JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

硯上山-白石スキー場 特小実験

2013年04月28日 | 奥山 移動運用


 石巻市の最高峰、硯上山。標高520m。昨年、吾妻小富士との間で特小トランシーバー10mWによる交信実験を試みましたが、強風や濃霧などの影響により交信ならず、失敗に終わりました。

 今回、相手局(ふくしまFK123局)は蔵王の白石スキー場に移動。硯上山との間で交信実験を試みました。カシミール3Dによれば、両地点の距離は約 93km。「見えます」判定。白石スキー場からは、目の前の青麻山の北をすり抜け、ちょうど仙台の我が家の上空付近を通過、松島湾を北上し、この山頂に届く、そんな位置関係となります。その間に影響を与えそうな山はなく、これまでの経験からすれば、十分、交信可能なはず。ただ、相手局のリグは、IC-4300Lというアイコムの新型機で、単三電池1本で動作するタイプとのこと。はたして90kmオーバーの交信は可能なのか?


理想的な見通し空間ではありますが・・・


 この辺りの最高峰だけあって、硯上山は風の強いことで知られます。驚いたのは、山頂にあった高さ30mほどのアンテナ鉄塔が根本から倒壊していたことです。何日か前の強風で倒れてしまったようです。自然の力はすごいですね。今日も時々突風が吹きつけてはいますが。日差しがあり、寒くはありません。9時50分、いつものように430MHzで連絡。相手局は白石スキー場の駐車場。上空は黒い雲であられ模様とのレポート。


倒れた鉄塔と雄勝湾


 9時58分、さっそく、特小トランシーバー10mWによる実験開始。こちらから呼んでみたところ、すぐに応答あり。Sメーターは振りませんが、弱いながらもすべて了解可能。こちらの信号も了解できるとのことで、51-51のレポート交換。交信成立。この状態で5分ほど交信を続けたところ、白石側で雷雲が発生し空電ノイズにより突如了解不能となってしまったようです。いくら呼んでも応答なし。相手局の変調はこちらには終始聞こえていたのですが・・・。スキー場上部まで登ってみるとのこと、いったん休止。


当局のリグ DJ-R20D 単三電池3本使用



 10時45分、白石スキー場1130m地点との間で、実験再開。雷、あられ、強風とたいへんな様子。こちらの信号が空電ノイズで時々途切れるようですが、先ほどよりは安定した信号となり、52-52で交信成立。当局のリグ(DJ-R20D)のSメーターが1個点灯。距離 93.6km。アンテナ角度は垂直でも水平でもない45度。この状態で約1時間のQSOを楽しみました。単三電池1個のトランシーバー、たった1.5V動作、それで93kmもの交信ができるとは・・・細々ながらも落ち着きのある信号にしばし感動してしまいました。


 刻々と変わる気象条件、ちょっとした位置の変化。電波をとらえ、たぐり繰り寄せ、時に途切れながらも交信にたどり着く。特小ならではの楽しさにますますハマりそうです。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

蔵王連峰 地蔵山

2013年04月15日 | 奥山 移動運用


 蔵王連峰、地蔵山。標高1736m。震災前は幾度となくここで無線を楽しんできました。震災直後は無線どころではなく、登山も控えていたのですが、しばらくして最初に声を出したのもこの山でした。自分にとってはホームグランド的な存在。ゴンドラで一気に1700m付近まで上がれること、悪天候になってもすぐ撤収して下山できること、思わぬ飛びが期待できること、など無線運用には好都合な山です。ここで運用するもよし、熊野岳まで足を延ばすもよし。

 さて、例年なら3月中旬には春山に向かうところですが、この数週間、当地は週末雨のスパイラル。今回、しばらくぶりの好天に恵まれ、シーズン初の移動運用敢行となりました。


ゴンドラから地蔵山と熊野岳(右奥)

お地蔵様もこの通り


 10時30分山頂着。強風の中、山スキーのパーティ数組と単独行が熊野岳に向かっていきました。天気は快晴。山形盆地を挟んで、朝日連峰と飯豊連峰が白壁のように連なって見えます。この時期ならではの絶景。


地蔵山山頂

熊野岳


 さっそく無線の準備。リグはDJ-S57。145MHz。アンテナはHB9CV。このアンテナ、年始以来なのでアナライザーで測ってみたところ、案の定、周波数がずれていました。急場しのぎにロッドを調整しSWR1.2までなんとか落とすことができたのですが、本来の寸法とは違うような・・・。まあいいか。山頂でいつまでも調整というわけにもいかないし。ということで、CQを出したところ、新潟市の固定局より応答あり。さらに岩手、宮城、山形、福島各局から途切れなく応答いただきました。風切り音が入って了解度が下がるとのレポート。薄手の手袋をハンディ機にかぶせてみたところ、けっこう効果あったようです。北は一関市、南は郡山市、西は燕市。ロッドエレメントのネジも少し緩んでいたのか、風で変形したため、ここで終了。約1時間半で16局に交信いただきました。


HB9CV

風切り音対策のつもり


 さて、HB9CVを撤収中、RH770を差し込んでいたDJ-S57から、かすかなCQが聞こえてきました。「ポータブル0、妙高市・・・山頂移動、144.92にてお相手ください」。こういう時に困るのが、指定された周波数をローカル局で使っているケースです。その場合、交信は絶望的となります。ローカル局に遥か遠くからの信号は聞こえていないわけですし、たとえ聞こえていたとしても、誰にも罪はありません。ご縁がなかったということ。ところが、この時は、ラッキーなことに何の混信もなし。メインと同じ程度のか細いCQが聞こえてきました。

 さっそくコールしたところ、新潟局も呼んでいたようで、応答なし。2度目のコールで交信成立。相手局は新潟県妙高市と長野県飯山市の県境にある鍋倉山山頂とのこと。標高1289m。52-52でレポート交換。ハンディ機2.5W、アンテナも同じRH-770をお使いとのことでした。山頂からスキーで大滑降を前にCQを出されたのだとか。続いてもう1局おられるということで、呼んでいただきました。長野県飯山市移動。こちらも52-52。地蔵山と鍋倉山間は、約240km。この日の最長距離、地蔵山から長野県の移動局は初めてで、記憶に残る交信となりました。



 下山後、カシミールで調べてみたところ見通しではなく、飯豊連峰の他、いくつものピークがルートを遮っています。それらをくぐり抜け、または反射し、よくぞ届いてくれたものです。信号強度は弱く若干ノイズがあるのもの、ラグチューできる程度の終始安定した信号でした。

 HB9CVのままであれば、アンテナの向きによっては気づかずにいたかもしれません。またこちらがもう少し運用を続けていたら交信できなかったろうと思います。撤収して、RH770に付け替えたこと、メインをワッチしていたこと、まさにその時、相手局がCQを出されたたこと、QSYした周波数に混信がなかったこと、などなど、幾重もの偶然によるベストマッチング。今回も出会いの不思議さを実感しました。


 最後に1200MHz。1局のみ拾っていただきました。大崎市の固定局と41-51。蔵王から声を出せば何局か交信できるかと期待しましたが、甘くはないようです。DJ-G7。1W。付属ホイップ。






コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

レトロ風ミニループゲルマラジオ

2013年04月07日 | ゲルマラジオ


 先日、仙台駅前の丸善で面白い本を見つけました。『レトロラジオの製作へ誘う本』(CQ出版社)。題名そのままの内容。今から80年ほど前、全盛だったころの鉱石ラジオを再現したものや新たな工夫を加えたもの、バスケットコイル、ループアンテナなど、興味をそそる製作例が紹介されています。この本に触発されて、性能重視のミニループアンテナ付きレトロ風ゲルマラジオを作ってみました。




 ループアンテナを大きくすれば感度が上がるのはわかっているのものの、我が家の住宅事情では卓上に置いて違和感のない大きさが限界です。ループの形状は、2本の棒を×状に組んだ製作例を見かけますが、作りやすさや耐久性を考慮して、ロの字型を採用しました。以前も菓子箱を利用して同様のものを作ったことがあり、性能的には問題ないはず。

 ホームセンターにてさっそく材料集め。都合よく板切れの端材が特売されていました。またレトロ風な木製台座(置台)も見つけました。この他、L字金具とかネジ類、コイルボビンに使えそうなパイプなど材料数点を調達、これでしばらくは楽しめそうです。

<製作>
 まずはコイル部。
 巻枠の材料は長さ46cm幅3cmの板きれ端材2本を30cmと16cmにカット。これを接着剤と釘でロの字型に組み立てます。×状のループアンテナに比べ、見た目は劣るかもしれませんが、手間はかかりません。歪みやすいので接着剤でしっかり固定させ、黒色スプレーで塗装。大きさ的には、以前にプラスティック容器で作ったミニループアンテナより少し大きめ。縦30cm、横18cm。


幅3cmの板をロの字に組み、塗装


 これに今回は0.1mm×40本のリッツ線を19回巻きとしました。思うような性能が出なかった8の字コイルをバラし、再利用。インダクタンスは170μH。我が家の環境でNHK仙台を受信する場合、このくらいのインダクタンスでもっともよく聞こえることがわかっています。なのでタップは出しません。これでコイル部完成。





 さっそく、以前に作ったゲルマラジオにつないでみました。ミニループとはいえ、この大きさになるとさすが高感度。NHK仙台第一はもちろん第二放送も問題なく聞き取れました。

 コイルの性能を確認できたところで、各部の配線。いつも通りダイオードのみのシンプル回路。材料は、前回のガラス瓶ゲルマラジオとほぼ同じですが、トランスはラジオ少年通販で新たに調達したBT-OUT-1H(20kΩ:8Ω)を使用しました。
・ダイオード1N60(購入先不明)
・ポリバリコン、シャフト、つまみ(ラジオ少年)
・トランスBT-OUT-1H(ラジオ少年)
・ステレオイヤフォン端子(秋月電子)
・木製台座、L型金具など(ホームセンターダイシン)


材料一式


 台座に固定する前に、おおかたの位置を決めて、各部を配線(ハンダ付け)。あとは一つ一つ固定するのみ。まずはループコイルをステンレス製L字金具2個で取り付け。続いてポリバリコンをコイル枠内側に接着剤で固定。台座の方は、空いたスペースにトランスと2Pラグ板(ダイオード)、イヤフォン端子を配置。
以上でレトロ風ミニループゲルマラジオ完成。




台座がレトロ風・・・

バリコンはコイル枠に接着

裏側 コイル部をステンレス製L金具で固定

 
 自己満足ですが、良い感じに仕上がったと思います。テーブルに置いても違和感ありません。なによりこのラジオ、性能が素晴らしい。NHK仙台第一放送は、両耳マグネチックイヤフォンをうるさい程の音量で鳴らしてくれます。前作のガラス瓶ゲルマラジオもまずまずの性能と思っていましたが、それとは別世界。窓辺でなくともOKです。分離もたいへん良好。外部アンテナも不要で実用レベル。30cm×18cmの空芯コイル、やはり大きさに見合った性能が得られるようです。リッツ線を使ったのも好結果につながったかもしれません。




 『レトロラジオの製作へ誘う本』に紹介されている製作例は、もっと手が込んでいて、配線一つ、ネジ一つとっても幾何学的で美しいものばかりです。まさに1920年代を彷彿とさせるレトロラジオ。当時のものがそんな手の込んだものだったのかはわかりません。いつか実物を見てみたいものです。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする