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プロジェクトZ第18回

2008年05月23日 | Weblog
コンピテンシーモデル

  コンピテンシーとは、高い業務成果を生む行動特性のこと。その行動特性をモデルにした人事評価手法がアメリカで開発され活用されていると聞く。K研究員(のちの博士)の研究グループがなぜ高い業績を残せたのか。ひとつのコンピテンシーモデルとして私見を述べたい。

1.高い理想、あくなき挑戦

    高性能ポリエチレン触媒の開発に成功した時、K研究員らが手放しで喜んでいたかと言えばそうでもなかったように感じる。また会社もせいぜい研究所長賞程度で済ませていたようだ。彼らには高分子の分子設計を自由に行えるような触媒を探求し続ける高い理想があった。

  2.簡潔な目標

    難しいことをより難しく考えて悩むのが一般的である。K研究員などは、難しい理論は後回しにして、兎に角このような触媒が欲しい。というしっかりした目標設定の上に、補助者にも分りやすい指示を出すことで定評があった。

  3.衆知を集める

 研究者が考える人、補助者は確かな実験を行って間違いの無いデータをレポートす
ること。これが一般的であり、知識量からしてそのような分業システムが効率的と考
えるのが一般的。しかし、K研究員の研究チームは、ある時期以降ほぼ全員がブレーンとなって活動した。補助者の裁量を大幅に容赦し、いいところはどんどん取り入れる懐の深さがあった。

M社の研究所では、当初から高卒の補助者に対しても高いレベルの仕事を要求し、専門教育に力を入れていたことも事実である。高卒者といえど英文の専門文献を読みこなす者も多かった。そのような企業風土がM社のその後を支えて来たように思う。

  4.エコノミーな研究活動

    余分な物は買わない。兎角研究とはお金の掛かるものとして、設備から身の周りの
ものまで充実させることが、研究成果に繋がると考える向きがある。その考えを必ずしも否定はしないけれど、一種の迷信のような気も筆者にはする。少々不便をしているくらいが工夫も生まれ、ハングリー精神も維持できる。K研究員の研究チームは質素であった。残業は少なく時間内によく働いた。考えることは会社でなくても出来た。

  これらの4項目に加えて、研究チームメンバーの感性が優れていたであろうことは言うまでもない。誤解の無いように補足させていただくけれど、優れた感性によることと勘に頼るということは次元が異なる。勘とかひらめきも感性の一部ではあろうが、それらは感性の1発露に過ぎない。
コメント
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