JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

デジコミアンテナd-ROD100

2022年11月17日 | 移動用市販アンテナ

 

 

 デジコミの周波数は全18ch、142.934375~142.984375MHz(1~9ch )と146.934375~146.984375MHz(10~18ch)に分かれ、上下の周波数帯が4MHzも離れています。妙な周波数設定ではあります。上下それぞれの周波数帯に整合する別々のアンテナがあってもよさそうですが、そういうものはないようです。各メーカーのアンテナは、アマチュア2mバンドを含むこの帯域すべてをカバーするということでしょうか。

 

 d-ROD100はデジコミ用としては唯一の1/2λロッドアンテナで、自分はまだ遠方との交信はありませんが、評判は良いようです。共振点、SWR、帯域など、どのような性格、味付けになっているのか、興味が湧いて測定してみました。

 

 リグを手持ちしたのと同じような状態で測定しました。ロッドエレメントを最大に伸ばし共振点は140MHzあたり、思いのほか下にあります。137~144MHzでSWR1.5以下。146.9MHzでは2以下になるかどうかといったところです。もっとフラットなグラフを描いてくれると予想したのですが、ちょっと? な結果となりました。

 

 次に10段あるロッドの最上段を少しずつ縮め共振点を上げてみました。5.8cm縮めた状態で、下のようになりました。

 

 141MHzから149MHzまでSWR1.5以下。145.000MHzで1.0。アマチュア帯はこの状態でベストマッチングという感じです。デジコミ用としてもこの方が良さそうですが、メーカー的には「最大まで伸ばした状態で使ってください」ということのようです。デジコミの場合、縮めて使う(変更を加える)のは法令的にどうなの?ということもあるし、今回の測定はあくまで自分の個別的条件、環境ではこうなったという話で、メーカーによる厳密な測定とは異なるのかもしれません。場所を変えてまた試してみたいと思います。

 

 あらためてわかったのは電圧給電のノンラジアルアンテナであるということ。リグ直付けだけでなくポール設置も可能。デジコミ用アンテナではありますが、ロッド調整すれば2mアマチュア帯モノバンドアンテナとしても悪くなさそうです。なお、ロッドをさらに調整して430MHzにマッチングが取れないか試してみましたが、こちらは不可でした。

 

<直付け用ホルダー>

 ロッドを伸ばし切った状態で長さ104cm。重さ70g。これをDJ-PV1Dに直付けした状態で床に置くと倒れてしまいます。それを防ぐためのホルダーを作ってみました。板を張り合わせた簡単なものです。リグを挟むだけ。

 

 こんなものでもけっこう安定してくれます。ベンチなどに置いて呼び出しチャンネルワッチ用に使ってみます。

 

 

 

 

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スクエアロー? GRA-YG-1443

2021年07月19日 | 移動用市販アンテナ

 

 

 アマゾンや楽天で扱っているGRA-YG-1443という台湾製のスクエアロー風アンテナに興味が涌いて購入してみました。このタイプはその昔、6mバンドでよく使われたそうですが、今はあまり見かけません。1/2λのエレメントを四角に折り曲げた形状なのでとてもコンパクトで水平偏波の6mでは好都合だったようです。RA-YG-1443は145MHzと430MHzのデュアルで、大小2つのループ状エレメントが付いており、大きい方は一辺27cm。ザックに収納可能で山でも使えるのでは?と考えた次第です。

 

仕様

周波数:140-150MHz/400-470MHz

ゲイン: 4dB/5dB

重さ: 0.36kg

コネクタ:MJ

 

 箱でなくビニール袋に入って送られてきました。本体、取り付け金具、簡単な取説が付属。145MHz用エレメントは直径6~7mmの硬いアルミ棒(パイプでない)が使われており、思っていたより丈夫なつくりと思いました。

 

<取り付け>

 水平偏波で使う前提で金具が付属しています。自分は三脚に設置して垂直偏波で使うのでいつもの塩ビパイプ連結式で簡易的に取り付けてみました。軽くコンパクトなので三脚のバランスが崩れることはなさそうです。

430MHz用エレメント

 

<調整>

 通常のスクエアローは折り曲げた1/4λエレメント2本に真ん中から給電する(ダイポールと同じ)わけですが、このアンテナは1本ものアルミ棒(1/2λ)に給電します。見た目はスクエアローのようでも別のアンテナなのかもしれません。マッチング回路としてガンママッチ様のものが採用されています(145MHz)。取説では調整バーの位置は動かさず、エレメントを可動させて調整するように書いてあります。でも、なかなか調整がうまくいかず、調整棒(アルミパイプ)にかぶせてあるプラスティックカバーを取り外してみたところ、中に絶縁された導線が仕込まれていました。芯線側はコンデンサー結合とみられます。初めてお目にかかる給電法で興味深く思いました。エレメント側を固定しておき、調整バーをかなり下に持ってきたところ、一気にSWRが下がり、あとは1mm単位で微調整し145.000付近に共振点を合わせることができました。クリティカルです。ただ、調整バーが下に来すぎているため構造的に疑問な感じがあり、本当にこれで良いのかどうか。考えてみると出荷状態で使えるようにしてあるのが普通なわけで、いじり過ぎてしまったような気がしないでもありません。

 

ガンママッチ部

 

 

 続いて430MHz。さきほどのガンママッチが430にも影響するのかどうかや芯線側がどのように接続されているのか不明です。エレメントの長さなどは調整できるようにはなっています。430用アナライザーがないのでIC-705のプロット機能で測定したところ、SWR1.5以下になっているので良しとしました。一辺6cm×4とかなり小さいです。1/4λでも1/2λでもなく、どういう動作なのか???この小ささでは性能的には期待薄ではあります。

 

 

 

 ベランダで受信してみました。回すと信号の強弱があり、ブロードな指向性が感じられます。145MHzではRH770と比較し同等な感じを受けました。430ではS1~2ほど低下します。もっと良くないかと予想したのですが、そうでもないです。

 

 ただ、ベランダでは430のSWRが2.0以上に悪化していました。145にしても430にしても調整しきれていないような気がしています。調整できる箇所(六角ねじ)がいくつもあり、それらを動かすことでどのように変化するのか? いまひとつ挙動のわからないアンテナです。これから いろいろ試してみます。

 

<追記>

 大年寺山にて試してみました。145MHz。マッチングの取れた状態です。HB9CVにて54-54、GRA-YG-1443ではこちらの受信は31~41に低下、相手局からはスケルチが断続的に開く程度で変調は全然了解できない、とのことでした(距離約40km 5W-6W)。また430MHzについては屋外で調整を試みましたが、なんらかマッチングしそうな手ごたえすら得られず、でした。このアンテナはスクエアローとは構造的にも給電方法も異なります。とくに給電は独特で、145MHzできちんと共振しているのが不思議なくらいです。どちらかというと受信用?いづれ現状ではあまり聞こえず飛ばないアンテナで、物置きに眠ってもらうしかなさそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

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NY144Xを430で使う

2021年05月16日 | 移動用市販アンテナ
 
 
 
 ナテックの2エレ八木NY144Xはメーカー的には狩猟用受信アンテナという位置づけながら、収納時のコンパクトなところが気に入っていろんな山で使ってきました。耐入力10Wで送信も問題ありません。2m用ですが、ロッドエレメントを最短にすると430にマッチングが取れることも何度か書きました。ただ、自分のアナライザーでは測定外なのでどんな風にマッチングしているのか疑問なところがあり、本日IC-705のSWRプロット機能で測ってみました。あわせて同じナテックの430用3エレ八木NY430X3との比較をしてみました。
 
 
 
 
 
 
 いつもの大年寺山。この周辺で430が使えるのは東端の公園のみです。それ以外は3基のテレビ塔から常時盛大な抑圧を受けてしまいます。小広い草地の公園で北に開け、仙台駅あたりのビル群が同じくらいの高さに見え、ロケ的にも悪くありません。今日もJP7IEL局(距離約40Km)にロングにお付き合いいただきました。
 
 
 
 
 さっそくNY144Xのエレメントを最短にした状態でSWRを測ってみました。433.000で1.6、上に行くほど悪化していきます。432.000あたりで最も下がるもののフラットでどこに共振点があるのかはよくわからず。メインより下の周波数なら送信も問題ないかな、といったところです。メインから上は厳しい。エレメントの長さを調整してもこれ以上良くなりません。続いてNY430X3のSWRをプロットしてみました。500Kステップで430.000~436.000まで1.5以下。メインで1.2。このアンテナもメインから下が良好のようです。
 
 
NY144XのSWR
 
NY430X3のSWR
 
 
 実際の交信では信号の拾い方が異なるのか、強くなる方角に少し違いがあり微調整しました。双方5W、NY144Xで51-51、NY430X3で51-52。JP7IEL局からはどちらもSメーターは振れないもののNY430X3の方がノイズは少なく3エレなりの効果が若干感じられる、とのこと。こちら側も同様な感触でした。
 
 
NY144X(430もどき)
NY430X3
 
 
 2エレと3エレの違いもありますが、430用に作られたNY430X3には及ばず、の結果です。でも予想したほど大きな違いではなく、メインより下の周波数なら使えなくもない、ということがわかったのは収穫でした。自分の場合430はD-starレピーターに短時間アクセス後シンプレックスにQSY、というような使い方なので問題ないかなと思います。今日の結果を念頭にまた山で使ってみます。
 
 
 
 
 
 
 本日は気温23度。外部バッテリー15V給電にて430FMとDVで2時間半交信を続けたところ、リグの温度表示(TEMP)はピンクからレッドゾーンを行ったり来たりでした。背面に装着したヒートシンクは触れないほど高温に。やはり冬場とは違いますね。5Wでこうなのでマックスパワーならどうなるんだろう、と少し心配になりました。
 
 
 
 
 
 
 
 
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10エレ八木(430MHz)の2分割化

2021年05月01日 | 移動用市販アンテナ


 このところ430MHzを使う機会が多くなり、長く眠っていた八木をしばらくぶりに取り出してみました。第一電波のA430S10R2という定番の10エレで、購入した当初、吾妻連峰高山の移動運用で使ったことがあります。ブームが約1.2mあり、ザックサイドにくくり付けるにも長すぎ、手に持って登らざるを得ませんでした。もともと固定局用なので致し方ありませんが、軽量で組み立ても簡単、13dbiと高利得でもあるので、持ち運びの問題さえクリアできれば山でも使ってみたいアンテナではあります。

 エレメントは短いのでブームのみを2分割できればよいわけで、そう難しい工作でもないのでは?ということで、さっそく実行してみました。












 長さ120cmのブームを半分の60cmのところでパイプカッターで切り分けます。第4導波器と第5導波器の間の位置になります。ブームパイプ内径20mm弱。連結には塩ビパイプを使いました。これをブームに差し込んで固定。外径18mm、長さ19cm。ドリルで両端に4mm穴を開け、第4導波器と第5導波器の固定用ボルトに通し、蝶ナットで締めれば連結完了、となるはずです。ところが・・・。

 実際連結してみると、前方のエレメントと後方エレメントがきれいに揃ってくれません。穴の位置が微妙にずれてしまったようです。丸パイプの場合、穴の位置決めがけっこう手ごわいです。再度作り直し。今度は片方のみ穴をあけてブームに固定した上で前方ブームを挿入し、前後のエレメントを揃える。その状態でもう片方の穴の位置を確定し印を付けて穴あけ作業をおこなう。この手順で進めたところ、エレメントが揃ってほぼ理想的な形で連結してくれました。最後にビニールテープを巻いて隙間を埋め、ガタつき対策を施しました。収納時60cmでなんとかザックに入ります。重さ530g。




 本日、大年寺山にてさっそく使ってみました。設営は三脚に大型クリップを取り付け、ブームを挟むだけです。JP7IEL局(距離約40Km 双方5W)との交信。いつも51~52ほどの低空飛行でなんとか安定交信はできているのですが、さすが10エレだけあって59で入感とのこと。こちらには55~56ほど。パワーを下げFMでは0.1Wでも了解可とのレポート、その後双方0.5WDVモードで交信を続けました。




 現地での組み立ての手間もさほどなく、途中で連結が緩むこともありませんでした。そのうち蔵王に登った際にでも、これを使ったら面白いかな、と考えています。
 






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ハンディホイップ RH-660S

2019年10月14日 | 移動用市販アンテナ


 軽身で山を歩き、見晴らしの良いところで素早くアンテナを上げ無線運用、というのが自分的には理想です。実際は、あれもこれもと背負い、バテ気味になって登るのが常で、無線装備の軽量化はいつも悩みどころです。アンテナ設営のための三脚をやめ、軽量マストへの変更もその一つ。先端に取り付けるアンテナをさらに軽量化したいということで、RH-660Sというロッドアンテナを購入してみました。Made In China 。型番がRH-770に似ており、それだけで怪しさ満点ですが、はたして如何に。

 China製の似たようなものがネットでいくつも表示されるものの、実際のところどうなのか、全然わかりません。安過ぎて不安にもなります。144MHzの1/2λとの説明書きなので、電圧給電のノンラジアルでは?と考え購入しました(ノンラジアルとの表記はなし)。

<表示仕様>
・周波数:144/430Mhz
・ゲイン:3.0dBi(144MHz) / 5.0dBi(430MHz)
・耐入力:10W
・コネクター:SMA-P(BNCタイプもあり)
・重さ:約75g
・27.8cmから108.3cmの伸縮可






 108cmの長さを考えると軽量で、実際計ってみたところ65gでした。RH-770(約90g)と持ち比べてみても軽さがわかります。ノンラジアルなのかどうかが最も心配だったのですが、アナライザーに直結して計ったところ、問題なくマッチングが取れました(145MHz)。クリップベースに取り付けた状態でも変化なし。ノンラジアルであることに間違いないようです。430MHzについては簡易SWR計で計りましたが、108cmに伸ばした状態で1.3~1.4と、こちらも特に問題なし。RH-770と違い、中間コイルはありません。下部のマッチング回路のみで、144MHzの1/2λ、430MHzの5/8λ2段に電圧給電する構造のようです。




 さっそく自宅ベランダでRH-770と受信比較してみました。ハンディ機直結にして固定局からの弱めの信号を聞き比べたところ、145Mhz、430MHzとも同等との印象でした。ベランダに常設しているCSB7900を外し、RH-770、RH-660Sの3本を聞き比べた結果、CSB7900が少し強い感じがあり、RH-770とRH-660Sでは違いはわからず、でした。






 近くの愛宕神社に移動。JP7IEL局にお付き合いいただき、アンテナを切替えながら430MHzで比較実験しました。双方ハンディ機5W。距離約40km。もともと限界すれすれで、弱い信号の強弱がよくわかる位置関係です。IEL局からわずかにRH-770がスケルチが開きやすいとのレポートがありました。送信に関し多少の差があるのかもしれません。こちら側の受信に違いは感じられませんでした。(145MHzはどちらのアンテナも交信不可で、わかりませんでした)。

 玉石混交かつ個体差のばらつきも大きいのがChina製なので、何とも言えないところはあります。とりあえず悪くない感触なので、次回、山で使ってみます。




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HS3000Aのアンテナ変更

2019年09月22日 | 移動用市販アンテナ


 数年前に購入し1~2度使って物置にしまっておいたはずのナテックのVUハンディダイポールアンテナHS3000A。ラジアル線と基台は手元に保管してあったのですが、アンテナ本体が行方不明になってしまいました。



 通常、ハンディ用ホイップは、1/4λのためハンディ機をボディアースとしてマッチングを取っています。このアンテナはあえてラジアルを付け、1/2λの垂直ダイポールとして動作させます。そのためラジアル基台とネジ式のラジアル線がセットになっており、メーカーではアドオンラジアルと呼んでいるようです。ラジアル線の長さは50.5cm。要はダイポールとして動作させればよいわけで、純正アンテナでなくとも、1/4λのホイップなら何でも良いのでは? ということでこのラジアル基台に別アンテナを取り付け、試してみました(145MHz帯のみ)。

 はじめにコメットのBNC24。全長43cmなので純正アンテナ(40cm)に近いです。変換コネクターを介してラジアル基台に挿入。BNC24は重さ8g、純正よりもはるかに軽く、かえってしっくりくる感じです。





 ハンディ機直付けを想定したアンテナではあるものの、垂直ダイポールなので直付けでなくとも大丈夫です。三脚に設置し、アナライザーで測定したところ、どんぴしゃり145.000付近に共振点があり、SWRもきっちり落ちてくれました。ラジアルリングを回転させ、向きを変えても特性はほとんど変わりませんでした。


BNC24+アドオンラジアル



 続いて第一電波のSRH805S。親指サイズで長さ4.5cm。超短縮型1/4λホイップとなります。同様にアナライザーで測定したところ、こちらは共振点144.900付近。SWRも1.2に落ちてくれました。帯域は狭いです。ちなみに、ラジアル線を外した状態にすると三脚設置なので当然ながらマッチングは取れません。




SRH805S+アドオンラジアル



 いつも山岳で使っているRH770(1/2λノンラジアル)と受信比較もしてみました。RH770で55の信号、BNC24+ラジアルでは53~54。SRH805S+ラジアルでは41。過去の実験で、純正エレメントでも同様であった記憶があり、性能的にはRH770を上回るとはいかないようです。





 ということで、メーカー的には不本意かもしれませんが、純正エレメントでなくともこのラジアルセットは十分性能を発揮すると思われます。マッチング特性も良好。ハンディ機に直付けすればホイップ単体よりSで4~5上がります。

 BNC24との組み合わせで重さわずか45g。これはこれで気に入りました。RH770より取り回しが良く、山岳ではクリップベースに設置すれば、究極の軽量アンテナとして悪くないのでは?などと考えています。





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2エレ八木NY144X

2019年06月15日 | 移動用市販アンテナ


 このアンテナのことは何度か書きました。2エレであれば、HB9CVもあればモクソンもあります。三脚との相性から言えば、エレメントの短いモクソンに分があります。利得ならHB9CVかと。欠点はどちらも濡れに弱いということ。給電部の作りの甘さゆえなので自業自得なのですが、雨天やガスがかかった時の水滴付着でSWRが悪化してしまいます。

 一方、NY144Xの利点を考えてみると
 1)給電部がしっかりカバーされ、濡れに強い
 2)超ナロースペースのため山頂で目立たない
 3)ロッドエレメントの調整で430MHzでも使用可
 
 といったところです。山頂でガスがかかっても安心して使えます。それ以外にも利点があり、この間、使う頻度が上がっています。いくつか自分なりの使用感を備忘録としてまとめてみます。


 
〈超ナロースペース〉
 このアンテナの一番の特徴かと思います。エレメント間隔がわずか12.5cmしかありません。三脚に設置すると、ホイップ系アンテナとあまり変わらず、威圧感なし。山頂でも気兼ねせずに使えます。

 こんなに超ナローで性能としてはどうなのか? 利得的には犠牲になっていることは否めないものの、指向性は2エレにしてはけっこう感じられます。41の信号が方向を合わせると52くらいまで上がります。メーカー的には狩猟用受信アンテナということになっていますが、送信も問題ないです。仕様では耐入力10W。実際5W〜10Wで使って特に問題ありません。聞こえるのに飛ばないということもなく、むしろ、こんな超ナロースペースでも飛ぶものだな、と思ってしまいます。




給電部 


〈マッチング〉
 2本のロッドエレメントをすべて伸ばした状態で145MHz帯にマッチングします。個体差があるのかわかりませんが、エレメントを平行にすると共振点が145.300~400あたりになります。導波器側をほんの少し内向きにすると145.000、さらに内向きにすると144MHz帯に下がります。帯域は極端に狭くはないので平行で良いと思いますが、自分はSSBを念頭に若干内向きにして使っています。


導波器内向き状態で測定


<偏波面>
 三脚にクリップで固定しているだけなので、偏波面を自由に変えられます(もともと手持ち八木)。相手局の信号によっては、垂直でなく水平や斜めの方が強くなることが珍しくなく、意外な効果を実感することが多いです。


〈430MHzでの使用〉
 何度か書いた通りですが、ロッドエレメントを2本とも最短にすると、430MHzに同調します。メーカーとしては、このような使い方は想定外と思います。145MHz用マッチングコイルが入っているため、ロッドの長さを調整しても完全にはSWRが落ちません。でも、1.5以下でバンド内を広くカバーし、受信、送信とも悪くないです。同じナテックの430用3エレ八木と送受信比較をしたところ、ほぼ同等の結果でした。D-STARレピーターへのアクセスに重宝しています。


〈マスト材質〉
 このアンテナに限りませんが、金属マスト(ポール)は要注意です。マストと下部エレメントの位置関係によっては、微妙なノイズを拾うことがあり了解度を悪くします。共振点が変わることもあります。ある時、これが原因の弱いノイズに気づき、今は塩ビパイプを使うようにしています。


 10年ほど前、山岳移動を始めたころに購入したアンテナです。2~3回使い、長く物置で眠らせてしまいました。使い勝手の良さを再認識した次第です。仕様は今のは少し変更されているかもしれません。






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ナテックの2エレ八木

2018年04月30日 | 移動用市販アンテナ


 今年2月に運用開始されたD-STAR仙台青葉430レピーター。宮城県内のほとんどをカバーしてくれるようで、山掛けあるいはゲート越えで連絡を取り合い、DCRや145MHzでのシンプレックス交信に移行する、というような場面が多くなっています。なので、430と145のデュアルで使えるアンテナが必要で、軽量、簡便、そこそこの性能のものはないかと考えをめぐらせています。山岳定番のRH770やAWXアンテナもその一つ。
 
 ふと、10年ほど前に購入し物置に眠っていたナテックの144MHz2エレ八木のことを思い出し、しばらくぶりに使ってみることにしました。「狩猟用八木アンテナ」として販売されているもので、エレメント材質がロッドアンテナタイプと形状記憶合金タイプがあります。自分が購入したのはロッドアンテナタイプです(型番NY144X)。ロッドをすべて伸ばすと145MHz帯にマッチします。いたずらしてロッドを最も短くした状態でSWRを計ってみたら430でも1.5に納まってくれました。この場合、放射器のエレメント寸法29.5cm(給電部含む)。ちょっと短いので少し伸ばしてみたものの、かえって悪化してしまいます。ロッド最短状態がベスト。SWRベタ落ちとはなりませんが、送信できないこともないのでは?


430MHz

145MHz


 本日、移動地はいつもの大年寺山(仙台市太白区)。ここは3本のテレビ塔があり、特に430帯の抑圧がひどく、ノイズのみでS5~7振ってしまいます。ロッドを短くして430をワッチしたところ、方角によってはさほどノイズを拾わないことがわかりました。D-STAR仙台青葉430レピーター山掛けでお呼びし、昨日に続きJP7IEL局さん(大崎市固定)より応答いただきました。レピーターアクセスは問題なし。続いてシンプレックスで各種実験。はじめに430FM(5W)。入感ポイントを探りなんとかノイズの中に変調を確認。DVモードに移行したところ、多少ふわふわ感を伴いながらも復調してくれました。51-51。430FMではより遠方の局とも交信できましたので、この状態で送受信とも可能ではあるようです。続いてロッドを伸ばし、145MHzにQSY。FM、DVとも信号がぐんと上がり1Wでも53-53。C4FMもDVとほとんど変わりありませんでした。試しにRH770でお呼びしたところケロケロで復調せずとのレポート、2エレに戻し安定復調という場面もありました。



収納状態


 AWXアンテナのようにそのままでデュアルバンドとはいかず、エレメントを伸ばしたり縮めたりという手間はありますが、1本で両バンド使えるとの手ごたえはありました。重さ240gと軽量。145MHzについては性能的にも悪くありません。時々使ってみたいと思います。
 





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HS3000Aを使ってみる

2016年01月10日 | 移動用市販アンテナ


 気になっていたナテックのハンディ用ホイップアンテナHS3000Aを年末に入手。本日、初めて使ってみました。 

 40cmのアンテナ本体と51cmのラジアル線、ラジアルリング(取付金具)がセットになっており、145MHzではラジアルなしで1/4λ、ラジアルありで1/2λとして動作します。ホイップアンテナのほとんどはハンディ機本体をボディアースにしますが、あえてラジアル線を取り付け、垂直ダイポールアンテナとして動作させます。これだけなら、特段、面白味はありません。丸端子でラジアルを作って、取り付ければ良いだけのことです。HS3000Aはラジアル線を付けた場合の特性のズレを勘案して設計されているとのことで、このあたり、はたしてどうなの?ということで、自作ラジアルと比較してみました。







 本日の移動地、いつもの大年寺山。JP7IEL局(大崎市)にお付き合いいただき、さっそく145MHzDVデジタルにて実験開始。大崎市との距離、約38km。DCR5Wで多少フワフワ感があるものの何とか交信できる位置関係です。IEL局は固定GPアンテナ。当局は、アローライン→HS3000Aラジアルなし→純正ラジアルあり→自作ラジアル→純正+自作ラジアルの2本、の順で取り換え、レポートを交換しました。その結果は下記の通り。

 アローライン 59-56(その後なぜか51に落ちたとのこと、原因不明)
 HS3000Aラジアルなし まったく復調せず(受信ランプのみ点灯)-51
 HS3000A純正ラジアル 51(Sメーター振れないものの安定復調)ー55
 HS3000A自作ラジアル 31(断続ケロケロ)ー52
 HS3000A純正+自作ラジアル 51(純正のみより安定)-55

 純正ラジアルの効果は明らかでした。送信よりも受信の効果が大きいようです。ラジアルはダラリと垂らした状態で、しかも手持ちなのでフラフラしているわけですが、フェージングはみられず、安定度とパワフル感が一気に増加する感じがします。一方、丸端子にアルミ線50cmの自作ラジアルは、今一つで、純正ほどの効果は得られませんでした。特性のズレ? 純正+自作ラジアルは、純正1本よりも信号が若干安定するとのレポートをいただきました。印象としては、純正ラジアルを付けた状態では、アローラインと比べて遜色なしとの感触です。エレメント自体は1/4λ、ラジアルは細い線、なので取り回しが良く、長さを気にせず1/2λの性能を得られるのが最大の利点と言えます。ラジアルの向きによる多少の指向性も確認できました。ラジアルリングに別の1/4λホイップを挿してみたらどうなの?、とか、いつも使っているRH770との比較でどうか、なども機会をみて試してみたいと思います。

 JP7IEL局はじめ、本日も交信いただきました各局さま、ありがとうございました。




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ハンディ用アンテナRH-770

2010年04月20日 | 移動用市販アンテナ
 先日、JARLからQSLカードが届きました。その中に、興味深い交信証が2枚ありました。2枚とも相手局は同じです。当局が蔵王地蔵山に移動した時と、南面白山に移動した時にQSOいただき、相手局もそれぞれ八海山と米山に移動中でした。どちらも印象に残る交信でしたので、カードを見て、すぐにその時のことが思い出されました。

◎9月20日  
相手局  移動地 南魚沼市八海山 標高1778m 
     機種 ID-92   アンテナ RH-770  出力5W

当局   移動地 山形市地蔵山 標高1736m
     機種 DJ-S17 ヘンテナ(シングル) 出力4W

レポート 59-59 交信距離 約200Km

◎9月27日  
相手局  移動地 柏崎市米山 標高993m   
     機種 ID-92  アンテナRH-770   出力5W

当局   移動地 山形市南面白山 標高1225m
     機種 DJ-S17 J型アンテナ 出力0.8W(途中4W切替え)

レポート 59-52 交信距離 約220Km

 わずか1週間の間隔ですが、同じ局であったことにあらためて気がつきました。この方も山岳移動で、ハンディ機を使っていること、かなり遠方からの応答であったこと、にもかかわらず安定した信号であったことは、鮮明に記憶に残っています。交信中、アンテナのことを話したような記憶もあるのですが、てっきり、軽量な八木でも使っているのかな、と勝手に思い込んでいました。交信証を見ると、二回ともロッドアンテナRH-770をお使いだったことが判り、意外な感じを受けました。

 以前、鷹討山で運用している時に、たまたま通りがかったOMがRH-770をお持ちで、その方の話では、ハムフェアで購入したHB9CVと比較して同等だった、山ではこのアンテナで十分と話をされていたのを思い出しました。ハンディ用としては、良く出来たアンテナのようです。

 当局も出張用に1本持っています。ホテルから430で何度か使いました。伸ばすと93センチ、ハンディ付属の1/4λホイップに比べると格段に性能が上がります。ただ、145で使ったことはほとんどありませんでした(いつも出張セットの袋に仕舞い込んでいます)。

 145MHz用のロッドアンテナとしては、同じ第一電波のRH-205というのを使っていて、こちらは、山に行く時に、万が一のお守りとして持っていきます。伸ばした時の長さが134センチ、5/8λ。50MHzの1/4λとしても機能するそうです。メーカーとしては「受信用」という位置づけのようで、耐入力の表記がないのですが、5Wハンディ機なら問題はありません。普通に使えています。グループ登山で時間が限られる時や、狭い山頂の場合は、このアンテナだけで運用することもあります。ハンディ機直結なので、減衰がないのは利点です。そこそこ遠方とも交信できます。


 今回、あらためてRH-770の性能を確かめてみたくなり、RH-205との簡単な比較実験をしてみました。

 《トリフィールドメーターでの送信実験》
 1.5mの距離から送信して、トリフィールドメーターでの数値を読み取りました。出力は0.8W。ハンディ機付属のホイップでまったく触れない針がどの程度触れるかの実験です。

 RH-770  2.5(最大値)
 RH-205  1.5(最大値)

 RH-770の振れの方が少し大きくなりました。ただ、ハンディ機(給電部)を上下に動かすとメーターの振れが変わります。1/2λと5/8λの電圧分布の違いと思います。HB9CVやモクソンアンテナに比べると1/2から1/3で、送信については、過大な期待はできないようです。同じ長さのモービルホイップ同等かと思います。

 続いて、ベランダでの受信実験。ちょうど蔵王町移動局の信号が聞こえていたので、聞き比べてみたところ、どちらもSの触れ方は同じでした。ただ、了解度はRH-770の方が上です。変調に強さが感じられ、聞き取りやすいです。RH-205はバックノイズが大きい印象でした。


上がRH-770 下がRH-205 どちらも第一電波工業


中間のコイルの中に上部ロッドを収納 うまく出来ています


 散歩がてら、ハンディ機とRH-770で近所の大年寺山から運用してみました。大年寺山は当局のホームから歩いて15分程、標高100mあるかどうかの公園です。ハンディ機はいつものDJ-S17、4W。エネループ運用。

 電源を入れて、ワッチしてみると、山形県大江町の移動局のCQが聞こえてきました。山岳移動では時々お相手いただいている局ですが、この場所で入感するとは意外でした。すぐに応答して53のレポートをいただきました。こちらからも53。大江町の大山公園からのモービル運用(アンテナは数十センチのモービルホイップ)だそうです。普通にラグチューできる程の安定した信号でした。距離は約60Kmですが、奥羽山脈があり、ホームからは3エレでも交信できたことはありません。場所もさることながら、RH-770、なかなかの印象です。

 しばらくして、福島市の天上山移動局のCQが聞こえてきました。こちらには52程度で入感。応答したところ、コールサインを聞き返されて、厳しそうな感じです。ところどころ聞き取れなくなる、話の内容を七割くらいしか了解できないとのことで41のレポートをいただきました。何とかファイナルを確認して、無事終了となりました。こちらも距離は60Km程。
 その後、大年寺山の最高点付近からCQを出してみました。仙台市内各局よりお声がけいただきましたが、遠方からの応答はありませんでした。


大年寺山 最高地点付近と北方面の眺望 
最近、高いビルが増えました


 
 以上の主観的で限定的な実験からすると、RH-205より30cmほど短いRH-770ですが、良く出来たアンテナではあるようです。次回の山岳移動の時は、こちらをお守り代わりとして、別の比較でもしてみようかと思います。


《追記》



 AA-200で共振周波数を調べてみたところ、RH-205はなんと153MHz近辺に共振点があり、145MHzバンド内のSWRは2.0~3.0となりました。室内なので周りの影響が出てしまっていたと思いますが、位置を変えて測っても2.0以下になることはありませんでした。これでは、飛びが良くないはずです。念のため、パワー計で測ってみました。案の定、Hi設定で3Wしか出ていません(付属リチウム電池)。RH-770の方は、145MHz辺りに共振点があり、SWR1.2で問題ありませんでした(5W出力)。トリフィールドメーターでの差はこれが要因のようです。


RH-205のSWRグラフ 共振点もさることながら、SWRが下がりませんでした。


RH-770のSWRグラフ 


 それにしてもRH-205は、いったいどういう設計のアンテナなのでしょうか。やはり「受信用」なのでしょうか??







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24KGとラジアル実験

2010年02月09日 | 移動用市販アンテナ
 前稿で今ひとつの印象と書いたコメットの24KGについて、OMより「何度も使って飛び受けとも悪くないのだが・・・」とのお話をいただきました。モービル半固定で車体にしっかりとアースを取って運用されているとのことでした。当局の場合は、モービル運用はしませんので、ラジアルを自作して、何度か使ってみての印象を書きました。このアンテナを使う時は、期待感も高いことから、使ってみては少しがっかり、を何度も繰り返しています。なぜか、寒い季節になると、思い出したように使ってみたくなって、物置から取り出します。たぶん、里山は登山時間も短く、軽身なので、少々重いこのアンテナでも持っていこうか、という気持ちになるのだと思います。

 そんなわけで、ラジアルを工夫すれば、なにか手応えが得られるのでは?と考え、実験を試みました(145MHz)。


1)常置場所ベランダにて

 当局のベランダは一般的なアルミ製です。これにステンレス製のBK-10という固定金具を使って、モービルホイップを設置しています。ラジアルなしで24KGを設置した場合、SWRはバンド内1.5フラットです。BK-10に加えてアルミであっても多少、ラジアルとして機能しているのか、この状態で送信できなくもありません。これに約50センチの細い銅バイプを1本ラジアルとして取付けると、方向によって違いますが1.3~1.1に下がります。ラジアルの効果は1本でもてきめんです。2本から3本に増やしても、SWRに関してこれより下がることはありませんでした。


銅パイプラジアル 少し下向きに角度をつけてあります


2)カメラ三脚にて

 続いて、山移動を想定して三脚での実験。以前に紹介したとおり、モービルホイップの三脚への取付けは、モービル用の同軸付きコネクターをエツミのセットスクリューに接着したものを使用します。24KGもしっかりと固定できます。


エツミのセットスクリューに接着して作製

三脚ネジで固定


 まず、ラジアルなしの場合ですが、SWRは2.5程度で高めです。このままで送信は厳しいです。次に銅パイプラジアル1本をコネクターにセットしてみました。SWRは1.1に下がります。3本取付けるとかえって少し上がって1.2~1.3となりました。ベランダ内での測定なので、手すりなどの影響があると思います。送信についても電界強度計で測ってみました(いつもの室内定位置)。
 ・ラジアルなし  2.0
 ・ラジアル1本  7.0
 ・ラジアル3本  4.0(いづれも最大値 トリフィールドメーターの目盛読み)

 ・SBB7 ノンラジアル 2.8(参考)

 ラジアル1本の場合は、明確に指向性が出ます。トリフィールドメーターにラジアルを向けると最大値を示しました。





 銅パイプは角度を何度も変えたりすると、簡単に折れてしまいます。そこで、全長54センチのロッドアンテナでラジアルを作ってみました。MJコネクターにすっぽりと入る銅製のワッシャー(ホームセンターで購入)にロッドアンテナ3本をハンダ付けしました。長さや角度が自由自在、これでVUモービルホイップのGP化が簡単に実現・・・?


材料一式

ワッシャーにハンダ付け

コネクター取付け

収納状態


 試したところ、ラジアルの角度は下向きにしすぎない方が良好でした。水平よりも少し下げる程度です。ちょうど固定用のGPアンテナそのものという感じです。長さは約48センチでSWRは1.0近くに下げることができました。ロッドアンテナなので限界まで追い込むことができます。
 電界強度計の測定では
 ・ロッドラジアル3本 4.5(最大値) 
 あまり変わりません。SWRが下がった分、ほんの少し強くなった程度です。




 ラジアル1本で指向性が出るのであれば、これをもっと強めて、一定方向に利得を高めることはできないか?ということで、もう一つ作ってみました。




給電部より下にして水平に取り付け

 ロッドアンテナ1本で長さと角度を変えられるラジアルです。いろいろな取付け方に対応できるように、銅パイプを曲げたものを間に挟みました。給電部から3センチ程下に張り出すような形になります。やはり、下向きに角度を付けすぎない方が良好です。ほぼ水平の状態で、ロッドの長さが43センチ、銅パイプ等の部分が4センチ、給電部から約47センチ。これで SWR1.1以下となりました。
 電界強度計では
 ・ロッドラジアル1本 9.0(最大値)
 明らかに強くなっています。

 興味深い結果でした。無指向性の24KGにロッドラジアル1本を取付けてゆるやかな指向性アンテナに変えてしまう。こういう使い方も面白いかなと思いました。

 ロッドラジアル3本の長さをそれぞれ変えてみるとか、ノンラジアルアンテナにラジアルを付けたらどうなるか?とか、受信の聞き比べもしようと思ったのですが、ここまでで、少し疲れました。


 ノンラジアルでないということは、確かに面倒ではありますが、ラジアル次第でアンテナの性能(利得)とか性格(指向性)が変化するというのは、工夫して遊べるということでもありますね。天気のよくない休日にでもまた実験してみます。








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デイパック収納八木アンテナ

2009年05月25日 | 移動用市販アンテナ
 移動用アンテナを多く手がけているラディックスの「デイパック収納八木アンテナ」というものを購入してみました。3種類ある中の、144M用のRY-144M3/2という型番です。メーカー品だけあって随所に工夫があり、自作アンテナの参考にもなりました。

(定格)
型式3エレメント八木
周波数144MHz ~ 146MHz 
利得9.0 dBi
FB比16 dB以上
最大入力100W (FM)
コネクターM-J

 通常、3エレ八木ですと、ブームもエレメントも1メートル前後となり、登山で持っていくには躊躇していました。このアンテナは、ブームとエレメントをそれぞれ2分割できるように工夫がこらされ、その結果、仕舞い込み寸法は約55センチと、商品名の通り小型ザックにすっぽり入ります。ブーム2本は蝶ボルトで連結、エレメントは上下ねじ込み式になっています。一つ一つがしっかりした作りで長く使えそうです。
 重さは約600グラムあります。当局の山移動としては、最重量級のアンテナで、カメラ三脚にうまく取付けられるかどうかが、一番の心配でした。ブームに穴が空けてあるので、三脚ネジを活用すれば取り付きそうにも思えます。メーカーに電話してみたところ、「そのように使っている方もいるようですが、三脚の大きさにもよるでしょう。430Mの5エレ以下なら専用のアダプターもあります」とのことでした。アダプターというのは、三脚ネジに金属の土台を取付けブームの穴にボルトを通して固定する金具だそうで、それならばと、自分で作ってみることにしました。


運用機材一式


《三脚取付け金具》
 まず、三脚に取付ける土台部分は、モービルホイップ取付けの時にも活用した「エツミSET SCREW止めネジ(メス・メス)」を使いました。このネジ穴に合うのは「W1/4ボルト」です。長さはブームを貫通できるように25ミリのものを使いました。蝶ボルトならベストですが、ホームセンターにはなかったので、六画ボルトに蝶ナットを接着しました。ついでにワッシャーも接着し、安定度を高めるようにしました(瞬間接着剤と透明ボンド併用)。




ボルトに蝶ナットとワッシャーを接着剤で接着


《組立てと設営》
 まず三脚のネジでSET SCREWを固定しておきます。次に、分割された2本のブームをつないで、最後尾のブーム穴にW1/4ボルトを通し、そのままSET SCREWにねじ込んで固定します。これで、ブームが固定されました。次に、3本の上部エレメントを蝶ナットでブームに取付けます。組み立てはすべて蝶ボルト、蝶ナットの仕様なので、工具不要です。下部エレメントは、上部エレメント部品にねじ込んで完成です。エレメント寸法はすべて異なりますが、全部品にシールが貼ってあるので間違わないように工夫されています。
 当局が使っているのは、スリックの800Gー7という軽量タイプのカメラ三脚です。これでもなんとか支えることができました。ただ、どうしても前方が重くなるので、軽快に回すには不安が残りますので、山移動の際は石で固定するなどの対策を考慮しておく必要がありそうです。


《接続》
 給電部はMJコネクターとなっています。秋月電子で購入した両端BNCPの2メートルケーブル(青いケーブル)をいつも使っていますので、MP-BNCJ変換コネクタを取付け、ワンタッチで接続できるようにしました。また、ケーブルの引き回し方でSWRが変化しないように、結束バンドで作ったリングに通すようにしてみました。



《調整》
 ガンママッチが採用されており、プラスドライバーで簡単に調整できます。この部分の作りもよく出来ています。無調整でSWR1.2以下でしたので、そのままにしておきました。

《使用感》
 これまでの移動用アンテナに比べると、1)組み立て部品が多い、2)重い、3)その分、山頂での設営と撤収に時間がかかる、というデメリットの心配がありました。何度か室内で組立てと撤収を練習してから、実際に山で使ってみました。ザックへの収納は問題ありませんが、200グラム程度のアンテナに比べるとやはり重く感じます。山頂での設営に関しては、心配したほどではなく、5分ほどで終わりました。三脚も特別な固定をしなくとも持ちこたえてくれました。性能は、3エレ八木ですから、9.0dbiの評価どおりかと思われます。当日は、鷹討山(310m 山元町)からの運用で、猪苗代町(相手局も山岳移動ハンディ機)、福島市、本吉町、奥州市移動局、などと交信できました。太平洋沿いの1エリアとの交信を期待して南に向けて何度かCQを出してみましたが、応答ありませんでした。雑木林に囲まれた山頂なので、木の影響もあったかもしれません。
 気軽に持ち運べる八木アンテナで、設営も思いのほかスムーズにいきましたので、しばらく、このアンテナを持って、今度は見晴らしの良い山で使ってみたいと思います。


鷹討山にて




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再び 24KG

2009年04月20日 | 移動用市販アンテナ
 コメットのモービルホイップ24KGは、長さが2.06メートル、重さ520グラムと重量級で、しかもラジアルが必要という面倒な仕様ですが、5/8λ2段でゲインの高さはトップクラスです。もともとはベランダ用に購入したのですが、これを山頂で使ってみたい気持ちが時々頭をよぎります。モービルで使う分には、半固定を前提にマグネット基台のみでもアースが取れると思いますが、これを山移動で使おうとすると、それなりの苦労があります。前回の教訓を反省して、再度このアンテナを使ってみました。

《三脚固定》
 重さが500グラム以上あることや根本部分が太いことなどから、いつもの目玉クリップでワンタッチ固定の方法は使えません。前回は、無理に支えましたが、これが最大のネックでもありました。今回はモービル基台をカメラ三脚の雲台部分にボルトでしっかりと固定し、これに取付けることにしました。



《ラジアル作製》
 MJコネクターにすっぽりと入る端子に4ミリ径の銅パイプ50センチをハンダ付けして作製しました。3本が理想と思いますが、今回は1本のみです。L型GPのイメージです。




《取付け》
 モービル基台の穴に下からMJコネクターを差し込み、ラジアルと24KG本体をねじ込んで固定するだけです。




《持ち運び》
 24KGは長さが2メートルあります。今回は5分割とし、一番長い部分で約50センチ、ラジアルとほぼ同じ長さに納まりました。



《調整》
 無調整でSWR1.5程度でしたので、ラジアルを折り曲げて、角度をつけてみました。アローラインほどの急角度ではなく、エレメントに対して120度ほど下向きにしました。端子の首を曲げると強度が弱くなるので、銅パイプの根本あたりを曲げます。これでSWRは1.2以下に下がりました。上手く下がらない場合は、ラジアルの長さの調整が必要になってくると思います。またラジアルの本数も1本で十分SWRは下がりますが、若干、指向性が出るかと思います。

 以上の準備をして、山移動(深山・山元町)で実際に使ってみました。
 持ち運びに関しては、デイパックに十分納まりますが、三脚の基台部分が大きいため、収納しにくいのは否めません。重さも、いつもの倍以上で肩にずっしりと来ます。約1時間の登山後、すぐに設営に取りかかりました。山頂での組み立てはスムーズにはかどり、前回とは比較にならないくらいしっかりと固定されました。三脚にすっくとそびえる2メートルのアンテナは壮観ですね。念のため、SWRを計ってみましたが、144MHzはバンド内1.3程度、430MHzは1.1以下で430の方が良好でした。

 さて、受信では、県外局もちらほら聞こえます。岩手県奥州市の移動局が59で入感。ただ相手局の信号はまったく入りません。約1時間の運用でしたが、石巻市、南相馬市、泉区、相馬市、宮城野区、角田市、大河原町、奥州市、各局と交信できました。使用感としては、期待が大きかったせいか、24KGがこれまでのアンテナと比較して特別良いという手応えは得られませんでした。もう少し時間的に粘れば違ったかもしれません。ラジアル1本による指向性も考慮する必要がありますが、いちいち方向を変えての実験まではできませんでした。

 今回、山での持ち運びと設営については一応クリアできましたが、三脚に取付けたモービル基台は見た目以上に大きくて重いです。重量級のモービルホイップを簡単確実に、かつ軽量コンパクトに、カメラ三脚に取付ける方法をもう少し考えてみたいと思います。

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24KGを山移動で使ってみる

2009年01月23日 | 移動用市販アンテナ
 我が家のベランダではその性能が発揮されなかったコメットのモービルホイップ24KGですが、このまま押し入れで眠らせるのも癪なので、試しに山移動で使ってみることにしました。

 2.06m、重さ520グラムとモービルホイップとしては最大級で、しかもノンラジアルではなくアースが必要という、とても扱いにくいアンテナです。5/8λ2段で利得が6.0dbiあります(144MHz)。性能が実感できれば本格的に使ってみることを考えて、今回は、とりあえずの試験運用です。

 まず、アースですが、そのままの状態では、SWRが2.0前後とやはり高めに出ます。そこで、AC電線50センチ3本をMJコネクターにすっぽり入る丸端子にハンダ付けして、取付けてみたところ、SWRは1.2以下に下がりました。ダラリとぶら下がっているだけなので見栄えは良くありませんが、今回はこれで良しとします。

 長さが2.06mありますので、これは4分割にしても60センチ強で、デイパックからはみ出してしまいました(7分割してもっと小さくできますが、組立てと調整が面倒)。当局の場合、デイパックにすっぽり入るよう、仕舞い込み寸法が50センチ以内を信条としていますので、意に反するのですが、これも今回は良しとします。

 重さも520グラムもあります。いつものカメラ三脚の目玉クリップで留めてみましたが、センターヘビーのアンテナでもあり、クリップの強度から言っても、限界ぎりぎりという感じです。これも短時間の運用と割り切り、今回は良しとしましたが、カメラ三脚で固定するには、別の装置を考える必要がありそうです。そもそもこのアンテナを、ハンディ機で使うこと自体、想定外なわけですが・・・。

 以上のような課題を検証した上で、先日、中ノ森山で運用してみました。山頂には10センチほどの積雪があり雪で三脚を固定。風が強かったのですが、アンテナ自体はさほど揺れることもなく、目玉クリップでなんとか支えることができました。泉区の局がCQを出していましたので、さっそく応答。パワーを0.8Wに抑えての交信でしたが、59のレポートをいただき、ハンディ機とは思えない、強力に入っているとのことでした。0.8Wのまま、県内数局と交信、FBなレポートをいただきました。県外局との交信はなりませんでしたが、送受信共まずまずといったところです。

 固定の仕方やラジアルを工夫すれば、山に持ち運べる「簡易GP」的な使い方ができるかと思います。ただ、当局の現状システムでは多少無理があり、手軽に設営、撤収という点でも難があります。それらを見直してまで使うメリットがあるか、というと、やはり「扱いにくいアンテナ」ということになりそうです。

 ちなみに、ケーブルを使わずに、24KGを変換コネクターでハンディ機に直結すると、SWRは1.0でベタ落ちになります。ハンディ機側に組み込まれたラジアルがうまく機能しているのだと思います。この状態で、ハンディ機ごと三脚に固定して、マイクスピーカーを使って運用するのが性能的にも設置という点でも最も効率が良いのかもしれません。別途ラジアルは不要です。ハンディ機に重量負担がかからない固定の仕方であれば、この方法も有りかな、と考えています。
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狩猟用?アンテナ

2008年12月09日 | 移動用市販アンテナ
 山岳移動で簡単に組み立てられるハンディ機用のアンテナを自作したことがあります。144M用で2エレ。エレメントはロッドアンテナのため、折りたたみでき、全長40センチのコンパクトサイズに収まります。しかし、作りが粗末だったため、山移動に持っていくには不安があって、使わずじまいとなっていました。

 ところが、これとほぼ同じものが市販されていることを最近知りました。当たり前ですが、自作のより、はるかに立派でしっかりした作りです。ナテックという会社が作っています。最近まで全然知りませんでしたが、業務用の各種アンテナの他、アマチュア用のモービルホイップなども手がけているそうです。

 そのアンテナは、狩猟用発信器探索アンテナと言いまして、メーカーの説明では、「ドックマーカー(犬用の小型発信器)の方向を探知するアンテナ」とあります。どちからというと業務用という感じです。狩猟のことはよくわかりませんが、犬に発信器を取付けて、居場所を探すための受信用アンテナのようです。アマチュア無線でもフォックスハンティングという競技があるそうですが、こちらは競技ではなくプロ用?ということでしょうか。

カタログデータでは、
周波数 144MHz帯
形式 2エレロッドアンテナタイプ
利得 6.0dBi
F/B比 約20dB
耐入力 10W
入力インピーダンス 50?
電圧定在波比 2.0以下
接栓 BNCP
重量 約240g
エレメント長 最大約104cm
ブーム長 約33cm
仕舞込寸法 約8×33cm ※エレメント収縮時

となっています。どう見ても、アマチュア用そのものです。

 使用目的からすると受信専用のアンテナですが、耐入力が10Wですから、ハンディ機なら、なんとかなりそうです。利得6.0dbi、エレメントがロッドアンテナで、仕舞い込み寸法33センチ、重さ240グラムと、当局が理想とする姿をそのまま形にしたようなアンテナです。

 というわけで、ネットで購入してみました。型番はNY144Xで、こちらがロッドアンテナタイプ、もう一つNY144Zという型番もあり、こちらはエレメントが形状記憶合金で2分割して仕舞えるタイプです。狩猟の実践においては、手で持って駆け回ることになるので、形状記憶合金の方が理にかなっていると思われますが、当局の場合は、三脚固定で使うのでロッドアンテナタイプを選びました。

 実物は、さすがメーカー製だけあって、なかなか味のある作りです。特に取手の部分が木質でできており、昔の工芸品といった趣があります。エレメントは折り畳めるようになっており、この状態だと、使い道不明の忍者の道具といったところです。








 さて、SWRを計ってみますと、ロッドを伸ばしきった状態でマッチングが取れるようになっており、バンド内1.5以下におさまりました。4本のロッドを短くしてもっとSWRが低くなるところがないかどうか試してみましたが、やはり伸ばしきった状態が良いようです。

 まだ1回しか使っていませんが、以下レポートしてみます。
 まず、特筆すべきは、たいへんコンパクトなことで、デイパックにそのままポロッと収納できます。現地ではロッドアンテナを伸ばすだけなので組み立ては何もありません。あとは、取手の部分を三脚のクリップにワンタッチではさんで垂直に調整、SMAPーBNCJの変換ケーブルでハンディ機につなぐだけ。SBB7より簡単でした。軽量なので当局使用の小型三脚との相性も問題ありません。

 いつもの萱ヶ崎山から、送信出力4Wで、まず、ビーム方向を北に向けてCQを出してみました。まったく応答なし・・・。あれ?やはり送信はダメかなと不安になった時に、大崎市固定局に応答いただくことができました。適当に回していたのですが、ガタンとメリット落ちましたとのレポート。再度、三脚を回して、最も強く入感する方角に合わせ、お互い59でレポート交換できました。今度は安定して届いているとのことで、送信も大丈夫そうです。続いて、大和町モービル局、さらに岩手県一関市の室根山移動局とも59で交信でき、指向性も確認できました。給電部などが熱くなるということもないようです。

 そうこうしている内に、今度は、バックの南方向から、福島県伊達市モービル局にお声がけいただきました。説明書ではF/B比約20dBとのことで、バックからは入らないと思っていたのですが、そうでもないようです。アンテナをくるりと回して、南に向けましたが、なぜか、東に向けた方が強く入りました。微妙な反射を拾っているようで、2エレの特性が出ているのかもしれません。

 できれば、SBB7と比較もしたいと思ったのですが、風が強く雪もちらついてきましたので、今回はこれにて撤収となりました。とりあえず使えることはわかりましたが、まだまだ手応えをつかむには至りません。「狩猟用アンテナ」は奥が深いようです。



《追記》

 ロッドエレメントをうまく調整すれば、430Mでも使えるのでは?と考え、試しにやってみました。
 その結果、掲載写真の上から2番目の状態、つまり、ロッドをまったく伸ばさず、並行にした状態でマッチングが取れました。はじめからそのように作ってあるのか?。SWRは、バンド内すべて1.5以下(出力4Wにて)。ただし、この状態で共振点は433.700と高めのところにありますので、エレメントを少し伸ばして中心を下げようとしましたが、うまくいきませんでした。このアンテナは、2エレ八木ではなくHB9CVなのか?
 まあ、 433.000で1.3なので、まずまずではないでしょうか。デユアルバンドで使えることがわかり、少し得した気分です。





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