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新、経営を考える第4回

2016年06月10日 | ブログ
組織をつくる

 小さな組織なら、トップと一般従業員の距離はなく、概ね和気あいあいと仕事ができるように思う。企業であっても家内工業的運営の段階では組織上の軋轢は少ない。

 しかし、企業も段々大きくなり、社長一人の目の届かない数百人レベルの企業になると、社長の下に部長、課長、係長などの職位が必要で、それぞれの部署で指示命令系統が生まれ、これがスムーズな組織かどうかでも業績は大きく左右されるようになる。

 そこでは、「鬼軍曹」などと呼ばれる古参社員が居たりするけれど、そのイメージはパラハラなどからは遠く、恐れられながらも愛され頼られる存在であったりする。そのような社員の居る職場は筋の通ったコミュニケーションの良さを連想させ、好ましい風土が根付いている。

 パラハラは困るけれど、その逆も同様である。ライン管理者が部下に阿り、職場がインフォーマル(非公式)な序列に牛耳られることがある。労働組合だって、労働者の結社の自由は認められなくてはならないが、これが大手を振るようでは、企業業績は停滞するであろう。
 
 超過勤務など個人の裁量に任せ、職場の管理職でもない者が、休日出勤にまで指図することに、上司が目こぼしをする。それでそこそこまとまって職場に波風が立たなければいいという事無かれ主義が組織を蝕む。

 あまり上司の管理が細かく厳しいことは、業務をやり難くするため、当然程度問題ではあるが、職場の権限はフォーマル(公式)な序列によって行使されるべきものなのである。それでなければ、何のための係長か、課長なのか分からないし、それを任命したトップの意向にも反するものである。

 いや、「部下は上司からの指示待ちではダメで、うちの職場は皆自発的に仕事が出来るのです」。それが放任ではなく、一定の管理下にあるならいいのだけれど。この国のものづくり企業の労働生産性が、欧米企業に比べて低いというのは、実はトップに始まるライン管理者の管理が徹底さを欠いていることにある為ではないか。実は放任が多い為なのではないだろうか。

 良い組織作りには、トップはまずしっかりとした経営理念を文書化しておく必要がある。そして機に応じてそれを全従業員に周知し、理解させ実現のための行動をおこさせる必要がある。企業理念の実現のために経営ビジョンがあり企業戦略がある。中長期の経営計画がある。その計画に沿うように年度の計画も立案されなければならない。トップの方針を各部署はブレークダウンして職場の年度計画に反映させる(方針管理)。そしてPDCAをまわす。

 いくら組織を描いても、各部署が年度計画を持たず、その実現のための方策をもたなければ、それは組織とは言えない。しかもその組織がインフォーマルな組織に統治されているようでは、当該部署の管理者は失格である。

 良い組織とは緊張感の中にも、居心地の良い組織である。それは構成員間の信頼としっかりとした絆があり、風通しが良く、しかもトップの意向に皆が沿うよう力を合わせ、業務が機能的に進捗している。それは議論すべきは議論を尽くし、誰もが陰日向なく働くことによって築かれるものだ。慣れ合い組織からは遠い。そのような企業風土をトップは築いてゆかねばならない。



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