JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

8の字コイル

2012年11月18日 | コイル作り


 『ぼくらの鉱石ラジオ』には3種類の8の字コイルがイラストで紹介されています。2本の巻芯をほぼ密着させて巻いたコイル、巻芯を少し離して巻いたビノキュラーコイル、2本のソレノイドコイルを逆巻にして並べた双眼コイル。これらを含め、34種類ものコイルが紹介されているのですが、一つ一つについての解説はありません。これだけ多くの巻き方がなぜ考えられてきたのか、鉱石ラジオにとってそれぞれどんな意味を持つのか?今回は、8の字コイル作りに挑戦してみました。

 <材料>
・直径6cm長さ10cmの塩ビパイプ2本
・リッツ線 0.1mm×40本 20m
・ L字金具、ターミナル端子、木台




 <製作>
 木台に二つの塩ビパイプを金具で固定。これにリッツ線を交互に巻いていきます。まさに8の字。当初、パイプをもう少し離して、ビノキュラー型を考えていたのですが、巻いているうちに力が入って、密着してしまいました。線材20mすべてを巻いたところ、インダクタンスは235μHとなり、少しずつほどいて、最終的に47回巻きで144μHに調整しました。NHK仙台第一から東北放送を聴くには、このくらいがベストなのです。逆巻コイルと違って、インダクタンスは普通に上下します。最後にターミナル端子に両端をはんだ付けして完成。ソレノイドコイルに比べると交差部分があるため巻きにくく、密巻にしてもスペース巻にしても、見た目をきれいに仕上げるのは難しいです。


金具でパイプを固定

交互に巻く  見た目は今ひとつ

インダクタンス144μHに調整



 さて、完成したコイル。ソレノイドコイルより空間接触面積は2倍近くあり、大型であることから、外部アンテナなしでも十分な音量でゲルマラジオを鳴らしてくれるのでは?

 さっそくつないでみると・・・なぜか、何も聞こえてこないのです。そんなはずは? さらに注意深くバリコンを回して・・・。やっぱり聞こえてきません。残念。単体では何も受信できませんでした。


 外部アンテナとエアコンアースを接続すると、今度は良く聞こえます。NHK仙台第一、第二が十分な音量。ミニループアンテナを近づけても、同様に良く聞こえます。ソレノイドやスパイダーコイルと比べると、分離は勝っています。バリコンの位置が大方つかめたので、あらためて単体で聞いてみましたが、やはり何も聞こえませんでした。Q自体が高いわけではなさそうです。


外部アンテナ、アース(上)、ミニループアンテナ(下)では良好に受信



 ネットで調べたところ、この8の字コイル、リニアモーターカーやオーディオ関連などいろいろなところで使われているようです。「鉱石ラジオ」的には、選択度を重視したコイルということだったのかもしれません。


 二つのパイプを、たとえば10cm位離した状態で巻いたらどうなのか? パイプを4本直線に並べて巻く、または4隅に配置して、全体をループにした場合はどうか?などなど。8の字に巻いている間、いろいろな巻き方が脳裏をよぎりました。線材を巻く、というただそれだけのことですが、だんだんと深みにはまりそうです。



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ソレノイドコイル単体受信

2012年11月04日 | コイル作り


 ソレノイドコイルの巻枠を大きくしていくと、やがてループアンテナとなり、絶大な効果を発揮することは、前作のミニループでわかりました。当初、バーアンテナを巨大化する方向に思考が傾いていたのですが、重さの問題があり、取り回しが良くありません。費用もそれなりにかかります。その点、ソレノイドコイルは巻枠と線材のみなので、軽い上に、コストパフォーマンス的にも分があります。ただし、使う線材の長さ、コイル形状の大きさはフェライトコアの数倍必要となります。

 では、外部アンテナなしのゲルマラジオにおいて、ソレノイドコイル単体で放送を受信できるぎりぎりの大きさとはどの程度のものか?

 我が家の環境は、NHK仙台第一放送(20kw)の原町ラジオ送信所から4km弱。近いことは近いのですが、間にビル群が建ち並び、けっして良い環境とは言えません。窓付近でポケットラジオは普通に聞こえます。前回紹介したとおり、直径2cm程度のソレノイドコイルやスパイダーコイルをゲルマラジオにつなぐのみでは、何も聞こえることはありません。

 そこで今回、直径を3倍程大きくしたソレノイドコイルを作ってみました。線材も太いものを使い、スペース巻きとしました。
 
《材料》
 ・巻枠 直径6cmの塩ビパイプ 長さ10cm
 ・線材 直径0.8mmのウレタン線


ホームセンターで購入した黒い塩ビパイプを10cmに切断


《巻き方》
 はじめに、塩ビパイプ両端に圧着端子をネジで固定。一方の端子にウレタン線を通して圧着しておき、密巻で巻き始める。ちょうど80回巻いてLCメーターで測ったところインダクタンスは162μH。最終的にスペース巻にするので、ここで巻き終わりとし、もう片方の端子にウレタン線を圧着。両端子をはんだ付けしておく。


はじめは密巻で巻く


 続いて、竹串でウレタン線の一本一本の間に隙間をあけていきます。パイプの長さが足りなくなり、均等に隙間をあけることができず、見栄えも今一つとなりました。不揃いなバーコード風。パイプはもう少し長い方が、十分なスペースを確保できたと思います。スペース巻に変更したところで、インダクタンスは147μHに低下しました。

 
 さっそく窓際に置いたゲルマラジオに接続。聞いてみると・・・。NHK仙台第一は明瞭に聞こえてきました。音量は低めではありますが、両耳マグネチックイヤフォンで十分了解でき、音質も良好です。ただしNHK仙台第二、東北放送は聞こえませんでした。また窓から1mほど奥に入ると何も聞き取れなくなります。


外部アンテナなしで両耳ステレオイヤフォンを鳴らしてくれました

ミニループアンテナを近づけると、NHK仙台第二も大音量で鳴ってくれます



 直径6cm程度のソレノイドコイルでも、線材を太く、かつスペース巻にすることによって、かなりのQを確保できるようです。あくまで我が家の環境においての話ですが、これでも十分、無電源、外部アンテナなしで放送が楽しめます。このコイル、なかなかコンパクトかつ軽量で気に入りました。


《余話》

 山仲間のOMの話。この方は、仙台原町ラジオ送信所のすぐ隣に住居があるのです。ゲルマラジオの話をしたら、そんなものを使わなくとも、古い電話の受話器を耳に当てるだけで、放送が聞こえてきたそうです。受話器のコードがアンテナとなり、マグネチックスピーカーを鳴らしてしまう・・・。同調などおかまいなし。何でもラジオに早変わり??  インターフェアと言ってしまえばそれまでですが、強電界においては、そんなこともあるそうです。


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