JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

1λ単ループアンテナ再調整

2020年05月17日 | ループアンテナ
 散歩がてら、これまで作ったアンテナの再調整を兼ねて近くの大年寺山公園に出かけています。

 昨日、今日と145MHz1λ単ループアンテナ(ガンママッチ)の調整をしました。気難しい印象があり、2度ほど試したのみで使わなくなってしまったアンテナです。ガンママッチとバリコンで調整します。どちらも調整点に印を付けているのですが、ベランダでSWRを測ったところ、ズレが生じていました。

 このアンテナに限らず、ケーブルを変えると共振点やSWRが大きく変わってしまうことがあります。製作時点では2.0mの3D2Vを使って調整したのですが、今は3.0mのRG58ケーブルを常用しています。長さの影響なのかケーブルの質の関係なのか、145MHzのどのアンテナとも相性が良いのです。ということで、再調整。ガンママッチの接続点は変更せず、バリコンをほんの少し回してはアナライザーで測定を繰り返し、最良ポイントを探しました。上の方にもう一つ疑似共振点?があり、最良なのかどうかはちょっと疑問ですが、一応これで良しとしました。








 公園内の場所を変えてJP7IEL局にお相手いただきました。横に倒した状態で垂直偏波となります。J型アンテナとの比較では、方角を合わせた状態でSはほぼ同じ、ブツブツした大粒のノイズが少なく聞きやすい、との印象を持ちました。単ループとはいえ1λのエレメントなのでもう少し利得が感じられても良さそうですが、そうでもないです。むしろ信号自体はJ型アンテナの方が野太い感じを受けました。利得は特段ないものの低ノイズにより変調を浮き上がらせる、そんなアンテナかと。帯鋼エレメントのため120gと軽く、あらためて使ってみて取り回しがとても楽に感じました。三脚とのバランスを考えるとアンテナは軽いに越したことはありません。あとは高さを稼ぐ工夫をすれまた違ってくるような気がしています。 







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1λ単ループ使用感 その2(萱ヶ崎山)

2020年01月13日 | ループアンテナ

 昨日に続き、萱ヶ崎山(仙台市太白区)にて1λ単ループアンテナ(145MHz)を試してみました。








 萱ヶ崎山は青葉山の西に位置する丘陵地で標高379m。いつも使っていた直登ルートが私有地のため立ち入り禁止になったり、山頂にある高圧線の抑圧ノイズもあり、このところ足が遠のいておりました。今日は、茂庭台4丁目バス停から尾根に取りつき、初めてのルートで山頂をめざしました。といっても40分ほどの散策登山です。朝方、霰の舞うあいにくの空模様であったものの、昼にかけ徐々に青空も広がってきました。




 午前9時過ぎ、山頂着。鉄塔のわき、高圧送電線の真下にアンテナを設置し、アナライザーで測ってみたところSWR1.2以下。悪くありません。今日は三脚にプラスして自撮り棒を取り付け、高さを稼ぐことにしました。地上高約2m。145MHzの1λとなります。水平(縦向き)、垂直(横向き)、斜めと偏波面を変えながら聞き比べてみたところ、昨日同様、斜めが良いとの感触はあるものの、水平(縦)でもさほど変わらない感じも受けました。ということで、水平の状態でCQを出し、余裕があれば相手局の信号に合わせ向きと偏波面を変えてみることにしました。










 宮城県内各局のほか、一関市、福島市、相馬市、山形市各局に交信いただきました。また本日もJP7IEL局にロングにお付き合いいただきました。感触としては、8の字指向性のとおり向きを変えることでSは大きく変わる一方、偏波面の方はS2程度の差に留まり、さほどでないかな、といったところでした。




 交信中、不規則に高圧線からの抑圧ノイズがS5ほど振ってきます。その際、垂直よりも水平偏波の方が抑圧の受け方が少ない印象を受けました。送電線は水平に張られているので、アンテナを垂直にした方が影響なさそうに思うのですが、一時的な現象なのか、あるいはここだけの特殊な現象なのか。腑に落ちないところはあります。

 自撮り棒を伸ばしたり縮めたりして、高さによる信号の違いも確かめてみました。その結果、やはり1λ程度の高さは確保した方が良いです。三脚のみ(120cm)と比べS2~3の違いがありました。

 ということで、単ループの使用感としては、1)マッチングを含め安直な作りのわりに現地での再現性、安定性は悪くない、2)水平偏波(縦設置)が意外に使える(抑圧にも)、3)ある程度の高さが必要、利得は1/2λホイップ程度? といったところです。




 抑圧ノイズに悩まされてきた萱ヶ崎山の山頂ですが、このアンテナなら少しマシかもしれません。また使ってみます。









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1λ単ループ使用感(山元町・深山移動)

2020年01月12日 | ループアンテナ
 今年最初の里山歩き。昨年10月に登った際は、台風19号によりだいぶ登山道が荒れていたのですが、すっかり整備され歩きやすくなっていました。鷹討山と深山の北尾根にて昨日作った1λ単ループアンテナを試してみました。




 はじめに鷹討山山頂にてアンテナを設置し、SWRを測定したところなぜか高め。1.7~2.0。そこから下がりません。JP7IEL局(距離約70km)にお付き合いいただき、この状態でお呼びしたところ、ほとんど了解できないとのこと。ここは何度も運用している山頂ですが、杉林があり北方向はもともと良くありません。ということで、いったん引き返し、深山の北尾根に移動することにしました。


 国見台(展望台)と表示がある場所で、実際には雑木に遮られ見晴らしはありません。鷹討山や深山山頂より40mほど低くなるものの、この先に高いピークはなく、地形的に北に開けたポイントとなっています。SWRを計ったところ、鷹討山と違い1.2近くまで下がってくれました。理由はわかりません。樹木や地形の影響でしょうか。




 再度IEL局をお呼びしたところ、今度は明瞭な信号で入感。微妙に位置を合わせ52-55。DVデジタルに移っても安定して交信を続けることができました。使ってみて気づいた点としては、指向性が考えていたよりも強く、55の信号でも回すとまったく入感しなくなります。また、偏波面は垂直でも水平でもなく、斜めで強く入感。相手局にもよると思いますが、おおかたそんな感触でした。ループなので、垂直、水平双方の信号をある程度拾うわけです。斜めというのがその絶妙なバランスということになるのかもしれません。三脚に設置した状態で、回したり、偏波面を変えたりしながら信号を捉える。そんなアンテナになるかと思います。その後、数局と交信。仙台市泉区(北泉ヶ岳)、南三陸町(田束山)移動局とは0.1Wにパワーを落としQSOいただきました。






 利得は特段感じられないものの、軽い(120g)、設置が楽、指向性もあるところが利点かと思います。単ループは癖が強く、使いこなし甲斐のあるアンテナとの印象です。また試してみます。









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1λ単ループアンテナ・ガンママッチ(145MHz)

2020年01月11日 | ループアンテナ

 電圧給電式との比較をしてみたいと考え、一般的な給電方法(電流給電)による1λ単ループアンテナを作りました。ループアンテナのインピーダンスは110Ω程だそうで、そのまま同軸ケーブルにつないでも整合しません。145MHzの場合、多エレメントにしてエレメント間隔でインピーダンス調整することが多いと思います。自分も以前に4エレを作りました。もしくはツインループにすると50Ωとなりそのまま給電できます。これも以前に作りました。
 
 今回はシングルループ。どのようにマッチングさせるのか? 実際のところ、これがけっこう厄介です。1λのエレメントでもあり、コンデンサーのみで簡単に整合するだろうと安易に考えていたのですが、とんでもないです。単ループならヘンテナの方がはるかに楽です。いろいろ試しては悩みを繰り返し、最終的にガンママッチで事なきを得ました。



〈材料〉
・エレメント 帯鋼 長さ2.0m
・塩ビパイプ 太さ1cm 長さ70cmを2分割
・タイトバリコン5pF
・BNCコネクター
・銅パイプ 太さ5mm
・ミノムシクリップ
・タカチのプラケース
・三脚取付け用ナット

回路図、下記のとおり。



〈製作〉
 山で使えるように塩ビパイプを2分割とし、タカチのプラケースに組み込みました。製作で手間がかかるのはケースの穴あけくらいです。塩ビパイプ下部、エレメント接点(銅パイプ加工)、バリコン、コネクターをそれぞれケースに取りつけ、配線。ガンママッチ部は固定してしまうと収納が難しくなるので、リード線にミノムシクリップとし、接点変更できるようにしました。浮遊容量が発生しないよう短い配線を心がけましたが、各部品の配置の関係で少し長めになったかもしれません。組立ては上部パイプを連結し、帯鋼を下部パイプの接点に差し込みループを作って完成です。三脚に固定して使います。重さ120g。収納時の長さ約35cm。












〈調整〉
 ガンママッチというのは、エレメントの一部を活用した一種のショートスタブです。ミノムシクリップで接点を探っていきます。アナライザーのSWRグラフが145MHz帯で大きく下がってきたら、バリコンを回しベストの状態に追い込む。並行部15cmで共振点145.000付近、SWR1.2以下となりました。こう書いてしまうと簡単ですが、接点を見つけるまでの試行錯誤にほとほと疲れました。バリコン併用で正解でした。接点のスライドのみでマッチングさせるのは難しいと思います。接点とバリコン位置の目安さえつかんでしまえば再現性、安定性は悪くありません。








 今回は給電方法、調整に手間取りました。いろいろ試してもどうにもならず、途中でやめようかと思ったくらいです。単ループアンテナはいろんなバンドで受信用に使われます。受信だけならよいのですが、送信もするとなるとけっこう手ごわい、ということがよくわかりました。





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ニューイヤー

2020年01月03日 | ループアンテナ



 昨日午前、アンテナのテストを兼ね、短時間ですが運用しました。いつもの大年寺山。

<装備>
アンテナ 電圧給電式ループアンテナ、ピアノ線コイルアンテナ
リグ   ID-51(145MHz 5W)

 現地にてアンテナの測定をしている内に午前9時を過ぎてしまいました。ループアンテナの方でワッチするとバンド内ほぼ埋まっている状態。山岳移動の際に何度もお相手いただいている登米市固定局にお声掛けしたところ、「レポート51。今日はずいぶん弱いですね」とのこと。こちらには56で入感。距離50kmほど。ハンディ機なので致し方ないかなと思いつつ、ピアノ線コイルアンテナに変更し、レポートをお願いしました。その結果、55-58。明らかに信号が上がりました。


ピアノ線コイルアンテナ(エレメント70cm)



 二つのアンテナを使い、CQを出したり応答に回ったりしながら20数局に交信いただきました。ピアノ線コイルアンテナは安定した性能で、受信、送信のバランスも悪くありません。一方、ループアンテナの方はいくつか腑に落ちない点が感じられました。

1)偏波面について。ループなので横向きで垂直偏波と考えていたのですが、立てた状態で信号が強まります。一般的なループと異なり、電圧給電式の場合、縦向きで垂直偏波となる?

2)周りの環境(樹木やモノ、人体)に影響を受けやすいアンテナです。オペレーターの位置によっても共振点およびSWRが大きく変化してしまいます。登米市固定局からのレポートが良くなかったのも共振点がズレた状態だったかもしれません。


電圧給電式ループアンテナ(3/4λ)



 あらかじめ癖をつかんでおけば使えなくもないですが、挙動不明のままでは精神的によろしくありません。マッチング回路を見直すとか、コイルの配置、ケーブル引き回し、あるいはケーブル長を変えてみるとか・・・。はたして安定して使えるようになるものなのか? 不確実な変数の多すぎるアンテナ。その分、奥を探る面白さがあり、アナログな繰り返しで少しづつ隙間を埋めていく。これもアマチュアの醍醐味かな、と思ったりもします。 新年早々、試したいことがまた増えてきました。






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電圧給電式ループアンテナ再調整(3/4λ)

2019年12月31日 | ループアンテナ



 屋外であらためて測定したところ、SWRのグラフは室内とあまり変わらないものの、1.5以下になりません。トリマーを回しても、コイル接点を変えてもどうしても下がらず、です。コイル直結の電圧給電かつトリマーをハンダ付けしているので、コイル幅を調整するというわけにもいきません。残るのはエレメント寸法のみ、ということで再調整することにしました。

 現状の帯鋼エレメントは200cm。145MHzの1λループなので、おおよそで良いだろうと。これで間違いではないと思うのですが、ループに電圧給電した際の挙動がよくわからないことから、マッチングが取れるまで長さを調整し、追い込めるだけ追い込んでみることにしました。

 アナライザーのグラフでは、145MHz帯よりかなり下の方でSWRが大きく下がる箇所があります。帯鋼をカットしていけば共振点が上がってくるはずと予測をつけ、数cmずつカットしては測定を繰り返しました。いくらなんでも切り過ぎでは思いつつ、結局50cmカットしたところでSWR1.1、ベストマッチングとなりました。エレメント長150cm。直径48cmのループ。見た目はかなりコンパクトになりました。3/4λループアンテナ?






 本来、エレメント寸法はいじらず、マッチング回路側で調整すべきものではありますが、マッチング回路の方にエレメントの長さを合わせたということになります。目的の周波数で共振はしており、SWRも下がっている。でもアンテナとしての動作は? 釈然としないところはあります。





 ベランダで受信テスト中、タイミングよく岩手県平泉町移動局のCQが聞こえてきました。垂直偏波(横向き)で方角を合わせ応答すると、レポート41でコールバックあり(5W送信)。こちらには56で明瞭に入感。パワーの違い? 相手局側はモービルホイップとのこと、バックノイズの中から変調を拾う感じだったようです。平泉町まで約90km、飛ばないアンテナでもなさそうです。次回にでもあらためて試してみます。





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電圧給電式1λループアンテナ

2019年12月30日 | ループアンテナ


 このところ電圧給電(ノンラジアル回路)の面白さにはまっています。ラジアル不要、エレメントの端から給電する方式のためアンテナ形状の自由度が高く、棒状のエレメントに限定されることもありません。試みとして145MHzの1λループに給電してみました。




 一般的なループアンテナは、ループエレメントの切れ目にケーブルの芯線、網線をつなぎ給電します。電圧給電の場合は、クローズドのループの一カ所に単線給電となります。マッチング回路側から見れば、棒状のエレメントかループかの違いだけです。

<材料>
・帯鋼2.0m
・塩ビパイプ 太さ1cm 長さ70cm
・コイル 太さ2.2mmなまし銅管 直径3cm 5回巻き 
・トリマーコンデンサー(1.9~16.1pF 耐圧300V)
・BNCコネクター
・三脚固定ナット
・ミノムシクリップ、木板、他

 マッチング回路自体は「ノンラジアルアダプター」に掲載のものと同じです。当初、ノンラジアルアダプターにループエレメントを接続することを考えましたが、1λループともなると直径が大きくなり、新たに作ることにしました。マッチング部以外の製作はいたって簡単で、要は、ループエレメントを固定できればよいわけです。エレメントにはグローバルアンテナ研究会で領布されている帯鋼を使いました。長さ70cmの塩ビパイプを2分割とし、下部パイプを木板に空けた穴に固定。接点を取り付け、コイルの一方をつなぐのみです。塩ビパイプ上部と下部に帯鋼エレメントを差し込み、ループを作れば完成。












 ループに電圧給電は初めてで、うまくマッチングしてくれるか不安でした。ノンラジアルアダプター(1/2λエレメント取付け)と同じ位置、コイル3巻き目にミノムシクリップを挟み、トリマーを回しましたが、SWRは下がらず、明確な共振点も見つかりません。クリップをコイル2巻き目に変更、トリマーで調整し、さらにコイル接点を探ったところ、145.000付近でSWR1.2まで下がってくれました。これ以外の組み合わせはどうかと試してみたものの、良い接点はみつからず、これで良しとしました。1/2λエレメントのようにベタ落ちとはなりません。逆に帯域は広いようです。今回のところはループにも電圧給電できること、整合が取れることが確かめられただけでとりあえず満足です。






 ループアンテナなので、立てた状態で水平偏波、横向きで垂直偏波となるはずです。でも、実際に受信した感じでは、立てた状態の方が強く入る信号も少なくありません。指向性もあります。使用の際は三脚に取り付け、立てたり横向きにしたり、あるいは斜めにするなどし、なおかつ回しながら使うことになるかと思います。1ループなので利得は期待できませんが、重さ170g、コンパクトに収納でき、設営も簡単。性能的な検証を兼ね、里山歩きの際にでも使ってみます。












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144MHz 4エレ・ループアンテナ

2017年08月08日 | ループアンテナ


 グローバルアンテナ研究会のホームーページを見て、作ってみたいと何度も思いながら躊躇していたアンテナです。1λループなので1周2m前後、それが4エレとなるとドラム缶を小さくしたくらいの体積になります。そんな目立つアンテナを山頂で使えるのか、現地での組み立て・設営が複雑になるのではないか、なによりザックに収納できるのか、など克服すべき課題が多すぎて、思いあぐねていたのです。それら課題はそのままではありますが、走りながら考えるということで、作ってみることにしました。


 
 製作にあたって、次の点を考慮しました。
 1)組み立て、設営、撤収のしやすさ
 2)なるべく軽く作る
 3)強風に耐えうる程度の丈夫さ

 〈材料〉
 ・ブーム 直径10mm塩ビパイプ2本(97cmにカット)
 ・マスト 直径15mm塩ビパイプ1本(64cmにカット)
 ・エレメント ステンレスバネ線(1.2mm×30cm)10本入り3個
 ・直径2mm銅パイプ、3mm銅パイプ、4mm銅パイプ 各種
 ・M3ボルト、蝶ナット、丸端子
 ・BNCコネクター

 基本的な構造、寸法、作り方は、グローバルアンテナ研究会のHPに掲載されている「144MHz 4エレループアンテナ」と同じです。ご参照ください。研究会ではブームに「カプセ」を使っていますが、耐風性を考え塩ビパイプにしました。ブームが動かないようマストに切れ込みを入れ、ボルトと蝶ナットで固定します。その際、2本のブームが並行になるよう切れ込みを調整します。円柱形アンテナなのでこの部分(骨組み)をしっかり作り込まないと、後で歪みのもとになります。






〈バネ式エレメント〉
 研究会定番の「帯鋼」でなく、ステンレスバネ線を使いました。目立ちにくく、風の抵抗が少ない、サビの心配がないことに加え、帯鋼に比べ張力が強いのが理由です。ブームへの取付けはバネ線の張力を利用します。長さ30cm のバネ線を2mm銅パイプで連結しハンダ付け。それを各寸法にカット。ステンレスなのでニッパーでは歯が立ちません。ワイヤーカッターなら簡単に切断可。加工性は悪くないと思います。上下2分割とし、エレメントの長さ約1m×8本。コンパクトに分割も考えたものの、現地での設営に手間がかかる上、落とした時に見つけにいくので、やめておきました。


バネ線差し込み式

給電部1 銅パイプに穴を開けBNC接点に通しハンダ付け

給電部2

給電部3 


 ブーム側は、所定の位置に穴をあけ、3mm銅パイプ(4cm)を接着剤で固定。この銅パイプ両端にバネ線エレメントを差し込みます。給電部も差込み式。BNCコネクターの芯線に4mm銅パイプをハンダ付けし、グランド側に丸端子。ここにエレメントを差し込みます。なおRaのみエレメント片側を3mm銅パイプとし、接触面の安定を図りました。






〈設営〉
・三脚にマストを固定する(クリップ式)。
・マストにブーム2本を蝶ナットで留め、骨格部分を作る。
・各エレメント上下をブームの銅パイプに差し込んでいく。

 所要3分程でしょうか。組み上げてみると、ループの大きさを実感。4つのループがきれいにそろってくれれば良いのですが、そうもいきません。ブーム側の銅パイプを微調整し、まずまずの形になってくれました。総重量240g。アンテナ中央を持ち上げるため、三脚とのバランスは悪くないです。

〈調整〉
 エレメント寸法、間隔ともグローバルアンテナ研究会の通りに作ったので、無調整でSWR1.3と良好でした。バネ線の差し込みに余裕があり、各エレメント3cmほど長さを変えられます。Raを調整したところ、1.0ベタ落ちとなりました。わりと素直な特性です。

〈バネ線の有用性〉
 今回の製作で、素材としてのステンレスバネ線の有用性が感じられたのは収穫でした。30cmと手頃な直線で太さも各種あり、ループのみならずホイップ系にも使えそうです。ただ、帯鋼と違い丸めて収納ができません(癖がついてしまう)。直線のまま収納なので、山に登る時はザックサイドに取り付けることになります。また、先端は危険なので取扱い注意です。


アンテナ一式 

エレメント収納ケース 塩ビパイプを加工


 以上、一応の完成をみました。ある程度の丈夫さと軽さは両立できたように思います。丈夫な電波を届けてくれそうな予感はあるものの、利得や指向性、ケーブル引き回しの影響など性能的なアプローチはこれからです。これまで自作したアンテナはどれも直線や平面であり、立体形というのは感覚的に捉えられる空間範囲が異なります。山岳で使うことを考えると、このくらいまでが身の丈に合っているかな、といったところです。今回、自分なりの工夫を取り入れたところもあり、敬遠していたループ系アンテナの製作に少し手応えを感じることができました。工夫のしどころはまだまだあると思います。何度か使ってみて改良を加えてみます。








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2m用クワッドループ ショートスタブ給電

2016年08月16日 | ループアンテナ


 ループ系のアンテナは、山に持っていくには収納の問題があり、ヘンテナ以外はあまり興味がわきませんでした。海外のサイトを見ると、ループにしてもダイポールにしても、様々な給電方式で製作されているようです。ふと、先日作ったJ型アンテナ用のショートスタブでループに給電してみたらどうかとの考えが浮かび、試しに一本作ってみることにしました。



 ループにもいろいろありますが、今回は作りやすいクワッドループとしました。ショートスタブは「3/4λJ型アンテナ」のものをそのまま活用。

 <材料、作製>
・直径4mm、長さ1mのアルミ棒を25cm×50cm×25cmに曲げる。これを2本作る。
・直径5mm銅パイプ4cmを4本用意し、2本づつ直角にハンダ付けする。
 これをショートスタブ先端2か所に取り付ける。
・直径5mm銅パイプ30cmを1本用意。
・折り曲げたアルミ棒をそれぞれ銅パイプに差し込み四角形にする。






 仮固定として、エレメントが銅パイプから抜けないよう結束バンドで留めておきました。最終的には、片方をハンダ付けまたは接着するなどして強度を確保しようかと考えています。ループ寸法横50cm、縦52cmのクワッドループ。形としては完成ですが、このままでは自立しないので、1mの角材に結束バンドで固定、あとはいつものように三脚に取り付けるだけです。






 さて、問題は給電部。ショートスタブのどの位置でマッチングがとれるのか、見当付きません。ということで、ミノムシクリップで位置を探りながら給電してみました。はじめに3/4λJ型アンテナと同じ位置(下端から12cm)としたところ、SWRは無限大。少しずつループ側に移動させ、37cmで一応マッチングがとれました。といっても1.3までしか下がらず、ベタ落ちとはなりません。ショートスタブはもっと小さいものでも良いのかもしれません。また、エレメント寸法も追い込む余地はあると思われます。




 ベランダで受信したところ、タイミングよく石巻市上品山(距離約50km)移動局の交信が聞こえてきました。ループなので指向性があります。同じベランダ設置のモービルホイップ(CSB7900)より少し弱いような印象はあるものの、使えなくはないと思い、応答してみました。こちらから57、相手局から52(双方5W)。ノイズが少し絡んでいる、とのレポートもいただきました。エレメント、給電部とも仮固定の状態では致し方ありません。スタブ給電ループで交信できたこと自体、とりあえず満足です。このマッチング法、構造が簡単かつ調整も楽、他にも活用できるのでは? もう少し作りこんでから、また使ってみます。



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2分割式7エレループ(430MHz)

2010年11月25日 | ループアンテナ
 ハムフェアで買い求めた帯鋼。定番のループアンテナを作ってみました。グローバルアンテナ研究会のホームページでGS-7の名称で紹介されているものを参考にしました。430MHzの7エレループ。エレメント長や配置はGS-7と同じなので、特にオリジナルなことはありません。「そっくりまねて下さい」とのことなので、まねさせていただきました。ホームページにはいろいろな八木やループアンテナの作り方が紹介されていて、はじめは2m用のループをと考えていたのです。ただ、ブームをどう分割するかなど山岳移動にはクリアしないといけない課題が多く、手初めに430用を2分割式で作ってみることにしました。



 《ブームの材料》
 ・直径1cmほどの塩ビパイプ40cm2本と1ランク太いパイプ8cm
 ・直径6mm銅パイプ10cm
 ・プラスティック仕切り板7枚

 《エレメント材料》
 ・帯鋼
 ・5mm銅パイプを2cmに切ったもの9個(内1個は放射エレメントの固定用)

 《その他》
 ・同軸ケーブル、直径3mmボルト、ナット


材料一式

 グローバルアンテナ研究会ではブームに「カプセ」という材料を使っているようですが、ホームセンターを見て回っていたら、「カプセ」の隣に、黒くて細い塩ビパイプが1mの長さで売られていました。太さも数種類あり、細いパイプに太いパイプが上手くはめ込めるようになっています。今回はこれを使うことにしました。まずは、ブーム作り。

 ・1mの細い方のパイプから40cmを2本切り出す。太い方は8cm。
 ・エレメントの配置カ所に印をつけ3mmの穴をあけて貫通させておく。
  エレメント間隔は下記の通り。
  D5-D4=195mm D4-D3=130mm D3-D2=123mm
  D2-D1=122mm D1-Ra=63mm Ra-Re=110mm
 ・Ra放射器用の穴だけは、90度真横から開けておく。
 ・3センチ程のプラスティック仕切り板に同じく3mmの穴をあける。
 ・さらにガスで熱した帯鋼でエレメントの通し穴を溶かしてあける。
  これを6個作る(エレメント固定部品)。
 ・給電部用の仕切り板は中央に3mmの穴をあけておく。
 ・パイプの穴に仕切り板をボルトで固定する。


エレメント固定部品 同じものを6個作る
(仕切り板は100円ショップにて。加工が簡単です)

 ブームは登山ザックに収納できるように分割式としました。パイプの空洞に6mmの銅パイプを差し込んで、さらに上から1サイズ大きいパイプを重ねることで連結できるようにしてみました。見た目の仕上がりも悪くありません。


ブーム2分割

連結状態


 続いてエレメントの作製。
 ・帯鋼を7本切り出します。一応、寸法を記しておきます。
  D5~D2=625mm  D1=678mm Ra=704mm  Re=749mm
 ・帯鋼の両端をヤスリで磨く。
 ・直径5mm銅パイプを軽くつぶして両側から帯鋼を差込めるようにしておく。
 ・Ra以外の帯鋼の片側につぶした銅パイプを半分差込みハンダ付け。


帯鋼に銅パイプをハンダ付け

もう一方を差し込んでループに

給電部

結束バンドで固定


 給電部は、同軸ケーブルの芯線と網線をそれぞれつぶした銅パイプに半分差し込んでハンダ付けし、仕切り板に結束バンドで固定します(最終的には上から接着剤で固定)。ケーブルは損失を考えて5D-FBを使ってみました。工作は以上です。7エレということで部品点数も多く、半日程費やしました。

《組み立てと収納》
 ・仕切り板の通し穴に帯鋼を差し込んで、ループを作る。
 ・給電部は、上下の銅パイプに帯鋼を差し込む。
 ・収納は上記の逆。帯鋼はそのままだと長いのでループ状にして仕舞う。
 ・放射器もループ状に仕舞えるように銅パイプを作っておく。

  慣れれば、1分もかかりません。


完成状態

収納状態

 さて、完成した7エレループですが、きれいにループが並んでくれません。原因は、ブームの穴あけの精度が不十分なため、仕切り板の取付け角度に誤差が出てしまったようです。ブームの連結部分を微妙に回したり、仕切り板を少し曲げたりして、なんとか整えることができました。また、エレメントは穴に通しているだけなので、ぶらつきます。性能に影響はないと思いますが、精度を確保する上では、「カプセ」をブームに使った方が簡単でベターかもしれません。

 帯鋼は軽量で簡単にループが作れる点に優位性があり、ハンダ付けや接着剤などで固定してしまえば、安定して使える材料です。ただ、収納と設営を繰り返しおこなう山岳移動用としては、もう一工夫必要かな、というところです。

《調整》
 アンテナアナライザーが430に対応していないので、今回はSWR計のみ。完成した状態で、SWRは432.500~433.500の間で1.2~1.3、ほぼフラットでした。同軸ケーブルを反射器の後方に伸ばした方が落ち着くようです。特に調整もせず、この状態で良しとしました。


目玉クリップで三脚に取付け

《使用感》
 まだベランダにて受信のみです。7エレだけあって指向性は鋭く、少し方角がずれただけで信号が途端に落ちます。方角を合わせれば急に浮き上がってきます。また、バックから何も聞こえない信号がフロントでは59。FB比もたいへん良好です。こういう信号の浮き方をするアンテナは初めてで、山頂でCQを出す場合は方角を定めるのに悩むかもしれません。少しずれているだけでまったく応答なし、ということになりそうな・・・。

 スイスクワッド(シングル)との聞き比べもしてみました。フロントでは7エレループがSで1~2ほど上ですが、全体の印象(了解度)としては、同等な感じを受けました。スイスクワッドは15cm×10cm×5cm程のコンパクトサイズですが、たいへん効率の良いアンテナとあらためて見直しました。


 休日の出張が続いて、しばらく山での移動運用はできそうにありません。機会をみて使ってみたいと思います。




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ツインデルタループ 144MHz 移動用

2009年04月30日 | ループアンテナ
 コンパクト化が困難で持ち運びにくい理由から、これまでループ系のアンテナはヘンテナを含めて敬遠していたのですが、デルタループならなんとかなりそうと思い、いくつかのホームページを参考にして作ってみました。デルタループのインピーダンスは約100オームとのことで、50オームとなるようにツインにし、直接給電としました。一見するとAWXアンテナのようにも見えますが、一辺が約70センチ×6の一つのループになっています。利得は5db程あるそうです。風の抵抗を考えて、アンテナマスト直結型としました。




《材料》
・伸ばした状態の長さ80センチのロッドアンテナ4本
・ビニール線72センチを2本
・みの虫クリップ4個
・塩ビパイプ50センチ1本

 80センチのロッドアンテナ4本は近所のマルツパーツ館で調達。1本500円で計2000円でした。その他の材料は有り合わせのもので作りました。

《作製》
・塩ビパイプにドリルで3ミリ穴を1センチ間隔で2箇所空けます。
 穴はパイプの後ろ側まで貫通させます。
・同軸ケーブルは芯線、網線それぞれに端子をハンダ付けしておきます。
・ビニール線両端を1センチ程剥いてみの虫クリップをハンダ付けしておきます。
・ボルトに同軸芯線端子、ワッシャー、ロッドアンテナ2本の順に通した上で、
 上の穴に通し後ろから蝶ねじで固定します。
 同軸網線端子の方も同様に取付けます。
 
 組み立ては以上です。


給電部


給電部拡大1


給電部拡大2


ロッドを伸ばす前の状態


みの虫クリップ取付け


ビニール線をクリップではさんで完成した状態


《設置・撤収》
 三脚の目玉クリップに塩ビパイプを固定し、ロッドアンテナを上下90度程度になるように伸ばします。2本のビニール線をみの虫クリップで上下ロッドの先端をはさむようにします。あとはケーブルをハンディ機につなぐだけです。撤収は、この逆なので、1分もかからないと思います。




《調整》
 ロッドアンテナの長さで調整します。はじめ、4本のロッドをすべて70センチでSWRを計ってみたところ、1.7程で若干高めとなりました。伸ばしたり縮めたりした結果、最終的には、4本全て75センチ程で1.1まで落ちました。帯域も広く、バンド内ほぼベタ落ち状態です。上下エレメントの角度は80度くらいです。ビニール線を75センチくらいで長めにカットしておいた方が、ロッドエレメント側の寸法を短くできるので、強度も増すのでは?と思います。


《持ち運び》
 下のロッドが邪魔して、上のロッドが完全に下向きにならず、斜めになっています。これが難点ですが、ケーブルごと袋に入れてしまえば、デイパックにすっぽり納まります。重さは350グラム程です。






《使用感》
 まだベランダで使ってみただけです。ロッドアンテナとみの虫クリップ留めなので、耐久性はほとんどありません。三脚に固定しても、いかにも頼りない感じで、風が強い日は厳しそうです。市内の信号が聞こえておりましたので、アンテナを回したところ、はっきりとした指向性がありました。給電部方向を向けると強く入感します。同じベランダの3エレ八木との比較では、S2つくらい弱いです。利得5dbの評価どおりの性能と思います。丸森町(当局より約50キロの距離)からのCQが59で聞こえましたので、応答したところ、同じく59のレポートとハンディ機4Wでこのくらい入感していれば立派なものとのコメントをいただきました。とりあえず、実用にはなるようです。連休中にいくつか山行を計画していますので、天候の条件が良ければ、さっそく使ってみたいと思います。

《追記》
 見ておわかりの通り、ビニール線を取り付けなければ、AWXアンテナとしても使えます。その場合は、4本のロッドアンテナの長さを49センチに調整します。これでSWRは144MHz、430MHz共に1.1とたいへん良好でした。2バンドOKです。ロッドアンテナ先端の細い部分を使わないので、耐久性も上がります。移動の時は、風の強さ次第で、こちらで使う場面も多くなりそうです。



《追記2》
 ツインデルタループの状態で使ってみました。運用場所は、山形県朝日町の一本松公園。棚田百選の「くぬぎ平」を見下ろす風光明媚なところです。周りは山また山なので、必ずしも無線に適しているとは言えないのですが、棚田を眺めながらのQSOに惹かれて登ってみました。
 指向性があるので、0エリア朝日連峰方向に向けてCQを出したところ、バックから応答がありました。約1時間で石巻市、大崎市田尻、七ヶ宿町(刈田岳駐車場)、山辺町、村山市と交信できました。石巻市とは55-55、大崎市田尻とは51-51でした(どちらも直線距離で100キロ程度)。スケルチが開いて呼ばれているようなのですが、まったく了解できないケースもありました。アンテナを回してみると、給電部方向で強く入感し、バックもさほど変わりません。サイドの信号はスパっと切れて聞こえなくなります。これが8の字特性というのでしょうか。風さえ強くなければけっこう使えるアンテナではあるようです。
コメント
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