで鳴らそうとすればコイルの高性能化が欠かせません。ソレノイド型のコイルであれば直径を大きく巻くほどQが上がるのでわかりやすい反面、大型化してしまいます。これを追及すると、やがて直径数十cmから1m以上のループアンテナとなって、室内設置が困難になり、収拾がつかなくなるわけです。一方、フェライトコアを使えば、磁力線の透過率が大幅に向上し、小型化できます。これをあえて大型化すれば、相応の性能を引き出せることは、以前、16本のフェライトバーを束ねたものや、長さ50cm程に連結したもので実験しました。ただ、コアをたくさん使えば比例して性能が上がるかというと、そうでもない、との印象でした。見た目以上に重い、コストがかかる、のも欠点と言えます。

 そんなわけで、しばらくフェライトコアを使ったコイルのことは忘れてみることにし、もっぱらソレノイド型ループコイルを考えてきたのですが、あまり大型化できないという住宅事情もあり、あらためてコアを使ったバーアンテナを試作してみることにしました。
 
 作るにあたっては、適度な大きさと重量、コストもほどほど、しかし、高性能なもの、という矛盾した課題を課し、考えをめぐらせてみました。Qの高いコイル作りの要件は、1)直径を大きく巻く、2)太い線材を使う、3)スペース巻にする、以上の3点。それを考慮して作ってみたのが今回のコイルです。


〈材料〉
・フェライトコア 直径1cm×長さ18cm 7本
・リッツ線    0.1mm×100本束
・塩ビパイプ   外径38mm×長さ19cm
・ユニバーサルブッシュ







 フェライトコアは、入手しやすい一般的な長さ18cm。手元にあった各種塩ビパイプに仕込んでみたところ、7本入るものが見つかりました。7本束でも結構ズッシリくるものの、許容範囲。パイプを19cmにカットし、コアとパイプ両端をホットボンドで固定。このまま線材を巻いてもよいわけですが、少しでも直径を大きく、そしてスペース巻にするため、今回はマルツで購入したユニバーサルブッシュを使ってみることにしました。同じ長さに切ったブッシュを両面テープでパイプに固定し、溝に沿って線材を巻いていきます。実際やってみると、巻きやすく、等間隔の見事なスペース巻に仕上がってくれました。35回巻き。ブッシュの高さがプラスされ、コイル直径は42mm。インダクタンス152μH。容量が少ないように思われるかもしれませんが、我が家の環境では、NHK仙台第一と第二、東北放送の受信可能3局が中波周波数帯のほぼ中間に運よく並んでいるため、これで問題ありません。タップも不要。

 以前にブログで紹介した「ラジオ少年」の極太フェライトコアとの比較で、見た目の大きさはほぼ互角、重さは約3分の2となりました。

 極太フェライトコア(コアのみ)  直径3.5cm 長さ20cm 重さ800g
今回の試作バーアンテナ      直径4.2cm 長さ19cm 重さ560g


試作バーアンテナ(上) 極太フェライトコア(中) 直径1cm長さ18cmコア(下)


 実験ボードにつないで、さっそく聴いてみました(外部アンテナおよびアースなし)。NHK仙台第一と第二は良く聞こえます。東北放送は受信不可。極太フェライトコアを使ったバーアンテナと比較すると、Sメーターの振れは目盛1で同等であるものの、仙台第二の音声に厚みが増し、今回の試作品の方が感度良好です。線材の違い(リッツ線)とスペース巻きの効果と思われ、悪くありません。直径15cmの空芯ループコイルと比較しても遜色ない感触が得られました。







 直径10cm、長さ10cm程の太く短いバーアンテナも考えてみました。試してみたいとは思うものの、コスト面でよろしくありません。長さ18cmは、性能とコストのバランスが最もよろしいようです。ユニバーサルブッシュがスペース巻きにたいへん有効なこともわかりました。コアと空芯ループコイル双方の良さを生かした方法はないものか?性懲りもなく素人考えをめぐらせています。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

接合型鉱石検波

2015年10月06日 | ゲルマラジオ


 入手したいくつかの鉱石標本を使って、検波実験をしてみました。オシロなど測定器がなく整流作用の視覚化はできません。なので、ゲルマラジオ実験ボードにつないで放送の受信を試み、聞こえたかどうかのみの実験となります。

 はじめに金属針による検波。金属針は、ボールペンのスプリング(ステンレス?)、スズメッキ線、銅線、タングステン線の4種類を使いました。定番のタングステン線に期待したのですが、材質による違いはほとんど感じられないとの印象でした。シャープペンシルの芯も試してみたところ、若干の音量低下がみられました。材質よりも圧力のかけ方、というか、ほとんど圧力をかけないでそっと置く、というのがコツのようです。


シャープペンシル芯


 受信できた鉱石は、音量が大きかった順に次の通りです。

 紅亜鉛鉱>方鉛鉱>黄鉄鉱>白鉄鉱>磁鉄鉱>自然銅>カーボランダム

 紅亜鉛鉱(ジンカイト)による検波は最も良好で、感度、安定度とも群を抜いています。カーボランダムは1V程バイアスをかけると良好に検波します。バイアスなしでは検波ポイントを探るのにかなり難儀しました。白鉄鉱、磁鉄鉱も難儀しましたが受信できました。導体である自然銅も受信できるポイントが何か所か見つかりました。一方、期待した黄銅鉱、班銅鉱はカサカサ音が聞こえるものの、受信には至らず、でした。


カーボランダム(人工結晶) これも半導体


 続いて本命、金属針の代わりに紅亜鉛鉱を使った接合型検波の実験。実験の仕方は、外付け検波器を使ったり、標本の上に紅亜鉛鉱を置き、ミノムシクリップと金属針で挟み、放送が聞こえるかどうか試してみました。二つの鉱石は、ある程度圧力をかけて接触させた方が良好な印象でした。結果は、次の通り。

 黄銅鉱>班銅鉱>方鉛鉱>黄鉄鉱>白鉄鉱

 金属針で受信に至らなかった黄銅鉱、班銅鉱ですが、今度は、まるで別の物体に変わったかのような変身ぶりで聞こえてきました。しかも、大音量かつ超安定。検波ポイントを探す必要もないほど。方鉛鉱も金属針では、慎重にポイントを探る必要がありますが、紅亜鉛鉱による検波では安定度が増し、音量の増加もみられました。黄鉄鉱、白鉄鉱についても同様です。ただ、接合型は相手の鉱石は限られるようです。たとえば、単体では最も良好に検波するシリコン結晶との組み合わせでは、まったく受信できませんでした。そのほかもいくつか試してみたものの、上記の5鉱石以外は受信ならず、でした。半導体の性質を増加させたり、打ち消し合ったり、不思議な現象ではあります。


黄銅鉱

班銅鉱の上に紅亜鉛鉱を乗せ検波

白鉄鉱

方鉛鉱


 金属針にしても紅亜鉛鉱による接合検波にしても、ポイントを探りあてた時の音質の良さには驚かされます。いつまでも聴いていたくなるクリアかつ重厚で落ち着いた音。雑味なし。鉱石によって微妙に変わりますが、ダイオードには真似のできない音質で、特に接合型検波の黄銅鉱や班銅鉱との組み合わせは素晴らしいものがあります。

 1900年代初頭、鉱石ラジオ全盛時代には、多くの先人たちが鉱石検波に没頭し、さまざまな鉱石が試され、研究、検証されたのだろうと想像できます。その後、ゲルマニウムダイオードに、さらに新たなデバイスへと雪崩を打って収斂されていくわけですが、その中で、置き去りにされ、忘れ去られてしまった技術や知見もあるのではないか。鉱石検波の澄み切った音を聴いていると、ふとそんな気がしてきます。



簡易的接合検波









コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする