JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

パッチンコアの効能

2008年10月31日 | インターフェア対策


 開局当初からインターフェアには気を使ってきました。なにしろ集合住宅の戸境は壁一枚ですから、高周波によるインターフェアだけでなく、低周波によるインターフェア(声の大きさ)にも気を使わなければなりません。幸い今のところ、苦情等はないようですが、以下、初めて、高周波の周り込みを経験した時の顛末です。
 ベランダでVUの高利得アンテナを使おうとすれば、長い3段GPなどは初めから無理なわけで、手軽なのは小型の指向性アンテナということになります。当局の場合も、現在2m用の3エレを設置しています。はじめは、単に南向きに取付けていただけで、十分に利得を感じることができていたのですが、やはり、回してこその八木、ある日、いちばん小型のローテーターを導入し、1日かけて取付けてみました。苦労の甲斐あって、上手く回ってはくれたのですが、PTTを押して送信すると、その瞬間にコントローラーのオペレーションランプが点灯して勝手に動く、という現象が現れました。ケーブルに回り込んでしまうようで、コントローラーの電源コンセントを抜いてもこの現象が止まりませんでした。つまり高周波の力だけで、室内にあるコントローラーのランプを点灯させ、ローテーターを動かしていることになります。
 対策としては、はじめに片支持ブームを取付けてみました。これでほぼ解消しました。しかし、そうでなくとも目立つのに、さらに目立って、その上、空間面積もとるため、すぐに外しました。次に、ブームを長いものに変えて、アンテナ本体とローテータを少し離してみました。これでもほぼ解消しました。ほぼというのは、出力をマックス50Wにするとどちらの方法も少しは回り込みが残るという意味です。
 最後に試したのが、パッチンコアです。フェライトコアというものが存在することは知ってはいたのです。仙台の東北金属工業(略して「トーキン」と言っていました)という会社が昔から作っていたので知っていました。でも、こんな「ちっぽけ」なものでどうにかなるとは全く考えておらず、念頭になかったのです。たまたまネットで見て試してみたくなり、ちょうどよい太さのものを取付けてみました。結果は、みごとに回り込みがなくなりました。狐につままれた気分です。取付け箇所は、ローテーター本体側のケーブル根本に2個、コントローラー側のケーブル根本に2個、合計4個をパッチンとはめ込んだだけです。出力マックスでも微動だにしなくなりました。驚くべき効果です。


 さて、それからは、すっかりパッチンコア信者となり、同軸ケーブル、電源関係、アース線と、あらゆるものに大小様々なコアを取付け、リグの裏側はコアてんこ盛り状態です。
 この時の経験もあり、EHアンテナでは意外な効能も見つけることができました(「EHアンテナ試行錯誤」参照)。当局が知らないだけで、実は、他にも思いがけない効能や驚くような使い方があるのではないかと思います。そんな秘められたパワーを感じています。地元仙台のトーキン(現NEC TOKIN)は良い仕事をしていたんだな、と再認識した次第です。
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ベランダホイップ

2008年10月28日 | VUベランダアンテナ
 アパマンハムが固定局でVUHFを運用する場合、どんなアンテナを使っているのでしょうか。1~2段GPであれば長さ的にはベランダ手すりに設置可能でしょうから、実際、このタイプで運用されている方は多いと思います。当局もはじめは、そのつもりで検討しました。しかし、実物を見て断念しました。太さが2センチほどあるし、ラジアルも3本付いており、かなり目立つことになるからです。ノンラジアルタイプのGPもありますが、太さは同じです。固定用なので、耐久性が求められるのはわかるのですが、中のエレメント自体は細いわけですから、グラスファイバーのカバーをもっと細くできないものかと思います。
 GPを断念せざるを得ないアパマンハムが次に考えるのは、モービルホイップのベランダ設置ではないでしょうか。当局もベランダ取付け用の金具BK-10を使って、各種モービルホイップを取り替えながら使えるようにしました。
 さて、本来、クルマに取付けるものですから、長さが限られ、性能的にもGPと比べ限界があります。固定で使う局も少なからずいることを考えると、モービルホイップとは別に、「ベランダホイップ」というジャンルがあってもよいのではないかと思います。走行するわけでないので、長さは2~3メートル、目立たず固定使用に耐えうる丈夫なステンレスエレメント、重さは1キロ前後、ノンラジアル、しっかりと固定できる専用金具(コネクターのみで支えるのは無理)、落雷対策も施されている、こういうアンテナの開発を望みたいものです。現状のGPをアパマン向けにより細く、目立たないように仕様変更していく方向も考えられると思います。アマチュアなのだから自分で作ったらと言われそうですが、モービルホイップが不必要なほど商品化されているのに、アパマンハム御用達が何故ないのかと思った次第です。
 現在市販されているものでは、145M専用のNR22L(第一電波、2.46メートル)とデュアルバンドの24KG(コメット、2.06メートル)がありますが、選択肢が少なすぎます。長さ2~3メートルが許容範囲であれば、6/8λ2段とか7/8λ2段など面白い設計ができると思うのです。
 アパマンの場合は、ロケーションが複雑多様で、充分な空間を確保できない場合も多いわけで、固定用GPに多く見られる5/8λコーリニアが良いとは限らないわけです。
 実際、当局も、NR22Lと24KGの両方(共に5/8λ2段)を同じ条件で試してみましたが、どちらも期待したほど芳しくありませんでした。コメットの7/8λアンテナ(CSB7900)で安定して了解できる信号が、ノイズまじりで聞き取れなくなることが度々ありました。NR22Lと24KGとの比較では性能差は感じられませんでした(145M)。どちらもモービルホイップ最強のアンテナなどと紹介されることが多いのですが、少なくとも当局のベランダでは「最強」ではありませんでした。
 そんなわけで、モービル用とは一線を画したアパマンハム待望の「ベランダホイップ」アンテナが、どこかで開発されないものかと期待しています。たぶん売れると思うのですが・・・。

現在ベランダで活躍中のホイップアンテナ
コメット SUPER BEAMシリーズ CSB7900 7/8λ(145) 5/8λ3段(430)1.58m
145がダブルCフェイズ、430がCフェイズ仕様。位相器により指向特性を調整した
タイプです。固定で使うには物足りないのですが、面白い飛び受けをするアンテナです。
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AWXアンテナ自作

2008年10月26日 | AWXアンテナ


 このタイプのアンテナの市販品はないと思います。145Mと430Mの両方にマッチングするとのことで、インターネットの自作アンテナのホームページを参考に作ってみました。材料は、いつものようにホームセンターとマルツパーツ館ですべてそろいます。
 いちばんやっかいだったのは、中心部、つまりエレメントをX状に固定するための板の加工です。今回は、マルツで見つけた樹脂ケースの蓋を使うことにしました。穴開け加工はキリやドライバーなどの手近な工具で済みました。エレメントはホームセンターで購入した1メートルの銅製の4mm棒(パイプ状でない)2本を半分に90度の角度で折り曲げて、穴開け加工した樹脂製の板に、結束バンドで固定しました。X状に見える2本のエレメントの間隔は、5mm程度としました。
 給電部もこの板に固定してしまった方が、設置するときに楽になると思い、同軸コネクタも同じく結束バンドで固定しました。あとは2本のエレメントとコネクターを半田付けすれば完成です。写真では防水と固定を兼ねて接着ボンドを塗ったために見えにくくなっています。エレメントのカットアンドトライもなく、完全無調整で、両バンドともSWR1.5以下となりました。



 このアンテナは、作るのは簡単なのですが、いざ設置しようとすると面倒なのです。板の部分を固定しなくてはなりませんし、指向性があるので、回せるようにする必要もあります。当局の場合は、給電部コネクタを板に取りつけてしまいましたので、後は、両端MPMPコネクタの同軸管を取りつけるだけで済みました。同軸管を手で回しながらの運用です。
 使用した感じは、指向性があるので、方向を合わせれば、モービルホイップよりも送信、受信とも上だと思います。ただ、このアンテナの指向特性が今ひとつわかりません。相手局に協力いただいて、シャックからベランダに出ては手で回して、またシャックに戻って交信を何度か繰り返しましたが、よくわかりませんでした。 
 欠点としては、作っているときは感じないのですが、実際に設置してみると、かなり空間を取ることがわかります。板状の部分には風の抵抗も受けやすいです。
 当局の環境では常時設置しておけるアンテナではありませんでした。今は、ときどき、室内アンテナとして使う程度です。もし設置できる環境があれば、たいへん安くて、手軽に作れて、性能もよいアンテナだと思います。
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手作りアローライン

2008年10月26日 | アローライン


 はじめて自作に挑戦した145M用のアローラインアンテナです。今も時々ですが、現役で使っています。ホームセンターと近くのマルツパーツ館で材料をそろえました。買い物を含めて半日で完成させました。
 たまたま台座付きのMJコネクターが在庫切れだったため、台座なしのコネクターにちょうど合う銅リングをホームセンターで見つけて、これにラジアルとして3mm銅パイプ3本を半田付けしました。ラジアルは160度の角度で折り曲げて、曲げ部分にも半田で補強してあります。エレメントは、コネクターのピンに4mm銅パイプをねじ込んであるだけです。エレメント、ラジアルとも長さは49センチで、これで1/2波長のアンテナとして動作するようです。両端がMPMPコネクターの1メートル同軸管に取りつけてベランダで使ってみました。SWRはバンド内1.5以下です。


 簡素なアンテナですが、よく飛んでくれます。受信もよくいわれるように「粘り」があるように思います。出力10W(これ以上のパワーは入れたことがありません)で福島県の南相馬市と交信できました(SSB)。モービルホイップで了解できない変調がなんとか了解できることもあり、おもしろいアンテナです。ただし、作りが粗末ですので、常時ベランダに設置とはいきません。
 丈夫な作りのものをもう一本、試案中です。
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ブロードバンドアンテナ

2008年10月25日 | ブロードバンドANT
 アパマンハムの環境からなんとかHFを運用したいと思い、いくつかアンテナの候補を検討したり、実際使ってみたりしました。まずはじめに考えたのが、モービルホイップです。第一電波工業のMD200を試してみましたが、ベランダ内でアースが取れず、カウンターポイズもうまくいかず、諦めました。このアンテナをベランダで使っている方はいると思いますが、手すり等が鉄筋につながっている恵まれたケース以外は難しいと感じました。同じ理由で、釣り竿+アンテナチューナーも困難と考え採用しませんでした。当局のベランダは生活の場でもあり、カウンターポイズの線を何本もベランダにはわせるなどは不可能なのです。アース不要のアンテナとしては、短縮型の小型Vダイポールがベランダ用などと銘打って販売されておりますが、どう考えても目立ち過ぎで、ベランダには無理があると思うのです。そんなわけで、残る選択肢は、ノンラジアルのブロードバンド型モービルホイップのみということで、コメットのHA750BLを2007年7月に設置、約1年数ヶ月使用し、現在に至っています。
 このアンテナの評判がよくないのは、周知の事実です。最近は、各メーカーもこのタイプの新製品は出していないようで、今年のハムフェアでもまったく展示されていませんでした。そんなアンテナなのですが、1年ほど使ってみた感想を記してみたいと思います。
 ブロードバンドアンテナの欠点は、受信送信とも感度はよろしくない、ある程度の出力をかけないと使えない、ということです。逆に利点は、アース不要、ノイズが少ない、無線機に繋ぐだけで全バンドマッチングがとれ、バンド移動に手間いらず、垂直なので設置しやすく目立たない、などです。
 使い始めのころは、多少なりとも期待があった分、欠点ばかりが目に付きました。特に7MHzでの運用を中心に考えていたのですが、ほとんど使い物になりませんでした。59で聞こえている局でもつながらないことの方が多く、つながっても、何度もコールサインを聞き返されて、かえって相手局に迷惑をかけてしまうような状態でした。しばらくは受信専用と割り切って使っていましたが、5月頃からハイバンドが聞こえてくると、意外に使えるアンテナということがわかってきました。18MHz、21MHz、24MHz、28MHzの4バンドに関しては、コンディションさえ上がってくれば、このアンテナでなんとかなります。59のレポートを国内各局よりいただくことができました。50MHzも厳しいですがなんとかなりました。局数が少なくパイルでない、相手局の設備がFBで固定局が多い、ことが最も大きな理由と思いますが、移動局、モービル局とも交信できています。弱い信号であることを自覚していますので、このアンテナを使っていることをなるべくアナウンスするようにしていますが、「意外に強く来てますよ」とか「飛ばないアンテナと聞いていますが、交信できるんですね」等と関心を持たれる場合が多くあります。「同じものを持っているけれど、使い物にならないのでもう仕舞ってある」という局長さんも何人かみえました。私の今の感想では、「7MHzは困難、ハイバンドは意外に使える」「ノイズが少なく、受信していて疲れないアンテナ」です。あるOMがおっしゃるには、「ハイバンドは期間限定だし、コンディションが上がればどんなアンテナでも交信できる、コンディションが下がればどんな立派なアンテナでも交信できない」。しばらくは、このアンテナも現役で活躍することと思います。
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EHアンテナ試行錯誤

2008年10月25日 | EHアンテナ
 当局は、仙台で開局しているアパマンハムです。2008年9月初旬に、エフアールラジオラボより7MHz用耐入力200WタイプのEHアンテナ(以下EHと略)を購入。購入動機は、小さく目立たないこととアースが不要の2点です。アパマンハムにとって重要な要素を兼ね備えているのがこのアンテナと考えました。現在も試行錯誤の最中ですが、これまでの経験をまとめてみました。

設営環境は、マンション4階で、南向きベランダからの運用です。地上高は約11メートルとなります。リグは、ヤエススタンダードFT450、50W送信。人工アースとしてクラニシのVC519をリグに接続しています。



 さっそくEHを試してみようと思い、ベランダに設置してあったモービルホイップ(コメットのブロードバンドアンテナHA750BL)を取り外し、MP-MPコネクタにてモービル基台に垂直設置してみました。ケーブルは8DーFB5メートルで、シャックに引き込んでいます。この状態で、SWRは4.0前後を示して、使用不可でした。受信の方もブロードバンドアンテナ同等かそれ以下でよろしくありません。かなり暗い気持ちになりました。
 エフアールラジオラボにメールを送ったところ、同軸ケーブル5メートルではマッチングが難しい、最低でも10メートルあった方がよいとの回答をいただきました。また、あまりにも安易な取付け方を反省し、1メートルのアルミポールに附属の取り付け金具と樹脂バンドで固定し、今度は、ベランダから突き出すように水平に設置してみました。同軸ケーブルも新たに購入し、5Dー2V10メートルとしました。同軸ケーブルをベランダ内でゆったり引き回し、掃出し窓から室内に引き込んで、とりあえず、リグに接続してみました。SWRは2.0前後まで下がりました。しかし、相変わらず受信がよろしくありません。弱々しい蚊の鳴くような変調しか聞こえてこないのです。またまた暗い気持ちになりましたが、SWRが下がってきましたので、一縷の望みもでてきました。 
 当面、この状態から試験的に使ってみようと思い、いったんケーブルを外し、今度は、窓からではなく、他のケーブル同様にエアコン用の穴から引き込み、本格的に設置することにしました。その際、10メートのケーブルをベランダにはわせておくわけにもいかないので(当局の環境では、ケーブルは4メートルあれば充分なのです)、約半分の5メートル程度を直径40センチの「とぐろ巻き」にしてベランダに置き、邪魔にならないようにして、シャックに引き込みました。したがって、アンテナ給電部から3メートル程度が直線のケーブル→5メートルをとぐろ巻き→2メートルで室内に引き込みトランシーバーに接続、こんな感じで設置してみました。この状態にしたところ、驚いたことに、受信レベルが劇的に改善しました。同じアンテナとは思えない豹変ぶりに本当に驚きました。41くらいだった信号が57まで上がりました。同時にノイズレベルも上がりましたが、了解度は、先ほどの状態とは雲泥の差で改善しました。
 SWRも2弱まで下がり、なんとか送信もできそうなレベルになったので、CQを出している4エリア局にさっそく応答してみたところ、お互い59で初交信に成功しました。

 ここまでが第一段階です。この時点で考えたことは、
 1)ベランダ手すりからアンテナ先端まで約1メートル程「水平」に突き出したことが良い結果につながったと思われること
 2)同軸ケーブルの長さは最低10メートル(1/4波長)必要なこと
 3)ケーブルの引き回し方が送信(SWR)にも受信にも大きく影響するアンテナであること、 
 4)エフアールラジオラボの説明では、同軸ケーブルをベランダでとぐろ巻きなどにせず、ゆったりと這わすようにとのことであったが、どくろ巻きにして地面(コンクリート)に置いた方が良い結果になることもあること、などです。

 しばらく、この状態でブロードバンドアンテナと比較しながら使いましたが、全エリアと交信できました。ブロードバンドアンテナとの比較でしかありませんが、受信はすばらしいです。ブロードバンドアンテナで信号強度2程度のものが9まで上がります。送信は、ある局にお願いして、ブロードバンドアンテナで交信してからEHに切り替えてレポートをいただきましたが、はるかにEHの方が強く入感しているとのことでした。これまでブロードバンドアンテナですと、41とか47などのレポートを多くいただくのですが、EHでは59のレポートが断然多くなりました。一方、かなり強く入感している局を呼んでもとっていただけないことが度々あるのも事実です。また、信号が「弱いです」と言われることもあります。50W出力の限界なのかもしれません。

 ここからが第二段階ですが、なんとか、もう少しSWRを下げて、効率をよくできないかと試行錯誤が始まりました。いろいろなことを試した結果、現在は、バンド内はすべてSWR2.0以内、7.0300MHz~7.0700 MHzが1.5以内、共振点においては1.1と良好な状態に調整することができました。以下、試行錯誤の経過です。
 1)とぐろ巻きしたケーブルの下に50センチ四方のアルミ板を敷いてみました。アルミ板の敷き方、つまりとぐろ巻きの全面に敷くのか、一部に敷くのかによって、SWRが大きく変わることがわかりました。そしてついに、7.0800MHzあたりでSWRが1.1に落ちるところを見つけました。後は、EHの方の周波数調整棒を廻して、7.0500に共振点を下げ、ベタ落ちにすることができました。これで解決と大喜びしたのですが、ノイズがすごいのです。信号は強力に入感しますが、ザーというノイズが大きく、了解できないという状態になってしまいました。これでは意味がないと思い、アルミ板は取り外しました。この経験で、?このアンテナのSWRは工夫すれば1.1まで下がるのだということ、?そのポイントはケーブルにあるということ、?ケーブルに金属を触れさせると極端にノイズを拾うということ、がわかりました。ラボの説明では、ケーブルをベランダ手すりや金属マストに密着させることが推奨されていますが、結果は逆でした。ノイズを拾うので、このアンテナのケーブルには金属接触は御法度です。なるべく接触しないように設置した方がよい結果が得られました。
 2)エフアールラジオラボでは、ケーブルを地中に埋めることで改善すると説明されていることから、ベランダ内でこれに似た環境を作れないかと模索しました。ケーブルをコンクリートに密着させればよいと考え、とぐろ巻き部分の上に、重しとして、本(CQ誌5冊を箱に詰め込んだもの)を乗せてみました。その結果、SWRは0.2程度下がりました。これは成功でした。味をしめてベランダ内の直線部分のケーブルにも同様に本を置いてみましたが、かえってSWRが上がってしまいました。微妙です。現在は、とぐろ巻き部分にのみ、上記の本をそのまま置いています。試してはいませんが、レンガやコンクリートブロック、水の入ったペットボトルを置いてみるのも効果があるかもしれません。ただし、1)に記したとおり、鉄板など金属製のものは御法度です。

 3)アンテナ給電部から50センチくらいのところで、ケーブルを直径15センチで1ループさせてみました。これもループの直径をいろいろと試したところ、SWRが変化することがわかりました。当局の環境では、15センチ程度がもっとも低くなりました。

 4)エフアールラジオラボで推奨しているとおり、ACラインフィルタを取付けました(コトヴェール コモンモードフィルターSFU-005-3P)。パッチンコアも多数取付けてみました。この結果、SWRがやっと1.5以下に下がりました。ノイズも低くなり、ブロードバンドアンテナと比べて、ノイズが同等、信号強度は格段に強くなりましたので、了解度も上がりました。

 5)電源関係のケーブル類にパッチンコアを取付けている時に、ふと、同軸ケーブルにこれを付けてみたらどうかという考えが浮かび、5D2Vにぴったり密着する太さのパッチンコアを10個程買い込んで、取付けてみました。その結果、同軸ケーブルのどの部分に取付けるかによって、SWRが大きく変わることを発見しました。上がるところもあれば、下がるところもあります。いろいろな場所に試してみた結果、アンテナ給電部から50センチ程度のところ(1ループさせたケーブル部分の手前)に1個のみコア取付けると最もSWRが下がることが確認できました。さらに、アンテナとトランシーバーの間にSWR計を入れていますが、その間の接続ケーブルにも、両端に3個づつ計6個のパッチンコアを入れるとさらにSWRが下がって、共振点では1.1となりました。この接続ケーブルの6個のコアの位置を動かしたり、コアの数を調整することで、SWR1.5以内の周波数範囲が微妙に変わるようです。  


 以上のような経過をたどり、現在は、冒頭に記したように良好に作動しています。このアンテナの設置で重要な点を私なりにまとめてみますと、以下のように考えます。
1)同軸ケーブルは5D2V最低10メートル(1/4波長以上)必要
2)このアンテナの同軸ケーブルはアンテナエレメントそのものであると考え、マスト、手すりなど金属に接触させるべきでない。特に給電部から2メートル程度はマストなどに接触させず、空中にあった方がよい。どうしても固定が必要なときは、プラスティックや木材で支える。
3)同軸ケーブルはベランダ床のコンクリートに密着させると安定する。一部とぐろ巻きでもよい。
4)ACラインフィルタを入れることでSWRとノイズレベルが下がる。
5)同軸ケーブルにパッチンコアをはさむことでSWRが下げられる。給電部から50センチ付近で試してみる価値はある。

 このような状態で、現在も試行錯誤を続けていますが、使用感としては、受信は優れている、送信は受信程ではない、聞こえていても応答いただけないケースはかなりある(50W)、しかし、ブロードバンドアンテナと比べると送受信とも格段に良い、というのが実感です。このアンテナは、広い敷地で開局されている場合は、導入する程の価値はないと思います。アパマンハムにとっては、小さくコンパクト、アース不要、送受信性能もまずまず、などから、たいへん有効なアンテナで、導入の価値があると思います。移動運用の場合は、設置環境や同軸ケーブルの引き回し方などで大きく性能が変わってしまう性格を持つアンテナであり、「不適」と思われます。モービルの場合は、アースが取れるので、あえてEHを使う程の価値はないと思います。

 現在の課題としては、このアンテナは、共振点の変動があり、7.02から7.06の間で上限まで上がると下がり出し、下限まで下がると上がり出すという現象があります。7.0500あたりで完璧にSWRを調整したはずなのに、翌日に計ると上がっていたりします。現象として現れるのはSWRの上下ですが、実際には共振周波数が変化しているのです。したがってバンド内のどこかでSWRが最低になるところが見つかります。天気や気温によって変動の幅や変動速度などに違いがあるようで、朝晩にどこに共振点があるか、計測を続けています。天気等との相関があるのかどうか(これまでのところでは、晴れると共振点が上がり、雨だと下がるようです)、変動を少なくする方法などを試行錯誤してみたいと考えております。また、垂直設置や斜め設置にした場合にどのような違いがあるのか、もっと手軽に再現性よく使う方法はないのか、他のバンドのEHはどうか、など、このアンテナへの興味は尽きません。
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