JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

ガラス瓶ゲルマラジオ改良

2013年03月31日 | ゲルマラジオ


 インスタントコーヒー空き瓶をコイルボビンとして使ったゲルマラジオ。さらなる改良を加えてみました。改良点は2か所。コイルをスペース巻風にしたことと、トランスの変更。

 まずコイル。ガラス表面が滑って巻きにくいということもあり、かなり適当に巻いていたのですが、コイル終点をいったん解いて、瓶の直線部分を目いっぱい使って、線と線のスペースをあけてみました。竹串で密着した線を1周ずつ広げていきます。と言ってもきれいに等間隔というのは難しく、写真のようにまだらなバーコード風になりました。ボビン直径10cm、コイルの幅も約10cm。




 続いて、トランスの変更。
 何度か書いている通り、ゲルマラジオを市販のマグネチックイヤフォンで聞けるようにするには、スピーカーを鳴らすことと原理は同じで、トランスでインピーダンス変換する必要があります。その際、1次側の入力インピーダンスはなるべく高い方が良いわけです。前回使ったサンスイのST-32はもっとも手ごろで、失敗なく鳴ってくれます。でも1次側は1200Ωしかありません。今回は、ジャンク箱にあったラジオ少年通販の「BT-OUT-1」を使ってみました。

 <仕様>
 OUTトランス 2W
一次インピーダンス  5kΩおよび7kΩ
二次インピータンス  8Ω



 同じラジオ少年で
・BT-OUT-1H(1W)
・OUT-1H(1W)

 という型番があり、1次側が20KΩ。こちらの方がベターですが、手持ちがなかったので、上記のものを使いました。1次側入力は二つあり、5kΩは使わず、7kΩの方を使います。つまり1次側7kΩ:2次側8Ω。ST-32と違って、大きさも数倍あるので、前面に配置する以外になく、少し不細工になってしまいました。






 さっそく聞いてみると・・・。感覚として、音量は約2倍に上がりました。トランス変更の効果が大きいと思います。とりあえず改良は成功。夜間はNHK仙台第2放送もなんとか聞き取れます。東北放送は聞こえず。

 以前、バーアンテナを大型化して感度を上げることを試みて、それなりの成果はあったのですが、大型化と言っても限度がありました。重いし、コストの方も。それに比べ、空芯コイルは簡単に大型化でき、しかもそれに見合った結果が得られるようです。

 これまでのところでわかったゲルマラジオの性能(感度、音量、選択度)を上げる要点としては、
1)空芯コイルの大型化
2)太い線材を使い、スペースをあけて巻く
3)ボビン径とコイル幅を1:1に近づける
4)コイルは地面に対し水平(横向き)にする
5)ダイオードvfの低いものを採用(同じ型番でもバラツキあり)
6)トランスを使う場合はBT-OUT-1H(20KΩ:8Ω)がベスト
7)マグネチックイヤフォンは8Ω~16Ωで音圧レベルの高いカナル式
8)配線は短く、太い線材を使う

 などでしょうか。



 ガラスに巻いたコイルのみで起電し、ダイオードが検波し、イヤフォンを鳴らす、このガラス瓶ゲルマラジオを眺めながら放送を聴いていると、こんな簡単な装置のどこから聞こえてくるのだろうと、ホント、不思議な気分になります。コイルの大きさ、巻き方、ボビンの工夫、イヤフォンも試してみたいものがあります。適度にコンパクトで、高性能なものが目標で、ループアンテナのように大型のものは好みでありません。外部アンテナなしのゲルマラジオ、単純なだけに奥が深いです。


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ガラス瓶ゲルマラジオ

2013年03月24日 | ゲルマラジオ


 ガラス容器をコイルのボビンとして使うアイディアは当初からあったのですが、線材を巻いてみようと思わせるような形状のものは見当たりませんでした。直径が大きなものは長さもあり、手ごろとは言えません。そんな中、ふと台所の奥を物色していたところ、あったのです。直径10cm、長さ14cm。インスタントコーヒーの空き瓶。以前、直径6cmの塩ビパイプに巻いたソレノイドコイルで、外部アンテナもアースもなくゲルマラジオを鳴らすことができました。今回は、直径10cm.。ソレノイドコイルとしては過去最大。このガラスの空き瓶を発見して、急にまたゲルマラジオを作ってみたくなりました。

 材料はすべてジャンク箱の有り合わせ。
 <材料>
 ・ガラス瓶
 ・コイル線材 8mmポリウレタン線20m
 ・ゲルマニウムダイオード 1N60
 ・ポリバリコン、シャフト、つまみ
 ・トランス サンスイST-32相当品1.2kΩ:8Ω
 ・ステレオイヤフォン端子
 ・板材2個


コーヒー空き瓶、L字型に組んだ木台、緑色の線材


<製作>
 まずはコイル巻き。ガラス瓶に線材の一方をグル―ガンで固定。取れやすいので多めに塗り付けます。あとは巻いていくだけ。ガラスの表面がすべるので巻きにくいです。ホットボンドが取れて、何度かまき直しました。20m全部を巻いてインダクタンスを測ったところ、340μH。3mほど外し56回巻きとしたところ、235μHに低下。我が家の環境では、この程度がもっともよく受信できるのです。巻終わりもグル―ガンで固定し、コイル部完成。
 続いて、ポリバリコン、トランス、ダイオード、イヤフォン端子をそれぞれハンダ付け。回路はダイオード1個のみ、これ以上ないシンプル構成です。両耳イヤフォンで聞くことにこだわっているので、トランスでインピーダンス調整し、8Ω側をステレオイヤフォン端子に接続します。もちろんステレオで聞こえるわけではありませんが、セラミックイヤフォンなどとは別次元の音で聞くことができます。


両端はグルーガン(ホットボンド)で固定

235μHに調整

他の部品はあらかじめ配線しておく


 ガラス瓶コイルの固定は、蓋を利用します。L字型に張り合わせた木台にネジで蓋を固定。そのままよじれば取付け完了。ポリバリコン、イヤフォン端子などは木台に接着剤で固定。もととも外部アンテナなしが前提なので、アンテナ端子などはありません。製作は以上です。完成してみると、透明ガラスのコイルが宙に浮いているような面白いものに仕上がりました。


完成 ガラス瓶ゲルマラジオ


 ステレオイヤフォンを差し込んで、さっそ窓辺で聞いてみました。バリコンを慎重に回してみると・・・、ふわっと高校野球中継が浮かび上がってきました。NHK仙台第一放送。いつものことではありますが、放送が聞こえた瞬間というのはうれしいものです。前作の直径6cmソレノイドコイルよりも若干音は大きめ。ミニループアンテナを傍に置くと、窓から2mほど離れた室内でも十分な音量で聞くことができました。Qの高さは相当なものと思います。ちなみにこのコイルを縦に設置すると、何も聞こえなくなります。外部アンテナなしで聞こえるようにするためには、横に設置する必要があります。L字型の木台にしたのはそのためです。




 アイディアが浮かんで構想を練っている時、ボビンに一心不乱にコイルを巻いている時、深夜かすかに聴こえてくる放送に耳を傾けている時、そんな時は、他に何も考えずに済みます。自分にとって至福の時間。ゲルマラジオ作りの楽しみ、今回も再発見しました。


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惣内山  南三陸町

2013年03月18日 | 里山 移動運用


 津波で何もかもなくなった南三陸町志津川地区。その背後に小高く長い稜線が続いています。見た目は何の特徴もない、どこにでもある里山。標高379.6m。

 南三陸町=海と思い浮べるところですが、登山できる山もあるのです。惣内山によって海から隔てられた入谷地区は、他に神行堂山、童子山があり、この三山の斜面に民家や畑が点在し、箱庭のような集落を形成しています。震災直後は、志津川地区からの避難などで混乱が続いたのだろうと思いますが、今は、以前のまま、何も変わらない山里が広がっていました。


入谷集落から見た惣内山


 登山口は自分の知る限り3か所あります。このうち、標識らしきものがあるのは、秋目川の牧草地コースのみです。今回は、数年ぶりなので登りなれた天神地区から山頂をめざしました。標識や赤布類はまったくありません。登山口付近はとりわけ藪っぽいので、案内なしに登るのは至難です。もともと静かな山ですが、震災後、登る人はほとんどいないようで、もはや登山道と言えないような有様となっていました。消えつつあるルート、そしてトゲトゲのバラに難儀しながら、約1時間で山頂に到着。山頂直下のススキ原も伸び放題、荒れ放題となっていました。それでもここの展望はすばらしく、穏やかな志津川湾の全てが見渡せました。


山頂下のススキ原と志津川湾


 いつものハンディ機DJ-S57にJ型アンテナ。145MHz。連れがいるので、時間は取れません。メインでCQを出したところ、一関市、山元町、仙台市宮城野区、利府町、大崎市各局に応答いただきました。仙台市内との距離は85kmほど。5Wでも何とか交信できるようです(相手局も5W)。山元町は100km以上ありますが、59-59でレポート交換。電波伝搬のみでいえば、隣りの神行堂山の方が標高も高くFBです。でも、眼前に大海原を眺めながらの贅沢なQSOはこの山ならではと言えます。






 さて、この山の中腹には、巨大なケヤキが存在します。その名も蔵王権現。ススキ原から西に下る急な細道。それを200m程下って、道の消えた右手の杉林に足を踏み入れ、さらに下ること数分。こつ然と、岩のような巨木が目に飛び込んできます。推定樹齢600年。巨木と言われるものは、宮城県内にもいくつか存在しますが、このケヤキほど魂気迫るものは見たことがありません。幾多の災害を見つめ、その苦難を一手に引き受けたような、まさに神が宿ったとしか言いようのない様相。対面していると静かに問いかけられているような・・・。あなたはどこにいるのか?どこから来て、どこへ行くのか?・・・と。不思議なことに根元からは清水が湧き出ているのです。そしてこの清水は、枯れたことがないそうです。



蔵王権現


 震災後、遠慮していた南三陸の山々。山を手入れする余裕などまだまだないのかもしれません。せめてこれ以上、道が荒れないよう、足しげく通ってみたい、そんな気分になりました。





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