日本裁判官ネットワークブログ

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インターネット社会について

2008年03月25日 | 

 我々の裁判官ネットワークは,ある意味でインターネット技術に支えられてきたと言っても過言ではありません。全国各地に散らばるメンバーやサポーターが,日常的に情報や意見交換をし,団体としての意思疎通が可能となったのはメール交換ができたからこそです。われわれの企画したシンポで直接語りかけることのできる100人前後の人たちを超えて,多数の方々に我々の意見や研究成果,感想などを広報できるのもインターネットのおかげといえます。もしこのような技術がなければ,頻繁に手紙,電話,会合などによって代替しなければならないことになりますが,本来の仕事以外にそのような煩瑣な活動を時間外に行うことはほとんど不可能なことで,早い段階で団体の実態が失われていたと思われます。

 1999年の発足当時は,たしか「パティオ」とかいう細々としたメーリングリストで始めたと思いますが,パソコンに強い人だけが利用できるようなシステムでした。今やメンバーやサポーターが気軽に使える便利なソフトができ,相互の情報や意見交換は盛況となっています。また,ブログやホームページを通じた意見発表の機会も容易になり,その意見に対する反応をを参考にすることもできるようになりました。
 
 このようなインターネット技術の発展は,裁判官ネットワークのみならず,社会に大きく貢献し,社会を変えるほどのインパクトを持つようになったと考えられます。
それは,インターネットによる情報が,即時性や情報の多さ,距離的制約がないことのほか,人為的捜査が困難なほどの多様性を持っていることによると思われます。
 知事選挙などで,大新聞,テレビなどの事前予測と異なった結果がたまに生じていますが,おそらくインターネットを通じた有権者の意見交換などがあったことも背景となっているのではないでしょうか。

 これほどお世話になっているインターネットですが,最近はその限界や問題点についても考えるようになりました。活字メディアと違って速報性が要求されるため,その内容が簡潔明瞭なものとなり,逡巡やとまどい,疑問,比較検討といった,人の思想を伝えるのに不可欠な要素が省略される傾向があること,匿名性が高いことがマイナス面としてあると思います。 私たちの間の議論でも,面と向かって話したり,詳しく手紙に書いたりすればそれほど熱くならなくても済むようなテーマで,メンバー同士がメールでけんか腰のような状態になった経験が過去何回かありました。
最近では,医療問題について触れたメンバーのブログに100件以上のコメントがありましたが,単なる匿名の誹謗としか理解できない無責任なものもあるように見受けられました。

 インターネット社会特有のプラスマイナスがあることをもっと自覚して,プラス面をのばし,マイナス面を減らす努力が必要と感じています。「花」