JO7TCX アマチュア無線局

せんだいSD550  山岳移動運用 

2mJ型アンテナのデュアル化(エレメント交換式)

2020年12月31日 | J型アンテナ
 海外サイトを見ると2m用J型アンテナを430MHzで共用可能との記述が散見されます。145MHzの3倍高調波なので厳密にマッチングしなくともSWR2.5程度に収まることはありえるかな、とは思います。自分もD-STAR430レピーターへの短時間のアクセス程度ならそのまま使ってしまうこともあります。

 実際のところどうなのかと思い、IC-705のSWRプロット機能で測ってみたところマックス3.0を示し、共振点らしきものがあるのかどうかもわからない状態です。もう少し低めになるかと予想したのですが、いくら短時間でもこれで送信する気にはなれません。


145MHz用エレメントのまま測定


 自作したJ型アンテナはショートスタブの給電部を可動式にしてあり、これをスライドさせて調整を試みることは可能です。ただ、145MHzに合わせてあるので、できれば動かしたくありません。ショートスタブはそのままにし、エレメントの長さのみでマッチングが取れないか? ということで試してみました。その結果、ショートスタブ先端から74.5cmでSWRがストンと落ちてくれました。


430MHz用エレメントにて測定


 本来430用J型アンテナはショートスタブ17.5cm(1/4λ)、エレメント35cm(1/2λ)が基本です。今回の場合、おおむねショートスタブが3/4λ、エレメント1λとなり、どういう動作でマッチングが取れているのかは疑問です。ショートスタブの一部がエレメントとして動作しているのかもしれません。


ショートスタブを含む全長124.5cm


下の2本を430で使用


 使用感としては長さ40cmのハンディ直付けホイップよりも良く、RH770や5/8λダイポールと比べるとS1~2信号が弱まります。もととも145MHz用アンテナで、しかも給電部に手を加えずエレメントのみで調整したわりにはまずまずかと思います。




 実際の使用では3段の差し込み式銅パイプエレメントの上部2段を外し、430用の銅パイプを差し込むだけです。2m用に戻すのもさほど手間はかかりません。エレメント交換式デュアル。これでレピーターも安心してアクセスでき、里山移動の際はJ型アンテナのみでよいかな、と考えています。






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IC-705の簡易的アンテナアナライザー機能

2020年12月29日 | 移動運用装備



 アンテナの自作をしたり、アンテナ測定や調整が楽しく、それ自体を趣味としているので、山岳移動をする際も時々アンテナアナライザーを持参します。環境によってアンテナ特性がどのように変化するのか、といったことにも興味があり、実際、地形や植生等で変化することが少なくありません。興味の多くはアンテナの振る舞いに向けられているので、無線運用はほとんどしないで、測定のみに時間を費やすこともあります。ただ、無線機、アンテナ、バッテリーなど機材一式に加えアナライザー(AA-200)を持つと結構な重さになり、これが悩みの種でもあるわけです。

 実は購入して初めてわかったのですが、IC-705にはアンテナのSWR測定のみでなく、バンド内のSWR数値をプロットして視覚化する機能が搭載されています(プロット測定)。バンド内全域のSWRを把握したり、共振点がバンド内のどこにあるのか、といったことをおおよそ把握できる優れた機能で、いわば簡易的なアンテナアナライザーと言えるかと思います。HFから430まで全バンド可。周波数ピッチは10、50、100、500KHz。最大13本の棒グラフで表示され、SWR1.5を超えると赤色になります。アンテナの挙動とその輪郭を得るには十分かと思います。数回のタッチ操作とPTTを押すだけなので手袋をしたままでも操作可能で使い勝手も悪くありません。無線機+アンテナアナライザー付属。こんな優れた機能が搭載されていることを知り、とても得した気分になりました。IC-7300で同じことができるようですが、移動運用前提のIC-705の場合、この機能のありがた味はより大きく、自分的にはこの点だけでも価値があると思っています。


430㎒ モービルホイップ(CSB7900)


145㎒ アローライン


7㎒ EHアンテナ


 欠点というわけではありませんが、今後もし改良されるとすればこのようにしてほしい点をあげてみます。

①棒グラフではなく、曲線で表示できるようになればなお良い。棒グラフでもおおよその共振点はわかりますが、曲線であればより明確となります。

②IC-705はアマチュア無線機なのでアマチュアバンド内でのみ送信可能なわけです。なので、バンド外は測定できません。ここがアンテナアナライザー単体と根本的に異なるところです。自作アンテナ等で、共振点がバンド内にあれば良いのですが、バンド外であった場合は役に立ちません。バンド外も10mW以下の微弱な電波を出して測定できるようになると完璧かな、と思います。法令的な問題があるかもしれませんが・・・。

③今後、ハンディ機(ID-52プラス?)にもこの機能が搭載されることを期待。

 というわけで、アンテナ自作の際は別にアナライザーが必須ですが、バンド内に調整が取れていて、現地で微調整といった用途にはとても便利に使える機能と思います。装備の軽量化もできそうです。







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大年寺山12/27

2020年12月27日 | 里山 移動運用



 寒い日が続きます。午前中、日差しがあまりないものの風もなく、いつもの大年寺山にIC-705を持って散歩運用に出かけました。野草園の上の山頂部公園。隣にNHKと仙台放送のテレビ塔があり、昨年から今年春にかけて430ばかりか145も抑圧を受けるようになりしばらく避けていました。それが数ヵ月前から145についてはピタリと抑圧がなくなりました。何かの送信が停波したようです。430は相変わらずで、抑圧によりS7~8振ってしまいます。放送施設や樹木があり見晴らしは北西方向に限られるものの、伝搬的には蔵王反射もあり、南も悪くないようです。




 今日は2mSSBを試してみたいと思い、144.230でCQを出したところ仙台市内および塩釜市の固定局3局に応答いただきました。いづれも近場ということもあり59の信号ですが、IC-705の音の良さを実感しました。これまで馴染んできたIC910やFT817の2mSSB独特の音声と明らかに異なり、聞きやすく安定感があります。周波数ズレも特に感じられずそのままの状態で交信を続けました。たとえて言えばFMチックというか、そんな錯覚を覚えそうな音声です。遠方の場合はこうはいかないと思いますが、期待が持てそうでSSBが楽しみになってきました。






 その後、FMおよびDVにてJP7IEL局と交信。今回もバッテリースペースにヒートシンクを取り付けた状態で使用。外部バッテリーから15Vを給電し、5~10Wで1時間半近く交信を続けました。ヒートシンクはそれなりに機能しているようで、TEMPメーターの1/3ほど青ランプ点灯でそれ以上になることはありませんでした。悪くなさそうです。アルミシャーシのむき出し部分は樹脂プレートを加工しとりあえず塞ぎました。あとはヒートシンクの簡便な固定、着脱の良い方法がないか、考えているところです。




 ポータブル機というのは性能的には制約があるものの運用方法が自由かつ無限で、その分、バッテリーとか熱対策、あるいは防風、防水とかいろいろと工夫のしどころがあって楽しめます。久々に面白いリグです。






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IC-705  VU帯(FM)の受信感度

2020年12月27日 | 移動運用装備

 IC-705の受信方式は、VUを含め25MHz以上がダウンコンバージョンIFサンプリング方式とのことです。VU帯でどの程度の受信感度なのか、スーパーヘテロダインのID-51やFT817と比較してどうなのか、IC-705を購入したのはそんな興味が涌いてのことです。

 この1ヶ月ほど、主に145MHzFMにて聞き比べをしてみました。3機種とも付属(内部)バッテリー。IC-705はプリアンプオン。自宅ベランダのアローラインにて、固定局からの弱めの信号をID-51(初期型)、FT817(ND)と切り替えながら耳を傾けました(あくまで自分の環境と耳での感触です)。

 その結果、
 ID-51>FT817≧ IC-705 となりました。






 31程度の信号。なにかを話しているのはわかるが何を話しているのかまでは判別しかねる微妙な信号の場合、ID-51は話の内容が断片的にでも了解でき頭一つ抜け出ています。FT817と IC-705はほとんど了解できません。FT817はFM特有のノイズレベルが高いものの、ノイズのベースが均一的で、かつ高音域が立ってわずかに変調の片鱗をとらえやすい感じがあります。IC-705はFMノイズ音がほどよく抑えられているものの、粒状のブツブツノイズを拾いやすいようです。ノイズリダクションを効かせるとかえって変調のエッジが甘くなりとらえにくくなります。FMの場合、この機能は通常オフでよいように思いました。41~51くらいの信号ではブツブツノイズは気になるものの了解度にあまり差はなくなります。ざっくり言えば同等と言えなくもないのですが、厳しく見ればIC-705の受信感度はわずかにFT817に及ばず、との感触です。ID-51との比較では感度の差がより感じられ、ノイズに埋もれそうな微弱信号の場合はID-51に分があります。これらは430MHzFMに関しても同様の傾向です。


 感度のみが受信性能のすべてではないものの最新機のIC-705にはもっと頑張ってほしいというのが正直なところです。HF帯は悪くない印象があり、それより上の周波数帯に関しては技術の蓄積されてきたスーパーヘテロダインに未だ及ばずということでしょうか。今後の改良に期待したいと思います。どのようなノイズを拾いやすいのか、野外ではどうか、隣接信号からのかぶり、SSBでの感度・了解度などなど・・・追々試しながら様子をみてみます。








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IC-705 ヒートシンク

2020年12月20日 | 移動運用装備

 IC-705には放熱用のスリットが設けられているものの、裏面の半分以上は付属バッテリーで占められ、十分な放熱は期待できません。この間の運用では気温が低かったこともあり、145や430FMでも付属バッテリーを外してアルミシャーシをむき出しにすれば、手で触れないほど熱々にはなりませんでした。ただ、終段デバイスの温度が一定以上になると自動的にパワーダウンする仕様となっており、放熱を効率化するに越したことはありません。

 安直な方法ですが、ヒートシンクを付けたらどうだろう?と考え試してみました。以前にテスラコイルの冷却用にマルツで購入した余りものですが、これがIC-705のバッテリースペースにジャストフィットしてくれました。縦5cm、横7cm、高さ1cm。アルミシャーシに底面を密着させ、隙間にゴム材を挟んで仮固定しました。いざという時は付属バッテリーを装着できるようにしておく必要もあるので、ヒートシンクを完全固定してしまうわけにもいきません。こんなものでも無いよりはましでは?






 本日、大年寺山にてJP7IEL局にお相手いただき、この状態で使ってみました。145MHzFMおよびDVにてパワー5W~10W。約1時間30分の交信中、時々ヒートシンクを触ってみたところ、徐々に熱くなって放熱されている様子がうかがえました。終段FETの温度を示すTEMPメーターもさほど上がらず推移。空冷ファンを取り付けたようにはいかないにしても、ある程度の冷却効果は期待できるかな、といった感触はありました。






 欠点もあります。付属バッテリーを外すとアルミシャーシと内部基板との間に穴が二つ開いているのです。放熱のためには良いのですが、元々考慮されていない防水性が皆無となり埃が入る可能性もあります。またバッテリー用の電気接点もむき出しになります。ということで、最も放熱が必要となる夏場は湿気も多くこの方法では問題があります。空冷ファンほど大げさでなく、もう少しスマートかつ有効な方法があれば、と考え中です。










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IC-705の外部バッテリーその2 12V給電

2020年12月12日 | 移動運用装備

 前回も書いた通り18650の3本直列の場合、充電直後は12V以上ありますが、使い始めてすぐに11V台に低下しそのまま下がり続けます。リグで10W設定をしていたとしても実際の出力は下がっていきます。一方、RP-PB201はケーブル側で電圧を指定する方式なので、指定電圧をキープし続け、維持できなくなったらシャットダウンということになるようです。15V3Aのほかに12V3Aも出力可能で、この方式であれば12VでもIC705の10W運用が可能では? その場合、発熱もいくらか抑えられるのでは? と考え、試してみることにしました。




 12VトリガーケーブルをつなぎIC705を10W設定とし、パワー計で測ったところ、145MHzで7W、430MHzで6.5Wのパワーとなり、15V時に比べ20%ほど低下がみられました。USB電圧計では受信時12.1V、送信時11.8Vを表示。送信時の電圧が12Vを下回りますが、パワーはそこそこ維持します。バッテリー容量を減らして同じことを繰り返してみたところ、電圧およびパワーに変化はありませんでした。


受信時


送信時 (145MHzFMにて)


145MHz


430MHz



 RP-PB201であれば12V給電でも5Wまで低下してしまうことはないようです。15V給電で10W出したとしても発熱によりパワーダウンということもあるわけで、最大パワーとはいかないまでも発熱を抑えバッテリー持続時間も稼ぐ、そんな使い方も良いのでは?と思いました。実際の運用でどうなのかはこれからです。

 このバッテリーには21700リチウム電池が使われているそうです。18650を大きくした形状で3.6V、容量5000mAh前後。エネルギー密度を極限まで高めたような電池です。これを4本並列で20000mAhとし5V~20Vに昇圧しているのだと思われます(12V換算で容量6200mAhほど)。今のところ気になるほどのノイズはなく、USB-Cによるバッテリー側への充電もなかなかのスピードです。

 電池にしてもその制御技術にしても日進月歩で驚かされます。ただ、モバイルバッテリーの宿命なのか、いつも何か落とし穴があり、予期せぬ挙動に悩まされてきました。はじめは良くても数回で満充電しなくなったり、いざ運用という時に電源が入らなかったり・・・。これまで何度もそんな経験があります。今回は果たしてどうなのか? 12V、15V双方を試しながら、しばらくこのバッテリーで運用してみることにします。



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IC-705の外部バッテリー

2020年12月05日 | 移動運用装備
 IC705の付属バッテリーは2000mAhと容量が小さく、大容量のBP-307に換えたとしても最大5Wで少し長く使えるというだけで10W可能になるわけではありません。これまでFT817やFTM10Sで使ってきた18650リチウム電池の3本および4本直列を使えばいいかな、と楽観していたのですが、IC-705の場合、どちらも少し問題なところがあります。

<18650の3本直列の場合>
 数年使っていることもあり充電直後の電圧が12.3V、少し使うと12V以下に低下します。IC-705につなぐと10W設定は可能ですが、実際のパワーは5Wとなります。FTM10Sの場合は、10Wは出ないにしても7~8W出るのですが、IC-705はそうなりません。電圧が10.5Vあたりに低下すると受信はできても送信不可となります。つまり3本直列の場合はマックス5Wということです。付属バッテリーに充電しながら運用時間を延ばす、そんな使い方がベストのようです。






<18650の4本直列の場合>
 やはり劣化が進んでいるので充電直後の電圧が16.1Vです(本来は16.8V)。この状態で705につなぐと「HI Voltage」の表示が出てしまいます。これでも送受信は可能で、ダミーロードを付けて計ったところ145MHzで10W弱、430MHzで8W程のパワーとなりました。ただ、この状態で使い続けるのは精神的によろしくありません。13.8Vプラスマイナス15%の定格範囲で使ってください、ということだろうと思います。




 ということで最近見かけるUSB-Cタイプのモバイルバッテリーを購入することにしました。ノートパソコン用のRP-PB201という型番で15V3Aを出力できるそうです。重さ約370g。これで容量20000mAhとか。リチウム3.7V換算と思われるので、15V換算にすると5000~6000mAh程ではと推測しています。重量からみてもそんなものでしょう。別売の急速充電器、15Vを取り出すためのトリガーケーブルも購入しました。トリガーケーブルは共立エレショップで外径5.5mm、内径2.1/2.5mm両用タイプを購入。China製で不安がありましたが、装着してみるとIC705にぴったりで、問題なく15Vを出力してくれました。ただ、定格内とはいえ電圧高めとなります。発熱やノイズはどうなんでしょう。
 





145MHzFM10W設定で送信時(上下)




 本日、大年寺山にてJP7IEL局にお相手いただき、モバイルバッテリーで運用してみました。主に430MHzFMおよびDVシンプレックスにてマックスパワーで交信。前回同様1時間ほど経過した際に付属バッテリーを外してアルミシャーシを触ってみたところ、5Wの時よりは熱いものの、触れないほどではありませんでした(その後は外したまま放熱しながら運用)。USB電流計は430MHzで3.0A、145MHzで2.5A前後を示していました。430MHz約8W、145MHz10Wの実パワーでこの数値はけっこうな省エネでは?とあらためて思いました。2時間30分ほどの交信中、モバイルバッテリーの電圧は15V前後を維持し、低下する気配はありませんでした。終了後に残量を確認したところ4個の残量表示の内、2個消灯。消費電力が最も大きい430FMおよびDVのマックスパワーで4時間程持ちそうな感じです。






 ノイズについては過去の経験から不安があり、トリガーケーブルにコアを3個付けた状態で使いました。430MHzでまったくと言ってよいほどありません。145MHzでSを振るほどではないものの若干あるような無いような、といったところで耳では確認しきれませんでした。バッテリー自体に電圧変更スイッチはなく、ケーブル側で指定した電圧を取り出す方式なので、従来のようなコンバータノイズが載りにくいのでしょうか。何度も悩まされたモバイルバッテリーですが、今のところこの機種は悪くないとの感触です。






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