JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

HB9CVの3エレ化

2009年12月21日 | HB9CV
 HB9CVの利得は6.0db程と言われています。2エレ八木よりも若干高いようで、実際、よく聞こえます。まだ数回しか使っていませんが、1)耳が良い、2)周りの影響を比較的受けやすい、3)なので少し位置を変えるとSがグンと上がる(下がる)、4)送信が受信能力に追いつかない、5)モクソンアンテナとの比較ではこちらの方が少し良さそう、そんな感触です。当局が重視する、重さ(コンパクトさも含む)と対比して性能がどの程度か(g/db比)、という基準からみると、かなりFBなアンテナです。

 今回は、送信能力の強化ということで、3エレ化を考えてみました。




 このアンテナは、前後のエレメント全体が放射器として機能するので、導波器と反射器を追加して4エレにすることで、通常の八木の3エレの機能を果たすと考えられます。導波器と反射器の一方のみを追加した場合、どの程度の効果が期待できるのか?メーカー品のHB9CVの中にも3エレのラインナップがあるので、無意味ではないと思うのですが・・・。

 まず、導波器にするか反射噐にするかですが、カメラ三脚とのバランスを考え、今回は反射器を追加することにしました。SWR計を見ながら、反射器となるロッドアンテナを動かし、SWRがストンと落ちる所を探しました。何度か繰り返し、後エレメントから26センチ離したところで、1.1ベタ落ちとなりました。反射器の長さは112センチで、2本のロッドアンテナを連結して完全に伸ばした状態です。

 これをT型の塩ビパイプ継ぎ手にネジ止めして、ワンタッチで3エレ化できるようにしてみました。HB9CV本体の寸法には手を加えていないので、3エレ部品を装着しなければ、単体でもそのまま使えます。


反射エレメント部品 ワンタッチ取付け 

3エレ状態 ケーブル含めて重さは300グラム弱

取付けはこんな感じ

 反射器を追加した状態で、念のためAA-200で測定してみました。単体の時よりも少し高めですが、バンド内SWR1.2程度でおさまっています。






 まず、ベランダでの受信実験。固定局からの弱めの信号を探して受信してみました。HB9CV単体と比較して信号強度1つ程度上がります。変調が力強くなった感じがあり、了解度も少し良くなります。ただ、単体では了解できないが、反射噐を取付けると了解できたというケースは確認できませんでした。そこまで劇的に利得が向上したという感じではありません。

 次に、トリフィールドメーターで電界強度を測ってみました。いつも通り、ハンディ機付属ホイップでまったく振れない針がどの程度振れるのか?の比較なので、単位はありません。

 付属ホイップ        0.0
 HB9CV単体    フロント  8.0
 HB9CV+反射器  フロント 12.0 
 モクソンアンテナ フロント 8.0(参考)

 反射器を取付けた方が、振れが大きくなります。これまでの自作アンテナの中では、最も大きな振れで、送信の方も少し期待できそうです。


《課題》
 追々、導波器も追加したいと思います。塩ビパイプで前方に伸ばすのは簡単なのですが、前方が重くなると、どうしてもバランスが悪く、倒れやすくなります。超軽量な材質のパイプでもあればと思案中です。







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HB9CV 145MHzロッド式

2009年12月14日 | HB9CV
 開局当初、半年ほどミニマルチの2m用HB9CVをベランダに設置していました。諸事情により、軽量3エレに取って代わり、長く物置に眠ったままになっていたのですが、今回、移動用アンテナとして作り直してみることにしました。


移動用軽量HB9CV ヘアピンマッチ


 当初のアンテナ(ミニマルチ)は、1)2エレなのに重さが1.8キロもある、2)設置環境によってはSWRが下がりにくい、3)調整ができない(組み立てたらそのまま使うしかない)、等の使いにくさがありました。ミニマルチの添付説明書は種々の解説付きのすばらしいものですが、エレメントを切ったりして調整しないようにと、くどい程書かれています。設計書通りに組み立てれば、無調整で使えるということですが、現実は、そうでもなかったです。当局の設置環境では、SWRが2.0以下に下がることはありませんでした。それでも同じベランダのモービルホイップでまったく聞き取れない信号が、はっきりと了解でき、けっこう遠方と交信できた記憶があります。

 今回は、1)移動用に特化して軽量化を図る、2)へアピンマッチは再利用し、ロッドエレメントの長さでマッチング調整できるようにする、という対策を施すことにしました。



《材料》
1、約50センチのロッドアンテナ4本。今回、通販で1本180円で入手することができました。
2、 ヘアピンマッチの材料。これはミニマルチのアンテナから取り外して、そのまま再利用しました。直径4mm程の銅パイプと丸端子で自作も容易と思います。前エレメントと後エレメント間をパイプで交差させて逆位相給電しますので、交差部分にはビニールテープを貼る等、絶縁処理しておきます。
3、塩ビパイプ50センチ1本。
4、 12センチ長のプラスティック仕切り板2枚、結束バンド、ボルトなど。


材料一式


《製作》
1、 塩ビパイプの上から3センチとそこから27センチの間隔を開けて、2カ所に穴を開け、裏まで貫通させます。
2、プラスティック仕切板2枚に、それぞれ3カ所の穴を開け、中央の穴にボルトを通し、1)の塩ビパイプに固定します。
3、芯線、網線の両端に丸端子を半田付しておきます。それぞれ長さは5cm。
4、 前方は給電部となりますので、上下ロッドエレメント、ヘアピンマッチ部品、同軸ケーブル丸端子を、後方は上下ロッエレメント、ヘアピンマッチ部品をそれぞれボルトで固定して全体の形を組み上げます。
5、あとは塩ビパイプとプラスティック仕切板に結束バンドで4カ所固定します。製作は以上です。


給電部

フェーズライン 一方をビニールテーブ等で絶縁しておきます

ブームへの取付け

完成


《調整》
 ロッドエレメントの長さで調整します。後方のエレメントを上下とも43.5センチ(ロッド5段ちょうどでキリがよいというだけの理由ですが・・・)に固定して、前方のエレメントのみで調整しました。その結果、上下とも42.0センチでSWR1.1~1.2と良好な状態になりました。上下の長さは同じにします。移動地の状況で若干変わるはずですから、とりあえずは、これで良いことにします。ミニマルチ同様、直接給電とし、いつものパッチンコアを取り付けました。おまじない程度かと思いますが、SWRの特性は安定します。


AA-200での測定結果 バンド内どこでも使えそうです。



《ベランダ実験》
 ベランダで受信実験をしてみました。モクソンアンテナと比較しましたが、感触としてはほぼ同じ性能です。どちらが特に優れているという感じはありません。3エレより少し弱いかなという程度でした。重さもほぼ同等で300グラム弱。デイパックに十分収納できるサイズに収まりました。


収納状態


《使用感》

 神行堂山(本吉郡南三陸町 標高460m)でこのアンテナを使ってみました。この山でのQRVは2度目ですが、前回、福島県郡山市と交信でき、南にFBなロケーションであることを確認しています。






 山頂に着いて、さっそく、設営。三脚クリップにブームを挟んで、ロッドエレメントを伸ばすだけなので、あっという間です。まず、AA-200で測定してみると、部屋での測定値とほぼ同じ結果でした。ただ、方角によっては1.5弱までSWRが上がります。少しロッドを調整したのですが、なかなかピタリとはいかないので、結局、最初の寸法に戻して使うことにしました。リグはいつものアルインコDJ-S17、4W(エネループ電池運用)。




 ワッチすると、山形県大江町移動局のCQが聞こえてきました。いつも交信いただいている局です。モービル機10Wとのこと、53-52でレポート交換、ハンディ4Wにしては良く届いているとのことです。大江町はここから西に位置し、約120Km。奥羽山脈を越えて、まずまず飛んではくれていることを確認しました。このアンテナでの初交信です。続いて、一関市、大崎市より59。仙台市泉区からも59をいただきました。若林区からは47。仙台までの距離は南に70 Km程です。さらに南方面、福島県飯舘村固定局のCQが聞こえ、41-52で交信。地上高2メートルのGP、50W送信とのことです。コールサインを聞き返され、厳しいかなと思いましたが、アンテナの方向を合わせて、安定してQSOできました。距離にして約150Km。




 北方面は、盛岡市の記念局のCQが聞こえ、何度か応答したのですが、まったく反応がありません。こちらには51程度で入感しており、十分了解できる信号です。相手局はこちらの信号にまったく気がつかない様子で、そのままCQを出し続けてしまいます。スケルチも開いてくれない?そんな感触でした。盛岡市までは距離にして110 Km程ですが、目の前に連なる北上山地が壁になっている? もしかすると、こちらの微弱な信号を捉えてくれるFBな局があるかもしれないと、今度は、同じ方向でCQを出してみました。うれしいことに、さっそく盛岡市固定局からコールバックあり。驚くほど強い信号でこちらから59。相手局からも59のレポートをいただきました。12エレ2段2列のFBなアンテナとのことでしたが、ディスコーンアンテナに切り替えても十分了解できるとのレポートもいただきました。先ほどの記念局はモービルホイップでの運用との情報もいただき、少し納得しました。この他、宮城県内、岩手県大船渡市、陸前高田市各局と交信できました。


 シンプルな構造のアンテナですが、十分使える性能と思いました。山移動で使うアンテナがまた増えてしまいました。ただ、エレメントの長さ調整は、八木より難しいです。よくHB9CV単体で八木の4エレ並などの記述を目にすることがあります。エレメント寸法の効果的な組み合わせによっては、そのような性能を引き出せるものなのか? 検討の余地ありです。




山の神平から望む神行堂山


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出張先ホテル運用

2009年12月02日 | ホテル移動運用
 年に数回、仕事で1~2泊の出張があります。仕事を終えて、ホテルの部屋からQRVするのがささやかな楽しみになりました。夜のみの運用ですが、知らない土地で1局でも交信できると、とても気晴らしになって、疲れも吹き飛びます。こんなときは、アマ無線という趣味があって良かったと、つくづく感じます。先日も、秋田に出張の際、地元の方と2mでお相手いただきました。この方も出張が多く、ホテルからの運用を楽しんでいるとのことで、夜の長話となりました。知らない土地では、特に遠くの局ということではなく地元の方との交信の楽しみもありますね。

 以下、当局なりの、ビジネスホテル運用を記してみます。

1)ホテル
 ホテルは自分で予約することになっているので、高台に位置する、可能な限り上のフロアの部屋を指定します。予算の関係で指定できないこともありますが、「なるべく上の階で見晴らしの良い部屋をお願いします」という感じで予約を入れます。ところが、到着してみると、窓が70センチ四方しかなかったり、高いビルに囲まれている、等ということもありました。ガラスも網線が入った磨りガラスタイプだったり、格子があったりします。また、窓の位置によっては、運用中、無理な姿勢を強いられることやログが記入しにくいなどのケースもあります。ビジネスホテルなので、ベランダというFBなものがあろうはずもなく、お望み通りとはいきません。


2)リグ
 出張先はほとんどが1エリアです。なので、リグは430MHzハンディ機、アルインコのDJ-S47です。仙台では430で普段CQが出ることは少なく、アマチュアとは思えない業務連絡のような交信ばかりが聞こえてくるのですが、1エリアでは普通にCQを出す局が多く、そういうバンド内の雰囲気というものを、いつも羨ましく感じます。VUの状況は、地域によってかなり違いがあるので、出張先によっては2mのDJ-S17の時もあります。


ホテル運用機材一式


3)電源
 ホテルなので、当たり前ですが部屋のコンセントが使えます。秋月電子で購入した「9V 2.5A」の小型スイッチングACアダプターを使っています。ハンディ機なら余裕でOKです。はじめ12Vタイプを使ったのですが、これだとリグがかなり熱くなります。9Vではそれほどでもないです。出力の方も4.5Wフルパワー出ますので、電池切れの心配も無く、安心して交信を続けられます。また、妙な所にコンセントがついている部屋もあるので、念のため、延長コードも持っていきます。


4)アンテナ
 ハンディ付属のホイップアンテナでも、ホテルの立地しだいで、けっこう楽しめたのですが、今は、第一電波のRH770という93センチのロッドアンテナを使うことが多いです。収納が20センチとコンパクトで、利得も5.5dbiあり、性能は格段に上がります。93センチというのが絶妙で、これ以上長いとホテルの窓枠からはみ出してしまう場合が多く、ぎりぎりの長さです。窓が小さい場合は、付属ホイップを使いますが、信号の強い位置を頻繁に探す必要があります。アンテナについては、現状はこんなところです。


5)設置と運用
 窓枠にハンディ機を置き、スピーカーマイクを使って運用しています。まず本体を左右に動かして信号が強くなるところを探します。あとは、転倒防止のため、本体とアンテナを2カ所ほどセロテープでサッシやガラスに止めておきます。セロテープは必需品です。


6)TVI
 次に、部屋のテレビをつけてみて、TVIが出るかどうか確認します。特に地方のホテルだとけっこう出る場合があるのです。自分の部屋だけなら良いのですが、他の部屋まで影響が出ている可能性もなきにしもあらず。パワーを下げたり、アンテナを変えると改善する場合があります。それでも目一杯TVIが出るようであれば、あきらめざるを得ません。
 青森に出張の際、津軽海峡を超えて8エリアとの交信を楽しみにしていたのですが、強力なTVIで運用できませんでした。備え付けのテレビそのものが古いとか、ホテル内のケーブルが劣悪などの要因と思われます。一応、ACアダプターにはパッチンコアを装着しているのですが・・・。1エリアでは、ここまで酷かったことはありません。
 逆にテレビがノイズ源となることがあります。冷蔵庫もノイズ源となります。確認が済んだら電源を切っておいた方が無難です。


ACアダプターには念のためパッチンコア


 実は、先週末、1エリア出張で2泊しました。1泊目は初めて泊まるホテル(新宿区)。10階ということで期待したのですが、周り3面が高層ビルという予想外の環境でした。窓も小さく、部屋に入った瞬間、これはもう無理とあきらめたのですが、ワッチすると何局か入感していました。ビルの隙間からどうやって信号が届くのか不思議なくらいです。土曜日ということで、移動局も多く、丸ビルの高層階から運用の局もみえました。都内、千葉、埼玉各局と交信いただきました。
 2泊目は、既に何度か宿泊してFBなロケーションを確認しているホテルです(文京区)。こちらは9階、窓は大きく北東を向いています。隅田川の花火が遠くに見えたこともあります。「都心の夜景」とまではいきませんが、ビルやマンションの街並を眺めながら、ひととき各局にお相手いただきました。


 さて、冒頭の秋田の方は、モービル機と安定化電源、八木アンテナを持込んでの本格的な運用とのことでした。またマグネット基台+モービルホイップを菓子箱の空缶(蓋)に貼付けて安定させる方法なども教えていただきました。これだと窓から離れて、楽な姿勢で運用できそうです。
 
 いづれにしても、仕事の出張で無線も楽しめるのですから、ありがたいことです。あまり荷物にならない程度で、工夫していきたいと思います。





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