JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

笊森山荘

2010年09月29日 | 奥山 移動運用
 東北の山中にある山小屋は、ほぼ100%無人の避難小屋で、中には荒廃して使えないケースもあるのですが、ここ10数年、かなり建替えが進んできました。この笊森山荘もいつのまにか新築なって、生まれ変わっておりました。



山小屋で移動運用してみようと思ったのは、
1)多くが見晴らしの良い稜線上に存在する
2)天候急変の場合は小屋に逃げ込める
3)トイレがある
4)実際に遭難など非常事態が発生した場合、山小屋が救助の拠点にもなることから、小屋からどの程度の交信が可能か、あらかじめ確認しておくのも無意味ではない
5)山小屋そのものの状態を見ておきたい

 などの理由からです。可能なら一泊して、夜中、山上からQSOなどというのも夢見ていますが、これからの季節、小屋の外は寒くて交信どころではないでしょうから、よほど条件が揃えばの話しです。


 さて、笊森は栗駒山の東に位置する標高1355mのなだらかな小ピークで、QTHは岩手県一関市。山頂近くに栗駒山中で唯一の山小屋である笊森山荘があります。栗駒山よりも270mほど低く、電波伝搬ということでは期待はできないのですが、あえて山小屋移動運用を決行してみました。

 9月最後の日曜日、心配した台風は遠く北海道沖まで北上して、東北地方は秋晴れ。午前7時、登山口の須川温泉に到着。人気の山だけあって、既に駐車場は6割方埋まっていて、何組かの登山者が登っていくのが見えました。今日は、山荘まで行って、笊森山頂近辺で無線をして、昼頃下山の予定なので、先を急ぐこともありません。名残が原、産沼を経て、山頂への分岐を左折、磐井川源頭付近、トラバース気味の細々とした道を進むと、間もなく視界が開け、笊森山荘の赤い屋根が見えてきました。山荘着8時20分。


名残が原


産沼

 十数年前、一度だけこの山荘を訪れたことがあります。泊まったわけではなく、東栗駒山から見える、笊森の平坦な草地に建つ赤い屋根が気になって、わざわざ行ってみたのです。小屋には2~3人の単独行の方が休んでいました。まだ歩いたことのなかった裏掛コースのことなどを話した記憶があります。ここは喧噪の栗駒山頂とは別世界。静かに山を楽しみたい人が、一人、二人と静かに訪れる、そんな特別な場所との印象を強くしました。

 再訪した山荘は、高床式2階建てに建替えられ、水洗式のトイレも備わっていました。内部も明るく、塵一つなし。丁寧に使われていることが一目瞭然なのです。この小屋がこんなにすばらしく生まれ変わったことが、何か誇らしく、うれしくなりました。


山荘と笊森(奥)

山荘内部


 さて、小屋を確認したところで、さっそく無線運用にとりかかりました。運用場所は山荘のすぐ上の展望地。この辺りは、一面の草原で、焼石連峰や北上山地の眺望も申し分ありません。リグはいつものハンディ機DJ-S17(145MHz 5W)と J型アンテナ。


無線運用場所から



 設置してすぐ、メインで秋田市の局のCQが聞こえてきました。ホームでは秋田の局が聞こえることはまれで、ここが栗駒山中であることを実感。さっそく応答したところ59-59で交信できました。交信後、あらためてVFOを回してみると、ローカル局の交信が聞こえるのみで、静かです。やはりロケ的には期待できないかな?と思いつつ、CQを出してみました。どちらかというと北東と北西に開けており、秋田、岩手は通りが良いようです。岩手は、盛岡市、花巻市、紫波町、遠野市、宮古市(早池峰山)など各局。秋田は、秋田市、由利本荘市、雄勝町(寒風山)、横手市など各局と交信。南方向に関しては、東栗駒山が壁になっているようで、まだらな飛び方をするようです。石巻市、大崎市、登米市、亘理郡など宮城県東部沿いの各局と交信できましたが、仙台からは呼ばれずじまいでした。山形の局もなし。南西方向はよくありません。信号の伸びも今ひとつ。1局が終わると次が続かず、メインに戻って、ぽつりぽつりと応答いただくという感じの運用を3時間ほど続けて、QRTとなりました。

 無線運用に関しては、栗駒山頂や秣岳の方がFBかと思います。でも、今回は、笊森山荘からの電波伝搬をある程度確認できたこと、なにより誰もいない山中の草原に一人腰をおろしてQSOを続けられたことだけで充足感がありました。次の山小屋移動運用はどこに? 自分的なテーマがまた一つ加わったような気がしています。




コメント (4)
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高山にて430

2010年09月01日 | 奥山 移動運用
 高山(たかやま)、標高1805m。福島県福島市。吾妻連峰の南端に位置する独立の峰で、特に南方向によく開けたロケーションです。ここの山頂には、2枚の巨大な反射板が設置されていて、山頂の雰囲気を著しく損ねていることや、反射板が何らかの影響をおよぼして、面白い電波伝搬が楽しめるのではないか、ということについては、以前にも書きました。前回は、2度とも145MHzでの運用で1エリア各局と交信できましたが、反射と言えば430。巨大反射板を背に430MHzで運用してみたらどんなだろうとの好奇心で三たび登ってみました。

 この日、日本海側は晴れ、太平洋側は東からの湿った空気が流れ込んで曇りの予報。この山は、前回、前々回とも天気に恵まれず、時にガスまじりの突風で飛ばされそうになりながら交信を続けたことが脳裏をよぎりました。行くだけ行ってみようと仙台を朝4時に出発。福島市内はどんよりして、山の稜線は見えません。今回も悪天候?不安なまま、磐梯吾妻スカイラインを上がると、徐々に明るくなり、なんと雲間から真っ赤な日の出が。浄土平に着く頃には青空が広がっていました。眼下は一面の雲海。
 

浄土平付近より


 鳥子平からは、勝手知った登山道をひたすら登り、午前7時前に巨大反射板のある山頂に到着。正面に箕輪山と安達太良連峰が飛び込んできました。西には磐梯山、北は東吾妻山と鎌沼、一切経など・・・。南側が切れ落ちて、真下には麦平の湿原や野地温泉などが見えています。眺望に恵まれ、高度感にも優れた申し分のない山頂です。なのに、無粋な反射板が・・・。そういう理由もあってか、登山の対象にはなりにくいのかもしれません。この日、5時間近く山頂に居座ったのですが、誰一人登ってくる人はいませんでした。


高山山頂


巨大反射板


 さて、さっそく無線の準備。場所は2枚ある反射板の真後、山頂の西端。リグは、アルインコのDJ-S47、430MHzモノバンドハンディ機(4.5W)。しばらくぶりの登場となります。アンテナはスイスクワッド。山岳移動を始めた頃はよくこのコンビで運用しました。スイスクワッドは神奈川ハムセンターからスタック(2個一組)で購入したもので、山ではシングルで使います。10×15センチ程の立方体なので小型ザックにもすっぽり入って、現地での組み立ては不要。


スイスクワッド

ガンママッチがなぜかハンダ付けされているため、
リング(下)を装着して共振点を合わせることに。

エツミのセットスクリューで三脚に装着


 ワッチしたところ、まだ7時前というのに、何局か信号が入ってきます。山での運用は、この瞬間が一つの醍醐味ですね。とにもかくにも信号がたくさん聞こえること。その中に混じって遠方の信号も聞こえてくれば御の字。試しに、RH-770に変えて、反射板のまわりをうろついてみたところ、場所によってかなり強弱があります。反射板との距離によっても変わるようですが、それが本当に反射板の影響なのかどうかの確証までは得られませんでした。

 ちょうど7時、はじめの場所に戻って、1エリアに向けて、CQを出したところ・・・応答なし。再度CQ・・・応答なし・・・?? やはり430は厳しいかな。それとも時間が早すぎ?はたまたリグが壊れた?3度目のCQ・・・。やっと福島市内から応答いただきました。「え、もう山頂ですか?」いつも山頂同士で交信いただいている局でこれから山仕度とのこと。続いて、埼玉県新座市の固定局。GPで20W、59-59。相手局が0.3Wに切り替えてみるとのことなので、こちらも0.8Wにして53-51。Sはまったく振れず、若干ノイズっぽくなりましたが、問題なく了解できました。ナビで調べていただいたところ、新座市とは安達太良と那須連峰を微妙にすり抜け、ほぼ見通しとのこと。興味深い交信をさせていただきました。距離約220Km。この後、茨城県稲敷市57-59、桜川市59-59、八千代町59-59、猿島町51-51、千葉県船橋市57-59、銚子市59-59、東京都東村山市55-55など各局と交信いただきました。相手局のロケーション、設備によりますが、おおむね200から240 Kmの範囲で良好に交信可能なようです。145でヘンテナを使った時に比べて、交信範囲は広いように感じました。当てずっぽうで、西に向けて山岳反射を試みたのが良かったような・・・。 ただ、0エリアからの応答はありませんでした。





 小休止して、今度は145MHz(DJ-S17)で運用してみました。アンテナはツインデルタループ。場所も少し移動して、山頂東側、反射板の側面。北は宮城県石巻市や大崎市、南は千葉県成田市、西は富山県黒部市の唐松岳山頂移動局と交信できました。唐松岳は運用される方が多いのか、蔵王南屏風岳、鳥海山中腹に続いて、これで3度目です。52-55。相手局はFT-817+ホイップとか。遠いと思っていましたが、帰宅後、地図で確認してみると、東京とあまり変わりません。距離約250 Km。この日の最長記録でした。


ツインデルタループ(エレメント全長約4m)





 今回は、久しぶりの430運用で、各局に交信いただき、思いがけない出会いもありました。430にしても145にしても5W弱のFMハンディ機と簡素なアンテナで1エリアとそこそこ安定して交信できる北限の山頂がこの高山なのかもしれません。蔵王周辺からではこうはいかないです。西吾妻や磐梯山、飯豊ならどうなんでしょうか? そのうち、試してみたいとは思うのですが・・・。

 無線機持っての山岳徘徊、今シーズンもいつの間にやらもう半ばを過ぎたようです。


鳥子平湿原


コメント (2)
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