JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

モクソンアンテナ 145MHz 移動用

2009年10月31日 | モクソンアンテナ
 以前、手持ち2エレ八木(ナテックNY144X)のモクソン化を試みましたが、この度、あらためて、モクソンアンテナ作りに取り組んでみました。と言っても、ほとんどの部材は、持て余していた1λヘンテナの使い回しです。モクソンアンテナ(Moxon Antenna)の特徴と言われているのは、1)八木アンテナに比べコンパクト、2)ゲインは2エレより若干低いもののFB比に優れる、3)パターンは垂直に加え、水平成分を持つ、4)直接給電可、などです。山移動運用に有効な特徴を備えたアンテナと思われます。
 設計にあたっては、エレメント長を計算できるプログラム(MoxoGen)の数値を参考にしましたが、材料使い回しの関係で若干修正し、水平部分が少し長いスタイルとなりました。




《材料》
・角材50センチ(ブーム)
・50センチ程のロッドアンテナ4本
・11センチと18センチの3ミリ銅パイプ各2本
・みの虫クリップ4個
・プラスティック仕切り板3枚
 (水平エレメントのインシュレーターに2枚、給電部に1枚)
・丸端子2個
・ボルト、ナットなど
・同軸ケーブル




 100円ショップで見つけたプラスティックの仕切り板。引き出しの中を仕切るためのもので、一つ一つ切り離せます。長さは4センチから10センチまで各種あります。穴空け加工がしやすく、接着剤で2枚重ねにするとさらに強度が増します。当局のアンテナ作りではいろいろなところで活躍してくれます。今回は、インシュレーターと給電部に使いました。



《製作》
1)角材の上から1センチの個所とそこから33センチの個所に3ミリの穴をあけ貫通させます。MoxoGenの計算では、エレメント間隔が27センチ程ですが、ヘンテナの使い回しでそのまま穴も使うことにしました。なので、この間隔に根拠はありません。

2)まず水平エレメント(モクソンエレメント)の製作。「モクソンアンテナもどき」の時と同じです。11センチと18センチのそれぞれ片方にみの虫クリップをハンダ付けし、もう一方はプラスティック板に結束バンドで固定します。エレメントの隙間は2.0センチとしました。この部分は、最終的には、組み上がってから微調整し、接着剤で補強します。

3)同軸ケーブルの芯線と網線にそれぞれ丸端子をハンダ付けしておきます。

4)次に給電部。プラスティック板を3センチに切り、中央と左右に3カ所、3ミリの穴を空けておきます。ボルトにケーブル芯線の丸端子、ロッドアンテナ、プラスティック板の順で通し、後ろからナットで固定します。網線側も同様に固定します。これで給電部完成です(直接給電)。なお、給電部のロッドアンテナの接点はヤスリでよく磨いておきます(これは大事な点)。

5)放射器エレメント(給電部)のプラスティック板中央の穴にボルトを通し、角材に固定します。同様に、反射器のロッドアンテナ2本をボルトでねじ込んで角材に取付けます。工作は以上です。




給電部





 組み立ては、まず、ブームを三脚の目玉クリップで固定します。垂直偏波なのでロッドエレメントが縦になります。4本のロッドを伸ばして、上下にモクソンエレメント(水平エレメント)をみの虫クリップで挟めば完了です。その際、短い方が放射器、長い方が反射器側となります。横にすれば2/3λヘンテナと形は似ていますが、さらにコンパクトです。収納は約55センチ、袋に入れてしまえば、日帰りザックにすっぽり納まります。


インシュレーター 調整後に接着剤で固定


短い方が放射器側、長い方が反射器側


完成


上が2/3λヘンテナ 下がモクソンアンテナ


収納もコンパクト

《調整》
 調整する部分は、ロッドアンテナの長さとモクソンエレメントのすきま間隔です。すきま間隔は2.0センチで固定してみました。MoxoGenの計算から、前後のロッドの長さをはじめ76センチ(1本が38センチ)としました。この状態で、スキャン幅を大きく設定してAA-200で測定したところ、共振点は130MHz近辺にありました。AA-200のグラフ表示は中心のタテ棒下の三角印を左右ボタンで動かして、最も下がっている所に合わせることで共振周波数がわかるようになっています。

 少しずつ、ロッドを短くして、最終的に、前後共67センチ(4本のロッドアンテナが33.5センチ)、モクソンエレメントのすきま間隔1.8センチの所で、SWR1.1以下となりました。スキャン幅を狭くして計ってみたところ、バンド内フラットで、良好な結果となりました。ただ、測定位置によっては1.5程度まで上がってしまいます。「モクソンもどき」の時も感じたのですが、調整はクリティカルです。モクソンエレメントのすきま間隔が重要なポイントのようで、広げると共振点が上がり、狭めると下がります。同時にSWRグラフも変わってしまうのですが、この点は研究課題としておきます。




最終的にはSWRベタ落ちとなってくれました



 と言うようなことはあるのですが、今回は、AA-200のおかげで効率的、かつ、楽しく調整を進めることができました。ちょうど鳥瞰図のように、アンテナ特性の全体像を眺めて、ピンポイントでマッチングを取っていくという感覚です。自作アンテナで何が楽しいかと言えば、この調整の過程での試行錯誤と結果が出た時の達成感ではないかと思います。

《測定》
 トリフィールドメーターで測定してみました。給電部とメーターの距離1.5メートル、出力0.8Wと同じ基準です。(単位は特にありません。ハンディ機附属ホイップで0の状態との比較です)
 フロント 8.0
 サイド  1.2
 バック  0.1

(参考)
・2/3λヘンテナ 
 フロント 5.2
 サイド  2.7
 バック  6.0

 悪くないようです。前後のエレメント間隔を広く取ったことが、かえって良かったのかもしれません。バックでは、ほとんど針が振れませんでしたので、モクソンアンテナの特徴が出ていると思われます。ベランダで受信もしてみました。指向性がはっきりわかります。2エレのNY144Xとの比較では、モクソンの方が信号強度、了解度とも上回ります。3エレに比べると信号強度は少し下がりますが、弱い信号を拾ってくれるようで了解度はほとんど変わりません。ノイズが少なく聞きやすいアンテナです。

 垂直に加え、水平成分も期待できることから、反射の多い里山(低山)移動で使ってみたいと思います。










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カメラ三脚へのアンテナ取付け法 クリップ着脱式

2009年10月30日 | 移動運用装備
 モービルホイップなどをカメラ三脚に取付ける方法として、目玉クリップによる手軽な方法を以前に紹介しました。当局の自作アンテナでの運用はすべてこの方式です。ワンタッチで、簡単な方法ですが、その分、欠点もあります。事務用のクリップなので大き目のものでも、やはり非力です。強風の時は、外れてしまうことがあります。また、外れなくとも、三脚ネジを中心にして、斜めに傾いてくることもあります。運用中、手直しすることも度々でした。

 そんなわけで、もっと強力な目玉クリップ(またはそれに近いもの)は無いものかと思案していたのですが、先日、100円ショップで「網戸張り替え用クリップ」というものが目にとまりました。本来の用途のことはよくわかりませんが、いろんな商品があるものです。ステンレス製で事務用目玉クリップを大型にしたような形です。取っ手に穴があいているので、三脚ネジに取付けられそうです。





 さっそく一つ購入。試しに自作アンテナの塩ビパイプを挟んでみました。強力です。使われているバネが3倍ほど大きく、これまでの目玉クリップとは比べ物になりません。長さも1.5倍ほどあります。目玉クリップのように内面にRがついておらず、平面なのが欠点ですが、それを補うだけのホールド力があります。


右がこれまで使用の目玉クリップ(大)

 ところが三脚の雲台ネジに実際に取付けようとしたところ、クリップ穴周辺に厚みがあるため、うまくナットが締まらないのです。そもそもカメラ三脚のネジ(ボルト)は短すぎますね。もう少し長くした方が、一眼レフなど大型カメラも安定すると思うのですが・・・。と考える人がたぶん多いのだと思います。エツミというメーカーから「止ネジ」(型番E-522)という部品が商品化されています。




材質はアルミ 軽量で丈夫です

 ヨドバシカメラ仙台店の三脚売り場で見つけました。1個189円。カメラ三脚のネジに取付けることで、より長いネジに変換できるアダプターです。長さによってL(長)とS(短)の二つの商品がありましたが、迷わずLを購入。これを網戸張り替え用クリップの穴に通して内側からナット(型番W 1/4)で締め付けておきます。あとはアンテナを使う時だけ、三脚の雲台ネジに取付けます。簡単に着脱でき、本来のカメラ用三脚としても使えます。合計289円+消費税でした。


雲台への取付け 簡単に着脱可




 実際に、重めのアンテナを挟んでみましたが、なかなかFBです。特に塩ビバイプとの相性が良いです。モービルホイップもCSB7900(460グラム)までは余裕でOK。我が自作アンテナとしては最大級?のツインデルタループもしっかりホールドできるようになりました。まだ実践では未使用ですが、これまでよりはだいぶよろしいかと・・・・。クリップ一つにこれだけ熱中できるのですから、当局の無線ライフは、ホント安上がりです。






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アンテナアナライザー AA-200

2009年10月21日 | アナライザー・測定器
 いつかは欲しいと思っていたアンテナアナライザーですが、コストと使用頻度を考えると、優先順位がどうしても後回しになっていました。この間、何本かアンテナを自作して、その度に、あったらよかったのに・・・と思っておりました。導入しようと思っては躊躇するを繰り返していたのですが、この度、遅ればせながら購入と相成りました。



 機種は、リグエキスパートのAA-200です。在庫わずかの生産終了品ということで、幸運にも安価に入手することができました。今は、新製品のAA-230が発売されているようです。AA-520というアマチュアバンドの430をカバーする機種もありますが、当局の場合は、200MHzまでで十分。なお、販売元のリグエキスパートジャパンには注文から発送まで迅速な対応をいただきました。
 
 主な仕様のみをピックアップしてみます。

測定機能: アンテナの共振周波数の調整
     雨、台風などの前後での特性比較
     同軸スタブの製作とそのパラメータ測定
     ケーブルの欠陥位置の特定
       キャパシタンスとインダクタンスの測定
 周波数範囲: 0.1 ~ 200 MHz
 表示モード: SWR 単一周波数
      SWR グラフ表示、他
 コネクター形状: MJ
電源: 4.8V, 1800 mA?h ニッケル水素バッテリー(充電式)
最大 2 時間の連続計測
満充電所要時間: 10 ~ 12 時間
PCとのUSB 接続可
 大きさ: 23x10x5.5 cm
 使用温度範囲: 0 ~ 40 °C
 質量: 650g



 製品の箱を開けると、本体の他、充電アダプター、キャリングケース、持ち運び用の紐、ソフトウェアCD、USBケーブル、説明書(日本語です)と、必要なものすべてワンセットになっています。乾電池でなく充電式なのは便利です。最大2時間の連続計測となっていますが、半日ほど使い続けても大丈夫でした。それ以上でもたぶん大丈夫です。コネクターは一般的なMJタイプとなっていますので、当局のようにBNCを多用する場合は別途変換コネクターを取付けます。


コネクターはMJ


左から電源コネクタ、メインスイッチ、USBコネクタ

 様々な機能までは試していませんが、さっそく、EHアンテナ(7MHz)、コメットのブロードバンドホイップHA750BL(7~50MHz)、2/3ヘンテナ(145MHz)などで使ってみました。基本機能のみであれば、一度使ってみれば、あとは説明書なしで直感的に操作することができました。

 EHアンテナでは、SWR計とほぼ同じ値が表示されました。スキャン幅を広く取ったり、狭くしたりして表示させてみました。測定周波数の実測値、グラフ表示が可能です。


メインメニュー








 HA750BLでは、マルチ測定機能を使いました。このアンテナは7~50MHzを一本でカバーするのですが、この機能を使うと、各バンドの測定が1回で済んでしまいます。すごい機能です。こちらもバーグラフと実測値を選べるようになっています。





 AA-200の最大の特徴と言われているのが、SWRのグラフ表示なのですが、その際、測定のスキャン幅を自由に設定できるところがすばらしいです。これまでは、新しいアンテナを設置して、SWRを計ってみたらとんでもない値になっていて、しかもバンド内のどこにも共振点がない、という場合は、お手上げ状態でした。エレメントを長くすれば良いのか、カットすれば良いのか見当さえつきません。AA-200では、まず測定幅を広くとって、たとえアマチュアバンド外であっても、どの辺りに共振しているのか、すぐにメドをつけることができます。

 アンテナアナライザーというのは、測定周波数の弱い電波を送信して、アンテナの反応をみる機械ということになると思うのですが、AA-200は、任意の幅の周波数を連続的に送信してグラフ化してしまうということで、たいへん優れた機能だと思いました。また、そのアンテナがどの程度の帯域なのかも一目瞭然です。

 アンテナの共振点がどの辺りにあって、どの程度の許容帯域があり、どう調整を図ればよいのかを知りたいわけですから、実際使ってみて、理にかなった方式と感じました。
 

 次に、自作の2/3λヘンテナを測定してみました。移動用アンテナを室内で調整していると、部屋のどの位置で測定するかによってかなり異なった結果が出ることがあります。SWR計ですと、「上がった、下がった」だけなのですが、AA-200で測定してみると、グラフ自体が大きく変化します。たとえば、145MHzにおいて、ある位置ではバンド内すべて1.2以下でフラット、少し位置を変えると145.000では1.2でも145.200付近では1.5近くに上がっている、というようなことがわかります。145.000のみをSWR計で測定していたら、安心してしまうところです。当然ながらオペレーターの位置によっても変化します。


バンド内フラット


アンテナ位置を変えるとグラフが変化

 
 たぶん実際の移動地においても、同様のことが起こっていると考えられます。移動運用にこのアナライザーを持参して、オペレーターの位置を含め最良のポイントを見つけて、アンテナの性能をフルに引き出すというようなことにも使ってみようと思います。ただ、写真で想像していたより、大きくて重いです。機能を削って、小型軽量化した製品を期待したいところです。できればVX-3程度だとベストなのですが・・・。

 購入してさほど日がたっていませんので、追々、使いこなしていきたいと思います。たとえば、EHアンテナの日々変化する共振点をパソコンに取り込んで、気温、湿度との関係などをテータ化してみるとか、一度自作して手に負えなかったマグネティックループアンテナに再挑戦など、いろいろ考えを巡らせています。
 いづれにしても、この「微弱ゼネカバ発振噐」のおかげで、無線機から何度もキャリアを出す必要もなくなり、こころゆくまで、アンテナ調整にいそしむことができるようになりました。





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亀割山にて

2009年10月19日 | 奥山 移動運用
 山形、秋田、宮城県境の新庄神室連峰は、小又山(1366m)を主峰として標高1000m程の尾根が連なっています。今回の亀割山は、広義では神室連峰の一部ですが、南端に位置する独立の峰で、標高も594mと低く、目立たない存在です。QTHは山形県最上郡最上町。

 瀬見温泉が登山口となります。今回は温泉に一泊して、のんびり秋の山を楽しもうと仲間数人と出かけました。


 瀬見温泉駅で下車、10分程国道を歩いた「子安観音堂」に登山口の標識があります。少し進むと陸羽東線のかなり年季の入ったスノーシェルターを横切る個所に出ます。ここから本格的な登山。はじめからつづら折りの急な登りが続きます。ブナの大木が散見される深い森を登りつめると、やがて尾根道となりアンテナ施設のある展望地に到着。ここは山頂ではなく、さらに3分程先に進んだところが山頂となります。ゆっくり登って約2時間。

 山頂は、360度のすばらしい展望です。北にはすぐ目の前に木杢蔵山、八森山、そして神室連峰の山々が連なっています。東は鬼首の禿岳(こちらも「かむろだけ」と読みます)。西には、今日は霞んでいますが月山、葉山。同行者の話では、空気が澄んでいれば鳥海山も間近に見渡せるとのことでした。眺望ばかりでなく、小広く芝が張られて落ち着ける雰囲気の山頂です。



 今回は、グループ登山のため、30分程時間をいただいて、一人無線にいそしむことにしました。リグはDJ-S17、4W出力、アンテナはJ型アンテナです。ワッチしてみると、いつも交信いただている宮城県丸森町の固定局の信号が55程度で聞こえていました。少し待って声をかけようと思ったのですが、VFOを回してみたら、今度は福島県郡山市の移動局のCQが聞こえてきました。さっそく応答したところ、52-52で交信成立。相手局は安達太良山麓のスカイピア?駐車場からGPにて移動運用とのこと、混信に悩まされていたようですが、こちらには終止クリアな信号が届いていました。約170キロメートル。再度、丸森町局を探してみたのですが、交信が終わってしまったようでした。145.180でCQを出してみたところ、大蔵村および三川町モービル局に応答いただきました。庄内地方には何の障害物もありませんので、通りが良いようです。両局とも59-59。

 続いて、同じ山形県内、西置賜郡白鷹町固定局と55-57。白鷹町との交信は初めてで、ハンディ機にしては良く入っているとのレポートをいただきました。さらに「・・・/0」のかぼそい信号が入ってきました。もう一度、コールサインを送っていただいて、ようやく確認。新潟県加茂市の移動局でした。アンテナの位置を微妙に変えて、こちらから41のレポート。相手局からは55のレポートをいただきました。相手局には安定して入っているとのことでした。移動地の詳しい名称やパワー、アンテナなどは確認できませんでしたが、カード交換を約束して無事、ファイナルを送ることができました。交信距離約200キロメートル。このバンドの山移動で加茂市も初めてでした。




 あっという間の30分でしたが、5局とQSOできました。この山は、標高は低いのですが、見晴らしが良く、西南方向に月山がそびえていることなどから、意外に面白い飛びをするのかもしれません。今度は一人、ハンディ機を持って登ってみたいものです。奥深い森と明るい山頂を合わせ持った、私的には「名山」とたたえたい山でした。



 その日は、瀬見温泉に一泊しました。小国川沿いに数軒の旅館が並ぶ静かな湯町です。翌朝、朝市での買い物を終え、橋から眺めると、間近に迫った山々に霞がかかり、川からは湯気が立ちのぼっていました。









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1λヘンテナ (145MHz)

2009年10月14日 | ヘンテナ
 2/3λヘンテナのまずまずの出来に気を良くして、今度は1λヘンテナを作ってみました。基本型のヘンテナの長辺が1/2λですから、これをスタックにしたものと考えられます。給電部から左右1メートル、全長2メートルの横長のアンテナです。



 実験的に使うだけなら、銅パイプをつなぎ合わせて作ることもできますが、当局としては、実際に山で実用になるものにしたいと考え、今回もロッドアンテナを使うことにしました。ただ、1メートル以上のロッドアンテナが手に入らず、マルツで入手できたのは82センチ4本です。足らない分は、ホームセンターで売っていた長さ10センチの金属プレート板を継ぎ足すことにしました。マスト直結式ですが、全長2メートルともなると、さすがに丸い塩ビパイプは使えません。ちょっとした取付け角度の誤差が、アンテナ全体の大きなゆがみとなってしまいます。今回は角材を使うことにしました。穴空け加工は楽ですが、木質なので割れには注意が必要です。

《材料》
・長さ50センチの角材
・ロッドアンテナ82センチ4本(1メートル以上のものがあればベター)
・金属プレート板 長さ10センチを8枚(4枚組118円×2でした)
・3ミリ径銅パイプ30センチ×4本
・3ミリ径銅パイプ16センチ×2本
・みの虫クリップ8個
・3ミリ径ボルト数種類と蝶ナット2個


《製作》
 基本的な作り方は2/3λヘンテナとほとんど同じです。左右にショートスタブが加わります。
1)角材に上から1センチのところと33センチ離して2カ所、3ミリの穴をあけ
  、貫通させます。
2)30センチの銅パイプ4本にみの虫クリップをハンダ付けします。
  これが縦エレメントとショートスタブになります。
3)16センチの銅パイプ2本の片方に丸端子をハンダ付けします。
  もう一方は同軸ケーブルの芯線と網線をそれぞれハンダ付けします。
  給電部です。
4)金属プレート2枚をボルトで連結しておきます。
  そして一方にロッドアンテナをボルトで取付けます。
5)給電部銅パイプ、金属プレート2枚を角材にボルトで取付け、
  後ろから蝶ナットで締め付けます(上下)。
6)ロッドアンテナを伸ばし、4本の短返エレメントをみの虫クリップで挟んで
  いきます。製作、組み立ては以上です。
  収納は、蝶ナットを緩めて、金属プレートを中央に寄せるようにすれば、
  ザックに入る程度にまとまります。


材料一式


金属プレート


エレメント、給電部取付け状態


完成


《調整》
 ロッドアンテナ4本をすべて伸ばし、縦エレメントとショートスタブを左右とも24センチ間隔で取り付けます。この状態で、SWRは3.0を示しました。もっと低く出ると予想していたので、少しショックでした。縦エレメントとスタブとの間隔は変えずに、ロッドエレメントを少しづつ短くしてみました。その結果、左は84センチ、右は94センチ(共にプレート板を含む)のところでSWR1.1に落ちてくれました。左右非対称です。2/3λヘンテナと違ってスタックなので、調整は微妙です。もし、ロッドエレメントでなかったら、かなり手間取ったと思います。バンド内ほぼフラットで広帯域の特性は同じでした。

《使用感》
 まず、トリフィールドメーターでの実験。全長2メートルと長く、残念ながら前回と全く同じ位置での測定はできませんでした。メーターと給電部の距離は前回と同じ1.5メートルで図った結果は次の通りです。2/3λヘンテナは前回の測定値です(参考)。
 ・1λヘンテナ    フロント 5.0
            サイド  1.8
            バック  5.0

・2/3λヘンテナ   フロント 5.2
           サイド  2.7
           バック  6.0

  この実験からは、さほど大きな違いはないようです。

 さて、実際の使用感ですが、仙台近郊の泉ヶ岳(1172m)で使ってみました。風の強い日でした。組立は、給電部を蝶ナットで締めて、ロッドを伸ばし、あらかじめ決めておいた位置に縦エレメントとショートスタブをクリップで挟むだけなので、2分もあれば完了です。

 実際、組み上がってみると、横幅全長が2メートルあり、さすがに大きく場所をとります。せまい山頂の場合は、まず使えそうにありません。重さも500グラム近くあるので、目玉クリップによる三脚取り付けは厳しいです。また、蝶ナットの締め付けが弱いと金属プレートが下がってきます。見るからに倒れそうで、慎重に手で回しながら使いました。

 ワッチしてみると、宮城県内の他、山形、福島、岩手のモービル局の信号が聞こえていました。CQを出してみたところ、白石市モービル、蔵王町移動局、南相馬市固定局、名取市固定局と59-59で交信できました。遠方の局というわけではありませんが、送受信とも悪くないようでFBなレポートをいただきました。ひとまず安心してさらにCQを続けようとしたその直後、三脚が風で倒れ、ヘンテナも目玉クリップから外れてバラバラになってしまいました。すぐに、組み直しましたが、いざCQを出そうとしたら、また倒れてしまいました。金属プレート部分と角材のマストが風の抵抗を受けやすいようで、2/3λヘンテナが高山の強風に耐えてくれたことと比較すると、頼りない感じです。交信中でなかったのがせめてもの救いでした。これ以上の使用はあきらめ、直付けロッドアンテナ(5/8λ)での運用に切り替えました。


給電部


収納状態 アンテナとは思えない複雑な姿になりました。

 4局との交信だけなので、性能的なことは何とも言えませんが、このアンテナは、大きさ、部材の形状、重さ、三脚への取り付けなど、まだ改善すべき点が多く、使用できるシチュエーションが限定されると感じました(登山者の少ない広い山頂と無風状態)。実用になるものにするには、もう一工夫必要で、当局の運用スタイルから考えると、現状では少し持て余し気味となりそうです。実際使ってみて、やはりコンパクトで風に強い丈夫なアンテナの有り難さがよくわかりました。


岡沼より泉ヶ岳


岡沼


 下山途中、いつもは干上がって沼とは名ばかりの「岡沼」が珍しく水を湛えておりました。何度もこの山に登っていますが、この時期に水のある姿を見たのは初めてです。先日の台風と大雨の影響でしょうか。ここまで下ると風も弱まり、「うさぎ平」周辺は明るい日差しがそそいでいました。山頂にこだわらず、この辺りでのんびり無線を楽しむのも良いかなと、思ったりもします。ここなら大きなアンテナを展開できそうですし・・・。



うさぎ平





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