日本裁判官ネットワークブログ

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警察も取調べの録音へ

2008年03月15日 | 瑞祥

 今週は,ビッグニュースがありましたね。度々話題になる取調過程の可視化ですが,「警察庁が調べ録音・録画試行へ=来年度、警視庁などで-全国に拡大し成果検証・警察庁」(時事通信)というニュースです。2008年度から警視庁などで試行する方針とのことです。従前,取調べの録画等は,検察庁だけが試験的に行っており,その証拠としての価値をめぐって弁護人側と争いになったりしていましたが,方法論は別にして,有用性自体については認めざるを得ないように思われました。そして,ついに警察も腰を上げたというところでしょうか。政治の動きも背景にはあるようです。裁判員裁判には朗報といえましょう。この動きは,自白偏重の捜査を変えていくかもしれませんが,一方で,自白に頼らない他の捜査手法の必要性,相当性を議論する必要もあるかもしれませんね。

 楽しいニュースでは,「夜桜法廷:司法制度への理解深めて 徳島地裁、28日に /徳島 」(毎日)とのニュースです。日本裁判官ネットワークのHPでも,「コートオープンデー」という裁判所の催し物を取り上げたことがありましたが,この種試みは,日本中の裁判所で数多く行われています。ただ,夜のイベントは珍しいですね。徳島の方々は,是非訪れてみて下さい。感想もお願いします。

 個別事件のニュースでは,横浜事件(治安維持法違反被告事件)で,最高裁で免訴が確定したこと, 刑事事件や少年事件で,無罪(東京・町田の放火殺人事件の控訴審,横浜の男児交通死亡事故事件の一審)や非行なし不処分(新潟県長岡市の男児産み落とし事件)が続いたことでしょうか。無罪判決のニュースは最近よく目にしますね。

 ちょっと変わったところでは,「山形県弁護士会と北海道の旭川弁護士会が業務内容などで連携を図るため、「姉妹弁護士会」の盟約を結ぶことになった。」(山形新聞)とのニュース。法曹人口問題で揺れる弁護士会ですが,これも何か弁護士会の危機感の表れでしょうか。弁護士会の交流が広がるのはとてもいいことですが。(瑞祥)