JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

鉱石探し 広瀬川源流・奥新川

2022年10月26日 | ゲルマラジオ

 

 

 地元産、できれば自分で採取した鉱石で検波してみたいとの思いがあり、だいぶ前に隣県の大蔵鉱山跡に採取に出かけたことがあります。予備知識も準備もなかったこともあり、その時拾い集めた石はことごとく検波はしてくれませんでした。それから11年。仙台近郊でも採取できる可能性があることを知り、かねて思いをめぐらせていた「鉱石探し」に出かけてみることにしました。

 

 もともと当県周辺は国内最古の金産出地であり、数十年前までは現役の鉱山も複数ありました。鉱物に恵まれた土地ではあるようです。今回訪れた場所は広瀬川の源流、奥新川。かつてここに「秋保鉱山」があり、従業員やその家族数百人が暮らし、学校や医院もあったのだそうです。昭和36年に閉山となり、今は跡形もなく藪に埋もれてしまったようです。資料によると主に銀、銅を産出とあります。

 

 JR仙山線に乗り奥新川駅へ。数年前の大雨による崩落で遊歩道(奥新川ライン)が通行止めとのことですが、実情が良くわからず、また案内板も設置されていましたが、どういう状況でどこからどこまでが通行止めなのか、いまひとつわかりません。鉱山跡まで行けないとしても、その下流の河原でも採取できるのでは?ということで、とりあえず駅から左手奥の林道を進みました。

奥新川駅

 

 1kmほど歩くと仙山線の赤い橋脚が現れました。その下を流れる「四ノ沢」上流に「秋保鉱山」があったようです。手前にクサリが張られ、ここで通行止めとなっていました。少し林道を引き返し、適当なところから南沢(奥新川)に下りてみました。かつては沢を縫うようにか細い遊歩道が続いていたのですが、痕跡すらありません。これでは修復というより、ゼロから作り直すしかなさそうです(予定はない模様)。

南沢

 

 さて、「四ノ沢」合流地点の下流かつ小広い河原になっており、ここで採取を試みることにしました。目当ては方鉛鉱、黄鉄鉱、黄銅鉱、班銅鉱などの半導体鉱物。付け焼き刃で仕入れた予備知識をもとに錆色の石とか縞模様のある石、あるいは持ってみて重い石を探し、ハンマーで割ってみました。すると、断面に小さなキラキラ光るものが・・・。

 

 不揃いに散らばったものもあれば、きれいな立方体のものも確認できました。たぶん黄鉄鉱・・・いや、黄鉄鉱に違いありません。汗だくになりながら2時間ほど作業を続け、思いのほか多く見つけることができました。残念ながら他の鉱石は採取できませんでしたが、これだけでも大満足で帰路につきました。

 

 

 帰宅後、持ち帰った石のかけらから鉱石結晶のみを取り出す作業をおこないました。その過程でうまく分離できなかったり、割れてさらに小さくなったり、けっこう難しいです。大きさはほとんどが2~3 mm。1つだけ5mmを超えるものが採取できたもののまだ石に張り付いた状態で、分離できないでいます。

鉱石を含んだ石

天然とは思えないような立方体結晶

比較的大きな採取物

分離した黄鉄鉱の結晶

 

 検波が目的なので鉱石の大小は関係ないはず、ということで「探り式鉱石ラジオ」に結晶をセット。さっそく検波するかどうか試してみました。

 

 

 慎重に針を当てるとカサッという音と共に音声が聞こえたような気がしました。でもそれは一瞬で、何も聞こえなくなってしまいました。何度も鉱石の向きや針の位置、圧力を変えながら試していったところ、ついに明瞭に聞こえる個所を探すことができました。NHK仙台第一放送。聞こえてきたのは国会中継。音量、安定感ともに良好で、十分に了解できます。国会では原発汚染水について質疑中で、その内容はともかく、聞こえていること自体に感動し、しばし聞き入ってしまいました。そして、米粒みたいな鉱石がとてもいとおしく感じられ、満ち足りた気持ちでいっぱいになりました。これぞ「地(自)作りラジオ」。自採取・地鉱石で放送を受信する、長年の思いが一つ叶いました。

 

 鉱石採取の愉しさにも少し目覚めました。我が家のすぐ前を流れる広瀬川、その源流にこのような鉱物が眠っていたとは・・・。これまでは単なる河原、単なる石としか見えていなかったものが、違った風景に見えてきました。すべてがいわば地球の営みから生まれた貴重な贈り物。本格的な採取には知識と熟練、それなりの道具も必要なようです。アプローチを重ねながらいろんな鉱石を見つけ、検波を試してみたい・・・そんな思いがまた湧いてきました。

 

 

 

 

 

 

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鉱石検波考

2021年03月20日 | ゲルマラジオ


 自らは電源を持たず、細々とした電波のエネルギーを捉え、それをわずかな電気に変え、目的の周波数から音声を紡ぎ出す、無電源ラジオの奥深さにはまってしまうと、なかなか抜け出せない魅力があります。そして、技術の進歩に逆行する鉱石そのものによる検波。もの好きと言われればそれまでですが、実際試してみてやはり捨てがたいものがあります。


 第一に音質の良さがあります。ゲルマニウム単結晶や紅亜鉛鉱(ジンカイト)はとりわけ良好で、調和のとれた厚みのある聞き疲れしない音を聞かせてくれます。いろんなダイオードを試してみましたが、これまでのところ、これら鉱石に勝るものはありません。異なる鉱石同士の接合検波ではさらに高音質が得られ驚かされることがあります。この点は続行中です。


ゲルマニウム単結晶


 第二に感度。当所、1N60や1N270などのダイオードには及ばないとの感触だったのですが、必ずしもそうでもないと思うようになりました。適切な検波位置を探り当てると突如大音量となり、ダイオードに劣らぬ性能の高さを実感できます。定番として知られる方鉛鉱や黄鉄鉱では聞こえることは聞こえますが十分な感度は得られません。シリコン原石や精製品も同様です。自分の経験では紅亜鉛鉱とゲルマニウム単結晶がこの点でも優れています。Vfが極端に低くなる箇所が存在するということでしょうか。


 第三に欠点ともいえるのですが、電波の揺らぎ?が感じられます。鉱石の一点に検波針を当て、かすかな音声が聞こえてきたとします。その状態のまましばらくするとじわりと音量が上がってくることがあります。またその逆もあり、あたかも大きなフェージングに見舞われているような感覚になります。単に表面の酸化によるものなのかもしれませんが、電波の底知れないエネルギーのようにも、あるいは鉱石と対話しているようにも感じられ、先端デバイスにはない独特の味わいがあります。信号が安定しないということでもありますが、これはこれで気に入っています。


紅亜鉛鉱(ジンカイト)


 そして鉱物(石)が検波することそのものの現象、天然の整流作用、その神秘さにはまっています。検波の際、針で探るという行為もなにかのメッセージを受け取る儀式のように思えなくもないです。プロセスを踏まないとメッセージは受け取れず簡単には聞こえてこない・・・ひと手間かけた体験を伴うところに独特の面白さがあります。


 いろいろなものを付け加えて性能を高めるのではなく、どんどんそぎ落として、そぎ落とした中に電波のエネルギーを感じ取り、原初的な音を聞く。先人たちは意外にも感度良く良質な音で聞いていたのでは? こんなふうに遡って追体験してみると、消え去った中にもなにか掘り起こすべきものがあったのでは? などと考えてしまいます。





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鉱石接合検波を試す

2021年03月13日 | ゲルマラジオ
 検波とは変調の乗った信号から元の信号を取り出し復調することですが、既成のデバイスに頼らず天然あるいは準天然石のみでその作用が得られること自体、驚きがあります。鉱物にそんな力が内在していることに自然界の妙というものをいつも感じてしまいます。異なる鉱石同士を接合させることでより安定して検波することは、以前にも実験したことがあります。鉱石検波の面白いところはいろいろな石を組み合わせて試せるところで、それによって検波が安定したり、音量や音質が変わったりします。





 先日製作した鉱石ラジオを使ってあらためて試してみました。はじめカートリッジ方式の鉱石の上に別の鉱石を載せてみましたが安定感がなく、途中からアクリルパイプを使うことにしました。

 <2種類の接合検波>
 ゲルマニウム単結晶と斑銅鉱
 ゲルマニウム単結晶と紅亜鉛鉱
 ゲルマニウム単結晶と方鉛鉱 
 紅亜鉛鉱と斑銅鉱






 ゲルマニウム単結晶と組み合わせた接合検波は初めてです。どの組み合わせも音量が大きくなるわけではないものの落ち着いた音質に変化する感じがありました。特に斑銅鉱との接合では検波ポイントが探しやすく、一度探り当てると安定した状態が続くようです。方鉛鉱との組み合わせは検波しにくくいま一つでした。紅亜鉛鉱と斑銅鉱の組み合わせは定評どおり良く聞こえます。








 続いて3種類の鉱石の接合検波を試してみました。
 紅亜鉛鉱と斑銅鉱と方鉛鉱
 ゲルマニウム単結晶と紅亜鉛鉱と斑銅鉱

 アクリルパイプに3種類の鉱石を入れ、上から少し強めに針を当てると、意外にも探るまでもなく音声が聞こえてきました。ただし、聞こえることは聞こえますが2種接合に比べ音量は小さめです。3種接合してもかえって損失が大きくなって効果が得られないのかもしれません。


3種接合


 紅亜鉛鉱は斑銅鉱と接合することで音量、音質とも良くなることが今回も実感できました。特に音質はすばらしいです。ゲルマニウム単結晶についてはあえて接合検波にするメリットはあまり感じませんでした。今回の組み合わせだけで言えば単体で十分かな、といったところです。


前作と今回の鉱石ラジオ


 全盛期、先人たちもさまざまな鉱石を組み合わせて試しただろうと想像されますが、接合検波自体は効率やコストなどから十分その優位性が検証されることなく消えていったようです。今更ながらではありますが、まだ未解明な部分があり、鉱石同士の相性によっては思いもよらぬ作用に出会う、なんてこともなくはないのでは?と思ったりもします。






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探り式鉱石検波ラジオ

2021年03月07日 | ゲルマラジオ


 NHK第一放送の前身であるJOAK東京放送局の本放送が始まるのが大正15年(1924年)、それと共に昭和初期にかけて一世を風靡し、瞬く間に消えていった探り式鉱石ラジオ。その開発の過程では少しでも受信能力を高めようと様々なコイルや鉱石が試され、その後のデバイスの進化へとつながっていったのだと思います。今はそれによって効率よく検波できるわけですが、効率優先の中で置き去りにされてきたものもあるのでは? そんな思いから鉱石検波に一時夢中になりました。探り式というのもいかにもアナログで何かの儀式を想起させる古風な印象があります。半導体といっても鉱物そのものなので検波する箇所としない箇所があり、針状の電極で探る必要があるわけです。その針の材質もさまざま研究され、タングステンなどが使われたようです。

 各種ダイオード比較をしている内にふと、鉱石の音を聞いてみたくなり、数年前に作った鉱石検波専用ラジオで久しぶりに聞いたところとても良い音であることにあらためて気づかされました。ただ、小さな銅製カップに鉱石を置いて探る方式のため、接触不良や鉱石自体が動いてしまう問題がありました。探り式はそのままに、アプローチを変えて形にしてみたのが今回の鉱石ラジオです。




 コイルは縦20.5cm、横13.5cm、幅2.5cmのロの字型の木枠を使いました(元は菓子箱)。幅が狭いので普通に巻いたとしてもいくらも巻けません。数カ所に自在ブッシュを貼り、その溝の高さで巻き数を確保することにしました。溝は8つ。はじめ一つの溝に4回巻きとし、合計32回巻いてインダクタンスを測ったところ673μHと予想外に高くやり直し。溝2つに4回巻き、残り6つの溝は2回巻きとしたところ151μH。我が家の環境では問題ないのでこれで良しとしました。一種の分割巻き。この方法であれば、コイル幅にかかわらずインダクタンス調整が楽にでき、悪くないかなと思います。




 続いて検波部。細い銅線(針)で探る部分は同じですが、鉱石側はカートリッジ式としました。電極の銅パイプに各種鉱石を固定した一回り大きい銅パイプを差し込む。これで導通や鉱石が動いてしまう問題はある程度解消されるかと。この検波装置では針で突くというより、銅パイプを上下させたり、カートリッジを回転させることで適切なポイントを探ることになります。とりあえずゲルマニウム単結晶、紅亜鉛鉱(ジンカイト)の2種類のカートリッジを作製しました。





ゲルマニウム単結晶と紅亜鉛鉱(ジンカイト)








 全体の作りはシンプルで、トランスも省きました。コイル、バリコン、検波部、音声出力端子のみです。いつものとおり裏面配線して完成。


 マルチタップトランスにつなぎ、さっそくオーディオイヤフォンで聞いてみました。まずは紅亜鉛鉱を装填。適当に銅線の針を接触させバリコンを回すと人の声が聞こえてきました。NHK第一放送。何度か接点を探るとけっこうな音量で鳴ってくれました。紅亜鉛鉱の場合、音量の大小はあるもののどの箇所でも聞こえなくなることはなく安定して検波してくれます。音質もすばらしく、ふくらみのある落ち着いた音声。






 続いてゲルマニウム単結晶。純度99.999%とか。球状なので針を側面に当てる感じになります。カートリッジ側を回転させて探ると、突如大音量で聞こえてきました。紅亜鉛鉱を上回る音量で、音質も負けず劣らずすばらしいものがあります。これぞ本式ゲルマラジオ?






 小さなループコイルなので性能的には期待できないかな?と考えていたのですが、なかなかのものです。鉱石の検波能力に負うところが大きいと思います。紅亜鉛鉱にしてもゲルマニウム単結晶にしても感度、音質とも既成のダイオードでは得られない領域では?と思ったりもします。時代を完全に逆行する鉱石検波ですが、なにか底知れない奥深さを感じます。2種類とか3種類の鉱石を使った接合検波も試してみたいのですが、もう一工夫必要かもしれません。





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ロシア製ゲルマニウムダイオード

2021年02月23日 | ゲルマラジオ
 ゲルマラジオ(無電源ラジオ)はシンプルにセラミックイヤフォンで聞く方法とトランスを介してオーディオイヤフォンで聞く方法があります。その際、ダイオードの種類により向き不向きがあり、セラミックイヤフォンで良く聞こえてもトランス経由の場合、音が歪んでしまったり極端に小さくなったりするものがあり、また逆もあります。たとえば定番の1N60でも点接触型の本来のゲルマニウムダイオードと同じ型番でショットキーバリアダイオードがあり、点接触型はセラミックイヤフォンに合い、ショットキータイプはトランス経由のオーディオイヤフォンにベストマッチします。自分はオーディオイヤフォンで聞きたいので、ほとんどの場合ショットキータイプを使います。なので「ゲルマラジオ」ではなく「無電源ラジオ」と言うべきかもしれませんが、便宜上、ゲルマラジオでも良いかな、と考えています。いづれにしてもダイオードの選択次第で音量、音質は天地の差となってしまうわけです。




 さて、aitendoで珍しい?ロシア製ゲルマニウムダイオードを扱っており、興味が涌いて数種類購入してみました。どれも点接触型ゲルマニウムダイオード。国内で流通しているものに比べ若干大きく、古風な雰囲気を纏った形状のものもあります。ショップのサイトにそれぞれ仕様も掲載されています。


D311   D312A   D18


 さっそくゲルマラジオ実験ボードで聞き比べをしてみました。試したのは次の種類です。
 ・D311
 ・D18
 ・D312A
 ・D9G
 ・D9V
 ・D9J
 ・D9B


 実験ボードに大型バーアンテナをつなぎ、もっともシンプルな回路で、まずはセラミックイヤフォンで聞き比べました。その結果、どれも1N60(ゲルマニウムタイプ)とほぼ同等に良く聞こえます。D311がもっとも歪みがなくクリアな音に感じました。D312Aはそれよりほんの少し音が小さめ。D18は若干歪みが感じられますが好みもあるかと思います。D9タイプを含め悪くないです。






 続いてトランスを経由してオーディオイヤフォンで比べたところ、セラミックイヤフォンの場合とは予想した通り異なる結果となりました。音量が大きく音質も良好なのはD312Aでした。今回試した中ではダントツです。D18は歪みが感じられますが音量的には悪くないです。それ以外はセラミックイヤフォンでもっとも良いと感じたD311を含めどれも音量小さめ、という結果になりました。


 ショットキーダイオードの中にはセラミックイヤフォンで聞くと歪みが激しくほとんど音声にならないものもあるのですが、D312Aは両刀使いでどちらでもよく聞こえます。しかも正真正銘?のゲルマニウムダイオード。オーディオイヤフォンで聞く場合、選択の一つとの印象を持ちました。









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aitendoのゲルマラジオキット

2021年02月16日 | ゲルマラジオ


 ラジオを作りたくなってaitendoからいくつかキットを買い込みました。これもその一つ。aitendoのゲルマラジオキットは何種類かありますが、基板上にすべてが揃うオールインワンタイプです。アンテナ端子、イヤフォン端子、ダイオード取付けはターミナルブロックになっており、実験ボード的な使い方もできるかな、と。




 長さ10cmの大きめのバーアンテナが付属し、そのためゆったり目な基板になっています。不必要に大きいので、空いたスペースに回路図までプリントされています。このバーアンテナのインダクタンスを測ったところ861μHもありました。タップで測っても600μH前後。HPの説明では350μHのはずですが、大きすぎ。手持ちの別のコイルに交換しました。ポリバリコンの取り付けも要注意です。付属の固定用ネジが長過ぎ、締め付けるとバリコン内部に食い込み、壊れてしまいます。実際、壊してしまい、これも別のバリコンに交換しました。






完成 (付属品以外の部品を追加しています)


 ということはあったものの、部品数点なので難なく完成。このキットの特徴の一つがダイオードを2個使う倍電圧検波回路を採用していることです。整流回路としてみた場合、2倍の電圧を取り出せるわけです。過去に何度かこの回路を実験ボードで試したことがありますが、芳しい効果は実感できませんでした。ダイオード自体による損失も2倍になり理論通りにはいかないようです。そのダイオードですが、ロシア製のD311というもので、「高性能なゲルマニウムダイオード」なのだそうです。




 窓辺のガラスぎりぎりのところでセラミックイヤフォンで聞いてみました。10cmのバーアンテナ単体では受信は無理だろうと予想したとおり、適当にバリコンを回しても何も聞こえず、でした。再度イヤフォンを耳奥に装着し直し、最大限の注意力をもってバリコンを回すとNHK仙台第一の音声が一瞬かすかに聞こえ、さらに慎重に合わせ、何とか受信できました。21~31程度。次にアンテナ端子からエアコンアースにつないだところ、十分聞き取れる音声で入感。この状態で倍電圧検波と単体検波を比べてみました。その結果、今回は倍電圧検波による音量アップが実感できました。2倍とはいかないものの1.5倍くらい力強い音声になります。




 ループアンテナも試してみました。バーアンテナをループコイルに対し直角にすると効果てきめん。また、大型の外付けバーアンテナを端子につなぎ、トランスを経由してオーディオイヤフォンで聞いてみたところ、若干ゆがみが感じられるものの程よい音量で鳴ってくれました。セラミックイヤフォンは耳に合わず、やはり自分はこの方が好みです。




 D311を外し定番の1N60と比較しました。わずかに音量低下が感じられましたが悪くないと思います。他にもロシア製ゲルマニウムダイオードを何種類か買ってみました。在庫が尽きたらもう出回らないレアものなのかもしれません。追々試してみます。






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ラジオ少年の中波ループアンテナ

2021年02月13日 | ゲルマラジオ

 NPOラジオ少年の通販が再開したことを知り、気になっていた中波ループアンテナキットを購入しました。ループアンテナとしては小型で、これをコイル代わりにしてゲルマラジオにしたら面白いものができるのでは?と以前から考えを巡らせていたのです。数年ぶりのゲルマラジオ作り。






台座裏面


 キットには十字に組むための板材、台座、バリコン、ダイヤル、線材、ターミナル端子、木ネジ、ゴム足シールなどの一式と簡単な組み立てプリントが入っていました。台座は内部が空洞のボックス状になっているのかと想像していたのですが、一枚の厚板でできており部品を装着する部分のみくり抜かれた構造になっていました。空洞ならトランスの配置や裏面配線が楽かな、と考えていたので、これは想定外。彫刻刀でくり抜き部分を広げ、空間を確保。トランスとダイオードの配置を決め、穴あけ加工をおこなった後、黒の塗装を施しました(スプレーしただけ)。




 続いてコイル部。切れ込みのある板材を十字に組み、付属のビニール線を巻いていきます。板幅4.5cm、溝が付いており「3分割巻き」となります。説明では8回、7回、6回、計21回巻くことになっていますが、溝に納まりきらず7回、6回、5回の18回巻きとなりました。巻き終わってインダクタンスを測ったところ209μH。我が家の環境では下の周波数に放送局はないのでこれで良し、としました。コイル巻きは、巻き始めと巻き終わりの処理が勘所です。このキットは穴に通して固定できるようになっており、線材自体も緩みにくく、良くできていると思いました。


一辺28cm


 コイル巻きが終わったらあとはゲルマラジオ部の配置と配線をするのみ。オーディオイヤフォンを鳴らしたいのでキットと一緒に購入したトランスT-725を使いました。8Ω~100kΩで音量、音質が選べます。いろいろ試してみて、このトランスが今のところベストと思います。ダイオードはaitendoの1N270。型番は同じでもあまり国内で流通していないタイプです。aitendoでも今は取り扱いなく、別タイプの1N270に変わっているようです。配線後、支柱板にコイル部をねじ止めして完成。








 さっそく室内にてオーディオイヤフォンで聴いてみました。NHK第一がうるさいほど入感、第二もほどよい音量で聞こえてきました。東北放送は窓辺でポイントを探り、方角を合わせてなんとか聞き取れる程度。それぞれ信号のピークが鋭く、分離の良さはなかなかのものと思いました。外部アンテナ、アースなし、無電源でこれだけ聞こえれば御の字です。




 ゲルマラジオとして作りましたが、当然ながらループアンテナとしても使えます。ID-51で試してみました。アンテナを外した状態ではNHK第一ですらほとんど受信できません。ループアンテナに載せてバリコンを回すと一気に信号が59に上がります。別世界。ターミナル端子からつなぐこともできますが、ループに近づけて同調を取るだけで十分なようです。




 久しぶりの工作。スケッチ通りにいかずてこずった所も多々あったものの、楽しめました。このキットの良いところは、ゲルマラジオとして作り込むのにちょうど良い大きさと形状で、構造的に丈夫なところかと思います。性能もまずまず。線材にリッツ線を使うとか鉱石検波を取り入れても良いかも? 無電源ラジオ作りにあらためて興味が涌いてきました。






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2段巻きコイル ゲルマラジオ

2017年04月15日 | ゲルマラジオ


 直径12cmの紙筒が入手できたので、これでコイルを作ってみることにしました。我が家の環境では、このくらいの大きさのコイルであれば、NHK仙台第一は難なく受信できるはず。Qを上げるにはコイル径を大きく、線材を太く、スペースを開けて巻く、これが三大鉄則。今回も、ユニバーサルブッシュを使ってスペース巻きとし、紙筒の長さを抑えるため、2段巻きにしてみました。



<材料>
・直径12cm、長さ13.5cmの紙筒
・リッツ線 0.1mm×100本 約15m
・ダイオード1N270(aitendo)
・トランス T725(ラジオ少年)
・ポリバリコン
・木台、ユニバーサルブッシュ、銅パイプ、線材

 もともと長さ20cmの紙筒を糸鋸でカット。ユニバーサルブッシュを8カ所に貼り付けた状態で塗装。昔の鉱石ラジオ風に仕上げることにします。1段目25回巻き、いったん折り返し、同じ向きに重ねて巻いていきます。1段目が巻き終わって、インダクタンスを測ってみると48μHしかありません。2段目も25回巻いて、インダクタンス220μH。一段目のリッツ線に2段目が密着してしまうので、一見スペース巻き、かつ半分は密巻きという状態。なので、2段目を巻くとインダクタンスが急激に上昇するようです。








 とりあえずこの状態で実験ボードにつなぎ、回路を組んでみたのですが、うんともすんとも言いません。何も聞こえず。220μHなので容量的には問題ないはず。???。別のコイルをつないでみたところ、問題なく受信できます。よくわからないまま、2段目を1巻きずつほどいていったところ、半分くらいほどいた状態でNHK第一が聞こえてきました。さらにほどき、NHK第二も。いろいろ試した結果、2段目を10回巻きとし、固定しました。これでインダクタンス140μH。単に容量が大きくなって周波数を下にはみ出してしまったのか、1段目と2段目を同じ巻き数にすると打ち消しあう何かがあるのか??自分にはわからず、です。でも、このコイル、性能は悪くありません。同径で密巻きにしたものより線材も少なく済みます。




 コイルづくりを終ればほぼ目的達成で、あとは数点の部品を木台に配置、配線するのみ。トランスは、ラジオ少年のT-725を使ってみました。これは以前に取り扱いのあったBT-OUT-100(100kΩ:8Ω)の同等品のようです。BT-OUT-101(200kΩ)に比べ落ち着いた音質で、ステレオイヤフォンとの相性は言うことありません。







 今回は紙筒を使ったこともあり、軽く仕上がりました。何本もコアを使ったり、大型だったり、これまでが重すぎたかも。あらためて聞いてみると、外部アンテナなしでNHK第一も第二もよく入ります。分離も良好。音量は耳障りでなく、程ほどといったところです。 



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コア付き空芯コイル ゲルマラジオ

2017年01月16日 | ゲルマラジオ



 中途半端に残った直径1.7mmの太いポリウレタン線。巻き方によりますが、空芯で20m巻くとおおよそ200μHのインダクタンスが得られます。残っているのは12m。空芯コイルでQを上げ、中心部にコアを入れることでインダクタンスを確保する、そんなものができないか考えてみました。バーアンテナのようにコアに線を密着させて巻かなくとも、コアの恩恵を受けられることはこれまで何度か実験しています。では、コイルとコアをどの程度まで離して大丈夫なのか。コアの影響はどこまで及ぶのか。手持ちのコイルと実験ボードで簡易的に試したところ、直径15cmのコイルに小さなフェライトバーを差し込むだけでも、思いのほかインダクタンスが変わります。コアの位置をコイル中心とするのがポイント。今回は、これを形にしたものを作ってみることにしました。



 前回が大型であったことから、少しコンパクトなものを、ということで蜂蜜瓶を使ってコイル巻き。線材が太い上、ガラスで滑るので巻きにくいです。密巻きのつもりが、所々隙間ができてしまいました。36回巻き、直径10cm、幅7cm。いったん外側をホットボンドで固定し、慎重に取り外した上で、今度は内側を固定する。これでコイル完成。
 
 続いてコア。直径3.8cm、長さ10.5cmの塩ビパイプに10cmのフェライトバーを7本仕込み、両端をホットボンドで固定。








 我が家の環境の場合、NHK仙台第一放送891KHz、第二放送1089KHz、東北放送1260KHz以外に受信の可能性はないので、170μH前後のコイルと一般的なポリバリコンの組み合わせがベストです。インダクタンスを測ってみるとコイル単独で106μH、コア付きで161μH。ほぼ想定どおりとなりました。






 コイル部が完成すれば、7割方できたも同然。見た目にもこだわり、銅パイプ埋め込みによる裏面配線としました。部品の配置を決めたら木板に穴をあけ、3mm銅パイプを埋め込む。これにより表面の部品と裏面の配線がスムーズに連結されます。コアはコイル中心にくるよう木台で持ち上げることにしました。抜き差しを繰り返すため、接着のみでは強度に難があったイヤフォンジャック。今回は、ポリバリコン金具に穴をあけ固定してみました。何度も作っているゲルマラジオですが、毎回、何らか工夫のしどころはあります。丸1日かかり、ほぼスケッチどおりに完成。












 さっそくステレオイヤフォンをつないで聞いてみると、室内にてNHK仙台第一は59、第二は52ほどで問題なく受信できました。東北放送は、窓際にて「何か話しているな」程度で、了解不可。以前作った直径15cmの空芯コイルと同等か。NHK仙台第一については意外にも窓から数メートル離れた室内でもけっこう聞き取れます。強く入る方向(コイルの向き)は微妙に変わり、指向性が強いとの印象。インダクタンスはもとより、透磁率増加によるコアの恩恵を感じることができたのは収穫でした。



 作っている過程で、いろいろと脳裏をよぎりました。コア可動式によるミュー同調とか、長いコアに2つのコイルを作り磁界誘導を図るとか・・・・。外部アンテナもなくコイルのみで電波を捉え、電気を起こし、わずか数点のパーツで音声を作り出す。ささやかな装置で、かすかに聞こえてくる放送を楽しむ。そんな無電源ラジオだからこそ、試してみたり、工夫のしどころは無尽蔵では、と思ったりもします。思いついたら形にしてみる。作る度に発見があります。


(追記)
 昨日、一昨日と夜間に聞いてみました。日中に比べ深夜から明け方にかけて強く入ります。東北放送もその時間帯なら聞き取れる程度で受信できました。多少、フェージングを伴い、信号の揺らぎが感じられます(送信所からたった8km程なのに)。また、このコイルは分離に優れるようです。コイルによってはバリコンのどこを回してもNHK仙台第一がかぶってしまうことがありますが、これは受信のピークが先鋭でスパッと切れてくれます。ある意味、極太コアを使った変形バーアンテナでもあり、指向性の強さ、分離の良さはその特性なのかもしれません。



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タワー型ループ ゲルマラジオ

2017年01月07日 | ゲルマラジオ


 ループアンテナの形状は角材を十字に組んだものや長方形のものをよく見かけ、自分もいくつか作ったことがあります。この形状だと設置面積が大きく、我が家の環境では置き場所に困ることになります。ループアンテナは大きいほど良い、それでいてコンパクトであればなお良し。ということで、タワー型直方体ループアンテナのゲルマラジオを作ってみました。ちょうどトールボーイタイプのスピーカーサイズ。部屋に置いても邪魔にならずに済むかと・・・。

 といっても自分が製作した無電源ラジオの中では、最大サイズ。これまで成功しなかった東北放送の室内での安定受信を目標に高性能をめざすことにします。

 <ループアンテナ部>
 材料  
 ・角材1mを5本
 ・リッツ線0.1mm×100本を38m
 ・ユニバーサルブッシュ1m
 ・土台用板 19.5cm×19.5cm

 まずは巻き枠。一辺1cmの角材を切り分け、接着剤で縦85cm、横13cmの縦型直方体に組みます。上下、中間の6カ所にユニバーサルブッシュを貼り付け、等間隔のスペース巻きとする。接着剤が乾いて完全に固定されたら、あとはリッツ線を巻くのみ。24回巻き。途中17回巻いたところでタップを1カ所のみ取りました。使ったリッツ線はいつもの倍近くの38m。インダクタンスを測ってみると418μH、中間タップが212μH。










 さっそく実験ボードにつないで、回路を組んでみました。418μHの方はNHK仙台第一放送のみで、他は受信できません。きちんと同調していないとみえ、期待したほど感度も上がりません。続いて中間タップにつないだところ、NHK仙台第一放送が圧倒的な音量で耳に飛び込んできました。Sメーターもそこそこ振ってくれます。バリコンを右に回すとNHK仙台第二放送、さらに東北放送も聞こえてきました。第二に第一が若干かぶるものの、これなら、タップ切替えを省き、中間タップのみで良さそう。直方体タワー+リッツ線スペース巻きの効果が出ていることを確認。土台板に接着しループアンテナ部完成。






<ラジオ部>
 材料
 ・エアバリコン12pF〜290Pf(aitendo)
 ・ダイオード 1N270(aitendo)
 ・トランス BT-OUT-100(NPOラジオ少年)
 ・ステレオイヤホンジャック
 ・板10cm×10cm

 続いてラジオ部の製作。いつもの通り、これ以上何も減らせない最もオーソドックスな回路としました。タワーループに合わせ、板上にバラック組み。板をくり抜いたり、銅パイプを固定したり、部品の位置を変更するなど自在に加工でき、自分はやはりこのスタイルが好みです。aitendoのエアバリコンは国籍、メーカー不詳のとても新品とは思えない代物でしたが、性能は悪くないようです。そしていつもの1N270。トランスを使ってステレオイヤフォンを鳴らすには最高のダイオード。トランスは板に直接穴を開け、固定。今回もなるべく裏面配線とし、すっきりした外観にしてみました。最後に、ラジオ部をループアンテナ低部に接着固定し、完成。














 配線がすっきりした分、実験ボードで試しに受信した時より、音量、分離とも改善したような印象を受けました。目標とした東北放送は、59とはいきませんが、52程度で室内窓辺であれば十分了解可能。直方体ループアンテナ、まずまずです。テーブルや床の隅に置いても邪魔になりませんが、仕舞えないので埃はかぶったままになりますね。

 この形のループアンテナを思いついて、年末年始、少しずつ作りながらも新たなアイディアや手直しを繰り返し、なんとか完成となりました。1年ぶりのコイル巻き、そして無電源ラジオ作り。コイルを巻いたり、部品の配置を考えたりしている時は、他のことは忘れて没入してしまいます。夢中になれるもの、ワクワクするものは人生の宝、と言われた方がおりましたが、ホント、その通り。面白いことはやめられません。





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東北放送(JOIR)の受信

2015年11月14日 | ゲルマラジオ


 我が家の環境において無電源ラジオ(外部アンテナ、アースなし)で受信できる放送は、NHK仙台第一、同第二、東北放送の3局であることは何度か書いた通りです。東北放送については受信できるといっても、大きなループコイルを搭載した機種に限られ、それも蚊の鳴くような微弱な音声が聞こえるという程度です。ところが先日、愛宕神社での移動受信では圧倒的な音量で受信できたことから、なぜ我が家でこれほど弱いのか?あらためて考えてみました。

〈送信設備と我が家との距離、受信状況〉
NHK仙台第一  891KHz 20kW 距離約4km  59
NHK仙台第二 1089KHz 10kW 距離約4km 55
東北放送   1260KHz 20kW  距離約8km 31〜41

 一般的に考えられる要因は、1)送信出力、2)送信所からの距離、3)障害物の3点。電波は、理想的な状態では距離と周波数の二乗に比例して減衰するので、距離が2倍になると信号は1/4に減衰します。同様に、周波数が2倍になると信号は1/4に減衰するとされています。NHK第一と東北放送の送信出力は共に20kW。我が家との距離は2倍なので、理想空間で考えた場合、東北放送の信号はNHK第一の1/4に減衰します。無電源ラジオではある程度の電解強度がないと音声にならないことを考えると、31から41程度は妥当なようにも思えるし、もう少し強く入ってもよさそうな気もします。

 愛宕神社と我が家は、広瀬川を挟んで向かい同士。送信所からの距離は変わらないので、地形的な影響が大きいのだろうと思われます。愛宕神社からは東北放送の送信所は見通し、我が家は標高が低く、大小のビルに阻まれ送信所のアンテナはまったく見えません。1000KHz(1MHz)前後の地表波なので、さほど障害物の影響はないと考えていましたが、そうでもないのでしょうか? 中波の波は、ラジアルアースを広い地面にとって送信するそうで、あたかも地中そのものを伝搬するように地表を這って伝わると聞いていたのですが・・・。我が家がホットスポットならぬクールスポットになっているとか。

 ものは試し。東北放送を安定受信するため、外部アンテナ、アースを取り付けてみることにしました。アンテナはベランダに設置してあるアマチュア無線用のVUホイップアンテナ(長さ約1.5m)。アースは、エアコン用の室内アース端子。自作のゲルマラジオはすべてアンテナ、アース無しを前提に作ったものなので、外部接続端子はありません。コイル部にリンクコイルを3~4回巻き、一方にアンテナ、片方にアースを取り付けてみたところ、東北放送が55程度で明瞭に入感しました。ステレオイヤフォンで聴いて、ちょうどよい音量。NHK第一放送、第二放送の方は、とても無電源とは思えない大音量となりました。その副作用で、第一が第二にかぶってきます。全体に分離が悪化。


エアコンアース

リンクコイルを巻いて受信


 リンクコイルを使わず、エアーバリコンの端子側にアンテナ、ボディ側にアースを接続したところ、何も聞こえなくなってしまいました。そこで、アンテナ側はそのままとし、アースを2連バリコンの空いている方の端子に接続したところ、今度はリンクコイルを使った時と同等か、それ以上の音量で聞こえてきました。分離も良好となり、第二放送に第一放送がわずかにかぶりますが、ほとんど気にならなくなり、東北放送にかぶりはありません。回路的には、アース側にカップラーを入れた状態となり、うまく同調してくれたようです。アンテナは空中に、アースは大地に、という固定観念が強いですが、要は短縮ダイポールアンテナを構築し、同調を取ってやれば良いわけです。


2連バリコンの片方をアース側整合に活用



 この程度の外部アンテナ、アースでも、ないとあるとでは大違いで、東北放送も良好に受信できることが確認できました。特にクールスポットというわけでもなさそうです。このアンテナとアースに匹敵するコイルを搭載すれば、単体での安定受信も可能なはずで、もう一工夫してみようとの意欲もわいてきました。また、外部アンテナ、アースを工夫したり、カップラ―やタップで同調回路の分離を良くすれば、上記3局以外の放送も受信できるのでは?との期待も出てきました。ゲルマラジオDXとか。秋の夜長、ゆっくり考えてみます。



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ゲルマラジオ用スピーカーアンプボード

2015年10月25日 | ゲルマラジオ



 製作した無電源ラジオの音量が思いのほか大きかったりすると、スピーカーならどの程度で鳴ってくれるかな?と、ごそごそジャンク箱から引っ張り出してつないてみたくなることがあります。つないでみたら蚊の鳴くような音しか聞こえず、がっかりすることが多いです。NHK仙台第一放送などはイヤフォンではうるさいほど鳴ってくれるのですが、スピーカーではこの程度。

 ゲルマラジオに興味を持ったころ、スピーカーを鳴らしたいという目標をもって取り組んだものの、何度も挫折を繰り返し、最近は、興味自体薄れていたのですが、たまにイヤフォンから解放されて聴いてみるのもいいかな?ということで、簡易的なアンプ付きスピーカ―ボードを作ってみました。

 <材料>
スピーカー  秋月電子 直径8cm 8Ω
アンプ    aitendo アンプキット[AKIT-7368]





 アンプは基板上にボタン電池フォルダーが付いて、3V~動作の低電圧タイプ。オーディオアンプIC TA7368P 1個で駆動します。ゲルマラジオを増幅するだけなので必要十分。スピーカーは何個かあった手持ちのもので、直径の大きいものにしました。と言っても8cm。aitendoのキットは、どれもビニール袋に無造作に入っているだけなのでいつも頭を悩ますことになるのですが、今回は部品数点のみでサクサク完成。スピーカー直結用とアンプ経由の端子を追加し、ゲルマラジオに合わせてバラック風に組んでみました。






 縦型ループゲルマラジオにつないてみたところ、やはりスピーカー直結では厳しいです。音が出るには出ますが、耳を近づけてなんとか聞こえる程度。それもNHK仙台第一放送のみ。10cmも離れると了解できなくなります。続いてアンプオン。ボリュームを上げると、普通のラジオと変わらない感じで鳴ってくれました。ゲルマラジオ+イヤフォンでは蚊の鳴くような音量でしか聞こえない東北放送が十分な音量かつ鮮明に聴こえるのには驚きました。低周波増幅しただけなのに、その効果は侮れませんね。また、ゲルマラジオ単体では感じられなかった微妙な混信(NHK第一のかぶり)も確認できました。コイル作りや回路など、さらなる改良の余地あり。思いつきで作った単純なものですが、意外と使えそうです。



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ゲルマニウム単結晶 検波

2015年10月20日 | ゲルマラジオ


 無電源ラジオの奥深さには日々、驚かされます。中でも、ダイオードによる検波から天然鉱石へと歩みを進めると、規格品デバイスでは得られない何かがあり、ますます興味が深まっていきます。歴史の流れを完全に逆行していますが、逆もまた真なり? 実際、紅亜鉛鉱+黄銅鉱、斑銅鉱の組み合わせによる接合型では、それまで体験したことのない良好な検波を得ることができました。これ自体は、多くの先人たちがすでに試されてきたことではありますが、毎年数種類の鉱石が発見されていることを考えると、まだまだ研究の余地はありそうに思えます。

 かつて先端デバイスの原料として一世を風靡したゲルマニウムも、近頃は太陽電池のボトムセルに使われるなど以前には予期しなかった活路を見いだしているようです。精製技術が進歩し、多結晶でも単結晶並みの性能とか、単結晶を人工で作り出す技術など、ゲルマニウムの研究は熱を帯びているのだとか。もう日の目を見ることのないと思われていたものが、意外なリベンジを果たす、技術あってのこととはいえ、天然の力は偉大ですね。

 いろいろな鉱石を検波しているうちに、ふと、ゲルマニウム原石で検波したらどうなの?ということが脳裏をよぎりました。半導体鉱物の代表格であり、ゲルマニウムダイオードの原料なので、当然、検波できるはず。でも原石ってどんなの? 調べてみると、ゲルマニウム原石というのはなく、銀鉱石などに微量に含まれているものを抽出、精製し、純度の高いインゴットに仕上げるようです。写真で見た感じは、シリコン(ケイ素)とそっくりで、銀色に輝く美しい鉱物です。さらに精製を繰り返し、最終的に単結晶や工業用ウェハーにまで仕上げます。それともう一つ、ゲルマニウムの新たな活路として、健康・美容産業への転進があります。科学的には??で、かなりいかがわしい世界ですが、精製会社にとっては今や大切なお客様となっているようです。それらは、インゴットを多結晶のまま整形し、粒状に加工して貼付剤やブレスレット、ネックレスなど健康器具として商品化され、ちまたに溢れています。


 前置きが長くなりました。入手したのは、そんないかがわしさの漂うゲルマニウム結晶です。一応、単結晶をうたっています。球形で直径わずか3mm。紐を通すためか0.5mm穴が貫通しています。ネックレス用? 純度99,999%とか。これも半信半疑。不純物が大量に混じってなければ、半導体としての性質は変わらないはずで、検波してくれるのでは? ということで、ゲルマニウム単結晶による検波実験をしてみました。


直径3mmのゲルマニウム結晶粒



 なにしろ直径3mmの球形なので、いつもの検波器は使えません。半田付け用のアームスタンドを使い、クリップで結晶を挟み、もう一方のクリップに検波針を装着して検波してみました。

 まずは定番のタングステン針(太さ0.2mm)。半導体特有の「ザッザッ」というノイズ音が聞こえるものの、表面が滑って安定した状態で接触させられず音声は聞こえませんでした。針をスズメッキ線に替えたところ、今度は一瞬、音声らしきものが聞こえてきました。これはいけそう! 針を慎重に探り、なんとか安定して検波できるポイントを見つけることができました。音量、音質とも思いのほか良好。続いて、UV線(銅線)の針に替えたところ、なんと、球のどこに当ててもほぼ安定して検波するではありませんか。ポイントによっては、1N270を凌ぐ音量。しかも2SA77に勝るとも劣らない高音質。

 以前の実験記事で、検波針の材質による変化は感じられないと書きましたが、今回に限っては音量、音質、検波のしやすさ、いずれも有意に変化が感じられました。ゲルマニウムと銅との相性が良いのでしょうか。ダイオードと違うのは、針を接触させた瞬間はさほど感度が上がらなくとも、その後、じわーっと音量が増してくるところ。ダムのように溜め込み、徐々に流しつつ安定していく。他の鉱石にみられる揺らぎとは違い、何か電波の底知れないエネルギーが充填されていくような感覚を覚えました。これまで試したダイオードなど各種デバイス、どの鉱石にも勝る最大感度。さすが本家本元のゲルマニウム結晶。精製されたものとはいえ、やはり天然は偉大です。健康に良いかどうかは別として、検波については本物でした。


鉱石ラジオにセットしてみました 本式ゲルマラジオ?








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古いデバイス

2015年10月18日 | ゲルマラジオ


 ゲルマニウムで検波するからゲルマラジオ。1N60をはじめゲルマニウムダイオードが定番ですが、かつてのゲルマニウムトランジスタに検波させてもゲルマラジオであることに変わりありません。トランスを使わず、セラミックイヤフォンで聴いていた頃に2SA100を試したことがあり、1N60に劣らぬ感度だったと記憶しています。ネットで探したところ、少ないながらも何種類か入手できたので、あらためて、トランス+ステレオイヤフォンとの相性を試してみました。





トランジスター
2SA50
2SA77
2SA100

ダイオード
1N47  EWestern Electric製 1950年代レアダイオード

 ゲルマニウムトランジスタは他にも数種類試してみましたが、検波はしても音量が小さく、芳しくありません。上記の3種類のうち、2SA50と2SA100は音量、音質とも同等でした。セラミックイヤフォンではなかなかの性能を発揮しますが、トランスを介したステレオイヤフォンでは音量が小さく、相性はよくないようです。ダントツに良かったのは2SA77で、音量は1N60や1N270に若干劣るものの、なにより音質抜群で、音楽を聴くと楽器一つ一つの個性がはっきりわかり、まるで上質なアンプを入れたような音。これは素晴らしい。東芝製。FMラジオの局部発振用として設計されたものだそうで、足が4本付いています。接続方法を変えると音量、音質が多少変化し、好みの音質で聴くことができます。



 興味が涌いて入手した1950年代のレアダイオード1N47は、いかにも古色蒼然とした姿で、今のダイオードに比べると大きさも10倍くらいあります。そもそも使えるのか不安だったものの、きちんと検波してくれました。セラミックイヤフォンでは音量、音質とも1N60と同等。意外にも悪くありません。一瞬、昔の放送が聞こえてきた?なんてことはありませんが、60年前当時のリスナーたちと何かを共有できたような、ささやかな感動がありました。ただ、ステレオイヤフォンではなぜかFM放送と混信し、さらに、歪みもあり、実用には厳しいかなといったところでした。



 どれも古いものばかりで性能的には?なものが多いし、劣化もするし、品番は同じでもバラツキも多いだろうと思います。でも、思わぬ拾い物もありますね。入手はますます難しくなりますが、古くとも相性の良いデバイスを探して聴いてみる、これも無電源ラジオの楽しみ方の一つかな、と思ったりもします。





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接合型鉱石検波

2015年10月06日 | ゲルマラジオ


 入手したいくつかの鉱石標本を使って、検波実験をしてみました。オシロなど測定器がなく整流作用の視覚化はできません。なので、ゲルマラジオ実験ボードにつないで放送の受信を試み、聞こえたかどうかのみの実験となります。

 はじめに金属針による検波。金属針は、ボールペンのスプリング(ステンレス?)、スズメッキ線、銅線、タングステン線の4種類を使いました。定番のタングステン線に期待したのですが、材質による違いはほとんど感じられないとの印象でした。シャープペンシルの芯も試してみたところ、若干の音量低下がみられました。材質よりも圧力のかけ方、というか、ほとんど圧力をかけないでそっと置く、というのがコツのようです。


シャープペンシル芯


 受信できた鉱石は、音量が大きかった順に次の通りです。

 紅亜鉛鉱>方鉛鉱>黄鉄鉱>白鉄鉱>磁鉄鉱>自然銅>カーボランダム

 紅亜鉛鉱(ジンカイト)による検波は最も良好で、感度、安定度とも群を抜いています。カーボランダムは1V程バイアスをかけると良好に検波します。バイアスなしでは検波ポイントを探るのにかなり難儀しました。白鉄鉱、磁鉄鉱も難儀しましたが受信できました。導体である自然銅も受信できるポイントが何か所か見つかりました。一方、期待した黄銅鉱、班銅鉱はカサカサ音が聞こえるものの、受信には至らず、でした。


カーボランダム(人工結晶) これも半導体


 続いて本命、金属針の代わりに紅亜鉛鉱を使った接合型検波の実験。実験の仕方は、外付け検波器を使ったり、標本の上に紅亜鉛鉱を置き、ミノムシクリップと金属針で挟み、放送が聞こえるかどうか試してみました。二つの鉱石は、ある程度圧力をかけて接触させた方が良好な印象でした。結果は、次の通り。

 黄銅鉱>班銅鉱>方鉛鉱>黄鉄鉱>白鉄鉱

 金属針で受信に至らなかった黄銅鉱、班銅鉱ですが、今度は、まるで別の物体に変わったかのような変身ぶりで聞こえてきました。しかも、大音量かつ超安定。検波ポイントを探す必要もないほど。方鉛鉱も金属針では、慎重にポイントを探る必要がありますが、紅亜鉛鉱による検波では安定度が増し、音量の増加もみられました。黄鉄鉱、白鉄鉱についても同様です。ただ、接合型は相手の鉱石は限られるようです。たとえば、単体では最も良好に検波するシリコン結晶との組み合わせでは、まったく受信できませんでした。そのほかもいくつか試してみたものの、上記の5鉱石以外は受信ならず、でした。半導体の性質を増加させたり、打ち消し合ったり、不思議な現象ではあります。


黄銅鉱

班銅鉱の上に紅亜鉛鉱を乗せ検波

白鉄鉱

方鉛鉱


 金属針にしても紅亜鉛鉱による接合検波にしても、ポイントを探りあてた時の音質の良さには驚かされます。いつまでも聴いていたくなるクリアかつ重厚で落ち着いた音。雑味なし。鉱石によって微妙に変わりますが、ダイオードには真似のできない音質で、特に接合型検波の黄銅鉱や班銅鉱との組み合わせは素晴らしいものがあります。

 1900年代初頭、鉱石ラジオ全盛時代には、多くの先人たちが鉱石検波に没頭し、さまざまな鉱石が試され、研究、検証されたのだろうと想像できます。その後、ゲルマニウムダイオードに、さらに新たなデバイスへと雪崩を打って収斂されていくわけですが、その中で、置き去りにされ、忘れ去られてしまった技術や知見もあるのではないか。鉱石検波の澄み切った音を聴いていると、ふとそんな気がしてきます。



簡易的接合検波









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