JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

2エレ八木NY144X

2019年06月15日 | 移動用市販アンテナ


 このアンテナのことは何度か書きました。2エレであれば、HB9CVもあればモクソンもあります。三脚との相性から言えば、エレメントの短いモクソンに分があります。利得ならHB9CVかと。欠点はどちらも濡れに弱いということ。給電部の作りの甘さゆえなので自業自得なのですが、雨天やガスがかかった時の水滴付着でSWRが悪化してしまいます。

 一方、NY144Xの利点を考えてみると
 1)給電部がしっかりカバーされ、濡れに強い
 2)超ナロースペースのため山頂で目立たない
 3)ロッドエレメントの調整で430MHzでも使用可
 
 といったところです。山頂でガスがかかっても安心して使えます。それ以外にも利点があり、この間、使う頻度が上がっています。いくつか自分なりの使用感を備忘録としてまとめてみます。


 
〈超ナロースペース〉
 このアンテナの一番の特徴かと思います。エレメント間隔がわずか12.5cmしかありません。三脚に設置すると、ホイップ系アンテナとあまり変わらず、威圧感なし。山頂でも気兼ねせずに使えます。

 こんなに超ナローで性能としてはどうなのか? 利得的には犠牲になっていることは否めないものの、指向性は2エレにしてはけっこう感じられます。41の信号が方向を合わせると52くらいまで上がります。メーカー的には狩猟用受信アンテナということになっていますが、送信も問題ないです。仕様では耐入力10W。実際5W〜10Wで使って特に問題ありません。聞こえるのに飛ばないということもなく、むしろ、こんな超ナロースペースでも飛ぶものだな、と思ってしまいます。




給電部 


〈マッチング〉
 2本のロッドエレメントをすべて伸ばした状態で145MHz帯にマッチングします。個体差があるのかわかりませんが、エレメントを平行にすると共振点が145.300~400あたりになります。導波器側をほんの少し内向きにすると145.000、さらに内向きにすると144MHz帯に下がります。帯域は極端に狭くはないので平行で良いと思いますが、自分はSSBを念頭に若干内向きにして使っています。


導波器内向き状態で測定


<偏波面>
 三脚にクリップで固定しているだけなので、偏波面を自由に変えられます(もともと手持ち八木)。相手局の信号によっては、垂直でなく水平や斜めの方が強くなることが珍しくなく、意外な効果を実感することが多いです。


〈430MHzでの使用〉
 何度か書いた通りですが、ロッドエレメントを2本とも最短にすると、430MHzに同調します。メーカーとしては、このような使い方は想定外と思います。145MHz用マッチングコイルが入っているため、ロッドの長さを調整しても完全にはSWRが落ちません。でも、1.5以下でバンド内を広くカバーし、受信、送信とも悪くないです。同じナテックの430用3エレ八木と送受信比較をしたところ、ほぼ同等の結果でした。D-STARレピーターへのアクセスに重宝しています。


〈マスト材質〉
 このアンテナに限りませんが、金属マスト(ポール)は要注意です。マストと下部エレメントの位置関係によっては、微妙なノイズを拾うことがあり了解度を悪くします。共振点が変わることもあります。ある時、これが原因の弱いノイズに気づき、今は塩ビパイプを使うようにしています。


 10年ほど前、山岳移動を始めたころに購入したアンテナです。2~3回使い、長く物置で眠らせてしまいました。使い勝手の良さを再認識した次第です。仕様は今のは少し変更されているかもしれません。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蚕飼山(こがいさん)

2019年06月09日 | 里山 移動運用


 ここからQRVされている局と何度か交信したことがあり、一度訪ねてみたいと思いながらなかなか実現しなかった山です。QTHは宮城県登米市(旧東和町)。標高418m。天気予報では北に行くほど良さそうということで、本日ドライブがてら探索を兼ねて訪ねてみました。山と言っても登山の対象ではありません。山頂の真下まで林道が伸び、歩くのはほんの2~3分。

 仙台の自宅を6時に出て、三陸道を一路北上。登米東和インターを降り、米川地区から国道456号に進むとまもなく右手に「蚕飼山入口」の大きな標識がありました。すぐに未舗装の林道となりますが、思ったほど荒れた感じはなく、15分ほどで仮設トイレのある広場に到着。特に標識はありません。林道はさらに続きます。初めての山でよくわからず、このまま行くと下ってしまいそうなので、ここで間違いないのでは?ということで駐車。よく見ると山頂への細道が階段状に続いていました。





 山頂には一本杉と小さな祠がありました。まわりは小広い草地となって遮るものはありません。西に先週登った栗駒山、東に室根山。周りは同じくらいの高さの名の知らない山々が連なっていました。眺望に恵まれ、雰囲気の良い山頂。気に入りました。

 今日はXも一緒なので、短時間の運用です。

 <装備>
リグ FT-817(2mFM、 SSB)、ID-51(D-STAR、DV)
アンテナ 2エレ八木(145MHz、430MHz)




 2mFMでCQを出したところ、福島、宮城、岩手各局に交信いただいた後、思いがけず8エリアから応答いただきました。北斗市固定局。53-53でレポート交換。QSBがあり、ピークで55まで上がったかと思うと51まで下がる場面もあったものの、すべて了解でき、交信を続けることができました。15エレ八木2列2段をお使いとのこと。コンディションが上がっているのでは?と思い、SSBをワッチすると、41ほどで「・・・/8」とかすかな変調が聞こえてきました。コールサインがなんとか了解でき、呼んでみましたがコールバックありません。しばらくして、少し信号が強くなったところを見計らって再度ゆっくりめに呼んでみたところ、今度はコールバックあり。51-52。北海道松前町移動局。こちらは終始了解できましたが、相手局は厳しかったようです。コールサイン、レポート、QTHを確認しファイナルとなりました。どちらも距離320kmほど。栗駒山や蔵王と違い、ここはわずか標高418m。このような低山で8エリアと交信できたのは初めてです。コンディション、タイミング、相手局のFBな設備や移動地と好条件が重なったのかもしれませんが、伝搬的にも面白い山頂なのかもしれません。






 D-STARレピーターへのアクセスも試みました。仙台青葉430、仙台430ともダウンリンクあり。花巻、滝沢は不可。仙台青葉430から山掛けで1局交信いただきました。仙台方向は悪くないようです。



 帰路、大籠のキリシタン殉教公園に寄ってみました。








 蚕飼山のふもと、米川や大籠地区は隠れキリシタンの里でもあります。周辺には江戸時代、弾圧に屈せず改宗しなかったため処刑されたとされるキリシタン刑場跡が点々と今も残っています。大籠地区だけで300人を超す人々が殉教したのだとか。その数300余段の階段を上った眺めの良い丘の上に「殉教記念クルス館」がありました。過酷な歴史を刻んできたこの地区も今は静かな山里です。






コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

栗駒山6/2

2019年06月02日 | 奥山 移動運用


 本日は栗駒山に登ってきました。

 駒の形の残雪が山の由来でもありますが、実はこの時期、もう一つ面白い雪形が現れるのです。宮城県側の登山口、いわかがみ平に午前7時着。駐車場は半分ほど雪に覆われ、10台ほど止まっていました。中央コースを半分ほど登ると展望が開け、目の前に栗駒本山が迫ってきます。その西側斜面に目を向けると、そこに独特のお姿が・・・。恐竜ティラノザウルスならぬコマノザウルス。この雪形が有名というわけではなく、自分がそう名付けているだけなのですが、なんとなく面白くて、毎年楽しみの一つになっています。自分だけの「珍百景」。




コマノザウルス?


 さて、この辺りから夏道が消え、一面の雪原となります。急な雪渓を登りきると山頂。午前8時着。天気良好、目の前に焼石連峰、西に鳥海山、月山が霞に浮かんでいました。人気の山なので、昼頃にかけて続々と登山者が増えてきます。無線運用できるのは早い時間帯のみ、ということで山頂から少し離れたところにさっそくアンテナを設置しました。



<本日の装備>
リグ FT-817(2mSSB、FM)2.5~5W
バッテリー リチウム電池18650 4本直列および内蔵リチウムバッテリー
アンテナ 4エレループ





 SSBをワッチすると新潟県南魚沼市移動局が弱めに入感。アンテナ方向を合わせ少し強くなったところで呼んでみると、他局と重なったようでしたが、「ポータブル局どうぞ」とのコールバックあり。アンテナを回していただいき、55-55でレポート交換。続いて1エリア、群馬県中之条町渋峠移動局と59-59。標高2000m超とのことで、たいへん強力な信号でした。どちらも約300km。ここまでは良かったのですが、2エリア、3エリアの信号が31~41程で弱く、しばらく待って様子見したものの、浮いてくることはありませんでした。また、ここは8エリアとつながる貴重な山域で、北にアンテナを向けて何度かCQを出してみましたが、8からの応答はなし。北は青森県西目屋村移動局と交信、その先はありませんでした。

 SSB、FMで断続的にCQを出し、7エリア各局にお相手いただき、正午、登山者が増えてきたのを見計らってQRTとなりました。信号の伸びは感じられませんでしたが、福島県小野町の日影山、山形県大江町の大頭森山など山岳局と交信いただきました。日影山は十数年前、麓の日影温泉に一泊して登ったことがあります。温泉と言っても源泉はぬるく、薪の匂いが漂う鉱泉宿でした。その日影温泉もだいぶ前に営業をやめてしまったようです。大頭森山も十年以上前に一度行ったことがあります。懐かしく思い出しました。山同士の交信は、いろんなことが思い出されます。

 本日も各局さま、ありがとうございました。




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする