JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

スパイダーコイル

2011年09月24日 | コイル作り


 『ぼくらの鉱石ラジオ』という本の中には、多種多様なコイルがイラストで紹介されています。例を挙げると、8の字コイル、クラウンコイル、バスケットコイル、ハニカムコイルなどなど。現物は見たことありませんが、イラストの形を見ると、なるほどと納得させられます。少しでも効率よく聞こえるようにと、先人たちはあくなき追求を続けてきたということでしょう。そんな中で、ゲルマラジオと言えば、もっともなじみの深いのがスパイダーコイルかと思います。自分も数十年前に、「科学と学習」の付録で巻いたことがあります。部品点数の少ないゲルマラジオにおいては、コイル巻きがもっとも興味深くもあり、工夫のしどころでもありますね。

 といっても、今回、特に工夫もなく、「スパイダーコイルを巻いてみたい」というそれだけの理由で、作ってみました。巻枠と線材がセットなったものを科学教材社から購入。一式420円。直径9cmの巻枠と0.5mmポリウレタン線(長さ12m?)、固定部品、ネジ、巻き方説明書のセットです。


巻き終えたコイル  固定具、ネジも付属

巻始めと巻終わりは枠先端に取り付け


 巻枠は紙製で15本の枠があります。3か所穴をあけて、折れないように慎重に巻きました。巻き方は二つの枠を飛ばして交互に巻いていきます。なんだか懐かしいです。説明書きでは20回目でタップを出すとありましたが、1か所ではどうかと思い、35回目と52回目にもタップを作り、全部で70回巻きました。50回目にタップを出そうかどうか迷っている内に、52回巻いてしまいました。直径が0.5mmの線材なので巻きやすく、タップ出しも楽です。


 いつもの通り、LCRメーターで容量を測ってみると

 20回巻き 19μH
 35回巻き 58μH
 52回巻き 168μH
 70回巻き 385μH



 20回巻きでは、わずか19μHしかないのです。はじめ、何かの間違いかと思いました。そして、巻き数が増えるにつれて、加速度的に容量が増加。巻き数が増えるごとに、1周が長くなるこのコイルならではの現象なんですね。


 さて、巻きあがったスパイダーコイル。今回は、これまで作ったゲルマラジオの外付けコイルとして使います。かまぼこ板と角材の上に設置し、色もクラシック調に統一してみました。また、みの虫クリップで接続できるように、各タップをラグ板にはんだ付けしています。




 さっそくタップを変えながら聞いてみたところ、NHK仙台第1(891kHz)は52回巻タップで最も強く入感し、塩ビパイプのソレノイドコイルより音量はほんの少し小さめでした。分離はスパイダーコイルの方が良いです。ソレノイドコイルの時は、NHK仙台第1が圧倒的な強さで入感し、バリコンのどこを回しても音声が消えず、一部にNHK仙台第2が混じって聞こえるという状態でした。スパイダーコイルでは、バリコンを回すと音声が消える箇所があり、NHK仙台第2も混信はするもののそれなりに聞こえます。もし、20回巻きタップ1か所だったらこのコイルの評価はもっと下がっていたと思います。3か所のタップで正解でした。昼と夜とでは聞こえ方が異なり、タップの位置を変更することもよくあります。タップは多いに越したことはありませんね。


みの虫クリップを多用し、回路変更やコイル交換が楽にできます


 『ゲルマラジオ製作徹底ガイド』という本には、これを巨大化し、なんと直径70cmのスパイダーコイルが紹介されていました。そこまでいくと、コイルというよりもループアンテナと言った方が良いのかもしれません。当然、外部アンテナなしで聞こえるそうで、大型化すれば、それだけの効果はあるようです。

 残念ながら我が家の狭いベランダは、すでにアマチュア無線用アンテナで占められ、これ以上のスペースはありません。なので、当面はひたすら小さいコイルでいかにQを稼げるか?ということを考え、先人の足跡に一歩でも近づければと思います。



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ダイオード比較その2

2011年09月22日 | ゲルマラジオ


 実験を繰り返すたびに何かしら発見のある無電源ラジオ。この間、倍電圧回路やWコイル同調回路、コンデンサーを多用した回路などなど、いくつか試してみました。でも、回路をいじってもさほどの違いは感じられませんでした。それより、コイル、バリコン、検波器(ダイオード)、イヤホン、トランスの5点の部品の違いによる変化の方が感度の違い(音量の差)として表れるようです(アンテナとアースのことは別として)。

 前回、「まったく聞こえず使えない」と書いた1SS97と1SS133も、その後の実験で「聞こえなくもない」ことがわかりました。それどころか1SS97に関しては、分離も良く、なかなかの優れものとわかりました。無電源ラジオにおいては、一度の実験で結論を出すと、よくこういうことが起こります。





 今回、古いトランジスタも入手できたので、それぞれのVf(立ち上がり電圧)をテスターで測ってみました。

(ゲルマニウムダイオード)
・1N60 0.344~0.360

(ショットキーダイオード)
・1SS97   0.393
・1SS106   0.195~0.207
・1SS108   0.219~0.229
・1SS133   0.602
  
(トランジスタ)
ベースとコレクタを短絡し、エミッタとの間を計測
・2SA100 0.182
・2SB423 0.140

 数値に幅のあるのは、3本を計測した結果です。同じ品番でも0.02程度のバラツキはあるようです。

 無電源ラジオにおいては、Vfが低いほど良いわけなので、この結果からも1N60よりも1SS106や1SS108の方が優れており、耳で聞いた結果にも符合します。1SS133は 0.6Vもあり、やはり弱電界では聞こえない可能性が高いですね。


 また、古いトランジスタは、どのダイオードをも凌ぐ大健闘をみせました。実際、聞いた感じでも、どちらもたいへんパワフルな音量で聞こえます。エミッタ、コレクタ、ベース3極の内、どれをどう接続しても聞こえますが、ベースとコレクタを短絡させると音量が大きくなります。増幅しているわけではなく、働きとしてはダイオードと同じ。


2SA100 聞いた感じではこれがもっとも大音量でした


2SB423 見た目は古いですが、よく聞こえます


 トランス(クリスタルイヤホンなら不要)を含め、部品が5点しかないラジオだからこそ、それぞれの性能や品質が直接影響することになりますね。検波器一つとっても、品番による違いの他、バラツキも少なからずあるようです。まして、鉱石を使うとなれば、無限大。試してみたいことが次々出てきます。




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鉱石探し

2011年09月19日 | ゲルマラジオ

 無電源ラジオに興味をもってから、どうしても一読したかった『ぼくらの鉱石ラジオ』という本をやっと手に入れることができました。

 ゲルマニウムダイオードが普及する前の20世紀初頭、鉱石による検波方式が試みられ広く普及したそうです。そしてあっという間に新たなデバイスたちにとって代わられ、消えていきました。80歳代の山の大先輩に聞いてみたところ、確かにそういうラジオが存在し、針で鉱石を突いて、良く聞こえるところを探しながら聞いた記憶があるとの話でした。

 と言っても、河原にころがっている石でよい、ということでもなく、代表的なものとしては方鉛鉱、黄鉄鉱、黄銅鉱などが使われたのだそうです。本にはこれら鉱物がきれいな写真入りで紹介されています。





 山形県、月山と葉山に囲まれた谷あいに、湯治場として有名な肘折温泉があります。3連休を利用して、保養を兼ねた鉱物探しの旅をしてきました。

 肘折温泉のあるあたりは、地形的には火山カルデラの底にあたり、共同浴場「カルデラ館」という施設もあります。昔から鉱物の宝庫として、近くには大蔵鉱山、永松鉱山などがありました。両鉱山は、金、銀、銅、鉛、亜鉛、硫化鉄などが産出したと記録があります。往時は三千人もの従業員が居住し、日本でも有数の鉱山であったとのことですが、産出量の減少などで、昭和30年代に閉山されたそうです。金や銀は話半分としても、各種鉱物に恵まれた土地柄であることは確かなようです。

 肘折温泉から、歩いて行けるのは、大蔵鉱山跡の方。地図で見ると徒歩1時間ほど、今神峠をめざしていけばたどりつけるのでは?との目星をつけました。黄金(こがね)温泉の集落を過ぎ、カルデラ館を左手に見て、林道を進んでいくと、今神温泉入口との標識がありました。ところが、立ち入り禁止のロープ。地図上ではこの先が今神峠ですが、仕方なく別の林道からのルートをたどることとしました。しばらく登ると、周りの風景とまったく不釣り合いな煙突状のものが視界に飛び込んできました。大蔵鉱山跡です。深い藪を進むと、木々に埋もれるように、かつての精錬所の廃墟がそこにありました。レンガ造りの煙突はかつて二つあったそうですが、高さ十数メートルの一本のみ、ほぼ無傷で残っていました。鉱夫たちとその家族が暮らしたであろう街は跡形もなく、荒涼とした風景があるのみでした。



煉瓦の煙突が密藪の中にそそり立っていました


廃墟と化した精錬所跡


 さて、鉱石の方は、今神峠の近くで変わった石をいくつか見つけることができました。鉱石についてまったくの素人ではありますが、たぶん方鉛鉱かと思います。


採取できた鉱石?各種


 まだ、鉱石検波を試していませんので、見当違いの可能性もあります。近いうち、検波器を作ってみたいと思います。無電源ラジオをきっかけに思わぬところに関心が波及していきました。鉱山の廃墟というのも、何か引き付けられるものがあります。そしていろいろな鉱物を通して、空間に漂う信号に耳を傾ける、鉱物の結晶で受信するラジオ。かつて社会の要請を一身に担い、そして世の趨勢と共に忘れ去られ、消えていったモノや技術。なにかロマンを感じてしまいます。




狭い路地に宿が並ぶ肘折温泉街

温泉街を流れる銅山川と苦水川



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無電源ラジオ ダイオード比較

2011年09月15日 | ゲルマラジオ


 無電源ラジオの心臓部とも言えるダイオード。一般にはゲルマニウムダイオードの代表格である1N60が用いられます。でも、その昔、鉱石ラジオと呼ばれたとおり、石で検波できたわけです。ダイオードも必ずしも1N60でなくとも、良好に検波できるのでは?その際、どのような変化があるのか?

 そんなことを試したくて、新たにもう一台、実験用を作ってみることにしました。ほとんどクラシックゲルマラジオのレプリカです。今回は、ダイオードを簡単に取り換えられるようにしたことと、はじめからマグネチックイヤホンが使えるようにトランスを組み込みました。また、コイルも一から作りました。マルツ仙台店で見つけたエアバリコンがたいへん高価で、しかたなく一般的なポリバリコンに変更してあります。



 まずは、コイル作り。
 ・ボビン 直径3.8cmの塩ビパイプ 長さ10cm(ホームセンター)
 ・線材  0.32mmポリウレタン線20m(マルツ)
 
 塩ビパイプ両端に穴を2か所ずつあけて、丸端子をねじで取り付けておく。巻数は155回とし、105回目から10回巻くごとにタップを出しておきました。ポリウレタン線は巻いているうちに絡まって、扱いにくいことこの上ありません。絡まりをほぐしながら巻くという作業で時間がかかりましたが、自分としてはきれいに巻けた方だと思います。リッツ線の方が扱いは楽ですが、タップ出しはポリウレタン線が楽です。最後に、両端の丸端子に線を通して固定。



 さっそくLCRメーターでインダクタンスを測ったところ、次のような結果となりました。
 ・105回巻き  226μH
 ・115回巻き  277μH
 ・125回巻き  322μH
 ・135回巻き  368μH
 ・145回巻き  415μH
 ・155回巻き  468μH

 結果的には、130回ほど巻いておけば十分でした。ポリバリコンは260pFなので、125回巻タップでちょうど放送帯をカバーできそうです。

 コイルが出来上がれば、もう完成したも同然。板に部品を配置して、配線を施すだけです。肝心のダイオード交換は、ターミナル端子の穴にネジで軽く固定する方式としました。


ダイオード交換式

トランスST-32


コイルタップにアンテナ線(白リード線)を接続


 さて、まずは定番の1N60を取り付けて試聴してみることに。自作コイルでうまく受信してくれるのか心配でしたが、無事、マグネチックイヤホンを鳴らしてくれました。アンテナとアースの接続をいろいろと変えてみたところ、125回巻タップにアンテナを接続し、コイル両端から並列でバリコンに接続、片方にエアコンアース、というのがもっとも音量が大きく、良好でした。ちょっとした接続の変更で聞こえ方が変化するというのも、ゲルマラジオの面白いところです。

 いよいよダイオード交換実験。マルツ他で調達できた使えそうなもの5種類をそろえてみました。
 ・1N60  ゲルマニウムダイオード
 ・1SS97  以下、ショットキーダイオード
 ・1SS106
 ・1SS108
 ・1SS133

 マグネチックイヤホンで放送を聞き、大きく鮮明に聞こえるかどうかの実験。

 1SS97と1SS133はまったく何もきこえませんでした。同調回路からの微弱な電流を通してくれないということでしょう。この2種類は使えないようです。驚いたのは、1SS106と1SS108です。1N60に比べ、どちらも3倍ほど音量が大きくなります。突如性能が良くなったかのような印象で、まさにサプライズ。ちょうど大型バーアンテナにつないで聞いているのと同等です。1SS106と1SS108のどちらがベターかと言いますと、108の方が若干落ち着いた音声のような感じがありますが、ほとんど違いは感じられませんでした。


ダイオード各種


 正直、ダイオードの種類でこれほど変わるというのは予想外でした。もう1N60には戻れませんね。でも、1SS106にしても108にしても、ゲルマニウムは使っていないわけで、ゲルマラジオではない?ということで、自分としては無電源ダイオードラジオとでも命名しておきたいと思います。


ステレオイヤホン端子への接続


 さらに今回、両耳タイプのステレオイヤホンも試してみました。つなぎ方は、写真のとおりです。ちゃんと左右から聞こえ、聞きやすさも抜群ですね。マグネチックイヤホンの性能もいろいろあるようで、100円ショップのものは今一つ、メーカー製の方が音量も大きくクリアでした。その音はもはや無電源ラジオの域を超えているのでは?と思ったりもします。

 数十年ぶりに作って、はじめは蚊の鳴くような音声に最大限の集中力を傾けなければ聞こえなかったものが、何とかここまで聞こえるようになりました。ほんと、奥が深いです。



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ゲルマラジオSP実験

2011年09月10日 | ゲルマラジオ

 フェライト棒を4本束ねた大型バーアンテナ。その後、実験を繰り返した結果、相応の効果はあることがわかりました。


HG-770装着


 まず、マルツのプリント基板ゲルマラジオ(HG-770)。つなぎ方を変更し、コイルとバリコンを直列にしてみたところ、突然音量が大きくなり、並列の時にくらべて、数倍に増加しました。アンテナ、コイル、バリコン、アースが直列で、バリコンによる選局も問題なくできます。なぜ直列だと音量が大きくなるのか?はわかりませんが、段違いの音量です。ただ選局の方は並列に比べて、NHK第二(1089kHz)にNHK第一(891kHz)の混じり方が大きいように感じられました。
 
 続いて、ラジオ少年のクラシックゲルマラジオ。こちらは直列にしても並列にしてもあまり変化はありません。付属のコイルを大型バーアンテナに替えると2倍ほどの音量となります。前回なぜ違いが感じられなかったのか?不思議なのですが、クリスタルイヤホンでは音が大きすぎて、ボリュームがあれば絞りたいくらいの音量です。

 イヤホン端子近くで電圧を測ったところ、
 プリント基板ゲルマラジオ(HG-770) 490mV
 クラシックゲルマラジオ(ラジオ少年) 380mV

 どちらも付属のコイルに比べ数倍増加しています。プリント基板ゲルマラジオの方が電圧が高くなっていますが、音の大きさはクラシックゲルマラジオが上です。イヤホン性能の違いかもしれません。



 さて、これなら、念願のスピーカーも鳴らせるのでは?ということで、さっそく試してみました。

 (準備物)
・トランス サンスイST-32(マルツ仙台店で購入)
・スピーカー モービル無線機用の外付けスピーカー(第一電波工業)
・マグネチックイヤホン ラジオ用のものを100円ショップで購入



モービル無線機用の小型スピーカー


 そのままつないでも鳴りませんので、トランスでインピーダンスを合わせます。第一電波のスピーカーが何Ωかわからなかったのですが、ゲルマラジオのイヤホン端子に、ST-32の1次側(緑と黄)を取付け、2次側(黄と緑)にスピーカーをつないでみました。ST-32は1.2kΩ:8Ω。うまくいけば、これで鳴るはず。耳を近づけてみると・・・、聞こえてきました!かすかな音声で。耳に当てればはっきりと聞き取れます。イヤホンと違って音質はクリアでグッド。でも、耳から10cmも離すと聞き取れず、音量が全然足りません。これではスピーカーで聞いているという感じにはなりませんね。寝そべって枕もとで聞く分には何とか・・・。


こんな感じで接続


 続いて、100円ショップのマグネチックイヤホンにつないでみました。こちらは耳に装着するので十分な音量です。クリスタルイヤホンと比べ、音量は半分以下ですが、大きすぎず、小さすぎずちょうどよい大きさです。音質も装着感も悪くありません。



 とりあえず、ゲルマラジオでスピーカーを鳴らすことはできました。あとは音量の問題ですね。ちょっとした回路の変更で、変わってしまうということも経験しました。大きなアンテナは不可能ですが、それ以外のところでも、まだまだ工夫の余地はありそうです。






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大型バーアンテナ自作

2011年09月04日 | ゲルマラジオ

 BCLに夢中になっていた子どものころ、友人が持っていたナショナル「クーガ」のジャイロアンテナなるものをクルクル回しながら一緒に耳を傾けた記憶があります。大きなバーアンテナを本体上部に出して回るようにし、指向性を合わせやすくするというアイディアでした。

 市販のAMラジオというのは、ほとんどが外部アンテナ端子を持たず、バーアンテナを内蔵しています。ということは、その大小が性能を決定づけると言ってもよいわけです。しかし、大きくすると本体も大型化してしまう。ということで、一般には長くても10cm程度のものが装備されるようです。

 ゲルマラジオの高性能化を考えた場合、コイルとしてバーアンテナを使い、かつ、なるべく大型のものにすれば、かなりの効果が期待できるのでは?前回の実験でも、長さ14cmのバーアンテナに切り替えたところ、若干、感度が上がったように感じられました。ただ、バーアンテナのみでの受信は、当局の環境では不可能でした。

 そこで今回は、これを大型化し、ジャイロアンテナ風に独立して接続できるようなものを考えてみました。

 <材料>
・長さ16cm、直径1cmの棒状のフェライトコア4本(ラジオ少年通販で購入)
・リッツ線0.1mm×60本 数メートル(同上)
・板、端子、その他



 <製作>
・フェライトコア4本を結束バンドで束ねる。
・コアにコピー用紙を巻いて、テープで留める。
・リッツ線を重ならないように巻く。
 20回、30回、40回、50回、60回のところでタップを作っておく。
 結局70回巻きました。
・リッツ線の両端をテープで留めてほぐれないようにしておく。
 


 これでコイルは完成。コイルを巻くのは、数十年ぶりで、きれいには巻けませんでした。タップもいびつです。見た目はダイナマイトのよう。手に持つとズッシリきます。



 さっそく、LCRメーターで各タップごとの容量を測ってみました。
 ・20回巻 65μH
 ・30回巻 140μH
 ・40回巻 245μH
 ・50回巻 320μH
 ・60回巻 430μH
 ・70回巻 532μH

 となりました(平均値)。エアバリコンの容量を考えると、50回巻きが良さそうです。45回でも良かったかもしれません。


 これで容量もわかりました。あとは、適当な板(今回はコースターを使いました)に固定し、コイル先端用と50回巻タップ用のターミナル端子を付けて完成。




 さて、効果のほどは?? まずクラシックゲルマラジオ。付属コイルのミノムシクリップを大型バーアンテナにつなぎ替えてみました。もともとかなりの音量で鳴っていたため、大きな違いは感じられませんでした。わずかに高音領域がパワフルになったような。次に本命。バーアンテナのみで受信できるかどうかを試してみました。結果は、残念ながら何も聞こえてきませんでした。かすかに聞こえるという感じでもありません。ノイズが聞こえるのみ。





 続いて、第1作(HG-770)の小さなコイルを取り外して、大型バーアンテナに変更してみました。トリマーをドライバーで慎重に回すと・・・聞こえてきました。そこそこの音量。でもクラシックゲルマラジオほどではありません。半分程度。音量の違いは、コイルの大小だけもないようです。


 もっとパワーアップするかと期待しましたが、いくら大きなバーアンテナといえども、増幅したようにはいきません。そこがまた工夫のしどころですね。

 今回、数十年ぶりに自分で巻いたコイル、うまく同調してくれた瞬間というのは、ちょっとした感動がありました。



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クラシックゲルマラジオ

2011年09月03日 | ゲルマラジオ


 数十年ぶりに作ったゲルマラジオ。アンテナとアースを工夫することで、それなりの音量で鳴らすことができることがわかってきました。特にアース。集合住宅なので、直接地面にアースをとることは不可能ですが、試しにエアコン用のアースコンセントにつないでみたら、2~3倍、音量が大きくなりました。「かすかな音声に耳を傾ける」という感じから一歩進んで、聞こうとしなくとも聞こえる程度にはなってきました。

 今回は、第2作として、と言ってもキットですが、ラジオ少年通販のクラシックゲルマラジオを組み立ててみました。高価なエアバリコンと立派なコイルが付属しています。これぞゲルマラジオ、という感じの風貌で、衝動買いしてしまいました。



部品一式


エアバリコン 初めてお目にかかりました

 
 1作目と違って、プリント基板ではなく、板の上に各部品を配置して、直接配線していく方式で、仕組みがよくわかるようになっています。付属の板は、幅15cm、奥行9cmで、これは別に使うことにして、今回は、かまぼこの板2枚を張り合わせたものを使いました。幅11cm、奥行9cm。クラシックラジオらしく、塗装も施してみました(スプレーをかけただけ)。


 組み立ては、プリント基板よりはやっかいですが、1時間ほどで終わりました。前作にあった、セラミックコンデンサーや電解コンデンサーはありません。これ以上ないシンプルな回路構成。


配線 今回はコイル交換できるようにミノムシクリップ併用




 さて、さっそく、アンテナとエアコンアースをつなぎ、エアバリコンを慎重に回して聞いてみたところ・・・。すごいです。正直、驚きました。前作より音量が数倍大きく聞こえます。電池を使う普通の市販ラジオにイヤフォンを付けて聞いているのと変わりないと言ってよいくらいです。アンテナは、2m用3エレ八木の網線側コネクターにミノムシクリップで接続。前作との比較では、信号強度2だったものが7まで上がった感じ。音も聞きやすく、これなら無電源でも十分満足と言えます(あくまで当局の環境において)。


天井近くのエアコンアース端子に接続


チューニングダイヤルも大きくて回しやすい


 何が違うのか?まず考えられるのは、コイルの違いですね。3×0.5cmほどの小さなコイルと8×2.5cmの数倍のコイル。巻線も太いものが使われています。トリマーとエアバリコンの違いもあるかもしれません。あとはイヤフォン感度の違いとか。


 それでは、ということで、大きめのバーアンテナを追加して、付属コイルと切り替えて聞き比べられるようにしてみました。





 このバーアンテナもラジオ少年通販で購入しました。長さは14cm。容量を測ってみたら、写真の位置で320μHほど。フェライトバーの上でコイル部分を動かすと、容量も動きます。付属のコイルは270μH。とりあえず、切り替えてみたところ、同調がずれたようで、何も聞こえません。ゆっくりバリコンを回してみと、かすかに聞こえてきました。さらに、慎重に合わせると・・・先ほどより同等か少し上回る音量となりました。ただ、感度が良すぎるのかわずかにノイズが入ります。

 前回同様、イヤフォン端子のところで電圧を測ったところ、195mVもありました(1号機の5mVは誤りで40mVほど)。


バーアンテナ切り替え式


 一口にゲルマラジオと言っても、同じではないようですね。たとえ回路は同じでも、一つ一つの部品やその作り込みによって、大きな違いとして表れるのかもしれません。アンテナとアースのことについても、あらためて勉強になりました。電源なし、増幅なしの超シンプルなゲルマラジオ、それがこんなにも「普通に」聞こえるなんて! ほんと不思議です。


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