JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

1/2λバリコン同調式ホイップ(その2) 

2020年02月23日 | ノンラジアルアンテナ
 LCメーターとアナライザーで調整したコイルを使い、以前に作った「スケルトンホイップ」と同じものを作ってみました。バリコン同調式の1/2λ電圧給電ホイップアンテナ(145MHz)。違うのはコイルのみ。片や銅線を直径1cm、7回巻き、今回は銅管を直径2.3cm、4回巻き。インダクタンスはほぼ同じ。アンテナとして作り込んだ場合、実際のところ何かしら違いがあるのか、ないのか?

 使用コイル  太さ2.2mm銅管、直径2.3cm、4回巻き 0.175μH
 コンデンサー 5pFエアタイトバリコン 
 エレメント  95cmロッドアンテナ


材料一式


(回路)
 これも前作と同じです。コイル中間からタップを取らず、コイルとコンデンサーを並列にしたもっともシンプルな回路としました。

(製作)
 2度目なので手間なく進めることができました。このアンテナは、BNCコネクター上にマッチング回路とエレメントをそのまま載せてしまう構造のため、配線が短くて済み、余計なコンデンサー成分を抑えられます。前作でハンダ不良が一部あったことを思い出し、今回はすべてステンレス用ハンダを使用しました。ケース加工がない分、作業が楽で、誤差も生じにくい構造です。自分としてはこの形、製作方法は悪くないかな、と気に入っています。ただし、耐久性に多少不安があるのと、むき出しのため雨天では使えません。






完成(上) 前作(下)


(調整)
 すでに調整済みのコイルなのでロッドエレメントをすべて伸ばした状態で145MHz帯にマッチングしました。エレメント寸法(95cm)は変えずに、コイル間隔とバリコンで最終的に調整し、145.000付近に追い込みました。移動地の環境によって若干変わってきますが、その際もエレメントはいじらず、バリコンを回して調整します。ちなみに、バリコンを回すと共振点が上下し、それに伴いSWRも変動します。たとえばSSBの周波数帯にシビアに合わせようとして共振点を下に持ってくるとSWRが甘くなり、コイル間隔も再調整が必要となります。なので、バリコンのみで調整できる範囲は限られます。もっとも、今回製作のものはそこそこ帯域が広く、このままで問題なさそうです。








(使用)
 60gと軽量でハンディ機に直付けでき、三脚設置の場合もトップヘビーにならないので、倒れにくいです。ベランダで聞き比べてみたところでは、コイルの異なる2つのアンテナの違いは感じ取れませんでした。2つともRH-770に比べ信号が強くなります。といってもほんのちょっとです。シングルバンドなのでもう少し上がってもよいのでは?と思わなくもないです。LC回路、コイルとコンデンサーのQ、エレメント長等々わずかな違いが性能の差として表れるとすれば、まだまだ改良の楽しみがあるのかな、と思います。機会をみて送信も含め試してみます。





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スケルトンホイップ・バリコン同調式(145MHz)

2020年01月21日 | ノンラジアルアンテナ
 ノンラジアル実験ボードの場合、ミノムシクリップで配線するためどうしても浮遊容量の問題が付きまといます。実験ボードでは良好に共振しても、それを参考に自作してみるとまったく違った結果になってしまう、ということが起こります。配線の線材はゼロにするのが理想。ということで骨組みのみのスケルトンホイップアンテナを実験的に作ってみることにしました。多少共振点が変わっても調整できるようバリコン同調式にしました。

<材料>
・太さ1.7mmのポリウレタン線(コイル)
・5pFタイトバリコン
・95cmロッドアンテナ
・1kΩ抵抗(コイル測定用)
・BNCコネクター
・丸端子、L金具、他


回路図


 まずはコイル自体が145MHz帯にきちんと共振している必要があります。実験ボードでの経験から直径1cmでおおよそ5回巻きと見当をつけました。アンテナの代わりに1kΩの抵抗を付けアナライザーで測ってみると共振点は170MHz付近となり巻き数が足りません。7回巻きで試したところ、今度は下がり過ぎてしまいました。バリコンを回すのみではさほど変わらず、かえってSWRの悪化をまねいてしまいます。バリコンはSWRの最も下がった箇所に合わせておき、コイル間隔の方をドライバーで慎重に広げて共振点を上げ、145.000に合わせることができました。グラフ上も疑似共振点はなく、急カーブを描いてQは悪くさなそうです。Cのみに頼るとぼやけたコイルができてしまいます。CとL双方を可変しベストを探すのがコツのようです。






 最終的にエレメントを取り付けた段階で微調整することにし、コイル完成。太さ1.7mmのポリウレタン線を直径1cmで7回巻き。コイル間隔2mm程。

 次にエレメントの取り付け。コイルに丸端子をハンダ付けし、長さ95cmのロッドアンテナをねじ止めしました。これで1/2λノンラジアルアンテナとなります。ロッドを伸ばしあらためてアナライザーで測ったところ、共振点が若干ズレており、コイル間隔を3mmほどに広げかつバリコンで調整しベストマッチングとなりました。








 いくら実験的なものといっても、さすがにこの状態では使用に耐えられません。多少重さがあるのはロッドエレメントのみなので、コネクター台座との間をL金具とプラスティック板で固定することにしました。ハンディ機に直付けしてみましたが、特にグラつくようなことはないです。重さ60g。








 ベランダで受信してみました。RH-770との比較で少しSが上がります。これまでなかなかRH-770を超えられなかったのですが、今回は悪くないようです。配線を省いたこと、コイル作り段階でそれなりの調整をおこなったこと、バリコンで追い込んでいることが何らか良い結果になっているのかもしれません。 







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ピアノ線コイルアンテナ(145MHz)

2019年12月22日 | ノンラジアルアンテナ


 ソレノイドコイル(空芯コイル)を大きくしていくと、いつしかループアンテナと化し、外部アンテナなしでも十分な音量で鳴ってくれることはゲルマラジオの製作で経験してきました。コイルとコンデンサーで同調を取るLC回路という点で、ノンラジアル回路と何ら変わりません。145MHzでもコイルを大きく巻くことで、エレメントなし、それ自体をアンテナにしてしまうというのもありでは? ピアノ線を使い、直径10cmのコイルで試してみました。

 結果を先に書くと、10cmのミニループでは付属ホイップとあまり変わらず、期待した性能とはなりませんでした。さらに大きなコイルなら違う結果が出るのかもしれませんが・・・。ということで95cmのロッドエレメントを追加し、1/2λノンラジアルアンテナとしました。このくらいのコイルになると指向性があり、偏波面も微妙です。動作が良くわからないアンテナになったかもしれません。




〈材料〉
コイル 太さ1.2mmのピアノ線を直径10cm、6回巻き
ユニバーサルブッシュ
トリマーコンデンサー(1.9~16.1pF 耐圧300V)
BNCコネクター
ミノムシクリップ、丸端子
三脚用金具
木板、他


<製作>
 ピアノ線は元々直径10cmで丸くなった状態のものを使いました。そのまま伸ばせばコイルとなります。6回巻きのところで切断。長さ約2mで145MHzの1λとなりますが、線材の長さに根拠があるわけではなく、6回巻きでたまたまこの長さになったということです。ユニバーサルブッシュの溝に1cm間隔ではめ込み、ホットボンドで固定。これでコイル完成。




 当初5pFコンデンサーやバリコン(5pF前後)をつないでみましたが、可変範囲が狭く、うまくマッチングしませんでした。秋月電子のトリマーに変更。ロッドエレメントの取り付け位置はアナライザーで測りながら、末端近くのコイル上部としました。丸端子をハンダ付けし、ねじ止めしただけです。浮遊容量を抑えるため、今回もなるべく線材を使わず配線しました。ピアノ線はハンダが乗りにくく難儀します。ステンレス用ハンダとフラックス必須です。








 ロッドエレメントを伸ばした状態で測定を繰り返し、コイル末端から2巻き目の接点かつトリマーで追い込んだところ、SWRがストンと落ちてくれました。アンテナ作りで何が楽しいかと言えば、案外こういう瞬間なのかもしれません。


 145MHz用マッチング回路のコイルとしては破格の大きさと言えます。無駄に大きいだけなのか、それとも何らか意味を持つのかはわかりません。試してみることに価値あり? 実戦向きではないし、性能的にも?ですが、これはこれで良しとし、とりあえず使ってみることにします。


<追記>
 本日、大年寺山。三脚に設置してアナライザーで測ってみると、まったくマッチングが取れません・・・???。はんだ付け不良でトリマーの片側が抜けてしまっていました。セロテープで応急処置したもののSWRが下がらず、本来の性能ではなかったと思います。比較実験というほどのことはできませんでした。それでもJP7IEL局とDVにて2時間ほど安定して交信を続けることができました。リペアしてまた試してみます。











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ノンラジアルアダプター・フィールドテスト

2019年12月15日 | ノンラジアルアンテナ


 最高気温8度。寒いです。本日も大年寺山の散歩がてら、アンテナをテストしてみました。

<装備>
アンテナ 1.0mのロッドアンテナ(BNC)+ノンラジアルアダプター
     RH-770
リグ   ID-51(145MHz)






 1.0mのロッドアンテナというのはありそうでなく、アマゾンで注文したところ、1ヵ月の船旅を経て、到着しました。BNCコネクターが付いていますが、ただのロッドアンテナなので、これをリグに取り付けても整合は取れません。受信のみなら聞こえることは聞こえます。ノンラジアルアダプターを介すると送信可能となり、受信の信号もグンと上がります。ベランダの実験ではRH-770との比較で遜色ないかな、との印象でしたが、果たしていかに。

 設営ポイントは前回と同じ。JP7IEL局と145MHzで交信できるのは抑圧やノイズの問題があり、大年寺山ではこのポイント(半径1m前後)以外にありません(双方5Wハンディ機 距離約40km)。現地にてあらためてアナライザーで測ってみたところ、若干共振点が上にあり、クリップ調整(インダクタンス)のみではうまくいかず、トリマーを0.数ミリ回したところ、ベストマッチングとなりました。おそろしくクリティカル。




 はじめにRH-770でお呼びし55-55。アダプターアンテナに換えたところ59-57。音量が高くなったように感じ、Sメーターも上がったとのレポートをいただきました。三脚から外し、リグ直付けでも使ってみました。結果は変わらず、アダプターアンテナの方が信号も安定し、聞きやすく感じます。思ったより性能が出ているようで、大型のマッチングコイルの効果でしょうか。





 今回もFMで交信中、テレビ塔からの抑圧を受けました。最大S6程のノイズで交信が厳しくなる場面がありました。DVに移ったところ、なぜかこの影響はなく快適に交信を続けました。IEL局よりDVのまま0.5Wで送信いただき、大きな崩れなくメリット5で復調。デジタルは抑圧やノイズに弱い、はず・・・。単なるテレビ塔からの送信タイミングの問題なのかもしれませんが、よくわからず、です。


 ノンラジアル回路(電圧給電)により、自分的にはアンテナ作りの自由度が増したように思います。このマッチング法なら気の済むまで追い込めるし、端から給電なのでエレメント形状の制約もあまりなし。何か思いついたらまた試してみます。



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ノンラジアル・アダプター

2019年12月11日 | ノンラジアルアンテナ


 ロッドアンテナやハンディホイップなどラジアルが必要なアンテナをノンラジアル化するアダプターを試験的に作ってみました(145MHz用)。ノンラジアル回路(LC回路)は様々で、ある意味無限にあります。かつ浮遊容量の問題があり、なかなか厄介です。この間の試行錯誤を踏まえ、LとCを自由に可変でき、配線を省略して余計なコンデンサー成分を抑えることを念頭に作製しました。








<材料>
・ユニバーサル基板 9cm×6cm
・トリマーコンデンサー(1.9~16.1pF 耐圧300V)
・コイル 2.2mmなまし銅管を直径3cm 5回巻き
・BNCコネクター2個
・ミノムシクリップ
・三脚取付け用ナット(W 1/4)

 何度か書いている通りQの高いコイルの条件は、1)太い線材を使う、2)大きく巻く、3)スペースをあける、の3点。145MHz帯では通常さほど大きなコイルは使わないわけですが、少しでもQを高めること、ミノムシクリップで挟みやすくすることを考え直径3cm、間隔8mmとし、少し多めの5回巻きとしました。回路は「3/4λノンラジアルアンテナ改良」の記事にあるのと同じです。いわば簡易的なアンテナカプラー(チューナー)と考えるとわかりやすいかと思います。製作は見ての通りの簡単なもので、ハンダ付け以外は特に面倒なことはありません。






<調整>
 三脚に設置した状態で、1.0mのロッドアンテナ(1/2λ)を取り付け、ミノムシクリップをコイル中間(3巻き目)に接続。トリマーを慎重に回しながらアナライザーで測定すると、145.000付近で大きくSWRが下がってくれました。あとはクリップ接点を微調整し、追い込んでいきます。






 1/4λのハンディホイップ、コメットBNC24(長さ43cm)で試してみました。当然ながらトリマー位置、コイル接点双方とも変わってきます。慎重に探りながら調整し直すのでけっこう疲れます。はじめにトリマーを回して大方の見当をつけてからコイル接点を探るのがコツのようです。2巻き目に接続しマッチングしてくれました。



 サガ電子のSUPER ROD−2(5/8λ長さ120cm)でも試したところ、BNC24に近い位置でベストマッチングとなりました。適当な長さのワイヤーなどでも整合は取れるかと思います。







 LC回路は奥が深いです。コイルをさらに大きくしたらどうなるのかとか、トリマーを2個使って回路を変更してみるとか、試したいことが次々出てきます。







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3/4λノンラジアル調整

2019年12月09日 | ノンラジアルアンテナ


 給電部ケースに穴をあけ、三脚に固定した状態のままドライバーでトリマーを回せるように改良しました。中の見えない小さな穴にマイナスドライバーを差し込み、最大限の集中力でほんのわずか動かす。頼るのは手の感触のみ。このような所作はそれだけで気がめいってくるものですが、何かを探り当てるかのように胸が騒いだりします。トリマーを回してはアナライザーで測定、回し過ぎて再度慎重に戻しまた測定、といったことを繰り返しているうちに、自分でも驚くほど「ど真ん中」、見事にマッチング、整合してくれました。何か別の力でも働いたとか・・・・。再度回したりしたら2度とこの状態に戻せないのでは? そんな気がしないでもありません。






 前回と同じ大年寺山。同一場所に三脚を置き、アンテナ設置。上記の調整はそこでおこないました。約40km離れたJP7IEL局に今回もおつきあいいただき、持参したRH770、J型アンテナと比較しながら2度目のフィールドテスト。双方パワー1W。

 結果は、
 J型アンテナ〉3/4λホイップ〉RH770 となりました。J型アンテナ(5/8λ)と3/4λホイップは大きな違いはなく、どちらかと言えばJ型アンテナの信号が安定するとのこと。RH770に替えるとバックノイズが増し、信号も少し弱くなるとのレポートでした。こちら側の受信も同様の結果でした。






 ただし常時ではないものの3/4λホイップのみ盛大に抑圧を受ける現象が今回もみられました。抑圧を受けるとノイズ信号のみで最大S5振ってしまうため、変調が埋もれてしまいます。J型アンテナとRH770はこの現象なし。試しに元のアンテナであるNR-2Cの給電部にエレメントを差し替えたところ、同じく盛大に抑圧を受けます。自作給電部に問題があるのではなく、3/4λのエレメントが抑圧を受けやすいということのようです。以前もDCRで同様の現象が起こったことがあります。3本のテレビ塔からの様々な送信波が入り乱れる大年寺山特有の現象なのかもしれません。




 ということで送受信とも3/4λ相応の性能は出ているとみられ、ノンラジアル機能も問題ないようです。帰宅後、ベランダにてあらためて受信比較してみたところ、抑圧やノイズの影響なく、弱い信号ではRH770に比べ聞きやすくなります。J型アンテナとの比較でも悪くない感触。トリマーが動いてしまう心配があり、ベストな状態を保てるのか疑問ですが、一応、調整終了とします。3/4λノンラジアル、4分割式、重さ150g。機会をみて山で使ってみます。







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3/4λノンラジアルアンテナ改良?

2019年12月02日 | ノンラジアルアンテナ

 前作の回路は安定感がなく、ベランダの測定位置によって共振点やSWRが大きく変わってしまう問題点がありました。浮遊容量が不規則に発生し、ノンラジアルとして機能しているのかも疑問。ということで、コイル、コンデンサー、回路すべてを変更して作り直しました。

・コイル 太さ2.2mmなまし銅管を直径2.0 cm 3回巻き
・コンデンサー トリマーコンデンサー1.9~16.1pF)






 コイルを5回巻き、4回巻きと試してみました。この太さとなると3回巻きでも十分なインダクタンスが得られるようです。キャパシティは秋月電子のトリマーコンデンサーを使いました。これなら実験ボードと同じで、ケースに装着してからベストな容量が得られます。コイル、トリマーとも網線側に接続し、コイル中間からタップを取り芯線側につなぐ回路に変更。その状態でトリマーを慎重に回すと145.000MHz付近でストンとSWRが下がってくれました。少し下に共振点があったのでコイル幅を広げ、タップ位置も何ヶ所か試してから確定しました。回路は下記のとおり。


 
 コイルは巻き過ぎると良いことなし、コンデンサー成分(浮遊容量)もあちこち発生するので配線は太く短くのセオリーどおり。ベランダで受信してみたところでは、そこそこ性能が出ているように感じたのですが・・・。


<フィールドテスト>

 いつもの大年寺山にてJP7IEL局にお付き合いいただき、RH770と比較してみました。距離約40km。双方ハンディ機5W(IEL局のアンテナは1/2λモービルホイップ固定)。実験の前に3/4λホイップを三脚に取り付け、アナライザーで測定したところ共振点は145MHz帯にあり、SWRは1.2とベタ落ちにならないものの、問題というほどではありません。






 はじめにFM。RH770で54-54。3/4λホイップに替え同じく54-54。ただ、RH770ではほとんど感じなかったノイズが見られます。もともと大年寺山はテレビ塔からの抑圧やノイズの多い環境ではあるのですが、ノイズを拾う何かを内包しているようです。DVデジタルに移り55-55。FM特有のノイズが消え、快適に交信できました。ここまでは両アンテナにさほどの違いは感じませんでした。






 FMに戻り、IEL局にパワーを下げて送信いただき、受信テストをしてみました。

その結果
 0.5W  RH770で51 3/4λホイップで41(ノイズ多い)
 0.1W  RH770で41 3/4λホイップで入感なし

 となりました。0.1Wの際、RH770では弱いながらもなんとか了解できる信号が3/4λホイップはノイズのみで変調が確認できません。実験前の予想としては、3/4λホイップが利得的に有利なはず、と楽観していましたが、RH770(1/2λ)に及ばずという結果でした。エレメントの長さを生かしきれていないということなのか。ノイズフロアが高いために入感しても変調が浮いてこないということなのか。あるいはLC回路的にマッチングは取れている、それがイコール性能ではない、ということかもしれません。まだまだ改良の余地はあるかな、といったところです。






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3/4λ ノンラジアルアンテナ

2019年11月25日 | ノンラジアルアンテナ


 元は第一電波のNR-2Cという145MHzシングルバンドのモービルホイップで、ノンラジアル機能がうまく動作せず、1本ラジアルを付けて山岳GPとして使ってきたことは過去記事に書いた通りです。ノンラジアル実験ボードで少しコツがつかめてきたことから、このアンテナの給電部を新たに作り直してみることにしました。山岳で使うことを考え軽量化し、三脚に設置できるようにしました。エレメントは銅パイプ連結式。製品のエレメント寸法と変わらず126cm。中間コイルにより3/4λとなります。NR-2Cから部品として使用したのは中間コイルのみです。




 ノンラジアルの給電部を作るにあたり、あらかじめ実験ボードで試した結果、LC回路は次の組み合わせとなりました。いくらかでもQを上げられないかと、コイルは太い銅線で巻き数多めとし、その分キャパシティは小さくする、いわゆるHi L回路としました。

・コイル 太さ2.2mmなまし銅管を直径1.5cm 6回巻き
・コンデンサー 5pF +10pF直列(=3pF)

 プラケース(タカチ縦9.5mm×横4.5mm×奥行2.5mm)にBNCコネクターをねじ止めし、エレメントを差し込むための銅パイプを固定。コイルを網線側(グランド側)、コンデンサーを芯線側に取り付けます。めんどうなのは穴あけ加工のみで、苦も無く給電部完成。

 ところが・・・。さっそくエレメントを差し込んでアナライザーで測ってみると、まったく整合が取れません。楽観して甘くみていたようです。実験ボードでは配線用ミノムシクリップがコンデンサーとして働き、増加したり相殺されたりして、うまくマッチングが取れていただけだったのかもしれません。






 いったん5pF +10pFを外し、同軸ケーブルコンデンサーに変更。これなら少しずつカットしていけば、どこかで共振点が見つかるはず。でも、うまくいきませんでした。共振点らしきものはあるのですが、SWRが下がってくれません。コイル間隔を広げたり縮めたりしてもダメ。試行錯誤の結果、コイル中間からタップをとり、そこに5pF +10pFを追加してみたら、共振点、SWRとも落ち着いてくれました。配線は太く短くを心がけましたが、その長短によっても変化します。これ以上何かをいじるとまた変わってしまいそうなので、ここまでとしました。なぜマッチングが取れているのか、自分でもわからず、です。





 NR-2C(ラジアル追加)の給電部と入れ替えながら、ベランダで聞き比べてみました。強い信号は変わらずですが、弱い信号はNR-2Cの方がわずかに聞きやすく感じました。ちょっとがっかりではありますが、LC回路が異なる上に、調整不足がいなめず、致し方ありません。


三脚設置 エレメント含む重さ150g


 今回は調整8割、製作時間2割といった感じでした。1/2λとは違った手ごわさを感じました。まだベランダでの調整のみで、フィールドでは変わってくるのかもしれません。






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バリコンなしのマッチング(1.5D同軸コンデンサー)

2019年11月18日 | ノンラジアルアンテナ



 バリコンを使わず、コンデンサー単体でマッチングが取れないか、実験ボードにて様々なコイルとコンデンサーの組み合わせを試してみました。145MHzなのでコイル巻きは簡単で、直径、巻き数、線材を変えて何種類か巻きました。後から間隔を広げたり狭めたりすることを考えると1.8mm銅線が使い勝手が良く、これを基本に3回~7回巻きにしてみました。手持ちのコンデンサーは限られるので、直列、並列でいろいろと容量を変えてみたところ、この太さのコイルであれば、キャパシティはかなり小さくて良い、ということがわかりました。




コンデンサー5pF+5pF+8pF+8pFを直列
コイル 1.8mm銅線を直径1cm 4回巻き

 この組み合わせでマッチングが取れました。コンデンサー容量は1.5pF程になります。3pFを2個直列にするとちょうど良いかもしれません。部品箱にそのような好都合な在庫はなく、ふと、同軸ケーブルをコンデンサー代わりにするというネット記事を思い出し、試しに作ってみることにしました。






 同軸ケーブルは3D2Vでも1.5D2Vでも問題ないようですが、要は小容量のコンデンサーを作るわけなので、細い方が良いだろうということで、1.5D-QSUPERという壊れたクリップベースのケーブルを使いました。5cmでカット、芯線、網線それぞれ1.0cm被覆し、実験ボードにセット。アナライザーで測ってみると、共振点が下にあるのはわかるのですが、SWRの谷が不明瞭でよくわかりません。少しずつカットしていき、2.5cmまでカットしたところで、共振点が近づき、SWRのカーブもだいぶ明瞭になってきました。そこから1mm単位で慎重に切り詰めたものの、今度は145.000から少し上に行ってしまいました。わずかに切り過ぎたかもしれません。黒い外皮部分の長さ2.2cm。カットはここまでとし、コイル側の間隔を狭めて共振点を下げ、なんとか145.000付近でマッチングがとれました。SWRベタ落ちとはなりませんが、環境によっても変わるので、これ以上の調整は不要と考え、ここまでとしました。




 たしかにこの方法であれば必要とするコンデンサーがいつでも作れますね。しかも希望の容量に追い込むことができます。コイル側の巻き数や接点で苦労するより、これの長さで調整した方が楽かもしれません。いづれ、このようなことを手軽に試せるのも実験ボードがあればこそかな、と思います。




 受信のみですが、ベランダにてRH770と比較しました。大年寺山でバリコンを使った時と同じです。ノンラジアルアンテナとして機能しているようで、遜色は感じられませんでした。





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ノンラジアルアンテナ実験ボード フィールドテスト

2019年11月17日 | ノンラジアルアンテナ



 ミノムシクリップ配線なので安定性、再現性に難があります。良好にマッチングが取れ、そのままの状態で翌朝測定すると変わっていたります。1ヶ所のみ固定配線に替えましたが、他もそうしてしまうと回路の変更ができなくなってしまうので、良い方法が思いつきません。とりあえず、この状態で大小いくつかのコイルを巻き、数種類のコンデンサーを組み合わせてマッチングを試したところ、コンデンサーは10pF直列、コイルは太さ2mm銅線を直径1.5cm、3回巻きとし、中間タップを取らずに接続することで、安定して動作するようになりました。といっても相変わらずクリティカルで、バリコンは慎重に回す必要があります。10pF+10pF直列なので、バリコンを回して5pFを前後する感じになります。






 ベランダで調整を終え、フィールドテストを実施してみました。いつもの大年寺山。JP7IEL局にお相手いただき、RH770と比較したり、交信中にマッチングが変わってしまわないか注意しながら試してみました。

<装備>
リグ ID-51(145MHz 5W)
アンテナの状態  エレメント104cm(1/2λ)
         コイル 2mm銅線を直径1.5cm、3回巻き
         コンデンサー10pF(直列追加)
3D2V 2m  三脚設置 地上高1.2m






 距離約40km。IEL局のアンテナはベランダに80cm程のモービルホイップ。双方ハンディ機5Wでいつも限界ぎりぎりに近い交信となる位置関係です。はじめにRH770でお呼びし52-52。この状態でホットスポットを探り、こちらの受信は55くらいまで上がりました。IEL局の方は安定しないようですが、交信に支障はない様子。位置決めしたポイントに三脚を置き、さっそく実験ボードに切り替えました。こちらには41~51で入感するも明らかに信号が弱くなった感じ。IEL局からは信号は確認できるが何を話しているかほとんど聞き取れないとのこと。「・・・・・いまいち?」 もしかしてマッチングが動いてしまっているのでは? いったん中断し、アナライザーで測定したところ、やはりベランダとは違います。勘を働かしてバリコンを回し、145.000付近でSWR1.2前後に設定し直しました。






 交信再開。RH770でお呼びした後、再度実験ボードに切り替えたところ、今度は信号が上がり、54-55で良好に交信できました。ID-51のSメーターで6個振れ、RH770より良いくらいです。確認のためもう一度RH770に戻し比較したところ、「実験ボードの方が変調に太さが感じられる」とのレポートをいただきました。少なくとも同等の性能は出ているとの感触です。マッチングが動いて交信中に不安定にならないか心配でしたが、そういうことはなく、2時間近くこの状態で安定して交信を続けました。




 終了後バンド内をワッチしたところ、山岳移動局のCQが聞こえ、応答しました。20km程の見通しに近い位置関係ではあるものの、相手局0.5W、当局0.1Wで59-59で交信できました。

 ということでフィールドテストはまずまずの結果でした。1/2λロッドエレメントにそのまま給電しても飛ばないわけですが、整合回路を通して給電すればラジアルなしで効率よく電波は飛んでいく、ということが身をもって実感できたように思います。




<今後の課題>
 1/2λと違い、もともと共振するわけでない5/8λ、6/8λの長さにロッドを伸ばした場合はどうなのか、整合自体は取れたとして、性能的には果たしてどうなのか。また、市販のモービルホイップのように、バリコンを使わずコンデンサー単体でうまくマッチングは取れるのか、その場合、周りの環境で変化しないのか(変化すると調整のしようがないのでは?)。などなど、考えをめぐらせています。





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ノンラジアルアンテナ実験ボード

2019年11月11日 | ノンラジアルアンテナ


 RH770やデジ簡用SRH350DHはどちらも1/2λのノンラジアルアンテナで、山岳ではよく飛んでくれます。最近使い始めたRH-660Sも1/2λノンラジアルタイプです。これなどは重さわずか65gで、たぶん細い銅線のマッチングコイルを使っていると推察しますが、それでも意外な性能を発揮してくれます。整合のとれたアンテナは気持ちよく電波が飛んでくれる、という当たり前の話しではありますが、あらためてノンラジアル(ツエップ)というものに興味がわいて、簡単な実験ボードを作ってみました(145MHz用)。

 ノンラジアルアンテナというは、エレメントとケーブルの間に整合をはかるためのLC回路を入れるだけです。耐圧を考えておく必要はあるものの、難しくはありません。ボード上にエレメント、コイル(L)、コンデンサー(C)および回路を変更できるように配列しました。

〈ボードの材料〉
・長さ160cmのロッドアンテナ(エレメント)
・塩ビパイプ(ロッドアンテナ固定用)
・プッシュ式ターミナル端子2個
・タイトバリコン 10pF
・BNCコネクター
・7cm×8cmの木板
・三脚取付け金具(裏面)

 入手しにくいのはタイトバリコン。だいぶ前に秋葉原で購入した10pFが手元にあり、それを使いました。容量はコンデンサーを直列や並列に追加して調整します。ターミナル端子の一方にコイル、もう一方にコンデンサーを差し込みます。


実験ボード



回路図


 この実験ボードで何をするのかというと、
1)コイルの直径、巻き数、巻き方、線材の太さ、材質などを換えてみる
2)コイルの何巻き目に接続するか、Cの直列、並列など回路の変更
3)コンデンサー容量の可変
4)ロッドエレメント伸縮(1/2λ〜6/8λ)

 などで、要はこれらを通してマッチングを探ってみる、ということです。アナログな実験自体に楽しさを見出しているので、こういうのも有りかな、と。

 ボードが完成したところで、さっそくコイルを巻いて試してみました。

〈実験〉
 ・エレメント 1.04メートル(145MHz 1/2λ)
 ・コイル 2mm銅線を直径1cm、6回巻き
 ・コンデンサー バリコン10pF(+8pF)






 基本の1/2λ。145MHzに共振させることを念頭に、コイルを巻いてみました。ターミナル端子にセットし、アナライザーで測定したところ、共振点が低く、バリコンを回しても145MHz帯にはマッチングしてくれません。

 





 コンデンサーを直列に追加するとCは減少し、共振周波数が高くなります。コイルの巻き数を減らすとかスペース巻きでもL(インダクタンス)が小さくなり共振点が上がります。ということで、8pFを直列に追加。さらにコイル間隔を広げ、中間くらいに接続。その上でほんの少しずつ慎重にバリコンを回し、なんとか145MHzメイン付近でマッチングがとれました。コイル接点もバリコンも1ミリ動いても大きく変わります。思いのほかクリティカル。エレメントの長さは1/2λで固定し、コイル接点とコンデンサーを可変しながら共振点を絞り込むのが良いようです。ノンラジアルアンテナというのは、微妙な調整の上に成り立っているのだな、と妙に感心してしまいました。




〈課題〉
 ミノムシクリップ配線のため線材が長く、目に見えないコンデンサー成分(浮遊容量)があちこちに存在する可能性があります。短い配線の工夫が必要。





 実際の送受信性能はどうなのか? といったことはこれからです。とりあえず、ノンラジアルアンテナとして機能しているようなので、今後、いろいろ試してみることにします。何か得られるものがあれば、山岳用に1本作ってみてもいいかな、と考えています。
 




コメント (8)
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