何日か前の新聞で、空中の電波を集めて発電する装置のことを目にしました。紙にプリントしたアンテナで効率よく電気エネルギーに変えて、蓄電するのだそうです。掲載された写真に二つのアンテナが写っていましたが、一つはツインデルタループ形状でした。かなり小さく、携帯電話の電波を想定しているのかもしれません。
見えないけれど、世の中、人工的な電波で埋め尽くされているわけです。これを避けて生活することはできません。そういう地球環境というのはどうなのか?ということは置いておくとして、発想を変えればエネルギー源と言えなくもないわけです。でもこれって、目新しいわけではありませんね。
いわゆるゲルマラジオも、電波そのものを電源とし復調させる装置です。昨年のハムフェアで購入した無電源電界強度計も、電波のみを電源としてメーターを振らせます。音声を出したりメーターを振らせたりする代わりに、その電力を電池にためるようにしておけば、「電波発電器」となるわけです。太陽光発電と違って、夜間でも四六時中、発電可能。
ただ、それで取り出せる電力はほんのわずかで、イヤフォンをかすかに鳴らす程度、蓄電など夢のまた夢、と思っていたら、そうでもないようです。なんとゲルマラジオでスピーカーを鳴らすことも可能とか。これはもう電波発電ラジオと呼びたくなります。いったいどれほどの電力が取り出せるのか?
そんなことがきっかけで、手始めに、ゲルマラジオを作ってみたくなりました。子どもの頃、「学習と科学」の付録で1度だけ作ったことがあります。それ以来です。
マルツ仙台店で材料を物色していたら、「鉱石ラジオキット」なるものがありました。イヤフォン付き材料一式入って680円。単品で買うより安いです。後で調べたら、秋月電子に同じものがあって450円でした。送料がかからないので良しとします。
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日本語解説書が付属しています
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材料一式
子どもの頃に作ったゲルマラジオは、スパイダーコイルを巻いて、コイルの中間にいくつか端子を付けて同調させたような記憶があります。付録としてはかなり作り甲斐のあるものだったと思います。今回購入したキットは、小さなプリント基盤になっていて、すっきり現代風。味気ない感じがしないでもありません。抵抗やコンデンサーもあって、ゲルマラジオとしては部品点数は多いです。一応、回路図は以下の通り。
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回路図(解説書より)
組み立ては、プリントされた通りに部品を差し込んでハンダ付けするだけなので30分もかかりませんでした。50センチくらいのアンテナ線が付いていますが、これは使わず、ビニール線にみの虫クップを付けて外部アンテナにつなぐ方式にしました。
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完成 サイズは横8cm×縦5cm
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裏面はこんな感じ
チューニングは、小さなトリマーをドライバーで回して合わせるようになっています。バリコンが普通だと思いますが、680円ですから致し方ありません。
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さて、果たして受信できるのか? NHK仙台原町ラジオ送信所から自宅までは3.5kmほど。市販の小さなラジオでも室内で十分受信できる距離です。
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3cm程のかわいいバーアンテナが付いていますので、まずは本体だけで受信を試みました。慎重にトリマーを回して、最大限の集中力で聞いてみましたが、何も聞こえませんでした。解説書に窓枠に接続する方法が紹介されていたので、試したところ、やはり聞こえません。
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続いて、オーディオチューナーに付属していたAM用ループアンテナをつないでみました。これは期待できそう?と思ったのですが、何も聞こえません。さらにテレビのアンテナ端子につないでも聞こえませんでした。???。
それならということで、コメットのHA750BLに接続したところ・・・。ん?聞こえる、聞こえる!!まぎれもなくNHK第一放送。さらに第二放送も。意外にノイズもなくクリアな音です。ゲルマラジオからの音声を聞くのは、実に数十年ぶり。もちろん音量は低いですが、了解度5、何を言っているのかはっきりと聞き取れます。なんだか子供の頃の感動が蘇ってきました。それにしてもさすがブロードバンドアンテナ。受信だけなら中波もカバー?
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芯線側よりも編線側の方が強く聞こえることも
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気を良くして、他のアマチュア用アンテナも試してみました。
・EHアンテナ まったく聞こえず。
・430スイスクワッド(室内アンテナ) まったく聞こえず。
・2m3エレ八木 聞こえました。芯線よりも編線側接続の方がよく聞こえます。
・モービルホイップCSB7900 芯線、編線どちらもの接続でも同じようによく聞こえます。
NHK第一放送を受信している状態で、イヤフォン端子側で電圧を図ってみたところ、わずかに5mV前後でした。安物のテスターで正確でないかもしれません。この状態では、蓄電には遠く及びませんね。スピーカーも鳴りそうにありません。
でも、ダイオードを2個使った倍電圧検波方式とか、トランジスター検波(もちろん無電源)、などいろいろ「大電力」を取り出すための工夫のしどころはあるようです。そして何といってもアンテナですね。いかに電波を拾い集めるか、にかかっていると思います。
初歩のラジオ工作、なかなか興味深いものがあります。