JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

二口山塊 北面白山

2010年10月30日 | 奥山 移動運用
 標高1264m。山形県山形市。不忘山から北に延びる蔵王連峰縦走路はこの山で終わりを迎えます。広義の意味で蔵王北端の山。地味ではありますが、仙台から電車で行けること、登山道が縦横に開かれ、バリエーションが楽しめるなど、山屋には貴重な山域です。この山は、若い頃、厳冬期に単独登山を試みて、ルートを失い、雪洞を掘ってビバークを覚悟したものの、怖さに耐えきれず、命からがら下山した苦い思い出があります。今思えば、無謀もいいところで、よく下山できたものだ思います。標高はさほどではありませんが、雪の深さは半端ではありません。それ以降、あまりこの山には足が向かなくなり、もっぱら南面白山や小東岳あたり、あるいは峠や谷筋を歩き回ることが多くなりました。ときどき、ホームでワッチしていると、この山頂の移動局の信号が細々と聞こえてくることがあります。いつか自分もと思いながら、なかなか実現できないでおりました。


中面白山より大東岳、南面白山



 今シーズン、白い物が降りてくる前の奥山の登り納めにと、十数年ぶりに北面白山をめざすことにしました。この日、天気は高曇り。一日崩れることはなさそうです。JR仙山線の始発に乗って面白山高原駅下車。登山者らしき5~6人が南と北に散っていきました。今回は、無線運用が目的の一つなので、山頂への直登ルートである「かもしかコース」をとりました。名前に恥じることなく、急登に次ぐ急登。約2時間の直登です。やっと見晴らしが良くなったと思ったら間もなく、そこが山頂でした。小広いピークは高度感があり、360度遮るものがありません。南面白山から大東岳の稜線が目の前に迫り、遠くには鳥海山も霞の上に、浮かんでいました。はるか彼方には仙台のビル群らしき建造物も確認できます。久しぶりの山頂、申し分のない眺望を楽しむことができました。



北面白山 山頂


山頂直下より


 さて、誰も来ないうちに、さっそく無線の準備。人気のある山で、けっして広くはない山頂なので、今日はJ型アンテナのみ。運用は、2番目と3番目の電車で登山者が登ってくる前の2時間弱です。リグはいつものDJ-S17 5W。

 ワッチしてみると、宮城、山形、新潟各県の信号が聞こえています。周波数チェックの後、午前9時20分、CQを出し始めました。前半は、ほとんど宮城、山形各局からの応答でした。隣の南面白山での運用の時と比べても信号に伸びが感じられません。1時間30分ほど運用を続けていったんQRT。小休止のあと、再びバンド内ワッチしてみると、岩手県宮古市のクラブ局のCQが聞こえてきました。すかさず、応答して51-55。峠ノ神山移動局。モービルホイップとのこと。こちらにはクリアに入感していました。約200km。さらに「JR8・・・/8」のかすかな信号。42~41程で入感。こちらもクラブ局。コールサインと移動地は完全に確認できました。2~3度程応答を試み、粘ってみたのですが、コールバックいただけませんでした。そのうち、ノイズに埋もれがちとなり、了解できなくなってしまいました。この局の移動地は函館の隣の北斗市ということでした。距離約400km。残念。





 ちょうど十数人のグループが登ってきたところで、いったん撤収。縦走路を中面白山に向かいました。この山頂も見晴らしは抜群ですが、山頂らしい雰囲気はなく、単なる通過点という感じで、標識もありません。今度は、ハンディ機にロッドアンテナRH770を取付けてワッチしてみました。タイミングよく、岩手県岩泉町の安家森移動局のCQが52ほどで入感。コールしたところ、さっそく応答あり。8向けのアンテナをこちらに回していただいて57-59で交信成立。安家森はさきほどの峠ノ神山よりも北に約40km。この日の最長記録でした。さらに少し下山したところで、新潟県魚沼市の守門岳移動局のCQ。この局もハンディ機、2Wだそうで、同じくRH770をお使いとのことでした。RH770、なかなかのものです。59-57。


 山頂ではそう長い時間はとれないので、せっかちにCQを出すことが多いのですが、じっくりとワッチしていれば、ホイップ系のアンテナでもかなり遠方からのCQが逆に聞こえてくるのかもしれません。山頂に着いたら、ゆっくりコーヒーでも飲みながら眺望を楽しむ、その間、メインをワッチしておいて、遠方の信号でも聞こえてきたら、コールさせていただく・・・。元来、「待つ」ということが苦手なもので、今はできない話ですが、遠い先も無線を続けているとしたら、たぶんこんなスタイルに落ち着いていくのかな、と思ったりもします。






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続ログペリアンテナ

2010年10月13日 | ログペリアンテナ
 熊野岳での運用で腑に落ちなかったログペリアンテナの動作。帰宅後、あらためて指向性の実験をしてみました。といっても、いつものトリフィールドメーターでの電界強度の測定です。

 測定の数字に単位はありません。15センチ程のハンディ機付属ホイップ(DJ-S17 145MHz 0.8W)でまったく振れない針がどの程度振れるかの測定。結果は?

◎ログペリアンテナ ELK 2M440L5
 フロント 8.0
 バック  1.5
 サイド  0.0

◎HB9CV(2エレ)比較のため
 フロント 8.0
 バック  1.8
 サイド  1.8

 何度か測ってみての平均値で、このような結果になりました。ログペリは計測器に対して45度ほど回すとほとんど振れなくなり、90度真横にするとまったく振れなくなります。送信に関しては、かなりサイドの切れるアンテナとみてよさそうです。

 次にベランダで受信実験してみました。ログペリとHB9CVを交互に取り替えて、どの程度回すと同じ局の信号が聞こえなくなるか、を聞き比べてみました。ちょうどコンテストで、移動サービス局の弱めで安定した信号が聞こえていました。結果は、やはりログペリの方が聞こえなくなる角度が狭くなります。厳密に測ったわけではありませんが、30度程度。HB9CVはそれよりブロードで120度くらいの範囲で了解できました。その違いは歴然でした。ただし、RSに関してはどちらも同等です。方向をしっかり合わせればログペリの方が良く聞こえるかと思って、何度か試してみましたが、そういうわけでもないです。利得は同等、しかし指向性に関しては2エレと5エレの違いなのでしょうか?

 熊野岳で感じた「受信は広範囲に信号を拾ってしまうが、送信はビームが鋭い?」というアンバランスは、この実験からはわかりませんでした。ただ、送受信ともサイドが切れることは確認できました。このことが、これまでのアンテナとどこか違う「違和感」と感じたのかもしれません。考えてみるとこのアンテナ、受信についてはとんでもなく広帯域なわけで、どのような仕組みでそれを可能としているのか、送信の際、どのエレメント同士がどのように同調しているのか、などわからないことばかりです(英文の説明書が付いていますが解説がありません)。

 さて、ホームでのこんな実験を終えて、2度目の実践投入。

 場所は吾妻連峰の高山(福島県福島市 標高1804m)。ここは、145MHz、430HMzともハンディ機で1エリアと交信できることを確認しています。今回も、ログペリ1本持って、2バンドの電波伝搬を試してみることにしました。リグはいつものDJ-S17(5W)とDJ-S47(4.5W)。

 この日、全国的に好天の予報でしたが、高速を南下中、暗闇に浮かぶ吾妻連峰は怪しげな雲で覆われていました。嫌な予感がよぎりつつも、磐梯吾妻スカイラインを登り詰めると、意外にもガスが薄れてきました。この山はこのパターンが多いです。紅葉まっさかり。道路沿いには多くのカメラマンが日の出を待っていました。


燕谷付近より

吾妻小富士

浄土平付近


 1時間弱の登山。高山山頂着はちょうど午前7時。ガスが切れて、福島盆地が見えていました。安達太良はすっぽり雲の中。

 さっそく、三脚にログペリを設置。まずは430。ワッチするとすぐに、東京都文京区のCQが聞こえてきました。強力な信号です。都内の高層ホテル32階室内からモービルホイップでオンエアだそうで、59-59。たぶん何も遮るもののない見通しなのだと思います。ラグチューモードで交信できました。これで都内向けアンテナ方角がわかりましたので、動かさないようにして、CQを出しはじめました。ところが、まさにそのとたん、突風が吹き付けて三脚の雲台が回転、アンテナは真っ逆さま・・・。雲台の締め付けが緩かったようです。ログペリ本体が約630グラム、これを50センチのパイプで持ち上げているので、当局の三脚で支える重量としては限界ぎりぎりです。





 方角を慎重に合わせて再度CQ。さっそく埼玉県久喜市固定より応答があり、51-51。茨城県つくば市の筑波山駐車場より55-55。モービルホイップ。さらに埼玉県川口市固定より59のレポート。12エレスタックとのこと。同じく川口市固定より55。こちらは15エレシングルとのことでした。いづれも距離にして200Kmから250Kmの範囲で、相手局のロケーション、アンテナ設備が良ければ、難なく交信可能のようです。南に方角を向けたままにしていたのですが、バック方向、山形県南陽市、宮城県石巻市固定からもそれぞれ59のレポート。南陽市は吾妻連峰をはさんで約50Km。石巻市は約100Km。使用感としては、スイスクワッドシングルと同等の実感です。今回は、さほど混信も受けず、福島、宮城、栃木各局にも応答いただき、15局ほど交信してQRT。


 続いて、145MHz。方角はそのままで、CQを出してみました。こちらはなぜか、バック方向から、宮城県大崎市と塩竈市固定から59。仙台市太白区からはハンディ機+モービルホイップで57。フロント方向からは、栃木県さくら市からハンディ機0.5Wとのことで41、同じ周波数で1エリアの局同士が交信中とのことで、混信のレポートもいただきました。どうりで応答がないはずです。相手局は混信の中、なんとか聞き取っていただいて、無事ファイナルとなりました。さらに茨城県桜川市固定と53-51。11エレスタックを向けていただいたとのことで、こちらは混信なく交信できました。桜川市までは200 Km程。今回はこれ以上の遠距離との交信はありませんでした。埼玉や千葉県らしい信号は時々聞こえてはいたのですが、QSOのチャンスはありませんでした。145MHzに関しては、あまり信号が伸びない印象がありました。どちらかというと、430の方がFBです。




 熊野岳で経験したような、どこからともなく混信がはじまる現象は、今回も145MHzで何度か見られました。山の上で運用していると様々なことがあるのですが、その中でも混信にはいつも悩まされます。聞こえすぎてこちらが混信になる場合もありますが、当局には聞こえず相手局の方が混信というケースもあります。こちらがCQを出しても、応答いただきたいエリアでその周波数が使われているというケースも考えられます。今回、ログペリのサイドが切れるとわかっていても、前方と後方の信号だけでも相当なものでした。混信を避ける上では有効なアンテナと思いますが、それも使いこなせて初めてできる話しで、慣れが必要ですね。


 撤収を終わってから、水平、垂直を切り替えての実験を忘れていたことに気付きました。相手局がハンディ機であれば、ホイップアンテナを水平にしてもらってRSの変化をレポートしてもらおうかと考えておりました。またの機会の課題としておきます。






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ログペリアンテナ使用記

2010年10月04日 | ログペリアンテナ
 アペックスラジオから購入したエルクのログペリアンテナ2M440L5。一度だけ近所で試験運用したまま、物置に眠っていたのですが、はじめて山で使ってみました。
 
 このアンテナの仕様をおさらいしておくと
・エレメント 5エレ(上下分割で10本)
・送信可能周波数範囲 135-155MHz、400-530MHz
・受信周波数範囲 110 - 1100 MHz
・ゲイン 144MHz帯8.7dBi、430MHz帯9dBi
・F/B比 20 dB
・ブーム長 約0.61m 
・重量約 635g
・耐入力 200W (FM)
・コネクタ M型
となっています。

 なぜ、購入したかと言いますと、ログペリアンテナそのものの構造に興味があったことの他に、
1)5エレのわりにブームが61センチと短く、ザックに収納できそう
2)エレメントが分割のねじ込み式
3)1本の指向性アンテナでVU2バンド可
など、山での運用に使えるかなと思ったからです。重さもなんとか許容範囲です。

 今回の運用場所は、蔵王熊野岳。土曜日で、応答があるかどうか不安でしたが、ログペリ持って登ってみました。

 リグはモノバンドハンディ機DJ-S17とDJ-S47の2台。共通バッテリーは予備含め4個。三脚、パイプ椅子、登山用具一式、ザックにこれらを詰め込むと、けっこうな重さになりました。当局が使っているのは、モンベルのクラシカルライト(30L)という日帰りには大きめのザックですが、61センチのブーム部分が少しはみ出します。すっぽり収納とはいきません。

 さて、この日は、絶好の登山日和。しかも紅葉もちらほら始まったということで、登山者や観光客らしい人まで続々と登ってきます。広い山頂ではあるのですが、無線をする雰囲気ではなく、少し下った熊野岳避難小屋近くの尾根に移動しました。

 組み立ては色分けされた10本のエレメントをブームにねじ込むだけです。エレメントは黒くて重そうに見えるのですが、アルミ製で驚く程軽量です。しかも太さがあるので、手袋を付けた状態でも難なく取付けることができました。この辺り、よく考えられているように思いました。ケーブル引き回しは、以前に実験したとおり、ぶらりと垂れ下げた状態がベストで、145、430ともSWR 1.2と良好。




 はじめに430MHz、DJ-S47に接続してワッチしてみました。驚いたことに、メイン周辺に空き周波数がまったくありません。いづれもアマチュア無線とは思えないような交信ばかりですが、とにかく何かしら信号が入ってきます。土曜日の午前中、ホームでは1~2局聞こえてくる程度、さすがに山の上はにぎわってますね。VFOを回しながら聞いてみると、主に、福島、新潟の信号のようです。なんとか空きを見つけて、CQを出してみたところ、二本松市、須賀川市など各局に応答いただきました。5局交信したところで、ひどい混信が出てきたので、QRT。受信では多くの信号が入るのですが、応答はいま一つ・・・。

 続いてDJ-S17に接続し直して、145MHz。こちらは430以上にバンド内びっしり。本当に空きがありません。ロケの良さもさることながら、よく聞こえるアンテナではあるようです。やっと見つけた空き周波数で何度も周波数チェックを入れてから、CQを出してみようとしました。ところが・・・。

「この周波数お使いですか?混信妨害与えておりませんか?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
メインでCQ。
チェックした周波数に戻ってみると
「○×▽、×○□」(なぜか普通に交信している)
「???」

 というパターンが一度ならず何度かありました。不思議です。

 そんなことを繰り返しながらの交信。まずは南方向。福島県鏡石町、相馬市、本宮市から59のレポート。この山からは、相手局が平地の場合はいつもこの辺りが限界で、今回も同様の結果です。続いて北方向。一関市固定局より51および55のレポート。さらに山岳移動局、八幡平市の姥倉山とハンディ機で59-59。ハンディ機に8本の乾電池を使って電圧を上げているのだとか。5Wと思いますが、強力な信号でした。栗駒山山頂局もハンディ機2.5W、59-59。アンテナを回してみたら、バックでは53程度で入感。指向性の切れもまずまずです。ただ、430同様、聞こえるわりに、送信の伸びは手応えが感じられませんでした。

 交信中も、どこからともなく混信が始まってしまいます。構わず交信を続けてみたのですが、相手局には混信がないようで、なんとか交信はできます。混信の局の方はさぞかし、交信しにくいのでは?と思ったらそうでもなく、平然と普通に交信を続けているのです。妙な気分でした。このアンテナは、受信はブロードで広く拾ってしまうわりに、送信は指向性がはっきりしているのかもしれません。



 
 感想としては、1)145、430共に受信性能は高く、よく聞こえるアンテナ、2)送信については3エレ程度、動作が不明、3)受信と送信の能力(指向性)にアンバランスを感じる、4)癖をつかめば面白いアンテナ? といったところでしょうか。


 今回は時間も限られる中で、想定外の混信に悩まされ、勝手のわからないアンテナを前に一人混乱しておりました。習熟を必要とするアンテナのようです。ツイストマウント方式といって、水平と垂直を簡単に切り替えできるのも特徴で、機会をみて、偏波面による違いなども試してみたいと思います。




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