JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

AWXアンテナ使用記

2010年05月19日 | AWXアンテナ

 AWXアンテナは何本か自作して、今、手元に残っているのは、ロッドアンテナ4本を塩ビパイプ(ブーム)に取り付けた山岳移動用のもの1本です。本来はツインデルタループとして作ったアンテナですが、左右のエレメントを取り外して長さを調整すれば、AWXアンテナとして使えることは以前に書いた通りです。形はV型ダイポールを上下に取付けたような構造となります。上がエレメント、下がラジアル。

 今回は、あえてAWXアンテナとして使ってみました。運用地は、角田市の大森山(標高315m)山頂です。ここでの無線運用は2度目となります。




 今年一番の気温で、つい何日か前まで寒かったことが嘘のようです。たいした登りではないのですが、一汗かいてしまいました。

 さっそく三脚を広げてアンテナを設置。あらかじめエレメントに印をつけておいて、ロッドの長さは49㎝。あとはX型に広げるだけなので簡単です。念のためAA-200で測定してみると、SWRは1.2と良好。リグはいつものDJ-S17(今回はほとんどが0.8Wの運用でした)。

 今日は同行者がいるのであまり時間はとれません。さっそくCQを出してみました。一応指向性もあるようなので、給電部を南に向けてみました。はじめに若林区のOMよりQRPにてお声がけいただきました。0.8Wで 59のレポート。続いて、伊達市、大河原町(ハンディ)、泉区、大和町(ハンディ)などからも59のレポート。石巻からは53。栗原市移動局からは57。栗駒山のいわかがみ平からオンエアとのこと。2年前の地震で不通が続いていたと思っていましたが、最近復旧したようです。登山道まで復旧したかどうかは判らないとのことでした。




 アンテナを回して信号の強弱を確かめてみました。さほど指向性は強くありません。微弱な信号でない限り、回す必要もないようです。少し指向性のあるGPアンテナという感じです。短時間の運用で、特に遠方との交信はありませんでしたが、ほぼ県内全域には飛んでくれているようです。1時間程、運用を続け、正午すぎにQRT。誰もいない山頂を後にしました。


 このアンテナは、広帯域が特徴で、寸法を変えることなく、145と430の両方に使えます。めったに430に出ることはないのですが、両方使いたいという向きには、自作も簡単で便利なアンテナと思います。


《帰宅後》

 もともと広帯域なアンテナなので調整するところも特にないと、勝手に思い込んでいたのですが、ホームに戻ってから、ちょっとしたいたずらをしてみました。

 まずは角度90度のX型、基本形。AA-200のSWRグラフは下のようになりました。ほぼ1.2フラットです。




 次に、上下のエレメント角度を120度にして、扁平型にしてみました。SWRは1.5フラットに上がりました。





 今度は上下エレメント角度を45度にして、縦長型にしました。同じくSWRは1.5フラットでした。






 やはり基本形が安定しているのかなと思ったのですが、ここでいたずらをして、上を45度に狭め、下を130度程に広げてみました。結果は良好でSWR1.1フラットとなりました。






 今度は逆に上を130度程に広げ、下を45度に狭めたところ、やはり結果はSWR1.1フラットとなりました。どちからを広げすぎても、狭めすぎてもSWRは上がってしまいます。






 どうも上下の角度の総和が170~180度になればSWRは下がるようです。広帯域の特性に大きな変化はありません。あえて変形にすることでどんなメリットがあるのか?指向性は?などわからないことばかりですが、Xの基本形に必ずしもこだわる必要はなさそうです。
 
 まだ試していませんが、エレメント長の調整次第では6mバンドにも使えるようなので、設営や撤収が容易な3バンド移動用アンテナの決定打?となるのかもしれません。



収納状態。
下のエレメントと干渉してコンパクトにまとまりません。もう一工夫してみます。







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椹平(くぬぎだいら)・山麓紀行 

2010年05月08日 | 里山 移動運用
 姥ヶ岳下山後、一泊して周辺の山村を歩いてきました。QTHはいづれも山形県西村山郡。

 はじめに向かったのは大江町左沢(あてらざわ)。通称「日本一公園」と呼ばれている楯山公園があります。日本一かどうかは別として、ここからの眺めはすばらしいです。眼下に最上川がU字型に蛇行する姿は、いつまで見ていても見飽きることがありません。ずっと眺めていたくなる風景です。遠くには雪を冠した大朝日岳も一望です。



 ベンチに腰掛け、DJ-S17にロッドアンテナRH-770を装着してワッチしてみました。すばらしい風景を眺めると、無線も試したくなる、困った性分です。ワッチしてみると、ローカル局の会話が聞こえるのみでした。4~5歳くらいの女の子が近寄ってきて「それ何?」と興味津々。「遠くの人と話ができるんだよ。ほら・・・・」「◯△・・・▽◯・・」「???」子どもに聞かせるような交信でもありませんでした。ここは、無線はやめておいた方がよさそうです。


 続いて向かったのは、隣の朝日町にある一本松公園。朝日町の中心地、宮宿集落に入る手前を右折、最上川にかかる橋を渡って、小高い山を登り詰めた終点が小さな展望公園となっており、眼下に椹平(くぬぎだいら)の棚田が広がっています。棚田百選にも選ばれたそうで、ここも先ほどの楯山公園に劣らぬ美景です。



 何年にもわたって山を切り開いて作った棚田。最上川に箱庭のように寄り添う宮宿の集落。遠くには大朝日の秀峰。まさに絶景ですね。ヒメサユリの保存にも取り組んでおり、初夏には可憐な花を咲かせるそうです。

 観光化されているという雰囲気はなく、着いたときも同行者と二人きりで、他は誰もいないのです。思わず、三脚を取り出し、HB9CVを設置してしまいました。標高は数百メートル、周りを山に囲まれた盆地の小高い丘なので、期待はしなかったのですが、CQを出したところ、白鷹町モービル局に拾っていただきました。山寺観光の帰りとのことで、近くの名所のことなど情報交換いただき、しばしの間、絶景を眺めながら交信を楽しむことができました。




 翌日は、宮宿にある豊龍神社の例祭がありました。十メートル以上もあろうかという巨大神楽が町内を練り歩く見事なものでした。地元の方の話では、この神楽に子どもの頭を噛んでもらうと、丈夫な子に育つということですが、近年、子どもそのものが少なくなってしまったと嘆いておりました。こういうお祭りには写真愛好家が目障りなほど大勢繰り出してくることが常ですが、ここはなぜか、まったく見かけません。そのためでもないのでしょうが、熱気の中にもどこか寂しさが感じられるのでした。


豊龍神社例祭


 この他、宮宿集落近くには、館山という小高い丘もあり、こちらにはテレビ中継アンテナがあって、ここからの眺めもすばらしく、QRVも可能です。また、朝日自然観という場所には、世界に例のない「空気神社」があります。空気がご神体なのだそうで、ブナ林の中にこつ然と異彩を放っておりました。この辺りは標高も高く、実際、移動運用をおこなう局もおられるようです(何度か仙台から交信したことがあります)。

 観光地とは無縁な、今回の「普通の田舎歩き」はいろいろと発見が多く、楽しいものでした。静かな隠れた「名所」を探訪しながら、眺望の良い場所でもあれば、簡素なアンテナを立てて、のんびり無線を始める、そんな運用スタイルも悪くないな、と思ったりもします。



朝日自然観付近 白倉集落


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春の姥ヶ岳

2010年05月06日 | 奥山 移動運用
 この山でのQRVは4度目となります。これまでの3回は、いづれも夏場で、ロケーションに加えてコンディションも良く、9エリア各局と交信できたことが脳裏に残っています。QTHは山形県西村山郡西川町。標高1670m。




 今の時期、姥ヶ岳は残雪に覆われ、なだらかな斜面は天然のゲレンデと化しています。晴天のこの日、朝8時というのに、リフト乗り場は多くのスキーヤーで賑わっていました。この中に混じって、数組の登山者らしきグループが月山をめざして歩いて行きました。こちらは同行者Xと共に、月山を右に見ながら目的地に向かいました。今回は、姥ヶ岳で春のコンディションを確認しながらのんびり運用してみるつもりです。雪は締まって、快適そのもの、左手に朝日連峰の山並みを見ながら、30分ほどで山頂に到着しました。夏なら高層湿原が広がり、運用場所も限られるのですが、一面の雪原でどこでもOKです。風のあたらない場所を選んで、さっそく無線の準備を始めました。

 三脚を雪で踏み固めて、HB9CVを設置。リグはDJ-S17(4W エネループ電池)。
ワッチしてみると、ローカル局に混じって、佐渡島移動局のCQが聞こえていました。パイルになっているようなので、後でお声がけさせていただくことにして、さっそくCQを出してみました。




 はじめに、耶麻郡北塩原村移動局より応答があり59-59。標高1400m程の地点からモービル半固定とのこと。続いて飽海郡遊佐町、新潟市北区、酒田市、田村市(移動)と59-59。アンテナは南西方向に向けているのですが、指向性がブロードなのか、バックからもそれなりに入ります。田村市移動局は移ヶ岳山頂付近(940m)からハンディ機5Wとのこと。距離約150Km。続いて、小国町からもハンディ機(RH-770使用とのこと)にて54-55。長岡市の多宝山から同じくハンディ機にて57-57のレポート。鳥海山小浜小屋の局ともハンディ機で59-59。連休中とあって、山岳移動も多いようです。

 今度は、那須連峰茶臼岳山頂より応答があり、59-57。この場所で1エリアとの交信は2度目です(前回は日光男体山山頂の移動局)。ハンディ機に付属の十数センチのホイップアンテナだそうです。意外なほど安定した信号で、もっとQSOしたかったのですが、「そろそろ下山の時間」とのこと。距離約180Km。その後、「JP1・・・」の強力な信号が入感。先ほどからワッチして、2段2列のFBな八木を慎重に向けていただいたとのことで、栃木県下野市から59のレポートをいただきました。こちらからも59。この山で1エリアの固定局とは初交信でした。途中、10WにパワーダウンいただいたところSが下がって、それでも55。距離約260Km。

 この他、山形、新潟各局に応答いただき、約2時間で18局と交信。最後に、佐渡島どんでん山移動局にお声がけさせていただき、QRTとなりました。




 今回、9エリアとの交信はできませんでした。夏と春のコンディションの違いなのか、単なるタイミングなのかはわかりません。そのかわり、1エリアとの交信や多くのハンディ移動局と交信できました。ハンディ機同士の交信というのは、せいぜいパワーは5Wですし、アンテナも簡素なケースが多いです。なので、信号はけっしてパワフルではないのですが、意外にしっかり届いて驚かされたり、スリリングな交信が楽しめたりします。今回も付属ホイップの局が思いのほかきれいに入感、山頂(ロケーション)はパワーに勝る、を実感した次第です。





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