JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

栗駒山移動

2016年09月25日 | 奥山 移動運用


 昨年6月に登って以来、なかなか訪れる機会のなかった栗駒山。これから紅葉本番ともなれば、山頂が崩れるのでは?と心配するほど登山者であふれる人気の山でもあり、少し早めではありますが、無線運用を兼ねて登ってみました。標高1627m。宮城県栗原市。

 午前6時前、登山口のいわかがみ平に到着。すでに何組かのパーティが出発の準備を始めていました。中央コースを20分ほど登ると視界が開け、眼下は見渡す限りの雲海。ところどころ小山が浮かんでいる様は、まさに海そのもの。何度も登っている山ですが、このような雲海はめったにお目にかかれません。あまりの絶景に圧倒されてしまいました。山登りは早起きに限りますね。


いわかがみ平












 山頂着午前7時。こんな早朝からの無線運用にもかかわらず各局に交信いただきました。

 今日は電源として持参したモバイルバッテリーを試してみるのが目的の一つです。初めにノイズを確認したところ、コア4個が功を奏したのか、Sメーターを振るほどのノイズは見られませんでした。前夜満タンに充電し、使い始めは12.5V。宮城、山形、秋田、岩手各局にお呼びいただき、パワー3Wにて22局と交信。時間にして2時間30分ほど。この時点で残量表示が100%→75%となり、電圧は12.5V変わらずでした。いったん休止した後、17局と交信。スタート時からの時間は4時間30分。ここで残量表示75%→50%となり、電圧が12Vを下回ったため、まだ持ちこたえられそうではありましたが、使用をやめました。残量50%切るまで12.5Vあたりを維持。15000mAh(12V換算で4.6Ah)といえば、ハンディ機のバッテリー3~4個分、ほぼ同様のスタミナかな、といったところです。400gに満たない軽さでここまで粘りを見せてくれれば御の字。バッテリー切れを心配しないで連続運用できるのは利点ですね。電圧低めなので、リグが熱くならずに済むのも良いところです。ノイズ対策さえしておけば、使えるバッテリーとの感触が得られたので、これからも使ってみます。


145MHz 7/8λGP




 特に遠方との交信はなかったものの、たくさんの局に呼んでいただきました。1回の運用でこんなに多くの交信はしばらくぶりです。8エリア、松前局、函館局の信号が聞こえてきましたが、SSBの呼び出しであったり、タイミングが合わなかったりで、交信には至りませんでした。特小(422MHz)では、遠野市寺沢高原移動のおかざきKG295局と1mWで交信成立。双方M5。距離74.3km。超ローパワーでもホントよく飛んでいきます。

 本日も交信いただきました各局さま、ありがとうございました。




登山道にて




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山岳移動用?モバイルバッテリー

2016年09月22日 | 移動運用装備


 FT-817やFTM10sを山岳移動で使うにあたり、バッテリーをどうするか、考えています。以前にモービル機とノートPC用バッテリーで運用したことがあり、そう悪くはなかった記憶があります。ただ、耐久性は期待外れ、以降手を出すことはありませんでした。近頃は無線にも適したバイク用リチウムバッテリーも各社から出ているけれど、軽量でかさばらない、しかも安価という条件を満たすのは、やはりモバイルバッテリーかな、ということで性懲りもなく入手してみました。

商品名 PORTEC ジャンプスターター モバイルバッテリー







 車のバッテリー上がりの際に使うジャンプスターターを多用途に使えるようにした商品です。USBのほか、12V、16V、19V、21Vを3.5Aで給電できる仕様。容量は15000mAh。これで重さは400g弱と軽く、かつ薄型なので山岳移動用バッテリーの条件としてはまずまずでは? 3.7Vで15000mAhなので、12Vに換算すると4.6Ahくらいでしょうか。FT817は5W送信で2.0A、FTM10sは10W送信で同じく2.0A。どちらもフルパワーで3~4時間持ってくれれば、といったところです。自分の場合、山岳での運用は3時間程度、フルパワー出すことはほとんどないので、十分な容量かなと。



 付属のアダプターで充電し、まずはノートPCにつないでみました。19V設定で難なく起動してくれました。バッテリーとしては問題ないようです。次に、給電線を加工し、12V設定でFTM10sにつないでみました。12.5Vと表示され、起動。ホッとしたのもつかぬ間、なぜか十数秒でダウン。何度やっても同じ。ノートPCではそんなことはなかったのに、どうして? 実はこのバッテリーにはオフスイッチがありません。何も接続しないと自動的に電源オフになります。接続していても、電流が一定以上流れないと、接続していないと判断しオフになってしまうのです。ノートPCと違い、FTM10sの受信時消費電流は0.3A、この程度では「使っている」ことにならないようです。これは困った。ふと、最初に1回送信し、大電流を流してやれば、「接続されている」と認識してくれるのでは?と考え実験してみたところ、まさにその通り。その後、勝手に電源が切れることはありませんでした。でも、災害時にラジオの電源として使いたい、といった場合などは困ることになるのでは?





 さて、モバイルバッテリーで最も心配なのがノイズの発生です。以前にも電圧切り替え式のバッテリーで悩まされたことがあります。この機種では、430ではまったくなし、145で周波数によりS1~2のノイズが見られました。たとえば145.000MHzメインはノイズなし、145.160、145.180で若干みられ、しかし十数分後にあらためて確認すると消えている。ところが別の周波数でわずかに発生する、そんな感じで、まだらな現象がみられます。交信に影響を与えそうなほどではありません。電源ケーブルにパッチンコアを2ヶ所取り付けたところ、消滅はしないものの軽減され、一応これで良しとしました。ラジオ(AM、FM)にもノイズがみられますが、それがこのバッテリー由来なのかどうか判断しかねるところです。

 まだ山で使ったわけではないので、実際のところは?ながら、ほぼ1日受信してみて、バッテリーの持ち自体は悪くないとの印象です。電圧12.5→12.3V、残量表示100%→75%。





 なお、このバッテリーに付属のケースがFTM10s一式を入れるのにジャストフィット。これには感激してしまいました。もしバッテリーがダメになっても、このケースだけは使えるかな、と。


<追記>
 安定化電源とこのバッテリーを使った場合とで、弱い信号を受信し比較してみました(145MHz)。安定化電源で41~51程度で十分了解できる信号が、モバイルバッテリーに切り替えるとノイズにより信号自体が弱まったようになり、了解が困難になります。これは看過できません。リグの電源コードを短めにカットし、パッチンコア4個に増やしたところ一応収束し、安定化電源同様に聞こえるようになりました。この程度のノイズがこれほど了解度に影響を与えるとは・・・。油断なりませんね。このバッテリー、ノイズ対策は必須です。




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笙ヶ岳(飽海郡遊佐町)移動

2016年09月18日 | 奥山 移動運用


 8月の鳥海山移動の際に、山頂と反対側に見えていた稜線のピーク。「山」という字をそのまま形にしたような三つの頂を持ち、どこか牧歌的な姿が強く印象に残りました。3連休初日の土曜日、天気予報が毎日くるくる変わるものの、この日だけは鳥海山周辺の晴れマーク変わらず。この機会を逃せば、もう来シーズンまで登れないかもしれない。迷いながらも、早起きして出かけてみました。


朝焼けの鳥海山


 午前3時仙台の自宅を出て、鉾立登山口に着いたのが6時。すでに駐車場は3分の一ほど埋まっていました。みなさん、早いです。ほとんどの登山者は鳥海山頂をめざしますが、こちらは笙ヶ岳なので急ぐこともありません。賽の河原から本道と分かれ、細道を進むとほどなく大平コースの河原宿に合流。すぐにこのコースと分かれ、笙ヶ岳直登ルートへ。15分ほどで尾根に到達すると、鳥海山が圧倒的な存在感で目に飛び込んできました。そして、めざす笙ヶ岳も。


笙ヶ岳の稜線

尾根より

第1峰へ

山頂 眼下に日本海


 手前から第3峰、第2峰、そして最も奥の第1峰が山頂。標高1635m。左手には鳥海山本体、眼下には庄内平野と日本海、実に快適な稜線歩きで難なく第3峰、第2峰、第1峰山頂へ。鉾立から1時間30分の登山。ここで無線運用と考えていたものの、標高的には第3峰の方が高いようで、北方向が壁になってしまいそうなロケとなっていました。山頂の雰囲気と三角点のみ確認、いったん引き返し、第3峰で運用することに。

 <本日の装備>
 リグ FTM-10s ID-51
 アンテナ 5/8λ J型アンテナ(145MHz)










 ワッチすると、トラック無線らしき交信がメイン周辺全てを埋めているような状態でした。今日が土曜であることを再認識。やはり移動運用は休日がいいようです。空きを見つけながら、約3時間、断続的に運用してみました。今回は新たに導入したFTM-10sとバッテリーの持ちを確認したいということもあり、あえて10Wで運用。青森、秋田、宮城、山形、福島、新潟各局に交信いただきました。ハイパワーの効果かどうか、いつものハンディ機より59のレポートが多かった印象はありますが、逆に信号の伸びは感じられませんでした。鳥海山本体が壁になったり、反射したり、ということもあったかもしれません。北は青森県藤崎町、約180km。南は新潟県柏崎市、約230km。混信に悩まされながら、30局交信いただき、QRT。




 今回の山行では鳥海山の懐の大きさをあらためて実感しました。山頂のみが山にあらず、御浜神社から笙ヶ岳、鳥海湖、鍋森、千畳ヶ原、この辺りでも十分高山歩きが楽しめます。のんびり散策しながら、簡素なアンテナで短時間の無線運用、そんなスタイルも良いかな、と。鳥海山頂をめざさないのであれば、仙台から日帰りも十分可能。何度でも行きたくなる山です。







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熊野岳・安達太良山移動

2016年09月05日 | 奥山 移動運用


 台風12号の影響が心配で、どの山にしようかと迷ったあげく、4日は熊野岳、5日は安達太良山に登ってきました。もともと4日に安達太良山の予定でしたが、早朝5時、気象庁のライブカメラで確認したところ山頂見えず、一方、熊野岳は御釜もはっきり見えるではありませんか。間髪入れず、予定変更。エコーラインは濃いガスに覆われ不安になりかけたところ、刈田岳駐車場付近で雲を突き抜け、上空青空に。こういうことがまれに起こります。








 今回の装備はID-51と5エレ八木。2mのみの運用。7エリア山形、宮城、岩手、福島各局のほか、1エリア栃木県下野市、群馬県高崎市、茨城県水戸市各局、0エリア佐渡島ドンデン山移動局、9エリア北アルプス立山移動局(富山県立山町)各局に交信いただきました。立山局の山名を確認しませんでしたが、3015mとのことでしたので、大汝山かと思われます。熊野岳との距離304km。たいへん安定した信号。59-57でレポート交換。この日の最長距離交信となりました。

 デジタル(DV)では、猫魔ヶ岳(福島県北塩原村)に移動のJA7RTG局と交信。2.5Wで55-55。1Wに下げたところ51で若干ケロリありとのレポートをいただきました。八木を合わせても変わらず。吾妻連峰が壁になる位置関係のため、QRPpでは厳しいかな、といったところでした。



 ちょうどトレイルランの大会だったようで、百人以上が熊野岳を越えて走りぬいていきました。山はゆっくり歩くもの、そんなに先を急いでどうするの?なんて思ってしまいます。


 この日は、福島県二本松の岳温泉に宿泊。震災、原発事故が尾を引いているのかどうか、少し寂しい温泉街ではあります。でも飯坂のように旅館の廃墟が見当たらないのは救いかと。珍しい酸性の泉質で気に入りました。

 予報では5日の天候はあまり期待できず、ということで、雨ならそのまま帰ろうかと考えていたのですが、朝、窓を開けると、なんと山頂が!急ぎ準備を整え、ゴンドラを使って山頂往復することに。ゴンドラ終点から約80分の登山。山頂からは見渡す雲海。昨日登った熊野岳も島のように浮かんでいました。







 145MHzをワッチしたところ、ほぼ全周波数が埋まっていました。今日は平日、月曜日のバンド状況ってこんななの??? 空いてるかなとチェックを入れると、使ってます・・・。ロケが良いだけあって、混信も半端ではありません。やっと空きを見つけ福島、宮城、栃木、茨城、埼玉各局にお相手いただきました。最遠距離は埼玉県北葛飾郡杉戸町固定局。約183km。信号が伸びている印象はありませんでしたが、平日にもかかわらず、15局に交信いただきました。八木の方角がいま一つ、つかめない印象もありました。いつになるか、今度は430MHzで運用してみようかと思います。

 今回は期待しなかったにもかかわらず天候に恵まれてしまいました。やはり山岳運用は天気次第です。4日、5日と交信いただきました各局さま、ありがとうございました。



岳温泉にて




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雑誌CirQ(サーク)のこと

2016年09月03日 | 運用スタイルなど


 FCZ研究所のホームページは何度か参考にさせていただいたことはあったのですが、CirQ(サーク)という雑誌があったことを恥ずかしながら最近知りました。2003年8月の準備号発行から始まり、2007年1月第66号をもって最終版となったようです。同研究所のサイトに全号の内容がPDFで掲載されています(http://www.fcz-lab.com/)。







 パラパラめくってみると、各種ヘンテナの製作記事や短波用バーアンテナ、地面アンテナの実験、QRP送受信機、LEDによる光通信など読んでいるだけでワクワクしてくるような記事が盛りだくさん。いわばボランティア的な手作り雑誌、ここまで続けてこられたのは情熱以外の何物でもないと思います。数々の試みに満ちた実験記事が読めること自体に感動してしまいました。「難しいことをやさしく、やさしいことを面白く、面白いことを深く探究する 楽しい自作電子回路雑誌」というのが編集方針だったようで、まさにその通りの内容。「アマチュアは親切である」「出し惜しみしない」そんな編集者の思いが伝わってくるようで、いまさらながら頭が下がります。



 この中に、「糸でんわ」という長期連載記事が載っていました。自分も小学生のころ、理科の実験か何かで糸電話遊びをした記憶があります。紙コップ二つを細い糸でつなぎ、5~6メートル離れて、交互に声を出し、コップを耳に当てて聞き取る。どんな感じで聞こえてきたのかもなんとなく耳に残っています。記事では、なんと50mも離れて「交信実験」。大の大人たちが「こちらJA○▽◇。もしもし聞こえますか?」「こちらJH◇▽○。59で入感」なんてやっているわけです。電力ゼロ。いわば究極のQRP。なんだかとても楽しそうで、自分もやってみたくなってしまいました(やりませんが・・・)。糸をピンと張るのが絶対条件だそうです。糸の種類とか、紙コップの大きさとか、さまざま実験を繰り返し、2005年3月の吹雪の中、ついに200メートルの交信に成功とか。さすがに200メートルも離れると厳しかったようで、風の音の合間にかすかにメリット3で交信成立、という感じだったようです。この時の様子はたいへん臨場感のある記事になっていますので、興味ある方はPDFでどうぞ。


 どれもこれも読みごたえがあって、とても一気には読み切れないので、自分はプリントしておきました。ときどきめくってはアマチュアの原点を思い返してみたり、いろんな刺激をもらおうかなと考えています。





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