JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動 

小型デュアル八木のモクソン化

2021年08月16日 | モクソンアンテナ

 

 

 製作したデュアル八木の145MHzエレメント間隔が28cmで、定型的なモクソンアンテナの寸法に近いということに後で気づきました。これならさほど手間なく2エレ部分をモクソン化でき、大きさも2/3ほどに抑えることができるのでは? ただ、放射器のサイズも変わってしまうことになり、オープンスリーブで作動している430MHzのマッチングはどうなるのか? そんなことを考えながら試してみることにしました。

 

 145MHzエレメント部材はロッドアンテナなので、縮めるのみです。横エレメントはモクソンの定型サイズに切った銅パイプとミノムシクリップをハンダ付け。隙間部分には今回もaitendoの4cm樹脂ナットを使いました。隙間1.7cmを確保し固定します。あとはロッドエレメントの上下に挟むだけです。ほぼ定型的な寸法なので145MHzのマッチングは問題なく、微調整しデフォルト以上にベストな状態になりました。一方430MHzは予想通りまったくマッチングが取れなくなってしまいました。下記のような試行錯誤でなんとか事なきを得ましたが、オープンスリーブの難しさも実感しました。

 

横エレメント

前作(左)と今回のデュアルモクソン

 

<430MHzの調整>

 430用導波器2本の長さを変えればなんとかなるのでは?と安易に考えていたのですが、ほとんど変化ありません。前作と同じように放射エレメントの後ろに反射器を付けてはどうかと思い、32cm程の銅線をセロテープで貼り付け、位置を変え、銅線の長さも変えて測定を繰り返しましたが、はやり同調する気配がありません。何を試してもバンド内SWR3以上。少し甘く考えすぎていたかもしれません。万事休すと思いましたが、ダメもとで導波器を追加してみることにし、放射エレメントと第一導波器の間に銅線を入れてみたところ、ストンとSWRが下がってくれました。放射エレメントとの間隔は1.3cmしかありません。他の導波器2本はこれまでどうりで変更なし。こんなに放射エレメントの近くに導波器を入れて、145MHzの方は大丈夫なのかと再度測定したところ、何の影響も見られません。オープンスリーブの振る舞いというのは一筋縄ではいかないようです。

 

        導波器3本状態でのSWR ↑↓

 

<使用感>

 本日、大年寺山にてJP7IEL局にお相手いただき、デュアル八木の状態とモクソン化した状態で使ってみました。結論を先に書くと145MHz、430MHzとも性能的な違いは感じられませんでした。RH770およびナテックの3エレ(430MHz)と比較したところ430はRH770で41、デュアル八木およびモクソン化状態で52となり、明らかに信号が上がり変調も力強さが増しました。ナテック3エレとは同等の感触です。145ではRH770よりも少し変調が強くなった感じはあるものの信号自体は変わらずといったところでした。JP7IEL局からのレポートも同様です。手間なく設営できるのはデュアル八木、コンパクトさではモクソン。

 

デュアル八木

モクソン化

 

 今回もっとも興味があったのはオープンスリーブの430でうまく電波が飛んでくれるのかという点ですが、直接給電したアンテナと同様に送信、受信とも問題なく、何か違和感のようなものもありませんでした。145はいずれも2エレなりの性能、むしろ430の方が期待以上という感じでした。オープンスリーブ、なかなかです。どこか捉えどころのない手ごわさはあるものの、短いブームで多エレメント化するなどいろいろ考えられそうな気がしています。

 

 

 

 

 

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モクソンアンテナ (145/430MHzデュアル化)

2021年08月09日 | モクソンアンテナ

 

 

 FBニュース7月15日号に145MHzモクソンアンテナにエレメントを追加し430MHzにもマッチングさせる方法が掲載されており、興味深く読みました。自分が作った145MHzモクソンアンテナは定型的な寸法ではなく、記事の通りに430用エレメントを追加したとしてもうまくいかないだろうと思いましたが、いつものカットアンドトライで試してみることにしました。

 

 2本の430用エレメントは直接給電するわけでなくオープンスリーブとなっており、給電部まわりや元のアンテナ本体の変更はありません。なので追加するエレメントの寸法や位置決めさえできればよいわけです。はじめ、記事にあった通りの寸法(前方315mm、後方313mm)の銅線をセロテープで貼り付け、位置を変えながら試してみましたが、案の定、同調する気配はありません。前後2本のエレメント寸法を少しづつ変更し、位置(間隔)を変えながら測定を繰り返したところなんとか手ごたえらしきものが得られました。ベストかどうかわかりませんが、備忘録として手書き略図を載せておきます。

 

 

 取付け方法は、角材ブームに溝を付けて4mm銅パイプを接着、上から3mm銅パイプ(エレメント)を差し込む方式としました。ところが、組み上がってみるとなぜかマッチングが取れません。もう一度、銅線で試したところ問題なし・・・??? オープンスリーブの難しさなのか、エレメントの長さや位置だけでなく、太さ(金属の体積)も影響するようです。前方エレメントのみ2mmの細い銅パイプに換え、再度慎重にカットアンドトライを繰り返し、マッチングを追い込みました。調整は1mm 単位、クリティカルです。

 

下の2本が430用エレメント

 

<マッチング>

 意外にも前方エレメントのみでも430MHzにマッチングします。共振点はメイン付近にありバンド内SWR1.5以内、この状態でも悪くありません。後方エレメントを追加すると下の周波数からメインあたりまでベタ落ちとなり、上に行くと悪化していきます。145MHzは?というと、ほとんど影響を受けないようです。430用エレメントを外して測定しても同じです。

前方エレメントのみ取付け ↑↓

 

前後エレメント取付け ↑↓

 

145MHz(430用エレメント2本を取付けた状態)

 

 

 

 ということで一応モクソンアンテナのデュアル化できました。簡単そうに見えてそうでもないだろうと予想はしていましたが、その通りでした。430の前方エレメントが後方エレメントより長いのが腑に落ちないところではあります。2エレとして動作しているのか、あるいは145MHz用リフレクターがなんらか作用を及ぼしているのか不明。複数のアナログレピーターにアクセスしたところ送受信とも問題はなさそうです。前回作製した430MHzシングルバンドのモクソンアンテナとの比較などもしてみたいと考えています。

 

 

 

 

 

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430MHzモクソンアンテナ

2021年08月02日 | モクソンアンテナ

 

 

 FBニュース(7/15号)に145MHz用モクソンアンテナに2本のパラスティックエレメント(給電なし)を追加し430MHzとデュアルで使えるようにする方法が紹介されていました。興味が涌きましたが、それは後回しにして、まずは試しに430MHzモクソンアンテナを作ってみることにしました。ネットで紹介されていたいくつかの製作例を参考にさせていただきました。

 

 このアンテナは2エレ八木のエレメントを内側に折り曲げた構造で、見た目は1ループのような形状となります。とてもコンパクトでFB比にも優れるのが利点とされています。10年以上前に145MHz用は作りましたが、今回430 MHz用を作ってみてあらためて再現性と安定性の高いアンテナと思いました。

 

<材料>

エレメント 3mm銅パイプ 146mm×2本(放射器)、336mm×1本(反射器)

角材(ブーム)10mm×10mm×110mm

プラスチック仕切り板(ダイソー)2個

プラスチック六角ナット40mm×2(aitendo)

塩ビパイプ(三脚固定用)

同軸ケーブル(BNC)3m(秋月電子)

結束バンド

 

 

 すべてあり合わせの材料。エレメントの取り付けに精度が求められるのでブーム素材はパイプではなく角材を使いました。ネットの製作例の通りの寸法ですが、備忘録として手書きの図面を載せておきます。

 

 

<製作>

 エレメントを切り出したらそれぞれ寸法通りに直角に折り曲げ、前後が揃うよう整形しておきます。プラスチック板にエレメントを固定するための穴を開け、角材に接着。ねじ止めの予定でしたが木ネジが邪魔になるのと強度を確保できることがわかり、接着のみとしました。エレメントの隙間部分はこのアンテナの唯一の調整点であり、2cm前後の間隔を保つための何らかの固定が必要となります。つまようじを銅パイプに差し込んで固定してみたものの、強度がいま一つ。なにか良い方法はないかと思いついたのがaitendoから購入していた長さが4cmもあるプラスチックナットで、ドリルで穴を広げて使うことにしました。銅パイプがきつめに入り調整にも具合がいいです。給電部をハンダ付けし、あとはエレメントを結束バンドで固定するのみ。三脚設置用の塩ビパイプを角材に取り付け完成。本体50g、ケーブル(3m)込みで170g。

 

aitendoの六角ナット(4cm)

給電部取付け

 

 

<調整>

 いつものことですが、組み上がって調整に入る時がもっとも楽しみでもあり、緊張の瞬間でもあります。うまく共振してくれるのか、とんでもない周波数に合っているのではないか、SWRは? フラットなのかシャープなのか? おおよそアンテナの性質が判明するわけです。この過程で急にやる気を失ったり、あるいはさらに興味が涌いてきたりすることも多いです。

 

 430用アナライザーの持ち合わせがないので 今回もIC-705のSWRプロット機能で測定しました。その結果、無調整の状態でもまずまずのSWRグラフを描いてくれました。バンドの下の方に共振点があるようで、上にいくほど悪化するものの1.5以内。433.000メインで1.2ほど。マッチング自体は取れているようです。上下のエレメント間隔(2cm)を狭めたり広げたりしてみましたが、あまり変わりません。

 ふと、ケーブルの引き回しはどうなんだろう?と気になり、反射器からそのまま垂れ下げるのではなく、後方に離してループを描くようにポールに留めてみました。結果はバンド内ベタ落ちとなりました。だらりと垂れ下げた状態ではエレメントに干渉するようです。ケーブル引き回しは影響大ですね。この点さえ留意すれば帯域が広く扱いやすいアンテナかと思います。

 

ケーブルを垂れ下げた状態↑↓

 

ケーブルを離した状態↑↓

 

 

 

 ベランダでスイスクワッドと聞き比べてみました。信号によってスイスクワッドが良かったり、逆にモクソンが上回ったりで、さほど遜色ありません。送信はまだで数局をワッチしたのみなので何とも言えませんが、悪くはない感触です。手軽に設置することを優先したため強度的な不安はあります。数回使ってみて難点があればリペアを考えてみます。

 

 

 

 

 

 

 

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モクソンアンテナ(145MHz)を使ってみる

2021年07月25日 | モクソンアンテナ

 

 

 記録を見るとこのアンテナを作ったのは2009年10月ですから、かれこれ12年近く前ということになります。形は2/3λヘンテナのように見えますが、ループではなく変形2エレです。2本のエレメントを内側に折り曲げた形状でありFB比に優れるとされています。コンパクトなことから4~5回山で使いました。「FBニュース」にこのアンテナのことが掲載されており、興味が涌いて物置から取り出してみました。

 

 自作したものはデフォルトのモクソンアンテナよりも縦エレメントを短く、横エレメント(折り曲げ部分)を長くしています。あらためて室内でSWRを測ってみるとメインより下に共振点があり、上は1.5~1.6あたり。作った頃はメインを中心にきれいなグラフを描いていたと思うのですが、多少ズレてしまっているようです。

 

 

   使用には問題はないということで、本日、野外での測定を兼ねて大年寺山で使ってみました。IC-705のSWRプロット機能で測ってみると1.3あたりでフラット。「FBニュース」の記事によるとこのアンテナはこのままで430MHzにも共振するような記述があり、測定したところ2.2~2.3ほど。メイン付近がわずかに下がっておりSWRは高いものの共振自体はしているのかもしれません。そのうち再調整することにして、とりあえずこのまま使いました。 

 

 

 今日は熱対策のためIC-705に12V給電、7W運用としました。2mSSBをワッチすると岩手各局が聞こえてきました。花巻市、遠野市移動と盛岡市固定。山梨県の局と交信の最中で、こちらには相手局はまったく入りません。盛岡固定局もなかなか了解できないようで何度かやりとりしている様子が見て取れました。徐々にコンディションが上がって交信成立となったのですが、その際、こちらにも山梨局の信号がほんの数秒浮いてくるのがわかり、変調を捉えることができました。大年寺山は標高100mあるかないかの公園で、これには驚きました。今日はコンディションの変化が大きかったのかもしれません。山梨局との交信終了を待って各局と交信。盛岡固定局とは泉ヶ岳方向にアンテナを向けたところ信号が上がり51-52。たぶんビッグなアンテナを向けていただいたと思いますが弱い信号を取っていただき無事交信成立。

 

 

 その後、JP7IEL局と本日もロングにお付き合いいただきました。IEL局は移動運用中で45cmほどのハンディホイップ(距離約40km)。途中、隣接周波数のFM局からの抑圧でケロケロになる場面があったもののDVで良好に交信を続けることができました。

 

 10数年ぶりのモクソンアンテナ、ちょっとした手ごたえが感じられました。もう少しマッチングを追い込んでみます。今日は気温30度近く、そこそこ風があったことと12V給電によりTEMPメーターがレッドゾーンまで上がることはありませんでした。最大パワーは低下しますが、リグのためにも真夏は15Vでなく12Vがよろしいようです。

 

 

 

 

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モクソンアンテナ使用記

2009年11月04日 | モクソンアンテナ
 作ったばかりのモクソンアンテナ(Moxon Antenna 145MHz)を使ってみました。運用地は、仙台近郊の泉ヶ岳(標高1170m)です。この日、予報では午後から雨、不安定な天気となっていました。もともとグループ登山を予定しており、私だけ早朝始発のバスに乗って一足先に登り、山頂で合流することにしました。その間、約1時間の運用です。



 山頂到着が9時30分。設営はロッドアンテナを伸ばして、モクソンエレメントをみの虫クリップで挟むだけですから、2~3分で完了。今回は、アンテナアナライザーAA-200を持参しました。あらかじめ部屋の中で測定してベストの状態のまま設置したのですが、念のため計ってみるとSWR1.5弱に上がっていました。問題な程のレベルではないのですが、ハンディ機なので、少しでも効率的に電波を出したいところです。スキャン幅を広くとって計測してみると、共振点が上にありましたので、ロッドエレメント4本を約1センチずつ長くしてみたところ、145MHzを中心にベタ落ちとなってくれました。アンテナを回してもさほど変化なく、良好な状態です。


AA-200のおかげで短時間かつ的確に調整できました


 実は下山途中の別の場所でもQRVしたのですが、そこでもSWRグラフに変化がみられ、再調整しました。ロケーションによって、思いのほか、アンテナ特性は変化しているようです。これまでは、知らずに使っていたということだと思います。やはり移動運用の際のアンテナは、現地で再調整するのがベストですね。



 さて、調整が終わって、さっそくリグDJ-S17に接続。ワッチしてみると、仙台市近辺のローカルの信号が入る程度で、遠くの信号は特に聞こえてきません。あまり時間がないので、南方向に向けてCQを出してみました。さっそく福島県国見町モービル局から59の応答。こちらかも59。高速道路の国見サービスエリア近くからでロケーションも良く、強力な信号でした。続いて、丸森町からハンディ機同士で59-59。阿武隈川沿いを歩行中とのことで、QSBはありましたが、問題なく交信できました。柴田町モービル局からも59-59。今度は、バック方向、色麻町からかすかに応答がありました。アンテナを向けるとSがぐんぐん上がり59-59。

 次に、アンテナを北方向にしてワッチしていると、一関市(花泉町)固定局がCQを出していました。実は、この周波数は、仙台のローカル局が使用中だったのですが、花泉町までは届いていないようです。当局には、どちらも良く入感しており、アンテナの方向によって、信号の強弱が明確に表れます。アンテナを北に向けるとローカルの信号はほとんど入らなくなりました。花泉局に応答してみたところ、すぐにピックアップいただき、とりあえず、コールサインを確認してQSYをお願いしました。無指向性のアンテナだと、こういう運用は難しいところですが、このモクソンアンテナ、FB比に優れるという評価どおりの性能でした。その後、方向を北に向けたまま、こちらからCQ。岩手県藤沢町と59-59、一関市厳美町と59-57で交信できました。両局とも固定局でFBなアンテナを向けていただいたようですが、ラグチューできる程度の安定した信号でした。

 約1時間で8局と交信。天候不順の予報で山岳移動局も少なかったようです。特別遠方との交信はありませんでしたが、ヘンテナに比べて指向性が明快でわかりやすく、混信の多い山移動では有効なアンテナと思いました。また、給電部前方に比重がかかるわけですが、風で倒れることはありませんでした。コンパクトで、取り回しが楽です。今度は里山で使ってみようかと思います。


山頂付近より

予報がはずれ、午後まで天気に恵まれました


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モクソンアンテナ 145MHz 移動用

2009年10月31日 | モクソンアンテナ
 以前、手持ち2エレ八木(ナテックNY144X)のモクソン化を試みましたが、この度、あらためて、モクソンアンテナ作りに取り組んでみました。と言っても、ほとんどの部材は、持て余していた1λヘンテナの使い回しです。モクソンアンテナ(Moxon Antenna)の特徴と言われているのは、1)八木アンテナに比べコンパクト、2)ゲインは2エレより若干低いもののFB比に優れる、3)パターンは垂直に加え、水平成分を持つ、4)直接給電可、などです。山移動運用に有効な特徴を備えたアンテナと思われます。
 設計にあたっては、エレメント長を計算できるプログラム(MoxoGen)の数値を参考にしましたが、材料使い回しの関係で若干修正し、水平部分が少し長いスタイルとなりました。




《材料》
・角材50センチ(ブーム)
・50センチ程のロッドアンテナ4本
・11センチと18センチの3ミリ銅パイプ各2本
・みの虫クリップ4個
・プラスティック仕切り板3枚
 (水平エレメントのインシュレーターに2枚、給電部に1枚)
・丸端子2個
・ボルト、ナットなど
・同軸ケーブル




 100円ショップで見つけたプラスティックの仕切り板。引き出しの中を仕切るためのもので、一つ一つ切り離せます。長さは4センチから10センチまで各種あります。穴空け加工がしやすく、接着剤で2枚重ねにするとさらに強度が増します。当局のアンテナ作りではいろいろなところで活躍してくれます。今回は、インシュレーターと給電部に使いました。



《製作》
1)角材の上から1センチの個所とそこから33センチの個所に3ミリの穴をあけ貫通させます。MoxoGenの計算では、エレメント間隔が27センチ程ですが、ヘンテナの使い回しでそのまま穴も使うことにしました。なので、この間隔に根拠はありません。

2)まず水平エレメント(モクソンエレメント)の製作。「モクソンアンテナもどき」の時と同じです。11センチと18センチのそれぞれ片方にみの虫クリップをハンダ付けし、もう一方はプラスティック板に結束バンドで固定します。エレメントの隙間は2.0センチとしました。この部分は、最終的には、組み上がってから微調整し、接着剤で補強します。

3)同軸ケーブルの芯線と網線にそれぞれ丸端子をハンダ付けしておきます。

4)次に給電部。プラスティック板を3センチに切り、中央と左右に3カ所、3ミリの穴を空けておきます。ボルトにケーブル芯線の丸端子、ロッドアンテナ、プラスティック板の順で通し、後ろからナットで固定します。網線側も同様に固定します。これで給電部完成です(直接給電)。なお、給電部のロッドアンテナの接点はヤスリでよく磨いておきます(これは大事な点)。

5)放射器エレメント(給電部)のプラスティック板中央の穴にボルトを通し、角材に固定します。同様に、反射器のロッドアンテナ2本をボルトでねじ込んで角材に取付けます。工作は以上です。




給電部





 組み立ては、まず、ブームを三脚の目玉クリップで固定します。垂直偏波なのでロッドエレメントが縦になります。4本のロッドを伸ばして、上下にモクソンエレメント(水平エレメント)をみの虫クリップで挟めば完了です。その際、短い方が放射器、長い方が反射器側となります。横にすれば2/3λヘンテナと形は似ていますが、さらにコンパクトです。収納は約55センチ、袋に入れてしまえば、日帰りザックにすっぽり納まります。


インシュレーター 調整後に接着剤で固定


短い方が放射器側、長い方が反射器側


完成


上が2/3λヘンテナ 下がモクソンアンテナ


収納もコンパクト

《調整》
 調整する部分は、ロッドアンテナの長さとモクソンエレメントのすきま間隔です。すきま間隔は2.0センチで固定してみました。MoxoGenの計算から、前後のロッドの長さをはじめ76センチ(1本が38センチ)としました。この状態で、スキャン幅を大きく設定してAA-200で測定したところ、共振点は130MHz近辺にありました。AA-200のグラフ表示は中心のタテ棒下の三角印を左右ボタンで動かして、最も下がっている所に合わせることで共振周波数がわかるようになっています。

 少しずつ、ロッドを短くして、最終的に、前後共67センチ(4本のロッドアンテナが33.5センチ)、モクソンエレメントのすきま間隔1.8センチの所で、SWR1.1以下となりました。スキャン幅を狭くして計ってみたところ、バンド内フラットで、良好な結果となりました。ただ、測定位置によっては1.5程度まで上がってしまいます。「モクソンもどき」の時も感じたのですが、調整はクリティカルです。モクソンエレメントのすきま間隔が重要なポイントのようで、広げると共振点が上がり、狭めると下がります。同時にSWRグラフも変わってしまうのですが、この点は研究課題としておきます。




最終的にはSWRベタ落ちとなってくれました



 と言うようなことはあるのですが、今回は、AA-200のおかげで効率的、かつ、楽しく調整を進めることができました。ちょうど鳥瞰図のように、アンテナ特性の全体像を眺めて、ピンポイントでマッチングを取っていくという感覚です。自作アンテナで何が楽しいかと言えば、この調整の過程での試行錯誤と結果が出た時の達成感ではないかと思います。

《測定》
 トリフィールドメーターで測定してみました。給電部とメーターの距離1.5メートル、出力0.8Wと同じ基準です。(単位は特にありません。ハンディ機附属ホイップで0の状態との比較です)
 フロント 8.0
 サイド  1.2
 バック  0.1

(参考)
・2/3λヘンテナ 
 フロント 5.2
 サイド  2.7
 バック  6.0

 悪くないようです。前後のエレメント間隔を広く取ったことが、かえって良かったのかもしれません。バックでは、ほとんど針が振れませんでしたので、モクソンアンテナの特徴が出ていると思われます。ベランダで受信もしてみました。指向性がはっきりわかります。2エレのNY144Xとの比較では、モクソンの方が信号強度、了解度とも上回ります。3エレに比べると信号強度は少し下がりますが、弱い信号を拾ってくれるようで了解度はほとんど変わりません。ノイズが少なく聞きやすいアンテナです。

 垂直に加え、水平成分も期待できることから、反射の多い里山(低山)移動で使ってみたいと思います。










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モクソンアンテナもどき 145MHz

2009年08月31日 | モクソンアンテナ


 CQ誌の9月号にMoxonAntenna(モクソンアンテナ)の紹介記事がありました。2エレ八木のそれぞれのエレメントを内向きに折り曲げた形状となっているため、見た目はキュービカルループのようにも見えます。
 特徴は、1)F/B比が優れる(25db以上)、2)フロントゲインは2エレよりもやや劣る、3)特別なマッチングを必要としない、なのだそうです。
 記事では、HF帯用の大型のモクソンがいくつか載っていました。エレメント長を計算できるプログラム(MoxoGen)をダウンロードしたところ、145MHz用であれば難しくなさそうなので、あれこれ考えてみました。

 MoxoGenの計算では、145MHzの場合、エレメント長辺が約75センチ、折り曲げ部分が放射器側は10センチ強、反射器側は14センチ強となりました。いつものことながら、ザックへの収納とかカメラ三脚への取り付け方とかをまっさきに心配してしまうのですが、この長さ、形状を考えると、良いアイディアが浮かびませんでした。
 そこで、ロッド式の手持ち八木(2エレ、ナテック製NY144X 狩猟用アンテナ参照)をモクソン化してしまう方法を考えてみました。ただ、この手持ち八木のエレメント間隔は12センチしかありませんので、長辺の寸法を長めにして、短辺はかなり短くなります。MoxoGenの計算を基に、適当に寸法を割り出して作ってみました。


1)材料 すべてあり合わせのもので作りました。


  ・3ミリ径の銅パイプ3.5センチと5.5センチを各2本
  ・蓑虫クリップ4個
  ・プラスティック板(100円ショップで購入した引き出しの仕切板)2個
   (インシュレータとして使います)
  ・結束バンド4本


2)製作
  ・それぞれの長さに切った銅パイプを蓑虫クリップに半田付けします。
  ・短い方と長い方の銅パイプのもう一方側をそれぞれプラスティック板(イン
   シュレータ)に結束バンドで固定します。この部分は最終的に透明ボンドで
   固定します。
  ・2本の銅パイプの間隔は1.7センチとしました。



  以上でモクソンエレメント完成です。あとは、実際に取り付けて調整します。


3)調整
 手持ち八木のエレメントを伸ばして、両端を蓑虫クリップで挟んで固定します。
 長い方の銅パイプを放射エレメント側に取り付けます(逆にならないように)。あとは、ロッドエレメントを少しづつ短くして、SWRが下がるところを見つけていきました。その結果、放射エレメントは上下各40.5センチ、導波エレメントは上下各41.5センチのところで、SWR1.1に落ちてくれました。1センチ違っただけでもSWRは2以上になってしまいます。また蓑虫クリップ自体に幅がありますので、クリップのどの部分で挟むかによっても変わってきます。けっこうクリチカルです。銅パイプ間隔は1.7センチのままです。ここを狭くするとやはりSWRは上がってしまいます。モクソン部品を手で触ると激しくノイズを拾いますので、普通の2エレとは別物と考えた方が良さそうです。長さ調整後は、バンド内ほぼフラットとなりました。







4)疑問点
 CQ誌の記事では、2本のエレメントを放射器と反射器とし、反射器の折り曲げ部分を長くして、ビーム方向は給電部側となっています。つまり放射器が前エレメントとなっています。今回製作した「モクソンもどき」は、元々手持ち八木ですから、これだと宜しくないわけです。そこで、前エレメントは導波器とし、放射器側の折り曲げ部分を長くしています。ビーム方向は導波器側のはずです。一応、そのつもりです。モクソン部品の取り付けを左右変えてみましたが、放射器側を長くした方が、SWRも安定します。ただし、反射エレメントがないわけですから、本来のモクソンアンテナとは違いますし、最大の特徴であるFB比も期待できるのか疑問です。




5)使用感
 ベランダで受信に使ってみただけです。2エレに比べてコンパクトで扱いやすいです。指向性は2エレよりも若干ブロードな感じがします。バックからの信号はよく切れて、弱い信号だとスケルチが開かなくなります。一応モクソンアンテナとして機能しているように思うのですが・・・? それ以外の受信能力に大きな違いは見られませんでした。2エレで受信できて、このアンテナだと受信できないということも、その逆もありませんでした。ほぼ同じ性能であれば、コンパクトなこのアンテナに少し分があるように思います。今度の山移動で送信も試してまたレポートしてみます。



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