JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

J型アンテナ 自立式 (144MHz用)

2009年01月26日 | J型アンテナ
 以前から一度作りたいと思っていた2m用のJ型アンテナを自作してみました。『改訂版手作りアンテナ入門』を参考にさせていただきました。今回、作るにあたっては、山で使うことを前提に、1)軽いこと、2)三脚に取り付けて自立すること、3)設営と撤収が簡単で、持ち運びが50センチ程度に納まること、を条件としました。

 テレビフィーダーを使ったJ型アンテナの欠点は自立しないことで、山でちょうど良い木の枝にでもぶら下げるか、釣り竿等を持っていく必要があります。『手作りアンテナ入門』でもSWRが下がりにくい、天候に左右されるなどのデメリットが指摘されて、園芸用パイプを使った方法が紹介されていました。

 当局は、収納のことを考えて、2種類の太さの銅パイプを使い、エレメント差込式にしてみました。その他のところは、ほとんど本と同じです。

《材料》
1)銅パイプ4ミリ径を1メートルと少々
2)銅パイプ3ミリ径を1メートル
3)塩ビパイプ50センチ
4)3D2V同軸ケーブル728ミリを1本(バラン用)
  同じく3D2V同軸ケーブル2メートルとMPコネクター

《製作》
このアンテナは、1/4λのスタブに1/2λのエレメントで構成されています。

1)4ミリ径銅パイプ1メートルを長辺49センチ、短辺2センチのU字型に曲げま
  す。ペンチを2個使うと簡単に曲がります。これがスタブ部分です。
2)3ミリ径銅パイプを50センチづつ切り、2本にします。
3)3ミリ径銅パイプ1本の先端に10センチほどの4ミリ径銅パイプを1センチ
  ほど差し込み半田付けしておきます。これをエレメントの継ぎ手とします。
4)以上で、アンテナ本体の材料は完成です。U字型の4ミリパイプに3)の3ミ
  リパイプを差し込み、さらに上部の継ぎ手部分にもう一本の3ミリパイプを差
  し込みます。差し込み寸法は概ね1センチですが、最終的には給電部を完成さ
  せてから微調整し、それ以上差し込めないように半田でストッパーを作ってお
  きます。U字部分(スタブ)が49センチ、エレメントが1メートルで全長1.5メ
  ートル前後となるように差し込みを調整します。
5)給電は、728ミリの同軸ケーブルで4:1バランを作りました。
  給電部はスタブの下から6センチの部分に直接半田付けしました。
6)あとは、塩ビパイプにU字型のスタブを結束バンドで縛り、U字型の上部
  もエレメント間隔が並行を保つように結束バンドを使って固定しておきます。
  わかりにくいと思いますが、写真を参考ください。











《組立て》
 いつものカメラ三脚の目玉クリップに塩ビパイプを挟んで、上部エレメントを2本差し込むだけです。三脚さえあれば、木のない山頂でも、自立して使えます。

《収納》
 組立と逆で、上部エレメントをはずし、同軸ケーブルを丸めてしまえば、ほぼ50センチで、デイパックに納まります。重さもケーブル含めて150グラム程です。




《調整》
 給電部は、本を参考に、下から6センチとして仮半田付けしましたが、この状態でSWR1.5前後で、ほぼ問題ないレベルに納まっていましたので、そのまま本付けしました。ただ、中心周波数が上に寄っていましたので、J型の先端部分(短い方)に3ミリパイプを1センチほど継ぎ足してみたところ、145.00でSWRは1.1、バンド内1.3以内と良好な状態となりました。給電部は動かさず、エレメントを切ったり足したりして調整した方が簡単かと思います。また、今回は、2種類の銅パイプの差し込み式としましたので、差し込み寸法を調整することで、簡単に希望周波数に合わせることができます。

《注意点》
 Jの部分(スタブ)のエレメント間隔が並行になっていないと、SWRが大きく悪化します。もっと良い固定の仕方があると思いますが、とりあえず、結束バンドで固定してみました。動くことがあるので、設営の時は、要チェックです。テレビフィーダーを使う方法は、常に並行を保てるわけで、この点では優れていると思います。



《使用感》
 こんな簡単なアンテナですが、送受信とも良好に動作しています。レポートは後日追加したいと思います。なんの無駄もない、シンプル、それでいて面白い性能を内在しており、自分としては気に入っています。欧米ではslim jimとかJ pole antennaという名称で様々なバリエーションがあるようです。

《追記》「移動運用の山あれこれ」に水沼山で使用した際の感想を追加しました。



《追記2》
 注意点に書いたとおり、U字に折り曲げた部分(スタブ)の並行を保つのが、このアンテナのポイントです。この部分を動かしたり、間隔を広げたりするだけで、SWRが変化します。ザックに入れて持ち運ぶ時に他の荷物に当たって曲がってしまうこともあるため、固定部品を取付けてみました。100円ショップで買ったプラスティック樹脂でできた仕切り板(引き出しに仕切りを付けるために使う物のようです)を適当に切り、両端に穴をあけて、結束バンドでエレメントを固定しました。手荒な扱いをしなければ、これで並行が保てるようになりました。SWRは1.1~1.2に納まっています。

 先日、深山(山元町)移動で再度、このアンテナを試してみました。山頂で設置後、念のためSWR計で計ってみたところバンド内1.2程だったので、使用上は問題ないレベルで安定していました。
 この日は、電源を入れてすぐ山形市内の局のCQが聞こえたので、すぐに応答したのですが、どうも、こちらの信号が入らないようで、何度か呼んだのですがダメでした。ところがそれをワッチしていた寒河江市の局が、山形局に了解をとって、当局を呼んでくれました。ハンディ機とは思えない、良く入っているとのことでした。ロケーション的に微妙にずれているのか、山形局の信号はこちらにはその後も終止届いていました。
 その後、東根市、米沢市、福島市、伊達郡、石巻市などと良好に交信できました。東根局からはがたんと信号落ちたとのレポートをいただいたので、アンテナ位置を50センチ程動かしてみたら元に戻りました。米沢局からは、ワッチしていたらハンディ機ということなので、驚いて呼んでみたとのことでした。4Wなので信号自体はさほど強くはないと思うのですが、「56でけっこう強く入感」とのことでした。別の局からは「弱いながらもよく聞こえる」というレポートもいただきました。この日は他のアンテナと切り替えて比較したわけではないのですが、これくらい交信できれば上出来と思いました。「手荒に扱えるだけの丈夫さ」がないのと、仕舞い込み寸法が若干長めなのが欠点ですが、軽い、組み立てが簡単、低費用で作れる、性能もあなどれない、などFBなアンテナと再認識しました。

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24KGを山移動で使ってみる

2009年01月23日 | 移動用市販アンテナ
 我が家のベランダではその性能が発揮されなかったコメットのモービルホイップ24KGですが、このまま押し入れで眠らせるのも癪なので、試しに山移動で使ってみることにしました。

 2.06m、重さ520グラムとモービルホイップとしては最大級で、しかもノンラジアルではなくアースが必要という、とても扱いにくいアンテナです。5/8λ2段で利得が6.0dbiあります(144MHz)。性能が実感できれば本格的に使ってみることを考えて、今回は、とりあえずの試験運用です。

 まず、アースですが、そのままの状態では、SWRが2.0前後とやはり高めに出ます。そこで、AC電線50センチ3本をMJコネクターにすっぽり入る丸端子にハンダ付けして、取付けてみたところ、SWRは1.2以下に下がりました。ダラリとぶら下がっているだけなので見栄えは良くありませんが、今回はこれで良しとします。

 長さが2.06mありますので、これは4分割にしても60センチ強で、デイパックからはみ出してしまいました(7分割してもっと小さくできますが、組立てと調整が面倒)。当局の場合、デイパックにすっぽり入るよう、仕舞い込み寸法が50センチ以内を信条としていますので、意に反するのですが、これも今回は良しとします。

 重さも520グラムもあります。いつものカメラ三脚の目玉クリップで留めてみましたが、センターヘビーのアンテナでもあり、クリップの強度から言っても、限界ぎりぎりという感じです。これも短時間の運用と割り切り、今回は良しとしましたが、カメラ三脚で固定するには、別の装置を考える必要がありそうです。そもそもこのアンテナを、ハンディ機で使うこと自体、想定外なわけですが・・・。

 以上のような課題を検証した上で、先日、中ノ森山で運用してみました。山頂には10センチほどの積雪があり雪で三脚を固定。風が強かったのですが、アンテナ自体はさほど揺れることもなく、目玉クリップでなんとか支えることができました。泉区の局がCQを出していましたので、さっそく応答。パワーを0.8Wに抑えての交信でしたが、59のレポートをいただき、ハンディ機とは思えない、強力に入っているとのことでした。0.8Wのまま、県内数局と交信、FBなレポートをいただきました。県外局との交信はなりませんでしたが、送受信共まずまずといったところです。

 固定の仕方やラジアルを工夫すれば、山に持ち運べる「簡易GP」的な使い方ができるかと思います。ただ、当局の現状システムでは多少無理があり、手軽に設営、撤収という点でも難があります。それらを見直してまで使うメリットがあるか、というと、やはり「扱いにくいアンテナ」ということになりそうです。

 ちなみに、ケーブルを使わずに、24KGを変換コネクターでハンディ機に直結すると、SWRは1.0でベタ落ちになります。ハンディ機側に組み込まれたラジアルがうまく機能しているのだと思います。この状態で、ハンディ機ごと三脚に固定して、マイクスピーカーを使って運用するのが性能的にも設置という点でも最も効率が良いのかもしれません。別途ラジアルは不要です。ハンディ機に重量負担がかからない固定の仕方であれば、この方法も有りかな、と考えています。
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AWXアンテナ2 組立式

2009年01月11日 | AWXアンテナ
移動用バージョン


 自作アローラインのラジアル4本を再活用して、144/430MHzデュアルバンドAWXアンテナの移動用バージョンを作ってみました。作るにあたっては、1)軽くコンパクトにまとまりデイパックに収まること、2)組み立てと撤収が簡単なこと、3)前回のAWXアンテナの欠点でもある風の抵抗を受けにくいこと、を考慮しました。


《材料》
 エレメントは50センチの直径3ミリ銅パイプ4本、丸端子6個、塩ビパイプ50センチ1本、同軸ケーブル、以上です。今回、エレメントは、アローラインで使わなくなったラジアル4本に丸端子をハンダ付けしたものをそのまま再利用することにしました。その他の材料も、あり合わせで作りました。


《作り方》
 1)50センチ銅パイプ4本に丸端子をハンダ付けします。
 2)同軸ケーブルの心線側と網線側の両方に同じく丸端子をハンダ付けします。
 3)塩ビパイプに2カ所、ボルトが通るような穴をあけます。
   裏側にも穴をあけ、貫通させます。
   穴の間隔は1.5センチとしました。
 4)それぞれ2本のエレメントと、上のボルトに心線側丸端子、
   下のボルトに網線側丸端子をボルトにセットして、
   塩ビパイプの穴に通します。
   プラプラしない程度に蝶ナットを軽く締めておきます。

 工作は以上です。今回は、アンテナマストとなる塩ビパイプにエレメントと給電部を直接取付けてしまうことで、コンパクトさと風抵抗の問題をクリアしようと考えました。
 上記の取付けの場合は、垂直偏波で不平衡給電となるため、あえてシュペルトップは作らず、直接給電としました。





《組み立て》
 設営は、、塩ビパイプをいつもの三脚クリップに挟み、エレメントを上はV型、下は逆V型に90度広げ、そこで固定するように蝶ナットを締めます。後はハンディ機につなぐだけです。常設ではなく、2~3時間の手元での運用ですから、これで良しとします。



《持ち運び》
 持ち運びは、蝶ナットを緩めて、4本のエレメントをたたむだけです。畳み方は、丸端子がじゃましますので、少しコツがいります。特に上のボルトは長めにしないとうまくエレメントがまとまりません。今回は、35ミリのボルトを使いました。プラプラしないように塩ビパイプと一緒にマジックテープなどで留めて袋に入れてしまえば、デイパックにすっぽり入ります。




《調整》
 今回は、アローラインの残りの材料の使い回しなので、エレメントは49センチですが、このままで、 SWRはバンド内1.2~1.3に収まりました。エレメント角度を、上下、90度よりも広げたり、逆に狭めたりすることでも変化します。心線側と網線側の給電部間隔によっても少し変化するようです。穴の間隔は1.5センチとしたのですが、蝶ナットを使っていますので、ナットの回し方によっては、2つの間隔をいろいろと調整できます。なるべく間隔を開けず、接触ぎりぎりまで近づけた方がSWRは下がってくれました。と言ってもわずかです。調整はアバウトでも十分性能を発揮するアンテナのようです。
 なお、430MHzでも、そのままマッチングします。438MHzあたりに中心がありましたが、バンド内1.3以下に納まっています。





《使用感》
 軽いので、自宅ベランダに出て、手持ちで使ってみました。受信に関しては、接続した瞬間からモービルホイップより優れていると感じました。前方への指向性もはっきりと出ました。前回作ったAWXアンテナは、左右><の形で給電したため、水平偏波となり、指向性が今ひとつわからなかったようです。送信については比較したわけではありませんが、まずまず飛んではくれているようです。山で使うのが楽しみです。

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手作りアローライン3 

2009年01月05日 | アローライン
移動用バージョン  ロッド式


 アローライン2を実際に移動地で使ってみたところ、組立にやや難がありました。寒風の山頂で、小さいボルトとナットを操って組み立てるのは、少々無理があったようです。
 今回は改良版として、ラジアル4本に折り曲げ式のロッドアンテナを使ってみました。
 ロッドアンテナは全長57センチのものを4本、マルツで調達。角座Mコネクターの四隅の穴に3mmボルトとナットで固定します。エレメント(ラジエータ)は前回同様、4mm銅パイプをコネクター心線突起に差し込むだけ。工作は以上です。重さ150グラムに仕上がり、全体的に頑丈な作りになりました。





《調整》
 ロッドアンテナは1カ所折り曲げ式になっていますので、エレメントに対する角度と長さの調整を自由自在にできます。はじめ、160度の角度で折り曲げ、ロッドの長さ50センチでSWRを図ったところ、高めに出ましたので、いろいろと調整したところ、1)ラジアル角度130度、2)ラジアル長さ51センチ、3)エレメント長さ48.5センチの状態で、145.000MHZ近辺で1.1、バンド内1.3以下と良好な状態になりました。

《組立、設置》
 ロッドを最短にして、上向きにすると、アンテナ全体が50センチ程度になりますので、袋に入れて簡単に持ち運びできます。現地での組立は、MP-MPコネクタを取り付け、さらにMJ-SMAP変換ケーブルをつなぎ、塩ビパイプにセット。最後にロッド式のラジアルを伸ばして、角度を調整するだけです。特に組み立てというほどのものはないので、設置も撤収もずっと楽になりました。ロッドの長さと角度は、コツを掴めば、いちいち計らなくとも大丈夫です。





《使用感》
 三方塚山で使ってみましたが、組立撤収が簡単なので、使うのが楽しくなりました。こちらはいつもの4wハンディ機ですが、岩手県一関市、福島県大玉村移動局や県内各局と交信することができました。レポートもまずまず。何と言っても、ロッドアンテナにしたことで、カットアンドトライなしに、ほぼ完全に調整ができるところが利点ではないかと思います。作るのも調整するのも使うのも楽なアンテナでした。
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