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三浦元被告人の逮捕と各弁護士会の動き

2008年03月02日 | 瑞祥
 この一週間では、三浦元被告人が、旅行中のサイパン島で、米当局に殺人容疑で逮捕されたとの報道が衝撃的でした。これについては、当ブログの2月26日欄で取り上げています。一度無罪が日本で確定したのになぜという疑問は多くの方がもたれたことでしょう。今後の推移を見守りましょう。なお、三浦元被告人のいわゆるロス疑惑のうち、三浦元被告人は、「殴打事件では85年9月に保険金目当てで実行を依頼した元女優とともに逮捕され、懲役6年の実刑が確定。銃撃事件では、実行役とされた駐車場経営会社社長とともに88年10月に逮捕され、1審で無期懲役の判決を受けたが、東京高裁で逆転無罪。最高裁が検察の上告を棄却し、03年3月無罪が確定した」(毎日)という経緯があります。なお、当のアメリカでは、逮捕についてあまり報道はされていないようです。特に東海岸地方では。
 次に、司法改革の今後について、揺れる弁護士会については、先週も「改革の疲れでしょうか」で、お伝えしましたが、この一週間でもいろいろな動きがありました。
 まず、裁判員制度関係では、新潟弁護士会が、臨時総会で「裁判員実施延期決議」をしています。一方、先週有志の決議案が出されたことをお伝えした仙台弁護士会では、総会で、実施延期決議案の賛成は提案者数と同じ42人、反対89人、棄権28人で否決されたそうです(河北新報)。そのほかにも、埼玉弁護士会が裁判員制度の見直しを求める同会執行部提案の決議案を議題とする予定のようです。
法曹増員問題については、仙台弁護士会が、「2010年までに司法試験の合格者数を年間3000人まで増やすとする政府方針の変更を求める決議を採択した」(河北新報)とのことです。「全国の弁護士会で法曹増員の反対・見直しを決議したのは埼玉、愛知県の両弁護士会と中国地方、中部の両弁護士会連合会に続き5団体目」(河北新報)とされます。この関連では、京都弁護士会の就職説明会では参加修習生が180名であるのに対し、参加が4事務所、横浜弁護士会の就職説明会でも、参加予定修習生が240名であるのに対し、参加が3事務所という報道がされています。修習生にとっては大変な事態ですが、仕事を増やす提案がなかなかされなかった中で、「中小企業半数 弁護士利用なし 有望な“市場”開拓へ 日弁連」(産経)との記事が目を引きました。日弁連が中小企業を対象にアンケートを実施したところ、「弁護士を利用したことがない企業の59・3%が法的課題があると認識していることが判明。法的な課題について弁護士以外の誰に相談しているかを聞いた質問では、未利用企業の場合、税理士が多かった。」「具体的にどんな法的課題があるかを全調査企業を対象に聞くと、債権回収や雇用問題、クレーム対策、契約書のリーガルチェック、事業承継・相続対策が上位を占めた。」(産経)ということです。法化社会を実現するために、このような市場開拓の努力が大切で、かつ前向きな感じがします。