JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

鉱石探し 広瀬川源流・奥新川

2022年10月26日 | ゲルマラジオ

 

 

 地元産、できれば自分で採取した鉱石で検波してみたいとの思いがあり、だいぶ前に隣県の大蔵鉱山跡に採取に出かけたことがあります。予備知識も準備もなかったこともあり、その時拾い集めた石はことごとく検波はしてくれませんでした。それから11年。仙台近郊でも採取できる可能性があることを知り、かねて思いをめぐらせていた「鉱石探し」に出かけてみることにしました。

 

 もともと当県周辺は国内最古の金産出地であり、数十年前までは現役の鉱山も複数ありました。鉱物に恵まれた土地ではあるようです。今回訪れた場所は広瀬川の源流、奥新川。かつてここに「秋保鉱山」があり、従業員やその家族数百人が暮らし、学校や医院もあったのだそうです。昭和36年に閉山となり、今は跡形もなく藪に埋もれてしまったようです。資料によると主に銀、銅を産出とあります。

 

 JR仙山線に乗り奥新川駅へ。数年前の大雨による崩落で遊歩道(奥新川ライン)が通行止めとのことですが、実情が良くわからず、また案内板も設置されていましたが、どういう状況でどこからどこまでが通行止めなのか、いまひとつわかりません。鉱山跡まで行けないとしても、その下流の河原でも採取できるのでは?ということで、とりあえず駅から左手奥の林道を進みました。

奥新川駅

 

 1kmほど歩くと仙山線の赤い橋脚が現れました。その下を流れる「四ノ沢」上流に「秋保鉱山」があったようです。手前にクサリが張られ、ここで通行止めとなっていました。少し林道を引き返し、適当なところから南沢(奥新川)に下りてみました。かつては沢を縫うようにか細い遊歩道が続いていたのですが、痕跡すらありません。これでは修復というより、ゼロから作り直すしかなさそうです(予定はない模様)。

南沢

 

 さて、「四ノ沢」合流地点の下流かつ小広い河原になっており、ここで採取を試みることにしました。目当ては方鉛鉱、黄鉄鉱、黄銅鉱、班銅鉱などの半導体鉱物。付け焼き刃で仕入れた予備知識をもとに錆色の石とか縞模様のある石、あるいは持ってみて重い石を探し、ハンマーで割ってみました。すると、断面に小さなキラキラ光るものが・・・。

 

 不揃いに散らばったものもあれば、きれいな立方体のものも確認できました。たぶん黄鉄鉱・・・いや、黄鉄鉱に違いありません。汗だくになりながら2時間ほど作業を続け、思いのほか多く見つけることができました。残念ながら他の鉱石は採取できませんでしたが、これだけでも大満足で帰路につきました。

 

 

 帰宅後、持ち帰った石のかけらから鉱石結晶のみを取り出す作業をおこないました。その過程でうまく分離できなかったり、割れてさらに小さくなったり、けっこう難しいです。大きさはほとんどが2~3 mm。1つだけ5mmを超えるものが採取できたもののまだ石に張り付いた状態で、分離できないでいます。

鉱石を含んだ石

天然とは思えないような立方体結晶

比較的大きな採取物

分離した黄鉄鉱の結晶

 

 検波が目的なので鉱石の大小は関係ないはず、ということで「探り式鉱石ラジオ」に結晶をセット。さっそく検波するかどうか試してみました。

 

 

 慎重に針を当てるとカサッという音と共に音声が聞こえたような気がしました。でもそれは一瞬で、何も聞こえなくなってしまいました。何度も鉱石の向きや針の位置、圧力を変えながら試していったところ、ついに明瞭に聞こえる個所を探すことができました。NHK仙台第一放送。聞こえてきたのは国会中継。音量、安定感ともに良好で、十分に了解できます。国会では原発汚染水について質疑中で、その内容はともかく、聞こえていること自体に感動し、しばし聞き入ってしまいました。そして、米粒みたいな鉱石がとてもいとおしく感じられ、満ち足りた気持ちでいっぱいになりました。これぞ「地(自)作りラジオ」。自採取・地鉱石で放送を受信する、長年の思いが一つ叶いました。

 

 鉱石採取の愉しさにも少し目覚めました。我が家のすぐ前を流れる広瀬川、その源流にこのような鉱物が眠っていたとは・・・。これまでは単なる河原、単なる石としか見えていなかったものが、違った風景に見えてきました。すべてがいわば地球の営みから生まれた貴重な贈り物。本格的な採取には知識と熟練、それなりの道具も必要なようです。アプローチを重ねながらいろんな鉱石を見つけ、検波を試してみたい・・・そんな思いがまた湧いてきました。

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

桑沼―大倉山―氾濫原 10/23

2022年10月24日 | 奥山 移動運用

 

 

 そろそろ山の中腹あたりまで紅葉が下りてきているのでは?ということで、北泉ヶ岳の奥にある桑沼周辺を散策することにしました。

 

 地下鉄泉中央駅から始発バスに乗りスプリングバレースキー場で降車。バス延長(土日のみ)は今月いっぱいで終わりのようです。雲間から青空も見え、ほど良い天気。まずは桑沼まで長い林道歩きとなります。8月にも歩いて様子はわかっており、気分的には前回よりだいぶ楽です。約1時間で桑沼着。

桑沼入山口

 

 静寂な湖面、見ごろを迎えて色づいた樹々にちょうど日が差してくれました。少し長丁場でもあり、時間があれば帰りに湖畔を歩くことにして、その先の大倉山登山口へ。急登の連続、といってもさほどではありません。20分ほどで北泉ヶ岳との分岐に到着。右に進みほどなく大倉山。広場風の地味な山頂、見覚えのある東屋展望台がありました。標高934m。展望台に上がっても樹木が伸びてさほどの眺望は得られません。

桑沼

大倉山登山口

急登が続く

北泉ヶ岳分岐

大倉山山頂

 

 この山はだいぶ前に何度か登っていますが、面白味のない山頂という記憶しかありませんでした。ところが・・・。山頂の隅にわずかな踏み跡があり5mほど進むとおもむろに視界が開けました。予想だにしなかった息をのむような大展望。狭い岩場の突端、足元からスッパリと切れ落ちており、目もくらむ高度感。そして眼下に広がる紅葉の森と山々。北西に開け、遠くに船形山一帯も見渡せました。大倉山山頂の北側は数十メートルの断崖絶壁となっているようで、樹木でそれが隠れてしまっていたわけです。この眺望ポイントはまさに仰天のサプライズ、ほんと驚いてしまいました。

岩場の展望地より↑↓

奥に船形山

 

 山頂広場に戻りアンテナ(アローライン)を設置。短時間無線運用しました(145MHz)。伝搬的にも北に開けているようで、岩手県遠野市、紫波町、一関市、県内石巻市など各局に交信いただきました。背後の山で壁となる仙台市内からも応答いただきましたがやはり弱目のようです。約30分、8局と交信し終了。

氾濫原へ

 

 大倉山からはじめは平坦な遊歩道のような道が続きますが、その後急坂の細道となり、30分ほどで氾濫原手前の大倉沢に出合いました。渡渉点あたりから道が怪しくなり、慎重に進みました。左手上方の崖に伏流水が噴出した滝が現れ、その先にクヌギ、カヤ、トチなどが林立する原生林の平坦地、氾濫原が広がっていました。先ほどの大倉沢の水がなぜかここですべて地中に吸い込まれ、忽然と消えてしまいます。時期によっては大量の水が流れ出して氾濫するようです。山中にぽっかり広がった寂境の別天地。

大倉沢

ここで沢水が地中に吸い込まれる

氾濫原 林道のように見えるのが沢跡↑↓

 

 涸れた沢跡が至る所にあってどこでも歩ける上に、案内板や標識もなく、迷いやすいです。実際、うろついているうちに何度か道を見失ってしまいました。氾濫原の右手の縁に沿って木柵道の名残があるのを見つけ、ことなきを得ました。ここは訪れる登山者も少ないようです。誰にも出会うことはありませんでした。

 

大倉山北斜面

下山口

 

 氾濫原を後に、ゴーロ帯の中の細道、さらに山越えして下山口の林道に到着。軽いハイキングと油断していましたが、氾濫原周辺は一部荒れていたり、歩きにくかったりで、林道に出るまでが思いのほか長く感じ、実際、時間もかかってしまいました。予定していた12時台のバス時刻には間に合いそうになく、桑沼で写真を撮ったりして時間をつぶし、頃合いを見計らって長い林道をまた歩き返しバス停まで戻りました。

桑沼遊歩道

 

 約6時間半の行程。最後は雷雨もありましたが、紅葉の桑沼、しばらくぶりの大倉山、氾濫原。いろいろと発見もあり、印象深い山歩きであったように思います。

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東山温泉探訪 10/18-19

2022年10月20日 | 運用スタイルなど

 

 

 秘湯の一軒宿とかいうよりも湯町の散策や路地歩きするのを愉しみにしており、いくつか旅館があってそこで暮らす方々の生活の場でもある、そんな温泉地を好んで訪れることが多いです。「高級」風な旅館ばかりが増えて賑わいを見せているようなところは苦手で、どちらかというとあまり陽の当たらない温泉場の方が奥深いというか、奥深さすら感じさせないところに味がある、そんな風に思えなくもありません。

 会津の東山温泉は写真でしか見たことがなく、そこには古色蒼然とした旅館が写ってはいるものの、温泉地としてはどんなだろうと、一度は訪ねてみたいと思っていました。

 

 仙台から会津若松まで高速バスで約2時間30分。循環バスに乗り換え、20分で東山温泉着。3時間ほどにすぎませんが、会津は奥まっていて感覚的にも実際のところもけっこう遠く感じました。東山温泉駅(バス駅)で降車。もうここは温泉地の中心部です。歩いてすぐ、湯川沿いに木造の旅館「向瀧」が目に飛び込んできました。写真で見るよりその全体像ははるかに大きな建物で、山手の方まで重厚な棟が幾重にも続く様は、山城のようでもありました。江戸中期からの保養所を引き継ぎ創業125年とのことで、国の有形文化財に指定されているようです。宿のホームページに大正時代の写真がありますが、詠観橋を含め今もそのままといった感じです。普通並みの宿泊料でもあり、ここに泊りたかったのですが、いつもの思い付きの計画なので直前での予約はかないませんでした。宿泊できる部屋数も多くはないのかもしれません。

「向瀧」

 

 近くに酒屋があったので、地酒でも買っておこうと思ったのですが営業している様子はありませんでした。隣の食堂に入り、昼食がてら主人に聞いたところ「数年前にやめてしまって、この温泉街に酒屋はなくなってしまったんです」とのこと。旅館あっての酒屋、その酒屋がなくなったというのは思いのほか深刻なのでは?と心配になってしまいました。

 

 湯川沿いに歩いてみました。川の両岸に「滝」の名の付く旅館が並んでいます。改装中なのか材木が積み上げられ、作業の真っ最中だったり、すでに営業をやめて廃墟同然の建物も散見されました。ここには19の旅館・ホテルがあるそうですが、実際に営業しているのはその半数ほどでしょうか。

 

 残念坂、湯泉坂を過ぎると射的場がありました。このあたりが中心部ということでしょうか。店屋は羊羹専門店のみ、他に理容店、食堂数軒。かつての商店や民家もぽつりぽつりとあるものの廃屋が目立ちほとんど人の気配はなし。宿が元気にならないと生活の場も成り立たないのか、あるいは宿のみ頑張ってもいかんともしがたいのか、複雑な気分になってしまいました。

残念坂

 

 

 平日でまだ昼過ぎのためか温泉街を歩いているのはXと自分のみ。入国緩和や旅行支援も始まり、観光客でごった返しているのでは?などと話していたのですが、そのような心配はここでは無用のようです。ところどころに淵や滝が現れる湯川の清流はなかなかのもので、川沿いに与謝野晶子や竹久夢二の碑がありました。かつて多くの文人も訪れたようです。

 

 さらに奥に「雨降り滝」や「傘岩」などの名所があるようですが寒くなり、引き返すことにしました。途中、湯泉神社への階段を上ってみたところ、温泉街の一部が見渡せました。多くは鉄筋の大型ホテル。そしていくつかの廃墟。いっときは手に余るほどの客を受け入れ、活気を極めたのだろうと思います。どんな経過をたどり、どんな営みがあったのか。栄枯盛衰と人々の苦楽を凝縮しているようで、自分はそんな風景に心惹かれてしまうところがあります。

湯泉神社へ

神社境内

 

 予約しておいた宿に到着してみると、まだチェックイン時間前というのに駐車場やロビーはけっこうな人出でした。みなさん、車で宿に直行し、あとは外出することも歩いたりすることもなし、ということなのかもしれません。案内された部屋からは会津若松市街が一望で、さほど遠くないことに意外な感じを受けました。

 

 近くに標高870mの背あぶり山があり、眺めも良いらしく移動局の無線運用地にもなっているようです。車なら山頂公園まですぐのようですが、温泉街から登山できなくもなさそうなので、ゆっくり数泊して登ってみるとか、あるいはここを拠点に会津の山に登るのも悪くないかな、と思った次第です。

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

泉ヶ岳 10/16

2022年10月17日 | 奥山 移動運用

 

 

 早朝、山支度をして出かけたものの奥羽山系は雲が垂れ込め、予報ほど良くはないようです。大きく崩れることもないだろうと、あまり期待せず登ってみました。約1カ月ぶりの泉ヶ岳。

 

 始発バスに乗り、自然ふれあい館前下車。だいぶ気温が下がり、かつ曇天でもあり、急登の「かもしかコース」で大丈夫かとも思いましたが、それは下山に使うことにして、無難に水神コースを登ることにしました。今日はこのルートでと考えていても、バスの中で考えが変わることがよくあります。同乗の登山者は自分を含めて6人、内数人が水神コースに向かいました。北泉ヶ岳方向への登山口でもあるし、水場と山頂手前に展望の良い「賽の河原」があって、このところ自分もよくこのルートを登ります。

登山口付近

 

 水神を過ぎ、「大岩」あたりから標高1000mを超え、木々が色づいてきました。何年も登っているものの、この山で紅葉を目にしたという記憶はほとんどないです。この時期は別の山に登っていたのかもしれません。いづこの山にも例外なく秋は訪れ、深まりつつ山粧う、その空間に分け入り一歩また一歩と歩を進める、今ならではの愉しみではあります。賽の河原まで登ると、ガスが切れて明るくなってきました。約90分で山頂着。西に進んだガレ場の展望地へ。錦に染まりつつある北泉ヶ岳がガスの中から姿を見せてくれました。

水神分岐

賽の河原

山頂

ガレ場付近より北泉ヶ岳

 

 

 いつもの場所にアンテナを設置。FTM10Sとアローライン(145MHz)。7L4WVU局に領布いただいたポケットアンテナアナライザーTE-2101を初めて持参してみました。先日、ベランダにてAA-200と測定比較してみたところ精度的な遜色はないようです。モノポールに取り付けたアローライン、共振点が少し上にあるもののメイン近辺でSWR1.2。地形によっても微妙に変わるので、まあ、こんなところでしょう。重さ90g。操作も簡単で、これならどこにでも持ち歩けます。設計・製作された7L4WVU局およびJE3QDZ局に感謝です。

 

 CQを出したり応答したりしながら約1時間30分の運用、宮城、福島、岩手、山形、長野の18局に交信いただきました。0エリアは他に数局聞こえ、応答しましたが交信にいたりませんでした。長野県は下高井郡野沢温泉村。9月にもこの山頂からつながっている同じ移動局。その際は、具体的な移動地、装備までは確認できなかったのですが、毛無山中腹1446m地点とのこと、3エレ八木を北方向に向けていただいたようです。55-52。前回より信号は安定していると思ったら急にSが下がる、そしてまた浮き上がるという状態で大きめのQSBがみられたものの、こちらの信号は安定して届いているようで、モノポールを調整ながら交信を続けファイナルを送りました。距離258km。

 帰宅後、カシミールで確認してみました。北蔵王の山形神室あたりが壁になるものの、飯豊連峰の南をすり抜け、新潟県内陸部を経て大きな障壁なく毛無山に到達するようです。定点運用を続けていると意外なパスに驚かされることがあります。泉ヶ岳と野沢温泉村の毛無山、きわどいながらも絶妙な位置関係と言えるのかもしれません。

 

 少し撤収に手間取り、帰りのバス時刻まで1時間ちょっと。もう少しゆっくり紅葉の写真でも撮ろうかと思っていたのですが、その余裕はなくなってしまいました。

 

下山路より黒鼻山を望む

 

 下山はかもしかコース。岡沼、うさぎ平を経て、スキー場をかけるように下り、なんとか間に合いました。

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

船形山 10/2

2022年10月03日 | 奥山 移動運用

 

 

 いつも泉ヶ岳の山頂付近から眺めるのみだった船形山。18年ぶりに登ってみました。宮城県側からは船を逆さまにしたように見えることから船形山、山形県側の名称は御所山。標高1500m。宮城側、山形側どちらから登っても山頂まで4時間近くかかり、奥深い山と言えます。宮城側の色麻コースは2時間弱で登れますが、登山口まで延々と続くダートな林道で、かつて車の腹を何度もこすった上に泥だらけになり、ひどい目にあったことがあります。今回は無難に黒川郡大和町の升沢コースを登ることにしました。

 

 仙台の自宅を午前4時30分に出、登山口の旗坂野営場に6時着。すでに10台ほど駐車していました。だいぶ記憶が薄れて、どこが登山口なのか迷っていると、単独の登山者が出発、いったん林道を進んですぐ右手に登山口の標識がありました。6時15分登山開始。

旗坂野営場 駐車場

駐車場から林道を進むと登山口

 

 ブナ林の中の良く踏まれた幅広な道。ゆるい登りが続き、旗坂平、一群平、鳴清水を経て、1時間20分程で「三光の宮」に到着。岩の展望地から仙台平野や牡鹿半島が眺められました。その昔、船形山噴火の際に溶岩が冷えてできた岩峰のようです。大滝キャンプ場への分岐、蛇ヶ岳分岐を過ぎ、まもなく升沢小屋着。以前は荒れた感じの小屋でしたが建替えられ、内部もよく整えられて大切に使われている様子がうかがえました。

三光の宮(月と星と太陽)

三光の宮より三峰山を望む

升沢小屋

 

 小屋のすぐ後ろに沢があり、その沢が登山道となって源頭まで登りつめていくのですが、赤布もあり、石伝いに歩けるのでさほど労はありません。登り切って千畳敷に到着。森林限界を超え眺望が開けてきました。ここからがこのルートのハイライト。

沢を登りつめる

 

 千畳敷を後にさらに登ると、やっと船形山の山頂が姿を現してくれました。錦に彩られたなだらかな斜面の上に建つ山頂小屋も。途中のガレ場からは熊野岳から続く重畳たる北蔵王の山々や山形県側の黒伏山も見えてきました。三光の宮から1時間40分、登山口から約3時間で山頂着。少しハイペースで登ったようです。標高1500m。

北蔵王、二口山塊の山々

山形県側 黒伏山、奥に朝日連峰、月山

 

 アプローチが長い分、登りがいのある、また達成感のある山頂。標高のわりには高山的雰囲気とおおらかさがあり、山頂は岩場となって遮るもののない360度の大展望が広がっていました。鳥海山、月山、栗駒山、新庄神室などなど。すぐ西側には黒伏山、最上カゴ、仙台カゴなど特異な岩峰が目を引きました。

船形山山頂

北方向 奥に栗駒山

 

 しばし眺望を堪能し、岩場下の平坦地にアンテナを設置。本日もFTM-10Sとアローライン、いつもの装備です(145MHz)。7エリア6県のすべてと0エリアからお声がけいただき、19局に交信いただきました。0エリアは新潟県柏崎市と新潟市。柏崎市は八国山移動局。標高517m山頂より5Wとのこと、54-52。距離214km。南は福島県浅川町固定局と59-57。距離約155km。北は青森県弘前市の岩木山移動局。ノイズ混じりの弱い信号で、アンテナポールを微妙に調整しながら交信を続けファイナルを送りました。55-51。2エリアから登山に来られたようです。距離245.8km。今回の最遠方QSOとなりました。運用開始から1時間20分が経過、山頂はだいぶ賑わってきたようです。下山も長丁場、ちょうど途切れたところで早めの終了としました。

 

 

 下山は蛇ヶ岳を回ってみることにしました。千畳敷まで下り、分岐を右へ。尾根筋ではあるものの特に展望はなく、笹が覆ったり、枝が張り出したりといった細々とした登山道が続いていました。荒れた感じはなし。40分ほどで標高1400mの蛇ヶ岳山頂に到着。通過点的な山頂でそれらしい雰囲気はないものの、振り返ると船形山の全景、そして泉ヶ岳へと続く山々のスケールに圧倒されてしまいました。

千畳敷から蛇ヶ岳へ(泉ヶ岳方向)

船形山南斜面

船形山を振り返る

北泉ヶ岳・泉ヶ岳(奥) 三峰山(中央) 後白髭山(右)

 

 蛇ヶ岳山頂を下り、縦走路と分かれ分岐を左へ。間もなく小さな湿原と草原帯が現れ、明るい雰囲気になってきました。山頂からの眺望といい、湿原といい、この周回ルートは変化があって悪くありません。30分ほどで升沢コースに合流。

小湿原

 

 

 旗坂野営場の駐車場に午後2時30分着。蛇ヶ岳経由のため下山も登りと同じ約3時間を要しました。紅葉もそこそこ楽しめ、奥山の良さを満喫できたように思います。山頂小屋も升沢小屋もよく整備されており、体力的に可能ならいつか小屋泊りも良さそうです。

 

 

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山の無線装備(現状編)

2022年10月01日 | 移動運用装備

 

 

 山での無線運用を続けてかれこれ15年ほど、交信中いつも話題になるのはリグやパワー、アンテナ、バッテリーのことで、自分はほとんど145MHzのみなので、機材といっても知れているし、すべてザックに入るものばかりで大げさなものはありません。ただ、登る山や運用時間を想定していくつか使い分けており、自分の体力技量、標高や天候などの条件、それらと無線という趣味の両立、簡素な装備ながらそこにさまざま悩みどころもあるし、試行錯誤もあるわけです。それらは過去にも何度か書いたとおりですが、この間、気に入って使っている装備・機材について、使い続けている古いものや新たに導入したものなど経過や感想を含めて書いてみます。「自分的・山の無線装備」現状編。

 

<リグ・パワー>  

 ハンディ機はほとんど使わなくなりました。IC-705とFTM-10Sがメインリグです。天候悪化でIC-705をひどく濡らしてしまったことがあり、以降、特に奥山ではFTM-10Sを使うことが多くなりました。山に「濡れ」はつきもので、古い機種ながらやはり防水リグは安心感があります。どちらも10W可。山頂のロケなら小パワーでよく飛ぶし、あえてQRPという楽しみ方も一理かと思います。一方、周りの障害物がない分、平地以上にパワーの違いが明瞭になるのも山頂であって、アンテナ次第といっても狭い山頂など八木が使えない場合も多いわけです。5W以下で遠方の局のスケルチが開かず10Wでは気づいてくれる、あるいは多少でもメリットが上がり応答いただく、そんなケースが実感として多々あり、常にフルパワーにするかどうかは別として、山で10W、そこそこの手ごたえは感じられます。残念ながらFTM-10Sは生産終了となってしまいました。山岳でも使い手の良いリグで、せめてユーザーサポートの継続を願いたいところです。今さらながらではありますが、防水の他にもIC-705にないFTM-10Sの良い点があるので挙げてみます。

・同じ10W でも消費電流が2A以下(実測1.91A)。

・12V給電の場合もほぼフルパワーが維持される(IC-705はパワー低下)。

・本体とコントローラーが別で、同軸ケーブルが短くて済み運用の自由度が高い。

・送信時にPTTを押し続ける必要がなく疲れない(1回押すと送信、再度押すと受信)。

 

 特に低消費電流がこのリグの最大の特徴で、2A以下で10W出せる省エネ・高効率の機種は他に例がないと思います。その分、バッテリーは小さく軽いもので済むわけで、山では本当にありがたいです。数年前に受信音が聞こえなくなる不具合で修理に出し、その際、受信感度、送信出力についても再調整を依頼しました。修理から戻ってきたリグというのは愛着が深まるもので、可能なうちはメインリグとして使い続けるつもりです。IC-705はSSBやD-starに出たい時とか、熱の問題もあり主に寒い時期の運用が中心です。

 

<バッテリー>

 重量と容量のバランス、ノイズの有無、安定性、信頼性などなど、これまでさまざまなものを使ってみて、2年前からPDバッテリー(USB・Type-C出力12V 3.0A / 15V 3.0A)に落ち着いています。大容量のRP-PB201(20000mAh)と小容量のJMB-F100PD(10000mAh)を山行、運用時間、使用リグで使い分けており、主にRP-PB201はIC-705に15V給電、JMB-F100PDはFTM-10Sに12V給電として使います。この組み合わせでIC-705は3~4時間、FTM-10Sは2.5時間ほど持ちます(145MHz・FM・10Wにて)。両方とも山で20回ほど使ってみて不安に感じたことはなく、ノイズも特段気になったことはないです。充電もハイスピード。劣化の様子もなく信頼できるバッテリーと思います。以前にはPDやType-Cの登場などというのはまったく予期せぬことで、バッテリー周辺の進化にはほとほと驚いてしまいます。

 

<アンテナ >

 自作のほかメーカー製を改良?するなどしてさまざま使ってきました。今は自作3エレ(OWA八木)、J型アンテナ、サガのアローライン(AL-144F)のいづれかを持っていくことがほとんどです。どれも本体150gほど、ザックにポロッと入り、ポールにクリップで取り付けるのみで設営の手間もないです。使用頻度ではアローライン。風に強く天候に左右されにくいため、ついこれをザックに入れてしまいます。今使っているAL-144Fは2代目で、いろいろといじり過ぎた1代目からさらに軽量化し、細めのRG58ケーブル3mを給電部に直結しています。本来5D2V専用のため、網線側の固定に一工夫必要ですが特に難しいこともありません。3エレ、J型アンテナもRG58ケーブル3mを使用。コネクターはすべてBNCに統一。現地で手間のないのが一番です。3本とも性能的には特に不満なく、よく飛んでくれます(運用実績は毎度の移動記事に記載)。

アローラインと機材一式

 

<アンテナ設置ポール>

 長い間、三脚の重さが最大のネックでした。これに替わる「折り畳み式モノポール」を自作してみたものの、いまひとつ。たどり着いたのが雪崩捜索用のプローブ(ゾンデ)です。各種あり、使っているのはブラックダイヤモンド製の長さ240cmのプローブ。収納寸法45cm、重さ250g。もともと固い雪面に刺して使う道具なのでしなりがなく、好都合です。20~30cm地面に刺して固定するだけ。これで軽量アンテナなら問題なく上げられ、地上高2m以上を確保できるし、設置面積をとらず、目立ちにくいのも利点かと思います。地面が固くて刺さりにくいこともありますが、東北の山は岩場が少なく、たいてい大丈夫なようです。課題としては、3エレの場合、風で勝手に回ってしまうことと、カーボン製なのでアンテナによっては微妙な影響があるようで、ケーブルの引き回し方などさらに検証が必要かもしれません。

片支持ブーム、3エレ八木、RG58ケーブル、プローブ(収納状態)

 

 現状編としてはこんなところで、さらなる軽量化とか、工夫のしどころはまだまだあるように思います。すばやく設置・撤収でき、簡素でおっくうにならない装備が信条です。誰しも静かさを求めて山に向かうので、周りに登山者がいる状況では運用を控える、もしくは即撤収。なるべくなら人の少ない山を選び、山頂にこだわらず、山中身軽に歩き回り、見晴らしの良い適地があれば、良く整合のとれたアンテナでしばし交信を楽しむ・・・現実はなかなかそうもいかず、そうなってもいないのですが、そんな山岳移動が理想ではあります。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする