JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

蔵王・熊野岳 2mSSB

2017年08月27日 | 奥山 移動運用



 仙台の記録的な長雨もようやく終わりました。7月22日から36日の連続降雨、観測史上83年ぶりに記録を塗り替えたそうです。そして本日、待ち望んだ晴天。しかも日曜日。何か憑き物でも落ちたような気分。一ヵ月半ぶりに蔵王・熊野岳(山形県上山市)に登ってみました。

 早朝5時自宅を出発、6時30分蔵王刈田岳駐車場着。思いのほか、風が強く寒いです。いつの間にかすっかり秋、それも晩秋のような空気に変わっていました。これからの山は防寒対策必須ですね。ただ、寒かったのは早朝のみで、その後は気温の上昇と共に風も弱まり、まずまずの運用日和でした。7時10分、山頂から少し離れたいつもの運用場所にアンテナを設営。







<本日の装備>
リグ FT-817(144MHz SSB 5Wで運用)
バッテリー リチウムフェライト4Ah
アンテナ 4エレループアンテナ

 今日はSSB の周波数に調整してある4エレループアンテナの感触やLiFeバッテリーのSSB運用での減り具合を検証してみるのが目的です。

 こちらからCQを出したり、途切れて呼びに回ったりし、3時間30分運用、30局と交信いただきました。すべてサイドバンド。FMと違いCQを出してパイルになるということはなく、空振りが圧倒的に多いです。それでもポツリポツリと応答がありました。そして話は簡潔で、長話になることもなく、DX目的のアクティブ局が多いとの印象でした。






 本日は、5エリア、4エリア、2エリア、9エリア、0エリア、1エリア、7エリア各局に交信いただきました。最遠方は四国・高知県の室戸市移動局。弱いフェージングはあったものの了解は問題なく51-51でレポート交換。室戸市とはほとんどが内陸伝搬で、南アルプス、御嶽山、鈴鹿山脈と3重の壁を挟む関係になります。電離層という感じの信号ではないので、いくつもの反射と回折を繰り返し、届いたのだろうと思われます。距離780km。自分の2mでの最長交信記録が塗り替わりました。4エリアは島根県出雲市移動局と51-55。750km。岡山県井原市移動局と57-52。固定局と57-51。740km。なぜか自分の信号の方が強かったようです。2エリアは静岡県焼津市、浜松市。400~450km。9エリア富山県高岡市。340km。0エリア長野県長野市、安曇野市(1局は常念岳山頂移動)、小諸市。270~300km。1エリア群馬、埼玉、千葉、神奈川、栃木、山梨各局。200~300km。7エリア岩手、宮城、福島各局でした。3エリア、奈良県の移動局も52で聞こえ、コーサイン、移動地も十分了解でき、呼んでみたものの、残念ながら応答いただけませんでした。




<4エレループ>
 海上を間に挟む伝搬経路もある一方、ほぼ内陸のみ、しかも間に高い山々をいくつも挟んでの伝搬経路もありましたが、よく飛び、弱い信号も捉えてくれました。大小のフェージング(電波の揺らぎ)を手に取るように感じながらの交信も多くありました。ループアンテナの特性なのか、QSBの谷間でも粘りを見せてくれたようにも思います。また、かなり弱めに入感し、ダメもとで呼んでみたらあっさりコールバックあり、のケースもありました。面白いアンテナです。共振点は144.200MHzに合わせています。帯域が狭くサイドバンド向きのアンテナ。今回はこれが功を奏したのかもしれません。




<LiFeバッテリー>
 内蔵バッテリーをあえて内蔵せず、外付けのリチウムフェライトのみとしました。容量4Ah。2mFMで4時間運用可能です。今日はサイドバンドのみで3時間30分の運用でした。使い始め13.4V。終了時12.9V。このバッテリーは13V前後を維持しながら、ダウン寸前に一気に降下する性質なので、何とも言えませんが、まだかなり持ちそうな感触ではあります。使いきれませんでした。検証ならず。


 SSBはいいですね。ローカル局同士の混信が入ることもなく、心置きなく遠方との交信がQRPでも楽しめます。同じ2mバンドではありますが、FMとは異なる世界。シーズン中は楽しみたいと思います。

 本日も交信いただきました各局様に感謝です。ありがとうございました。




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本日も月山移動

2017年08月20日 | 奥山 移動運用


 この1週間、仙台は雨続き変わらず。ということで、今日もいくらか晴れ間の期待できる山形県・月山へ。2週続けて同じ山というのもいかがなものかと思いましたが、致し方ありません。雨の中、仙台を5時30分に出発。笹谷トンネルを抜けると予想どおり、日が差してきました。8時始動の姥沢リフトですが、実際は7時30分には動いているようです。それを知ってかどうか、皆さん、早いです。リフト終点8時登山開始。姥ヶ岳から牛首あたりまでの稜線は見えているものの、月山山頂は雲の中。今日は一人なので、一気に山頂をめざし、9時20分山頂着。混み合いそうな場所を避け、山頂下にアンテナを設置。


山頂神社の下で運用

山頂付近



<本日の装備>
リグ FTM10S(145MHzFM 3W運用)
アンテナ 4エレループ
バッテリー リチウムフェライト

 先週の鳥海山と違い、風もさほどなく、青空も見えるまずまずの天気。時折ガスで視界がなくなるものの、今日は乾いたガス。エレメントに水滴が付くことはなく、SWR1.1。






 南西に向け方角固定で運用。7エリア、0エリア、9エリア各局に応答いただきました。本日の最遠方は富山市固定局。八木スタックを向けていただき59-59。富山市とは約320kmの距離ですが、遠方とは思えない安定した信号でした。0エリアは新潟市、三条市、長岡市、糸魚川市、妙高市など各局に呼んでいただきました。距離は100km~250km。交信中、新潟市内の局とは相性が良いなと感じていたので、帰宅後、カシミールで調べてみると、月山山頂と新潟市は見通しとわかりました。朝日連峰の北部をすり抜けた後、海上伝搬となるようです。実際、肉眼で見えるかどうかは別として、電波伝搬上は遮るものなし。距離約100km。場所によっては特小1mWでも交信可能かもしれません。どうりで強いはずです。7エリアは、山形、岩手、宮城、福島各局に交信いただきました。バックやサイドからも思いのほか入感。意外にブロード?と思って、気が向いた時だけ少しアンテナを振ってみたところ、ぐーんと信号上がります。4エレなりのことはあるようです。

<4エレループの印象>
 変形3エレ八木に比べ帯域が狭いです。SSBに合わせているので、Ra給電部の反対側にマッチングエレメント(10cmのビニール線両端にミノムシクリップをつけたもの)をかませると共振点が上がります。今回は144.800付近で運用、SWR1.1~1.2以下で問題ありませんでした。推定利得は10dbといったところでしょうか。先週、今週とお空のコンディション自体は決して良いとは思えない中、当方3Wで300kmから500kmの交信ができています。マッチングさえ取れていれば、相応の利得が感じられるアンテナといったところでしょうか。Raのエレメントのみ太いバネ線に換えてみるとか、他の線材を使ってみるとか、それで帯域がどうなるのか、そのうち試してみようかと考えています。





 本日も交信いただきました各局さまに感謝です。ありがとうございました。








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月山、鳥海山で4エレループを試す

2017年08月16日 | 奥山 移動運用



 13日~14日、山形県の月山と鳥海山に登ってきました。この夏、仙台は雨続きで気持ちまで滅入ってきます。日本海側はまずまずの天気。久しぶりに青空を拝むことができました。無線の方は、作ったばかりの4エレループアンテナを試してみました。

 13日は月山へ。早朝、相変わらず仙台は雨。山形側に抜けてもあまり変わらず。期待できないかな?と思いつつ、志津温泉あたりまで来ると、薄日が差し、姥ヶ岳の稜線が見えてきました。リフトで一気に1700m地点に上がり、午前8時30分登山開始。牛首を経て山頂着10時。下からガスが湧いてくるものの、上空には青空もあり、崩れる心配はなさそう。今回はXと一緒なので、無線運用は1時間30分ほど。さっそく、山頂神社の下あたり、他の登山者から離れた場所に4エレループを設置しました。






<今回の装備>
・リグ FTM10S(145MHz 3W運用)
・バッテリー リチウムフェライト
・アンテナ 4エレループアンテナ、変形3エレ八木




マッチングエレメント(給電部反対側)これで共振点を変更可


 このアンテナは目立ちます。設置している最中から質問にあいました。普段、ループアンテナを目にする機会はないわけです。アンテナとは思わないらしく、「何の観測ですか?」と聞いてくる人が多いです。噴火の観測でもしていると思われたのでしょうか? 南に向け、CQを出したところ、7エリア、0エリア、9エリア、3エリア各局より応答いただきました。遠方では、長野県坂城町移動局と53-52、距離290km。富山県富山市移動局と51-51、距離320km。京都府京丹後市移動局と51-51、距離530kmでした。京丹後局との交信では大きなQSBを伴い、相手局側は信号を見失う場面もあったようです。こちらも危ういところはあったものの、アンテナ方向を微調整し、無事ファイナルを送ることができました。今回、北には向けずじまいでしたが、秋田県大仙市、横手市、仙北市、宮城県気仙沼市などから良好なレポートをいただきました。サイドは切れるものの、バックはそこそこ入感するようです。1時間ほど過ぎたところで、急に雨がぱらつきQRTとなりました。



 翌14日は鳥海山へ。晴れてはいるものの、山頂稜線は雲の中。鉾立駐車場を10時に出発。山頂は目指さず、尾根取りつきにあたる御浜小屋付近へ。11時10分着。稜線に出ると、予想外の猛烈な風とガスが吹き付けてきます。視界なし、何も見えず。飛ばされそうになりながら雨具を着込んだものの、さて、どうしたものか。無線運用どころでないのでは?との思いが脳裏をかすめます。

 岩陰で強風を避けられそうな場所をみつけ、迷いながらも変形3エレ八木を設置してみました。ワッチするとバンド内静かです。なぜか、何も聞こえてきません。平日とはいえ、標高1600mの稜線。南北に遮るものは何もありません。・・・? ふと、リグに取り付けていたSWR計を見ると、なんと3以上を示しています。エレメント、給電部にびっしりと付いた水滴が原因。自分の作るアンテナはすべて給電部むき出しで、これまでもこんな状態で運用したことは何度もあるのですが、実際この状態でSWRを確認したのは初めて。これではリグが壊れかねないということで撤収し、4エレループに変更。エレメントが細い分、水滴の付きも少ないかと。始めはSWR1.1と良好だったものの、みるみる上がって3以上に(最大4~6)。受信はさほど影響ありません。パワーの方が約2Wに低下。やはり水滴に弱いのは同じです。こんな状態でも1時間ほど運用し、新潟県、長野県、宮城県、山形県、秋田県各局に交信いただきました。最遠方は長野県長野市固定局と59-59、距離約260km。安定した交信でした。FBなアンテナを向けていただいたようです。
 昨年もこの場所で運用し、ロケの素晴らしさに驚いた記憶があります。8エリアともつながっていることから、北にも向けてみたいと考えていましたが、今回は余裕なく終わってしまいました。


ガスの中から姿をみせてくれた稲倉山


御浜小屋付近


 4エレループの印象としては、このアンテナであれば3Wもしくは1W以下でもけっこう楽しめるのでは?との手ごたえは感じられました。風にもよく耐えてくれたと思います。一方、雨や湿ったガスの影響は改めて考えさせられました。これほどまでアンテナ性能を低下させてしまうとは・・・。エレメントなのか、給電部のみなのか、たぶんその両方? なんらか対策を考えて、リベンジといったところです。

 交信いただきました各局さまには感謝です。ありがとうございました。




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144MHz 4エレ・ループアンテナ

2017年08月08日 | ループアンテナ


 グローバルアンテナ研究会のホームーページを見て、作ってみたいと何度も思いながら躊躇していたアンテナです。1λループなので1周2m前後、それが4エレとなるとドラム缶を小さくしたくらいの体積になります。そんな目立つアンテナを山頂で使えるのか、現地での組み立て・設営が複雑になるのではないか、なによりザックに収納できるのか、など克服すべき課題が多すぎて、思いあぐねていたのです。それら課題はそのままではありますが、走りながら考えるということで、作ってみることにしました。


 
 製作にあたって、次の点を考慮しました。
 1)組み立て、設営、撤収のしやすさ
 2)なるべく軽く作る
 3)強風に耐えうる程度の丈夫さ

 〈材料〉
 ・ブーム 直径10mm塩ビパイプ2本(97cmにカット)
 ・マスト 直径15mm塩ビパイプ1本(64cmにカット)
 ・エレメント ステンレスバネ線(1.2mm×30cm)10本入り3個
 ・直径2mm銅パイプ、3mm銅パイプ、4mm銅パイプ 各種
 ・M3ボルト、蝶ナット、丸端子
 ・BNCコネクター

 基本的な構造、寸法、作り方は、グローバルアンテナ研究会のHPに掲載されている「144MHz 4エレループアンテナ」と同じです。ご参照ください。研究会ではブームに「カプセ」を使っていますが、耐風性を考え塩ビパイプにしました。ブームが動かないようマストに切れ込みを入れ、ボルトと蝶ナットで固定します。その際、2本のブームが並行になるよう切れ込みを調整します。円柱形アンテナなのでこの部分(骨組み)をしっかり作り込まないと、後で歪みのもとになります。






〈バネ式エレメント〉
 研究会定番の「帯鋼」でなく、ステンレスバネ線を使いました。目立ちにくく、風の抵抗が少ない、サビの心配がないことに加え、帯鋼に比べ張力が強いのが理由です。ブームへの取付けはバネ線の張力を利用します。長さ30cm のバネ線を2mm銅パイプで連結しハンダ付け。それを各寸法にカット。ステンレスなのでニッパーでは歯が立ちません。ワイヤーカッターなら簡単に切断可。加工性は悪くないと思います。上下2分割とし、エレメントの長さ約1m×8本。コンパクトに分割も考えたものの、現地での設営に手間がかかる上、落とした時に見つけにいくので、やめておきました。


バネ線差し込み式

給電部1 銅パイプに穴を開けBNC接点に通しハンダ付け

給電部2

給電部3 


 ブーム側は、所定の位置に穴をあけ、3mm銅パイプ(4cm)を接着剤で固定。この銅パイプ両端にバネ線エレメントを差し込みます。給電部も差込み式。BNCコネクターの芯線に4mm銅パイプをハンダ付けし、グランド側に丸端子。ここにエレメントを差し込みます。なおRaのみエレメント片側を3mm銅パイプとし、接触面の安定を図りました。






〈設営〉
・三脚にマストを固定する(クリップ式)。
・マストにブーム2本を蝶ナットで留め、骨格部分を作る。
・各エレメント上下をブームの銅パイプに差し込んでいく。

 所要3分程でしょうか。組み上げてみると、ループの大きさを実感。4つのループがきれいにそろってくれれば良いのですが、そうもいきません。ブーム側の銅パイプを微調整し、まずまずの形になってくれました。総重量240g。アンテナ中央を持ち上げるため、三脚とのバランスは悪くないです。

〈調整〉
 エレメント寸法、間隔ともグローバルアンテナ研究会の通りに作ったので、無調整でSWR1.3と良好でした。バネ線の差し込みに余裕があり、各エレメント3cmほど長さを変えられます。Raを調整したところ、1.0ベタ落ちとなりました。わりと素直な特性です。

〈バネ線の有用性〉
 今回の製作で、素材としてのステンレスバネ線の有用性が感じられたのは収穫でした。30cmと手頃な直線で太さも各種あり、ループのみならずホイップ系にも使えそうです。ただ、帯鋼と違い丸めて収納ができません(癖がついてしまう)。直線のまま収納なので、山に登る時はザックサイドに取り付けることになります。また、先端は危険なので取扱い注意です。


アンテナ一式 

エレメント収納ケース 塩ビパイプを加工


 以上、一応の完成をみました。ある程度の丈夫さと軽さは両立できたように思います。丈夫な電波を届けてくれそうな予感はあるものの、利得や指向性、ケーブル引き回しの影響など性能的なアプローチはこれからです。これまで自作したアンテナはどれも直線や平面であり、立体形というのは感覚的に捉えられる空間範囲が異なります。山岳で使うことを考えると、このくらいまでが身の丈に合っているかな、といったところです。今回、自分なりの工夫を取り入れたところもあり、敬遠していたループ系アンテナの製作に少し手応えを感じることができました。工夫のしどころはまだまだあると思います。何度か使ってみて改良を加えてみます。








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