JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

スパイダーコイル 立体巻き

2021年04月04日 | コイル作り


 スパイダーコイルの型枠というのはたいがい厚紙を切り抜いて作るので強度的にはいま一つです。aitendoで扱っている型枠はプリント基板と同じ材質のようで、試しに購入したところけっこうな強度がありました。これならばということで、以前に考えてそのままになっていた立体巻きを試してみることにしました。


<材料>
型枠 aitendo SPL90-15 直径9cm 羽15枚
線材 0.35mmポリウレタン線
ベーク中空パイプ 長さ1cm
自在ブッシュ 溝4個






 型枠2枚を使い約1㎝の厚みを持たせた構造とします。中央と15枚の羽根先端に3mm穴が開いており、そこに長さ1cmの中空パイプを接着。乾いたらもう一枚の型枠を貼り合わせる。中空パイプは数カ所のみで良いかと考えていたのですが、パイプ無しの羽にたわみが生じることがわかり、すべての箇所に取り付けることにしました。今回も自在ブッシュを両面テープで貼り、分割巻きを採用。これで枠完成。あとは線材をブッシュの溝に沿って巻くだけです。溝が4個で枠の直径も小さいことを考慮し、1つの溝に10回巻きとしました。分割巻きは2度目ですが、厚みがあって前回以上に巻きにくく、集中力が続きません。油断すると溝を間違えてしまうのと、何回巻いたのかわからなくなります。溝に通すたびに目視しながら巻き進めました。最後の溝に10回巻いたところでインダクタンスを測ってみると109μH。思いのほか上がってくれません。追加でさらに5回巻いて168μH。これで良しとしました。中間タップは容量的に意味がないので付けませんでした。45回巻き。








 横から眺めるとバスケットコイルを平たくしたように見えなくもありません。立体的な巻き方により浮遊容量が抑えられ分離も良くなるのでは?

 ゲルマラジオ実験ボードにつなぎコイル単体で室内受信してみました。厚みが1cmあるので自立します。慎重にバリコンを回すとNHK仙台第一がかすかに聞こえてきました。弱々しくほんのかすかです。コイルの方角を合わせ41ほど。最大限に集中し話の内容が了解できる程度。窓際で少し上がり41~51。以前、10cmの薄い型枠にリッツ線を巻いたことがあり、その際は音声の片りんも聞き取ることができませんでした。それに比べると少しマシかな、といったところです。エアコンアースに接続したところだいぶ聞きやすくなったものの、仙台第二放送は受信できず、分離の良し悪しまでは確認できませんでした。








 今回は手間がかかったわりには期待したほどではなく、ちょっとがっかりな結果でした。ただ、この型枠自体はいろんな巻き方ができそうで、また何か試してみようかと思います。






コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

分割巻きスパイダーコイル

2021年03月28日 | コイル作り


 小学何年だったか、学研『科学』というのがあってその付録で作ったのが最初のゲルマラジオです。子どもにとっては手ごわい付録で、慎重にスパイダーコイルを巻いたことを覚えています。その記憶が懐かしさを思い起こさせるのか、時々このコイルを巻いてみたくなります。平面でかさばらないこと、比較的大きな直径で巻けること、線同士が重ならず浮遊容量が少ないなどの特徴があり、昔の鉱石ラジオの定番でもあったようです。ただ、型枠の羽に交互や2本飛ばしで巻いていくとごちゃごちゃした感じになって見栄えが良いとはいえません。なにか方法はないものか? ふと、自在ブッシュを使って分割巻きにしたらどうなのだろう? 性能的にも期待できるのでは?と思い立ちました。でもスパイダーコイルの分割巻きって? とりあえずものは試し、巻いてみることにしました。


<材料>
厚紙で作った巻き枠 外径12cm 羽13枚(以前に作ったものを再活用)
ポリウレタン線 太さ0.35mm
自在ブッシュ 溝6個
木製台座、取付金具(再活用)




<製作>
 巻き枠の羽の表と裏に自在ブッシュを両面テープで貼り付けていきます。羽の寸法によりブッシュの溝は6個。定番通り羽2枚飛ばしで巻くと途中で混乱しそうなので、交互巻きとしました。溝に沿って表、裏と交互に巻いていきます。初めての巻き方なので、どの程度巻くとちょうど良いインダクタンスになるのか見当つきません。1つの溝に4回巻きで試し、最後に調整することにしました。1周したら同じ溝に合計4回巻いて、次の溝へ。溝に引っ掛ける感じで巻いていきますが、とても巻きにくいです。集中力がだんだん落ちてきて溝を間違え戻って巻き直し、の繰り返し。何回巻いたのかもあやふやになり、途中、5回巻きになったところもあります。タップは2ヶ所で取りました。最後の6個目の溝を4回巻き終わった時点でインダクタンスを測ったところ110μH。少なすぎ。そのまま追加で5回巻いて再度測ったところ155μHとなり、これで良しとしました。合計巻き数はたぶん32回。分割巻きの効果か、インダクタンスは予想したより抑え気味な感じで、1つの溝に6~7回巻きでも良かったかもしれません。













 台座に取り付け、さっそくゲルマラジオ実験ボードにつないで聞いてみました。外部アンテナ、アースなし、コイル単体でNHK仙台第一が聞こえてきました。仙台第二は受信不可。前回作ったロの字ループコイルの鉱石ラジオよりもかなり音量低めです。一番外側のコイル外径で10.5cm、かつ細い線材なのでこんなものでしょう。単体で受信できただけでもまずまずと言えるのかもしれません。本当はリッツ線を使いたかったのですが、ちょうど良い太さのものがなく、ポリウレタン線を使いました。性能はいまひとつな感じですが、スパイダー+分割巻き、見栄え的には悪くないような気がしています。課題も見えてきたので折をみて改良してみます。




 多くの人に作られ、語り尽くされた感のあるスパイダーコイル。それでも、巻き方ひとつとっても試してみるべき方法が残されているように思わなくもありません。線材を変えたり、巻き数を調整したり、巻き方を工夫したり、それによって出来栄えやちょっとした性能の変化につながる、そこがコイル作りの面白さかな、と思います。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピアノ線コイル

2018年09月22日 | コイル作り


 ボビン(枠)なしで適度な大きさの空芯コイルを作れないか、ということでピアノ線でのコイル作りを試行錯誤しています。以前書いたとおりピアノ線は巻き直しがきかず、巻いた状態で売っているコイルはそのまま使うことになります。ネットの写真だけでは直径何センチに巻いてあるのかわからず、どれも同じに見えてしまいます。また、留め具を外すと内部応力で大きくなってしまうこともあり、手にするまで、何センチのコイルが作れるのかわからないところがあります。前回は期せずして大きな輪になってしまいました。今回は別のメーカーのもので試してみました。




 太さ1.2mm、長さ4m。袋に入った状態で直径11cm。取り出してみると、内部応力なし。そのままの直径を保ちバネ状に伸びてくれました。これはいいです。ただ長さが4mしかないので、3巻きを連結。銅パイプでつなぎハンダ付け、長さ12mのバネにしました。
 
 次に自在ブッシュの溝に一本ずつはめ込んでいきます。数本はめ込みホットボンドで接着を繰り返し、4カ所をブッシュで固定しました。線材が極めて硬いので、これで形が崩れることはありません。直径11cm。36回巻き。インダクタンスは127μHとなりました。少なめですが、これ以上巻き数を増やすと横に長くなり過ぎるので、これで良いことにし、あとはフェライトコアでインダクタンスを調整することにします。




コアを入れると202μH
 

 さっそくゲルマラジオにつないでみました。このコイル単体でも、NHK第一が小さな音量ながらメリット5で聞こえてきました。第二放送は41程度で厳しく、東北放送はまったく聞こえません。長さ18cmのフェライトバーをコイル中央に入れたところ、数倍の音量となり、第二放送もメリット5。東北放送はやはり聞こえず。といったところでした。この大きさの空芯コイルとしては、悪くないと思います。ONE ICラジオの隣に置いて同調をとったところ、音量がぐんと上がり、感度アップが実感できます。ミニループアンテナとしても使えそうです。






 この線材は気に入りました。直径もちょうど良く、ほぼスケッチ通りのコイルに仕上げることができました。それなりのコツが必要ですが、巻き作業不要、ボビンなしで丈夫な空芯コイルができます。難しく感じたのは、線材をつなぐ際の半田付け部分が自然な円形とならず全形が歪みやすいこと、自在ブッシュへのはめ込み作業が考えていたほど簡単ではなかったこと、です。完成したピアノ線コイル。ゲルマラジオにするか、ミニループアンテナにするか、ラジオのコイルとして使うか、考え中です。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピアノ線ループアンテナ(中波)

2018年09月11日 | コイル作り


 ピアノ線というのは言葉としては馴染みがあるものの、普段お目にかかる機会はほとんどありません。「鉄に炭素(カーボン)を混ぜた高炭素線材に特殊な焼入れをおこなって伸線したもの。強度と靭性にきわめて富む」とされています。主に工業分野で広く使われているようです。その名称から金属でないようなイメージがあったのですが、れっきとした金属です。もちろん導電します。ならば、コイルにもなるだろうと、今回これを使って作ってみることにしました。




 ピアノ線は並外れた硬さなので、ループ状に売られているものはそのままループとして使うしかありません。直線で使いたい場合は、直線状のものをはじめから求める必要があります。ループ状のものを、後から直線にすることは素人には不可能です。今回はコイル作りが目的なので、巻いてあるものを使いました。この場合、そのままでコイル(バネ)状になっているわけです。エスコというメーカーの太さ1.5mmx 10mピアノ線。2個購入。直径20cmくらいに丸められて袋に入っており、取り出したところ、一気に伸びて倍以上の輪に広がってしまいました。これは想定外。内部応力の解放された状態なのでこのまま使うしかありません。当初、ゲルマラジオ用のコイルを考えていたのですが、大きさを考慮し、ループアンテナに急遽、変更した次第です。

 〈製作〉 
 中波用ということで線材の長さを20mとします。そのため2つのピアノ線を銅パイプで連結しハンダ付け。ステンレス用のハンダとフラックスで接着してくれました。なお、この線材は錆びます。フラックス使用後は要注意です。

 さて、既にコイル状になっているものの、裸線なので、線同士が接触しないようにする必要があります。自在ブッシュを使い、溝に一本ずつはめ込みホットボンドで接着する作業を繰り返し、10カ所を固定。張力が強いので、作業しにくく歪みが出てしまいましたが、なんとかループコイルに仕上げることができました。直径48cm。16回巻き。インダクタンスを計ってみると295μH。これでコイル部完成。





 コイルが出来上がれば、あとは木台に固定し、バリコンを取り付けるのみ。炭素鋼で軽く、かつコイル自体が硬いので、自重で変形することはありません。なので、下から持ち上げるように固定しました。接続は一方は半田付け、もう一方は接点を変えられるようミノムシクリップとし、あまり使いませんが外部端子もつけました。
 

設置部の作製



完成

ミノムシクリップで自由にタップ(接点)可



 〈使用感〉

 外部端子からゲルマラジオに接続してみました。アンテナ側のバリコンを回すと・・・、なにも聞こえず。次にラジオ側のバリコンを回してみたところ・・・やはり何も聞こえず・・・??? 不安に思いながらも、ミノムシクリップでつなぐ位置を変えたりしていたところ、突如、聞こえてきました。どうもインダクタンスが大きすぎ、放送周波数からはみ出てしまっていたようです。指向性もかなり強く、方向を合わせるとこれまでにない大音量での入感となりました。NHK仙台第一と第二放送はボリューム調整したくなるほど。東北放送はかすかに入感、メリット4。過去にも中型ループアンテナを製作していますが、それとの比較で明らかに音量は大きく、リッツ線を使ったタワー型ループと同等な印象です。

 小さなバーアンテナを使ったゲルマラジオでも試してみました。バーアンテナのみでは何も聞こえません。ループアンテナの前に直角に置いたり、ループの中に入れると外部端子接続と変わらない感じで聞こえました。K-6952MBの感度アップにも使ってみました。やはり直接接続はせず、ループアンテナの前に置くだけ。アンテナ側のバリコンで合わせると、弱い放送も明瞭に聞こえるようになります。51の信号が55くらいまで上がる感じ。先鋭感もまずまずです。片方をミノムシクリップにしているので、タップは自由に取れます。放送によって接続点を変えた方が良く聞こえます。


外部端子接続

ループに入れただけ

 何度か書いている通り、太い線を使う、大きく巻く、スペース巻き、これがQを高める3条件です。付け加えるなら線材金属の違いというのもあるのかもしれません。ピアノ線に関しては、性能的な問題はなさそうです。

 この線材を使ってみての良し悪しをまとめてみます。良い点は、巻いてあるそのままの状態でコイルになる、つまりコイル巻き作業が不要。枠(ボビン)も不要。タップが自由に取れる。ハンダ付けできる。軽い。コイルとしての性能が良好。悪い点は、硬く張力が強いので加工や作業がしにくい。巻き直し、形状の変更ができない。密巻き不可。錆びる。ケガをしやすい。といったところです。小さく巻いた線材があれば、もっと小型のコイルを作ってみたいと思います。








コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ゲルマラジオ用バーアンテナ 改良

2015年11月03日 | コイル作り



 長さ18cmのコア7本を塩ビパイプに仕込んだバーアンテナに改良を加え、また比較のためもう一本、同様のものを作ってみました。

 1本目は、前作の上から同じリッツ線を重ね巻きし、両端を結合。つまりリッツ線1本(0.1mm×100本)から2本(0.1mm×200本)に増量し、線材を太くしてみました。ブッシュの溝がこれで目いっぱいなので、これ以上は増量できません。インダクタンスを測ってみると、159μHと1本の時とほとんど変化なし。巻き方を変えたわけでなく、線材を縦に重ねているだけなので、変わらないようです。





 もう1本は、太さ1.2mmのスズメッキ線を巻いてみました。35回巻き。インダクタンス158μH。線材による変化はありません。裸線なので、ミノムシクリップを使ってコイルのどこからでもタップが取れます。海外のサイトでよく見かける、タップからダイオードに直結する回路なども簡単に試せることから、実験用としてつくってみました。






 さっそく、ゲルマラジオ実験ボードにつないで聞いてみたところ、リッツ線を2倍に増量したコイルは、1本のみの時と比べて、さほどの感度アップは実感できませんでした。東北放送も受信できるのでは?と期待しましたが、ほとんど聞き取れないのは、1本の時と同様。NHK仙台第一や第二は、音質にゆとりや深みが増したような印象はありますが、気のせいかもしれません。続いて、スズメッキ線を巻いたコイル。単線なのでリッツ線にかなわないだろうと予想していましたが、そうでもないです。リッツ線と変わらず、なかなかの高感度。ただ、東北放送は聞き取れません。


 今回、コイル線材によって、音質もずいぶん変わるということに気づきました。リッツ線は低音に厚みがあり聴いていて疲れません。スズメッキ線の方は、高音が効いてクリアな音質。材質はもとより、たとえば撚り線と単線、撚り線のより方などによっても変わってくるのだろうと思います。スピーカーケーブルやオーディオケーブルにこだわる人の気持ちがわかるような気がします。ふと、物置に眠っているスピーカーケーブルでコイルを巻いたらどんな音になるのだろうなどと、良からぬことを思いついてしまいました。


 愛宕神社でのゲルマラジオ受信実験では、東北放送が思いのほか強く入感したことから、なんとか我が家でも安定して受信できないものか、それも外部アンテナなし、なるべく小型のコイルで、ということで試行錯誤を重ねています。未だ成功ならず。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バーアンテナ試作

2015年10月12日 | コイル作り


 ゲルマラジオや鉱石ラジオのような無電源ラジオの高性能化をはかるには、ダイオード、トランス、イヤフォンなど数点の部品すべての性能が求められますが、もっとも大きな影響を与えるのはコイルです。外部アンテナなしで鳴らそうとすればコイルの高性能化が欠かせません。ソレノイド型のコイルであれば直径を大きく巻くほどQが上がるのでわかりやすい反面、大型化してしまいます。これを追及すると、やがて直径数十cmから1m以上のループアンテナとなって、室内設置が困難になり、収拾がつかなくなるわけです。一方、フェライトコアを使えば、磁力線の透過率が大幅に向上し、小型化できます。これをあえて大型化すれば、相応の性能を引き出せることは、以前、16本のフェライトバーを束ねたものや、長さ50cm程に連結したもので実験しました。ただ、コアをたくさん使えば比例して性能が上がるかというと、そうでもない、との印象でした。見た目以上に重い、コストがかかる、のも欠点と言えます。

 そんなわけで、しばらくフェライトコアを使ったコイルのことは忘れてみることにし、もっぱらソレノイド型ループコイルを考えてきたのですが、あまり大型化できないという住宅事情もあり、あらためてコアを使ったバーアンテナを試作してみることにしました。
 
 作るにあたっては、適度な大きさと重量、コストもほどほど、しかし、高性能なもの、という矛盾した課題を課し、考えをめぐらせてみました。Qの高いコイル作りの要件は、1)直径を大きく巻く、2)太い線材を使う、3)スペース巻にする、以上の3点。それを考慮して作ってみたのが今回のコイルです。


〈材料〉
・フェライトコア 直径1cm×長さ18cm 7本
・リッツ線    0.1mm×100本束
・塩ビパイプ   外径38mm×長さ19cm
・ユニバーサルブッシュ







 フェライトコアは、入手しやすい一般的な長さ18cm。手元にあった各種塩ビパイプに仕込んでみたところ、7本入るものが見つかりました。7本束でも結構ズッシリくるものの、許容範囲。パイプを19cmにカットし、コアとパイプ両端をホットボンドで固定。このまま線材を巻いてもよいわけですが、少しでも直径を大きく、そしてスペース巻にするため、今回はマルツで購入したユニバーサルブッシュを使ってみることにしました。同じ長さに切ったブッシュを両面テープでパイプに固定し、溝に沿って線材を巻いていきます。実際やってみると、巻きやすく、等間隔の見事なスペース巻に仕上がってくれました。35回巻き。ブッシュの高さがプラスされ、コイル直径は42mm。インダクタンス152μH。容量が少ないように思われるかもしれませんが、我が家の環境では、NHK仙台第一と第二、東北放送の受信可能3局が中波周波数帯のほぼ中間に運よく並んでいるため、これで問題ありません。タップも不要。

 以前にブログで紹介した「ラジオ少年」の極太フェライトコアとの比較で、見た目の大きさはほぼ互角、重さは約3分の2となりました。

 極太フェライトコア(コアのみ)  直径3.5cm 長さ20cm 重さ800g
今回の試作バーアンテナ      直径4.2cm 長さ19cm 重さ560g


試作バーアンテナ(上) 極太フェライトコア(中) 直径1cm長さ18cmコア(下)


 実験ボードにつないで、さっそく聴いてみました(外部アンテナおよびアースなし)。NHK仙台第一と第二は良く聞こえます。東北放送は受信不可。極太フェライトコアを使ったバーアンテナと比較すると、Sメーターの振れは目盛1で同等であるものの、仙台第二の音声に厚みが増し、今回の試作品の方が感度良好です。線材の違い(リッツ線)とスペース巻きの効果と思われ、悪くありません。直径15cmの空芯ループコイルと比較しても遜色ない感触が得られました。







 直径10cm、長さ10cm程の太く短いバーアンテナも考えてみました。試してみたいとは思うものの、コスト面でよろしくありません。長さ18cmは、性能とコストのバランスが最もよろしいようです。ユニバーサルブッシュがスペース巻きにたいへん有効なこともわかりました。コアと空芯ループコイル双方の良さを生かした方法はないものか?性懲りもなく素人考えをめぐらせています。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大型スパイダーコイル

2014年11月15日 | コイル作り


 3端子ICラジオに搭載したスパイダーコイルが意外にも悪くなかったことから、もう少し大型のものを作ってみたくなりました。ただし、このタイプのコイルは、大きくすると面積ばかり広がって見栄えも良くはありません。今回は、シャンテック電子が公開している型枠をそのまま使わせていただきました。

 <参考>
 http://www.shamtecdenshi.jp/about_radio/finished/spidercoil_paper_pattern.pdf

 外周の直径12cm。市販されている巻枠よりかなり大きくなります。その分、材料となる厚紙も丈夫なものでなければなりません。100円ショップを物色していると、ちょうど良いのが見つかりました。写真アルバムの表紙。色紙も使えそうです。

 <巻枠製作>
 シャンテックの型枠をプリントして13か所の切れ込み部分をハサミで切っておく。厚紙はコンパスで12cmの円を描き、円周カッターで切りぬく。その上に型枠コピーを載せて、切れ込み部分をペンでなぞる。なぞった厚紙をその通りに切り抜いていく。以上で羽13本の巻枠完成。ニスを塗って補強してみました。








右は直径9cmの一般的な巻枠


 <コイル巻き>
 巻枠に0.1mm×40本のリッツ線を羽2本飛ばしで巻いていきます。交互巻の方が楽で見た目もきれいに仕上がりますが、とりあえず定石どおり、2本飛ばしとします。何回巻いたか失念したころに、約16m巻いて、巻枠いっぱいとなりました。もっと切れ込みを深くした方が良かったかもしれません。外周直径12cm、巻始め部分の直径6.5cm。インダクタンス209μHとなりました。通常のスパイダーコイルに比べ、厚みもあり、その分線間容量も軽減されることから、インダクタンスが抑えられたようです。


2本飛ばし巻き



 さっそくゲルマラジオにつないで聞いてみたところ、聞こえるには聞こえますが、ほんのかすかな音量・・・期待外れ??? 外周12cmでリッツ線使用を考えるとそんなはずは・・・? いろいろ試してみたところ、バリコンから10cm程コイルを離してみると良く聞こえてきました。またソレノイドコイルに比べ指向性も強く、向きを合わせるとさらに音量アップ。理由はわかりませんが、10~20cmほど、ゲルマラジオ本体から離した方が良く聞こえます。バリコンに密着すると極端に感度低下。ということで、台座に固定し、外付けコイルとして使えるようにしてみました。




台座作成


 音量は直径10cm程度の筒形ソレノイドコイルと同等です。それなりに高感度。窓際で聞く分には、外部アンテナなしで鳴ってくれました。


バリコンを付けて、ミニループアンテナとしても使えます







コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

分割巻きコイル

2014年11月03日 | コイル作り


 先人たちのコイル巻きの工夫には、底知れないものがあります。その様々な巻き方にはそれぞれ理由があるわけです。しかし、その理由が不明な、というより、自分が単に理解できないものも少なくありません。分割巻きもその一つ。二次コイルとして巻いているわけではなく、つながった1本の線をいくつかに分割して巻いていく。国内、海外問わず、この巻き方はよく見かけます。

 前作に続き、長さ15cmに切り分けたアクリルパイプを使って、分割巻きコイルを作ってみました。今回はコイルのみ。線材はビニール線。リッツ線の方がQは高くなるかもしれませんが、それはおおよそ検討がつきます。あえてビニール線を使うのは、ビニール被覆によって線と線に隙間が確保され、スペース巻きと同じ効果を得ようという考えです。スペース巻き+分割巻きによって、はたしてハイQコイルはできるのか?

 <材料>
 ビニール線   直径2.5mm 長さ20m
 アクリルパイプ 直径15cm 長さ15cm

 難しいことは何もなし。アクリルパイプにホットボンドで線材を固定し巻くのみ。まずは普通に20mすべてを巻いてみました。巻終わりもホットボンドで固定。41回巻き。インダクタンスを測ってみると226μH。スペース巻き効果が出たのか、20m巻いた割には低めです。



 この状態でゲルマラジオに接続して聞いてみました。かなりの音量でNHK第一が入感。NHK第二もまずまず。リッツ線を使った前作の真円ループゲルマラジオとの比較でほぼ同等か少し上回る音量。これまでの経験から、なるべく多く線材を巻き、かつ、インダクタンスを適度に抑える、これがハイQコイルを作るポイントかと。ビニール線によってまずまずの性能は出ているようです。



 続いて、巻終わりの位置を15mm離して固定し、線材を少しずつスライドさせていきます。コイル全体の1/3ほどスライドさせたところで、分割巻き完了。初めてなので2分割としました。一方は25回巻き、もう片方は16回巻き。インダクタンスを測ったところ205μH。少し下がりました。ということは、スペース巻きの一変形ということ?間隔は当てずっぽうで15mmとしましたが、これをどこまで広げてよいのか? 3分割、4分割とした場合の違いは?など、巻きながらいくつものことが脳裏をよぎりました。


コイル間隔は15mm



 巻き終わって、あらためてゲルマラジオに接続してみると、音量増加と共に音に厚みが増したような印象です。単にインダクタンスが下がって、マッチングがさらに良くなったということかもしれませんが、結果的にはビニール線+分割巻き、期待以上で気に入りました。リッツ線で等間隔にスペースをあけて巻くのは至難ですが、分割巻きなら割と容易にできそうです。



 線材を巻く、ただそれだけなのに、試してみたいことが次々出てきます。








コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バスケットコイル その2

2014年10月19日 | コイル作り


 今回は、支柱1本ごと交互に巻いてみました。線材は前回と同じ0.1mm×100本のリッツ線です。前回の支柱2本飛ばしの巻き方に比べると、ずっと楽です。2回目ということもあり、気持ちに余裕ができて、だいぶきれいに巻くことができました。20mの線材を巻くと、約8.5cmの支柱の長さいっぱいになります。





 ホットボンドで要所を接着し、慎重に取り外して完成。直径9cm、長さ7.5cmの交互巻バスケットコイル。






 あらためて観察すると、線材が一本ごと交互に適度な空間を確保し、絶妙なスペース巻きとなっています。インダクタンスは2本飛ばし巻きに比べると大幅に上がり、272μHとなりました。線材間の隙間は、2本飛ばし巻きよりは小さく、接点も多くなるためと思います。



 さっそくゲルマラジオに装着して、聞いてみました。良く聞こえます。2本飛ばし巻きより音量アップ。外部アンテナなしでNHK仙台第一が十分な音量、第二もなんとか聞き取れるレベル。混信なく分離も良好。 



 巻きやすさ、仕上がりの良さ、型崩れのしにくさなど、こちらの交互巻きの方が気に入りました。巻枠を一つ作っておけば、ボビンがなくとも、コイル単体で自立するのも良い所です。形がくずれない限界まで巻枠を大きくしてみる、などもその内、試してみたいと思います。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バスケットコイル

2014年10月13日 | コイル作り


 コイルの巻き方いろいろあれど、誰もが憧れるバスケットコイル。職人技としか言いようのない工芸的な美しさ。写真で見て、自分にはとてもとても・・・と、はなから諦めていたのですが、ふと、単純なタイプなら作れなくもないのでは?と一念発起で挑戦してみました。

 このコイルを作るには、巻枠作りから始めなければなりません。そして、この巻枠の形によって、コイルの形状が決まります。たいていは板に奇数本の支柱を外側と内側に二列立てるか、幅のある板を立てるようです。支柱が複雑なものほど、たぶん、巻くときの困難も増すことになります。ということで、支柱は一列のみの簡素な巻枠にしました。

<材料>
丸板 直径12cn 厚み1.5cn 
銅パイプ 直径5mm 長さ10cm 15本






 はじめに銅パイプをパイプカッターで長さ10cmに切り分けておきます。丸板に直径9cmの円を描き、その上に、ネットで見つけたスパイダーコイルの図面を置き、等間隔に15か所の印をつけていきます。印のところをドリルで5mm穴をあけ、そこに銅パイプをねじ込んで巻枠完成。





 これに0.1mm×100本のリッツ線を支柱二つ飛ばしで巻いていきます。巻始めが緩みがちで、巻きにくいです。二つ飛ばし、というのが感覚的につかめないというか、つい一つ飛ばしで巻きたくなります。それにいつものように巻き数が増えていかないのです。巻いても巻いてもさほど巻き数が増えない。何回巻いたかなどと考える余裕はありません。ただ、ひたすら二つ飛ばしを間違えないように巻くのみ。20mすべてを巻き終って眺めてみると、なるほどバスケットらしくなってきました。



 次に、巻枠からコイル部分を取り外します。そのまま取り出すと、せっかく巻いたコイルがほどけてしまうので、糸でかがる、という作業が必要とか。しかし、狭く複雑なコイルの中を縫い糸でかがっていくなどというのは、コイル巻き以上の難関で、自分には到底無理です。実物を前にするとよくわかります。ということで、ホットボンドで接着してしまうことにしました。工芸品的な美しさまでは求めないので、これで良しとします。あとは、慎重に銅パイプから外して、完成。直径9cm、幅6cmのバスケットコイル。


バスケット・・・

インダクタンス170μH

ゲルマラジオにつないでみると・・・


 インダクタンスは170μH程。我が家の環境ではちょうど良い容量となりました。さっそくゲルマラジオにつないで聞いてみると、まずまずの音量で聞こえてきました。このコイルの特徴は、独特の巻き方によって線間容量を減らし、感度と分離を上げる、ということ。でも、直径6cmのソレノイドコイルとの比較で、さほどの違いは感じられませんでした。性能よりも形の面白さや美しさが身上のコイルなのかな、との印象。それにしても先人たちはずいぶん面倒なコイルを考えたものです。一つ飛ばしで巻いたらどうなるのか、その内、試してみます。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

8の字コイル

2012年11月18日 | コイル作り


 『ぼくらの鉱石ラジオ』には3種類の8の字コイルがイラストで紹介されています。2本の巻芯をほぼ密着させて巻いたコイル、巻芯を少し離して巻いたビノキュラーコイル、2本のソレノイドコイルを逆巻にして並べた双眼コイル。これらを含め、34種類ものコイルが紹介されているのですが、一つ一つについての解説はありません。これだけ多くの巻き方がなぜ考えられてきたのか、鉱石ラジオにとってそれぞれどんな意味を持つのか?今回は、8の字コイル作りに挑戦してみました。

 <材料>
・直径6cm長さ10cmの塩ビパイプ2本
・リッツ線 0.1mm×40本 20m
・ L字金具、ターミナル端子、木台




 <製作>
 木台に二つの塩ビパイプを金具で固定。これにリッツ線を交互に巻いていきます。まさに8の字。当初、パイプをもう少し離して、ビノキュラー型を考えていたのですが、巻いているうちに力が入って、密着してしまいました。線材20mすべてを巻いたところ、インダクタンスは235μHとなり、少しずつほどいて、最終的に47回巻きで144μHに調整しました。NHK仙台第一から東北放送を聴くには、このくらいがベストなのです。逆巻コイルと違って、インダクタンスは普通に上下します。最後にターミナル端子に両端をはんだ付けして完成。ソレノイドコイルに比べると交差部分があるため巻きにくく、密巻にしてもスペース巻にしても、見た目をきれいに仕上げるのは難しいです。


金具でパイプを固定

交互に巻く  見た目は今ひとつ

インダクタンス144μHに調整



 さて、完成したコイル。ソレノイドコイルより空間接触面積は2倍近くあり、大型であることから、外部アンテナなしでも十分な音量でゲルマラジオを鳴らしてくれるのでは?

 さっそくつないでみると・・・なぜか、何も聞こえてこないのです。そんなはずは? さらに注意深くバリコンを回して・・・。やっぱり聞こえてきません。残念。単体では何も受信できませんでした。


 外部アンテナとエアコンアースを接続すると、今度は良く聞こえます。NHK仙台第一、第二が十分な音量。ミニループアンテナを近づけても、同様に良く聞こえます。ソレノイドやスパイダーコイルと比べると、分離は勝っています。バリコンの位置が大方つかめたので、あらためて単体で聞いてみましたが、やはり何も聞こえませんでした。Q自体が高いわけではなさそうです。


外部アンテナ、アース(上)、ミニループアンテナ(下)では良好に受信



 ネットで調べたところ、この8の字コイル、リニアモーターカーやオーディオ関連などいろいろなところで使われているようです。「鉱石ラジオ」的には、選択度を重視したコイルということだったのかもしれません。


 二つのパイプを、たとえば10cm位離した状態で巻いたらどうなのか? パイプを4本直線に並べて巻く、または4隅に配置して、全体をループにした場合はどうか?などなど。8の字に巻いている間、いろいろな巻き方が脳裏をよぎりました。線材を巻く、というただそれだけのことですが、だんだんと深みにはまりそうです。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ソレノイドコイル単体受信

2012年11月04日 | コイル作り


 ソレノイドコイルの巻枠を大きくしていくと、やがてループアンテナとなり、絶大な効果を発揮することは、前作のミニループでわかりました。当初、バーアンテナを巨大化する方向に思考が傾いていたのですが、重さの問題があり、取り回しが良くありません。費用もそれなりにかかります。その点、ソレノイドコイルは巻枠と線材のみなので、軽い上に、コストパフォーマンス的にも分があります。ただし、使う線材の長さ、コイル形状の大きさはフェライトコアの数倍必要となります。

 では、外部アンテナなしのゲルマラジオにおいて、ソレノイドコイル単体で放送を受信できるぎりぎりの大きさとはどの程度のものか?

 我が家の環境は、NHK仙台第一放送(20kw)の原町ラジオ送信所から4km弱。近いことは近いのですが、間にビル群が建ち並び、けっして良い環境とは言えません。窓付近でポケットラジオは普通に聞こえます。前回紹介したとおり、直径2cm程度のソレノイドコイルやスパイダーコイルをゲルマラジオにつなぐのみでは、何も聞こえることはありません。

 そこで今回、直径を3倍程大きくしたソレノイドコイルを作ってみました。線材も太いものを使い、スペース巻きとしました。
 
《材料》
 ・巻枠 直径6cmの塩ビパイプ 長さ10cm
 ・線材 直径0.8mmのウレタン線


ホームセンターで購入した黒い塩ビパイプを10cmに切断


《巻き方》
 はじめに、塩ビパイプ両端に圧着端子をネジで固定。一方の端子にウレタン線を通して圧着しておき、密巻で巻き始める。ちょうど80回巻いてLCメーターで測ったところインダクタンスは162μH。最終的にスペース巻にするので、ここで巻き終わりとし、もう片方の端子にウレタン線を圧着。両端子をはんだ付けしておく。


はじめは密巻で巻く


 続いて、竹串でウレタン線の一本一本の間に隙間をあけていきます。パイプの長さが足りなくなり、均等に隙間をあけることができず、見栄えも今一つとなりました。不揃いなバーコード風。パイプはもう少し長い方が、十分なスペースを確保できたと思います。スペース巻に変更したところで、インダクタンスは147μHに低下しました。

 
 さっそく窓際に置いたゲルマラジオに接続。聞いてみると・・・。NHK仙台第一は明瞭に聞こえてきました。音量は低めではありますが、両耳マグネチックイヤフォンで十分了解でき、音質も良好です。ただしNHK仙台第二、東北放送は聞こえませんでした。また窓から1mほど奥に入ると何も聞き取れなくなります。


外部アンテナなしで両耳ステレオイヤフォンを鳴らしてくれました

ミニループアンテナを近づけると、NHK仙台第二も大音量で鳴ってくれます



 直径6cm程度のソレノイドコイルでも、線材を太く、かつスペース巻にすることによって、かなりのQを確保できるようです。あくまで我が家の環境においての話ですが、これでも十分、無電源、外部アンテナなしで放送が楽しめます。このコイル、なかなかコンパクトかつ軽量で気に入りました。


《余話》

 山仲間のOMの話。この方は、仙台原町ラジオ送信所のすぐ隣に住居があるのです。ゲルマラジオの話をしたら、そんなものを使わなくとも、古い電話の受話器を耳に当てるだけで、放送が聞こえてきたそうです。受話器のコードがアンテナとなり、マグネチックスピーカーを鳴らしてしまう・・・。同調などおかまいなし。何でもラジオに早変わり??  インターフェアと言ってしまえばそれまでですが、強電界においては、そんなこともあるそうです。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミニループアンテナ 続編

2012年10月27日 | コイル作り


 外部アンテナなしのゲルマラジオでマグネチックイヤフォンを鳴らすには、我が家の環境においては極太バーアンテナなどそれなりの工夫が必要なことは、これまで紹介したとおりです。



 たとえば、だいぶ前に実験用に作ったこのゲルマ。直径38mmの塩ビ管に0.3mmのウレタン線を巻いた、ごく一般的なソレノイドコイルを使っています。HA750BLなどの外部アンテナを接続すると、ローカル放送局は十分な音量で聞こえます。でもアンテナを外してしまうと、どんなに注意深く聞いても、なにも聞こえてくることはなく、音声の片りんすら感じ取ることはできません。



 ところがこのゲルマラジオにミニループアンテナを近づけると・・・。なんと外部アンテナを接続したとき以上に、明瞭に放送が聞こえてくるのです。



 続いてこちらも以前に、興味本位で作ったスパイダーコイル。直径10cm程の巻き枠にリッツ線を巻いたものです。インダクタンスは140μHしかありません。これをゲルマラジオに接続しただけでは、何も聞こえません。同様にミニループを近づけると・・・。驚くほどよく聞こえます。



 いづれも近づけるだけで、接続しているわけではありません。

 間違っているかもしれませんが、原理を考えてみると、
 ・ミニループアンテナの一次コイルが電波を受け電気エネルギーが発生する
 ・発生した電気はコイル内のコンデンサにいったん蓄積され、すぐに電磁波として放出される。
  その際、バリコンで特定の周波数に同調し送信される
 ・送信された電磁波をゲルマラジオが受信する

 つまり、ミニループアンテナは無電源の中継局あるいはワイヤレス増幅器、ということになるのでしょうか?中継局がすぐそばに設置されたために、ゲルマラジオはいやおうなく鳴り始める・・・。実際、そんな印象を持ちました。

 ではどの程度の送信能力?があるのか。ラジオ側の受信能力(コイル)にもよりますが、30cm程離しても、増幅の効果が認められました。ゲルマラジオ側のコイルに対し、直角に置くのが良いようです。





 これがあれば、たとえ極小コイルのゲルマラジオでも鳴らしてしまうのでは?と思ったりもします。あまり感度の良くない1IC+1TRラジオもミニループを傍におくだけで、家中どこでも受信できるようになりました。


 小さく巻けば単なるコイル、大きく巻くと、どこかの時点で豹変する、そんな印象です。それがどの程度の大きさなのか、もっとミニサイズでもよいのか、大きさだけなのか?素人実験の楽しみは増えるばかりです。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中波用ミニループアンテナ

2012年10月21日 | コイル作り


 ソレノイドコイルのボビン(巻き筒)を大きくすればするほどゲルマラジオの感度は上がります。通常は直径8cm程度でしょうか。さらに大きなものはループアンテナということになります。どの大きさまでソレノイドコイルでどこからがループアンテナなのか?特に定義があるわけではないと思いますが、自分的には外部アンテナを付けなくとも受信できる状態であれば、それはループアンテナ、と言ってよいのでは、と考えます。

 ネット上には大きなループアンテナの製作例をたくさん見ることができます。でも、小回りが利き、かつ単体でゲルマラジオが鳴る程度のものはあまり見当たりません。そこで次のような課題で作ってみることにしました。

1、ゲルマラジオが外部アンテナなしで受信できること。
2、なるべく小さなサイズとすること。
3、フェライトコアは使わず、コイル単体のみとすること。

 <材料>
・巻枠 100円ショップのアクリルケース
    縦22cm、横15cm、深さ4.5cm
・線材 リッツ線 0.1mm×100本 長さ18m(一次コイル用)
     リッツ線 0.1mm×40本  長さ2m(二次コイル用)
・2連ポリバリコン1個
・かまぼこ板、端子、その他

<製作>
 アクリルケースに沿って、はじめに一次コイルを巻いていきます。今月号のCQ紙でも紹介されてあった100円ショップのグル―ガンが大活躍してくれました。巻き始めと終わりを固定するのにたいへん重宝します。LCメーターで所々インダクタンスを測りながら巻いていきました。バーアンテナと違って、なかなかインダクタンスが上がりません。20m巻きのリッツ線のほとんどを使いきって23回巻き、188μH。ピックアップ用の二次コイルは、一次コイルと同じ向きに4回巻き。これで枠幅ぎりぎりとなりました。以上、コイル部分完成。


グルーガンでサクサクと固定

一次コイル188μH


 続いて、これを木台の上にセットします。今回は同調型アンテナなので、一次コイルを2連ポリバリコンに接続。二次コイルはターミナル端子へ。一次コイルと二次コイルは電気的には接続していませんが、一次コイルでとらえた電磁波を電磁誘導により二次コイルでピックアップし、ラジオに受け渡す仕組み。一応、一次コイルへも直接接続できるようにターミナル端子を取り付けました。工作は以上です。


完成

バリコンを挟んで左が一次コイル端子、右が二次コイル端子


 はじめに一次コイルのターミナルにゲルマラジオを接続してみました。ミニループのバリコンを中間あたりに設定して、ゲルマラジオ側のバリコンを慎重に回します。聞こえるのか、聞こえないのか、どの程度の音量で聞こえるのか? コイル作りは、この瞬間が一番の楽しみです。と、NHK仙台第一が期待以上の大きさでマグネチックイヤフォンを鳴らしてくれました。仙台第二も十分な音量。分離も悪くありません。指向性が強く、きちんと方角を合わせると、フェライトバー16本を束ねた極太バーアンテナを上回る感度となりました。


ゲルマラジオに接続




 続いて、二次コイル側に接続。ループのバリコンを回すと、こちらも先ほどと同様の音量で聞こえてきました。少し低音が増したような印象。きちんと電磁結合されていることが確認できました。

 この二次コイル端子に結合ループ線をつないで、こんどは2ICラジオのバーアンテナに絡めてみました。つまり、一次コイルで目的の周波数の電磁波をとらえる→その磁場と結合して二次コイルに電気信号が発生する→その信号をループ線でICラジオに受け渡す、というルート。双方のバリコン調整が必要で、うまく合わせた個所では明らかな感度アップが実感できました。二つのバリコンを使うためか、分離の方も改善がみられます。


2ICラジオにループ線を絡める



 ついでに、RF-U700Aのジャイロアンテナにもループ線をからめてみました。こちらの方はもともと感度が良いので、信号の強弱は確認できませんでした。夜間にでもまた実験してみたいと思います。




 外部アンテナなし、フェライトバーを使わず、コイル単体でゲルマラジオを鳴らす、という課題は一応、クリアできました。Qを高めるため太めのリッツ線を使用したのも好結果になったように思います。バーアンテナと比べると大きくはなりますが、B5版ほどのミニサイズでこの性能・・・。ループアンテナの実力、侮りがたし。


<追記>

 夜間の受信実験の結果。RF-U700Aの傍にミニループを置くだけで感度が上がります。ループ線をジャイロアンテナに絡めなくともOK。RF-U700Aでなんとか聞き取れる程度の弱めの信号を受信し、脇に置いたミニループのバリコンを回すと急に信号が強くなる箇所があります。ミニループに発生したエネルギーが電磁的にラジオ側に受け渡されているわけです。そして角度を合わせる。これで了解度5に改善。
 RF-U700Aは9KHzステップの電子チューニング。なので微妙な周波数調整はできないのですが、ミニループのバリコンでアナログ的な微調整ができるようになります。これも一つの発見でした。








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コイルの巻き方実験

2012年10月20日 | コイル作り


 鉱石ラジオ全盛時代よりコイルの巻き方にはさまざな工夫がこらされてきたことは、『ぼくらの鉱石ラジオ』に詳しく紹介されています。8の字コイル、ハニカムコイル、スパイダーコイルなどなど。その一つに逆巻コイルがあります。普通に線を巻いていって、途中から反対向きに巻くという単純な巻き方なので、何度か作ったことがあります。なぜ、先人たちがこんなコイルを作ったのか?自分としては次のように考えました。コイルの巻き数は多い方が感度は良くなる、でも、多く巻くとインダクタンスが上がって放送の周波数帯に合わなくなってしまう。そこで、途中から逆向きに巻くことで、インダクタンスを相殺し、かつ巻き数を増やして感度を上げる、ということだったのでは?

 
 途中から逆巻にすることで、インダクタンスが下がることはこれまで確認していますが、感度は上がるのかどうか?今回、同じ材料、条件で、比較してみることにしました。ついでに、密巻コイルとスペース巻コイルの違いも実験してみました。

<基準となる密巻コイル>
 長さ16cm、直径1cmのフェライトバーを4本束ねたものに、リッツ線(0.1mm×40本)を普通に密巻したバーアンテナ。巻き数は34回。インダクタンス140μH。

<逆巻コイル>
 上記と同じ材料を使い、まず29回巻き、途中で反転させてさらに39回巻く。合計58回の密巻き。インダクタンスは174μH。

途中から逆向きに巻く


<スペース巻コイル>
 同じ材料に隙間をあけて巻く。巻き数39回。インダクタンス140μH。


 逆巻コイルだけはインダクタンスをうまく合わせられず、若干大きめです。


上から密巻コイル、スペース巻コイル、逆巻コイル


 さっそくゲルマラジオにつないで聞き比べてみました(外部アンテナなし)。
 その結果は、感度の良い順に

 スペース巻コイル>基準の密巻コイル>逆巻コイル  となりました。


 予想に反して、逆巻コイルは芳しくありません。基準のコイルの半分程度の音量で、あきらかに感度は低下します。逆向きに巻き過ぎたのがいけなかったのかと考え、少しずつ、リッツ線を外してみたところ若干感度が上がったものの、結局、反転させた箇所まで外してみて、感度はそのままでした。コイルの巻き数を多くすることによる感度アップは実感できませんでした。

 一方、スペース巻の方は、密巻より1.5倍ほどの音量となり、明らかな感度アップが実感できました。NHK仙台第二も十分聞き取れます。気を良くして、もう一つスペース巻コイルを作ってみました。

<スペース巻コイル2>
 同じ材料に、はじめの20回は小さなスペースで巻き、徐々にスペースを大きくとって巻く。巻き数37回。インダクタンス141μH。




 聞き比べたところ、等間隔のスペース巻きと同様の音量で、さほどの違いはありません。

 続いて密巻コイル、スペース巻コイル2本の計3本を直列で接続。1本より2本、2本より3本と音量は大きくなりました。それぞれのコイルの向きを逆にすると聞こえなくなります。並列で接続にした場合も何も聞こえませんでした(放送帯をはみ出した?)。

3本直列


 また、前回同様、ゲルマラジオにつないだ1本のバーアンテナの両端に残りの2本を置いてみました。単に置いただけですが、3本直列につないだ時以上に音量は大きくなりました。この方が簡単で効果大です。


今回の実験のまとめ
1、 コイルはスペース巻が感度アップに有利。
2、 逆巻コイルはインダクタンス調整には使えるが、感度アップにはつながらず、存在理由は不明のまま。
3、 複数のコイルを直列または並列すると感度がアップする。
4、 コイルの巻き方や数を増やすより、フェライトバーを長く太くした方が効果は大きい。



コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする