先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

民族の言葉、新聞で復興 アイヌタイムズ創刊22年

2019-06-18 | アイヌ民族関連
日本経済新聞 2019/6/17 11:37
アイヌ語を現代に復活させようと「アイヌ語ペンクラブ」が民族の言葉だけの記事で新聞を作り続けている。創刊22年を迎えた「アイヌタイムズ」は国内外に購読者を獲得。クラブを設立した北海道平取町の「萱野茂二風谷アイヌ資料館」館長、萱野志朗さん(61)は「読む人がいなくなるまで続けたい」と意気込む。

「アイヌ語ペンクラブ」を設立した萱野志朗さん(北海道平取町)=共同
「アウタリ オピッタ ウトゥラ・アン ワ アリキキ・アン ロ!(仲間たちみんなで一緒に頑張りましょう!)」
1997年3月20日の創刊を記念して萱野さんが寄せた言葉には、アイヌ語継承への思いがこもる。アイヌ民族の人ら約10人で時事問題や市井の話題などを寄せ合い、A4サイズで12ページを年2~4回発行。今年1月に第70号までこぎ着けた。
アイヌ民族は明治時代以後の同化政策で日本語を強制され、文字を持たなかったこともあり言葉は急速に廃れた。国連教育科学文化機関(ユネスコ)は「極めて深刻」な状態と分類している。アイヌ初の国会議員を父に持つ萱野さんも、新聞製作に関わる前は言葉をほとんど知らず、単語の知識はせいぜい100語。「1~10の数も数えられなかった」
転機は87年9月、カナダの先住民族の村を旅行で訪れたときだ。地元の小学校で週1回、民族の言葉を教えていたが、話せる人は80歳を過ぎた高齢者だけ。日常会話はすべて英語になっていた。
「私たちが置かれている状況とそっくりだ」。言語の大切さに気づき、翌年の初めには勤めていた東京の会社を退職。地元に戻り、父が開いていたアイヌ語教室に携って勉強を始めた。
クラブ設立のきっかけは新聞の学芸欄だ。「1言語に1つのメディアがあっていい」という記事を読み「アイヌ語の新聞を作ろう」と思い付く。すぐに知人らに呼び掛け、96年9月、札幌市で設立総会を開いた。
クラブの名前は日本ペンクラブにちなみ、規約は「アイヌ語による表現、出版を普及させること」。創刊当初は毎号千部を発行し、海外からの購読も。勉強に役立つように1号ずらして日本語訳を載せる工夫も凝らす。
電子書籍でも読めるようにしたが、近年は購読者数が減少。道内のほか、1都2府15県を含む約80人まで落ち込んだという。それでも萱野さんの夢は大きいままだ。「アイヌ語が第2公用語になれば堂々としゃべれる。そうなったら面白い」
札幌市北区の「サッポロ堂書店」で一部300円で店頭販売しているほか定期購読も可能だ。〔共同〕
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46181940X10C19A6CR0000/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

<倶知安・ニセコ 育て!幻の魚イトウ>上 「再導入」に国内初成功

2019-06-18 | アイヌ民族関連
北海道新聞 06/18 05:00
体長1メートルほどのイトウの腹から黄金色の小さな卵がしごき出されると、約30人の見学者が「おおー」「きれい」と歓声を上げた。
 5月上旬に後志管内ニセコ町の人工池・有島ポンドで開かれた公開採卵会。主催した町内の有志団体「オビラメの会」は、同池で絶滅危惧種イトウを44匹飼い、人工ふ化に取り組む。1996年に発足し2003年に人工授精に成功、04年以降、尻別川に体長約5センチの稚魚8千匹を放流した。
 採卵会の1週間前、朗報が飛び込んでいた。放流したイトウの子世代(第2世代)の遡上(そじょう)と産卵を同川支流で確認。人の手を離れ自然繁殖する「再導入」に国内で初めて成功したのだ。
 放流する稚魚は識別のため泳ぎに影響のない尾の近くのヒレを切除してある。第2世代を発見した会員の藤原弘昭さん(56)は「小さいので子世代かと考え、ヒレがあるのを見て『やっぱり』と思った。会のやり方は正しかった」と喜ぶ。
■釣り人の憧れ
 イトウは体長2メートル超の記録も残る、釣り人憧れの大物だ。50年代までは東北を含む40以上の水系で確認されたが、00年代には道内のみの15水系に。護岸工事などの環境変化が主因という。尻別川でも90年代後半にほぼ絶滅。オビラメの会は00年から30年間の「尻別川イトウ復活計画」を作り、人工授精の実験を始めた。
 イトウは成熟するまでに3~10年と時間がかかる上、飼育や採卵などに高度な技術が必要で、人工繁殖が難しいとされる。
■環境整備奏功
 同会が再導入までに長年を要したのもこのためだが、道立水産ふ化場職員だった川村洋司さん(69)=同会事務局長=が、会の立ち上げから今まで一貫して技術指導してきたことが成果につながった。養殖用の人工池や遡上を助ける魚道など、町や道と連携した環境整備も奏功した。
 川村さんが20年前、尻別川の繁殖状況を調査した当時、見つかった稚魚はわずか1匹。「非常に厳しい状態だったから、これほどうまくいくとは思わなかった」とうれしそうだ。
 オビラメはイトウを指すアイヌ語で、尻別川の釣り名人が好んで使った。23年前、オビラメの減少にいち早く気付いて動きだしたのは、地元の釣り人だった。(倶知安支局の堀田昭一が担当し、3回連載します)
<ことば>イトウ サケ科で国内最大の淡水魚。成長の過程で下流域へと向かい、その後産卵のため生まれた場所に回帰する。日本では道内にのみ生息し、成魚で数千匹と推計されている。環境省のレッドリストで絶滅の恐れが2番目に高い「絶滅危惧1B類」に指定され、「幻の魚」とも呼ばれる。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/316289

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アメリカ先住民の優れた霊性、学ぶ白人増加…白人への警告=「七人の火の予言」が成就?

2019-06-18 | 先住民族関連
文=水守啓/サイエンスライター
ビジネスジャーナル 2019.06.17
アニシナーベが授かった予言
 カナダとアメリカには、アニシナーベと呼ばれる先住民グループがいる。アニシナーベの人々は、自分たちが呼ぶタートル・アイランド(海ガメの島)、すなわち、北米大陸の東岸からやってきたと考えている。アニシナーベは、「落とされた場所から来た人々」や「善良な人間」を意味し、オタワ族、ソルトー族、オジブワ族、ポタワトミ族、オジクリー族、アルゴンキン族が含まれ、互いに文化的なつながりを持っている。
 そんな彼らは、将来の世代に対する力強いメッセージである「七人の火の予言」を大切にし、その成就を待っている。それは、善良な者の生き方を教えた七人の予言者たちとの出会いによってもたらされたものであり、自分たちのホームランド(北米大陸)の運命だけでなく、全世界の運命にも関わっているという。
 アニシナーベの人々は文書の記録は持たなかったが、その文化と伝統は貝殻玉のベルトに、言わば霊的にコード化して、幾世代にも渡って伝え残してきた。彼らにとって貝殻玉のベルトは自分たち種族の記録文書であり、重要な祭事等を記念するためにも用いられてきた。七人の火の予言も、そんな貝殻玉のベルトに記録され、伝えられてきたのである。
 興味深いことに、彼らに知恵を授けた七人の予言者たちは普通の人間とは異なっていたという。人間の容姿をしていたが、燃えるように光を放っていて、人間にはない力を持っていた。それで、知恵を与えた存在は(七人の)火と呼ばれたのである。予言者たちは高度に啓発された霊的存在で、それぞれ異なる時期に海からやってきた。予言者の一人は海の底へと戻って行ったが、他の6人の霊的な師はアニシナーベとともに留まり、この世の真の価値を彼らに教えることになったという。
 いったい、彼らが授かったメッセージとは、どのようなものだったのだろうか?
人類存続の道が示されていた?
 アニシナーベの人々によると、最初の予言者は自分たちの土地にやってくる「色白の種族」について警告し、2つのグループに分かれるように言った。ひとつのグループは大陸の奥に行って隠れ、色白の種族が自分たちの意図を明らかにするまでそこに留まることが求められ、もうひとつのグループは新来者を兄弟として歓迎することが求められたのである。
 次に、留まって「色白の種族」を歓迎する先住民たちは、彼らに注意を払うように予言者たちに警告された。たとえ新来者が微笑んでいても、彼らはなおもその地に死をもたらしうると予言者たちは言ったのである。
 色白の種族に対する警告はさらに続いた。
「たとえ色白の種族が手に何も持たずにやって来たとしても、あなた方はなおも用心せねばならない。彼らは微笑んでいても、実際には死に神の顔を持っているかもしれない。彼らを安易に受け入れるのではなく、静観するのです。彼らの行動を見ることで彼らのことがわかるようになるでしょう。
 もし色白の種族が死に神の顔をしてやって来れば、この土地の人々に大惨禍が降りかかるでしょう。あなた方に大きな苦痛が訪れるでしょう。生命の杯はほとんどひっくり返されるでしょう。
 魚が死んで水が飲用に適さなくなれば、色白の種族がどちらの顔をしているのかわかるでしょう」
 だが、色白の種族への警戒だけが伝えられたわけではない。
「もし彼らが兄弟の顔をしてやってくれば、あなた方は一つの家族となるでしょう。彼らの物質世界の知識とあなた方の霊的な知恵が一緒になれば一つの強大な霊的国家が生み出され、他の2つの種族(東洋人とアフリカ人と考えられている)が加われば、世界で最強の国家が生み出されるでしょう」
 これをわかりやすく具体的に説明したのが七人目の予言者だった。彼の目は燃えるように輝いていて、北米先住民に対してだけでなく、色白の種族に対してもある重要なメッセージをもたらしたのである。
「7番目の火の時代に新しい人々が現れる。彼らは自分たちの先祖の足跡を遡って、これまでに失われてきたことを見つけ出そうとするでしょう。彼らは指導を求めて長老たちにアプローチするでしょう。
 簡単な仕事ではないが、もし彼らが善良な心と純粋な意図を持っていれば、彼らは成功しうる。いくらかの長老は眠っていて何も言わず、他の長老たちは恐怖心から何も言えないでしょう。新しい世代は自分たちの探求に恐怖心を持ってはならない。
 色白の種族は岐路に立つ。もし彼らが物質主義を突き進めば、彼らは破滅し、全人類も破滅する。しかし、色白の種族がこの土地の自然人と一緒に霊的な道を歩むことを選べば、彼らは再び国家――過去に存在したことのない最も偉大な霊的国家――を生み出すチャンスを得るでしょう。
 この2つの種族の他に2つの種族が加わります。そして、彼らはともに8番目で最終の火、平和・調和・友愛の永遠の火を灯すことでしょう」
 このメッセージはとても示唆的である。実のところ、北米及び中米の先住民のなかには類似した予言を持った種族がいる。また、20世紀に入り、彼らは西洋人にはない優れた霊性を持っていたことに白人たちは気付くようになった。そして、今やホピ族をはじめとした北米先住民が有する「平和に生きる知恵」や霊性を学ぶ白人が増えつつあるのだ。
 そのような歴史を振り返ると、七人の火の予言は成就されつつあると同時に、成就されるように我々も心がける必要があるのかもしれない。
(文=水守啓/サイエンスライター)
【水守 啓(ケイ・ミズモリ)】
「自然との同調」を手掛かりに神秘現象の解明に取り組むナチュラリスト、サイエンスライター、代替科学研究家。 現在は、千葉県房総半島の里山で自然と触れ合う中、研究・執筆・講演活動等を行っている。
著書に『世界を変えてしまうマッドサイエンティストたちの【すごい発見】』『ついに反重力の謎が解けた!』、『底なしの闇の[癌ビジネス]』(ヒカルランド)、『超不都合な科学的真実』、『超不都合な科学的真実 [長寿の謎/失われた古代文明]編』、『宇宙エネルギーがここに隠されていた』(徳間書店)、 『リバース・スピーチ』(学研パブリッシング)、『聖蛙の使者KEROMIとの対話』(明窓出版)などがある。
ホームページ: http://www.keimizumori.com/
https://biz-journal.jp/2019/06/post_28390.html

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2019年の北海道ツーリングは阿寒湖に行きたい! デジタルアートの体験型アトラクション「カムイルミナ」が7月5日にオープン!

2019-06-18 | アイヌ民族関連
CARVIEW! 2019.6.17

この夏、阿寒湖に大注目の新スポットが誕生します!
世界最高峰のマルチメディア・エンターテイメント・カンパニー、「モーメント・ファクトリー」(本社:カナダケベック州モントリオール)が手掛ける「KAMUY LUMINA」(カムイルミナ)が、北海道釧路市阿寒湖畔の阿寒湖温泉に7月5日(金)にオープンします。
この「カムイルミナ」は、夜に楽しめるデジタルアートの体験型アトラクション。
プロジェクション・マッピングやシノグラフィー(光と音の舞台装置)など最新鋭のデジタル技術で森の中に動物の姿が映し出されるほか、阿寒湖ならではの地形や景観を活かした演出やインタラクティブな仕掛けが多数盛りこまれています。
モーメント・ファクトリーが手掛ける「ルミナ・ナイトウォーク」は、これまで日本では、長崎県伊王島の「アイランドルミナ」(2018年4月オープン)を皮切りに、続いて大阪城に「サクヤルミナ」が2018年12月にオープン。
本国カナダやシンガポールでも好評を博し、阿寒湖の「カムイルミナ」は、世界10作目のシリーズ最新作となります。国立公園の森を舞台としたのは初の試みです。
ストーリーは、その題名からもうかがえるとおり、北海道の先住民族であるアイヌの伝説がモチーフとなっています。
アイヌ文化とその根幹の考え方である「自然との共生」というメッセージが秘められており、運営を行なう阿寒アドベンチャーツーリズム株式会社はもちろん、阿寒湖の人々との共同制作により誕生しました。
なお、同事業の収益の一部は、阿寒湖周辺の自然保護活動およびアイヌ文化振興の支援金として活用されます。
KAMUY LUMINA 開催概要
開催期間 2019年7月5日(金)~2019年11月10日(日)
冬季は休業し翌春より再オープン(2020年は5月下旬~11月上旬開催予定)
開催場所:阿寒摩周国立公園内 阿寒湖温泉ボッケの森遊歩道
開催時間:日没の30分後~22時30分(最終入場時間)
雨天決行(雨具携行)、荒天の場合は中止
所要時間:50~60 分(約1.2 km)
入場料:当日料金 大人3,000円、小学生1,500円
前売料金 大人2,700円、小学生 1,350円
障がい者割引料金 大人1,500円、小学生750円
※未就学児は無料
「ルミナウォーク」の雰囲気はこの動画でご覧ください!(1分52秒)
https://www.youtube.com/watch?v=_fyMTEeTr_w
https://carview.yahoo.co.jp/news/market/20190617-10419913-carview/

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「もう、先祖の系図を説明したり辿ったりするのにはうんざり」様々なルーツを持つダンサーのネノオカアシ・オギチダア

2019-06-18 | 先住民族関連
ハフポスト 2019年06月17日 22時02分 JST
ネノオカアシ・オギチダアは、アートの力で黒人先住民の居場所を生み出した。
ネノオカアシ・オギチダア(オジブウェー語で「ハチドリの戦士」を意味する)は、two-spirit(2つの魂:先住民社会では「様々なジェンダーロールを持つ人」の意)でパウワウ(ネイティブ・アメリカン部族の交歓の集会)のダンサーで、黒人であり、ウクライナ人であり、オジブワ族であり、カナダとアメリカに居住するファースト・ネーション部族だ。
Two-spiritというのは、北アメリカの先住民が性別と性的指向の領域で自分の立ち位置を表現するのに使う総称である。ネノは2種類の性代名詞を使う。They、their、 them「彼ら」が、「彼ら」の、「彼ら」をとSheとher「彼女」は、「彼女」の(を)だ。ネノにとって、世界で生きていく上でこうした代名詞で認識されるのは重要なことなのだ。
(カナダ・トロント発)ネノオカアシ・オギチダアがショールを纏い華麗に舞うと、それはまるで空中で蝶がくるくる舞うのを見ているようだった。
ネノオカアシ、略して「ネノ」は、燃える炎の模様がフリンジまで続く、黄色いショールを羽織っている。足元には、炎柄があしらわれ、道端に捨てられたソファから再生した皮革で補強された、手作りのモカシン靴を履いていた。
近くで中国の獅子舞いが始まり、ドラムをたたく音が聞こえてきた。ネノは回りながら地面を離れる。蝶が回る。
「すごく懐かしい」。彼らは言った。
ネノは、トロントの市庁舎の外にあるメディスン・ホイールのサインの前で踊っていた。このホイールは、最近作られたもので、現在の北アメリカの先住民に捧げられたものだ。
ファースト・ネーション族とイヌイット族のコミュニティにとって、その4色の色は、とりわけ感情、霊魂、心と肉体の健康を象徴するものだ。
ネノは、ダンスが医療行為であると述べた。それがもたらした喜びが、2009年に起こった車の衝突事故から回復する上で必須であったという。
彼らは、ショールの下にフード付きのプルオーバーを着ていた。胸には「打たれ強く容赦しない」というネノが体現する言葉が書かれていた。この37歳のネノとの会い方によっては、その打たれ強さの違った側面を見ることになる。また、どう表現するかも違ってくるかもしれない。ネノは、性別の違いを示す代名詞は責任を表現するものとみなしている。
男女の固定観念を切り開くパウワウ・ダンサーであり、オンタリオで黒人と先住民のコミュニティの為に働くメンタルヘルスナビゲーター。夜、町の通りで1人立つアーティスト。妻と3人の子供を愛してやまないクィアの女性。(最近引き取った、取材に参加してくれた子犬のラも加えれば4人)
「Two-spiritであること、それは性別による役割に関することではありません。それは、私たちが果たす責任のことです。そして、時にはそうした責任のことを述べるとき、『彼らが』というのが適切なのです」とネノは述べた。「私が女性の支援活動をするときには、そのことは特に重要です」
ダンスが始まる2時間前に、通年一般開放されているトロント郊外にあるアーバン・コンサーバトリーで、インタビューは始まった。ここはネノの大好きな場所の1つで、私がこの強い意思を持った活動家を紹介された場所でもある。
会話中に2人の職員が近づいてきた。ここで私の携帯で会話を録音することは規則に反すると言われた。ネノがあやした眠っている子犬も規則違反だという。
「ここは、あなたたちの場所(職場)という事は分かっています。しかし、ここは納税者がお金を払っている公共の場所でもあります」とネノは指摘した。「私たちは今、会話をしており、それは許されています」
周りでは、何人かのビジターが全くお咎めも受けずに、一眼レフカメラでチューリップやヤシの木のスナップ写真を撮っていた。市の所有地では許可なくプロフェッショナル写真を撮ることは禁じられている。こうした不公平な対応に、私はネノに場所を変えたいかと尋ねた。
「いいえ、このまま続けましょう。私の周りにいる誰かが居心地が悪いと感じる度に、一時停止するなんてことはできません」と彼らは述べた。
ネノは、日常的に居心地の悪い状況に遭遇する。様々なルーツを持つ者として、彼らは自身の認識に苦労した。成長するにつれ、彼らはウクライナのルーツからは疎遠となり、一方ジャマイカ系の家族の中では唯一の混血人種であった。周りは彼らのことを「白人化された」と形容した。ネノが地元のコミュニティの集まりに行き始めた頃、彼らはそこに「属する」とは思われなかった。彼らは、自分たちのアイデンティを「ブラック・ニッシュ」(ブラック:黒人、ニッシュ:アニシナアブ→カナダとアメリカにいる文化的に関連したファースト・ネーションの総称)だと表現するようになっていた。
「人々は『あなたのどこが先住民なのですか?』と聞いてきます。私は『左足の指は先住民です』と言うんです。もう、先祖の系図を説明したり辿ったりするのにうんざりしています」と彼らは言った。「奴隷についてはよく知っているし、先住民の虐殺や植民地化についてもよく知っています。しかし私たちは、彼らがどのようにお互いに交じり合ったかについては話をしません」
「アメリカ大陸には...亀の島には」と、北米の先史時代の大陸のことを指す先住民用語でネオは話し始める。「そこには黒人の先住民がいましたが、殆ど話にのぼることはありませんでした」
ウクライナ系の黒人の先住民というネノの多重性が、彼らを抑圧することはなかった。それは、Two-spiritというアイデンティティにも通じる。
ネノはハフポスト・カナダ版に、男女がそれぞれ決められたダンスを、決められた服装で踊るパウワウダンスの性別による分別が好きではない、と話した。彼らが男女両性の服装を身に着け、性別による責任の流動性を示したいという願いは却下された。
時が経るにつれ、ネノは彼らが押し込まれようとしている二極化の世界では自分たちの幸福は増進できないと悟るようになった。彼らの「治療」は上手くいっていなかった。そのため、彼らは正装して踊ることをやめ、ドレスを再び着ることも拒否し、ビーズ細工もやめ、髪から鷲の羽を取りはらった。ネノが最後に正装してダンスをしたのは3年前だった。
「それは本当に難しいことでした」とネノは言う。「それは、私の魂が最も自由であるときだから」
このような失望に直面すると、さまざまなコミュニティで声をあげる事から遠ざかってしまうのは容易だ。しかし、ネノは違った。彼らは、困難でも癒しとなることに引き寄せられていった。声が小さい「ブラック・ニッシュ」が恥じることなく自分でいられる為に、彼らを代表して声を上げることが天職となったのだ。
ネノが働くトロント市の東側の地区にある黒人コミュニティの保健センターでは、彼らは4つの神聖な医薬、たばこ、スギ、スイートグラスとセージを自分のオフィスの前に置いていた。彼らは、人種と健康についての問題に関していくつかの諮問委員会で助言をしている。それは、カナダ中のプライド・フェスティバルの儀礼について助言を与えるtwo-spirit諮問委員会も含む。
彼らは、先住民のtwo-spiritにパウワウと自分の衣装の作り方を教える非営利のプログラム、イジシモを創設した。最近、彼らは多くの黒人と先住民が住む、トロントのマルバーン近辺で、最初の屋外パウワウを主催した。
ネノは、two-spiritのパウワウ衣装はどのようなものか、今も想像している。衣装はそれを身に着ける人の物語と、彼らに宿った役割を授けてくれるものであり、これは大きな仕事なのだ。自分の性的アイデンティティの現実をとらえた衣装をデザインできるまで、ネノはコミュニティの形成と自分たちの文化について他の人たちを教育することに、そのエネルギーを注ぐであろう。
彼らは、昔ほど頻繁にはダンスをしなくなったが、今でも時折ネノは踊る。ネノが社交的な集まりやパウワウで友だちと踊るときは、彼らの身につけるモカシンとショールはいつもたくさんの愛情を受けている。
彼らが踊るとき、止まって見ずにはいられない。ネノはそれが大切だと思っている。それにより、仲間のブラック・ニッシュの人たちを引き寄せ、一目でダンサーと結びつきを共有する事ができるからだ。
「私のことを『炎のプリンセス』と呼ぶ小さな女の子がいます」
ネノは、パウワウに来るうちの大好きな1人の顔を思い起こしながら言った。「それは、本当にかわいいのです。いつか彼女もそれをまねて踊りたいと思うでしょう」
「小さな女の子たちが自分自身を自然に心地よいと感じ、私のような経験をしないことは、なんて素晴らしいことでしょう」
先住民の中で黒人であることの自分の経験を指して、彼らは述べた。
Jah Grey for HuffPost
一緒に過ごした時間も後半になると、ネノのブラック・ニッシュの若者への影響が、ヨンゲ-デュンダス広場で明らかになった。
そこは、トロントで最も繁華な広場で、彼女は自身のアートショー「#Nuitpoc」を1時間開催していた。
何百人というアーティストが、毎年一晩だけ街を変貌させる芸術のお祭「ニュイ・ブランシェ」に参加する。イベントの名前は「眠らない夜」という意味で、文字通り訳すと「白い夜」である。#Nuitpocは彼女の非公式な貢献で、有色の先住民(IPOC)が表舞台に出るチャンスだ。
過去3回のニュイ・ブランシェ祭では、感情的な反応をかき立てた社会実験を、トロントのダウンタウンのヨークとクィーン通り西の街角で行った。彼女の手書きの看板には、自身の民族性について彼女が耳にしてきたことが書かれていた。彼女は夜通しその看板の前に立った。目を研ぎ澄まし腕を差し出して、見る人々をハグと会話に招いた。
1つの看板には「私たちを殺すのはやめて」、もう1つには「白人は正しい」と書かれていた。その看板には靴跡がついていたが、見物人が踏みちらしたものだった。ネノは彼らを「真実のパネリストたち」と呼んだ。落ち着かない通行人たちも見ることを強いられるものだった。
まもなく、見知らぬ人が展示に近づき、彼女の名前を呼んだ。彼女は一瞬戸惑ったが、すぐに微笑んで昔からの友だちのダグに挨拶をした。彼の後ろには、10代の女の子が「ハロー」と手をふっている。
ヘル・G-テイラーというその女の子は、「ハチドリの戦士」を感謝の眼差しで見ていた。彼女は「私はネノみたいなんです」と私に言った。黒人の若者であり、メティスでクリー(どちらもファーストネーション族の部族)であり、モホーク族である彼女は「先住民らしくない」と見られ、苦労した。彼女は、ネノに先住民の若者プログラムに参加できるように支援して欲しいとお願いした。
「ネノは深く探求し、それを表に出すのです。彼女は何が起こっているのかを人々に知って欲しいのです」とヘルは述べた。
「そうです、彼女は目ざめたのです。分かりますか?」彼女の父親はそう加えて、ネノの社会的な意識を強調した。
2人が去った後、人々はネノと交流を始め、看板に書かれたメッセージから何を感じるかを話し合った。何人かは強い反応を示した。
眉を上げて、1人の男がネノに近づいてきた。短い会話の後、彼は去った。
「最初に見たとき、これは極右翼だと思いました」とその男は言った。「しかし、その後看板を見ました。人々は、こうしたことを(看板に書かれたメッセージ)いつも考えているんです」
コミュニティの形成や、権力に疑問を投げかけ、議論を誘発するなどの活動に時間を取られ、ネノにはわずかしか自由になる時間はない。その少ししかない時間を、彼女は家族とともに過ごす。
「私にとっては、苦闘がまさに現実である人生を送ってきました」と彼女は述べた。彼女には「自分でなんでもやる」という精神しかなかった。彼女の妻、イボンヌがその考えの大部分を変えた。
静かで落ち着いた振る舞いのイボンヌ。彼女は、パートナーの奮闘を支援しつつ、できる時は気楽になることを気づかせてくれる。1日中、彼女はネノが必要としている時には一緒にいて、子犬がキャンキャン吠える時には子犬を散歩に連れ出し、町中にポスターを運んだりもした。
彼らは15年前に出会い、ネノがポリアモリー(多重的な性愛関係を持つ)としてデートし始めた後まもなく再会した。
「2人にとって、これは全く新しいことでした」と彼女は言った。「人々と結びつくことと、浮気者や欲張りとレッテルを貼られることの違いを理解するには長い時間がかかりました」
多重的な愛を探求することでネノは幸せになったが、一方で時には結びつきがほどけることもあった。イボンヌは、ネノがデートしていた別の人と苦しい別れを経験した後、ネノを愛情深く支えた。また、ネノもいつもイボンヌを支えた。彼女の生活のテンポを緩やかにし、持続可能な関係を築いた初めての妻となった。
人は、彼女の恋愛生活は彼女の仕事やダンスには関係ないように思うかもしれない。しかし、ネノにとっては、それは1つであり同じことなのだ。彼女がありのままで声をあげ、現状を揺るがすことは、誰を愛するかに通ずる。彼女の目標は、カナダを超えてグローバルにクィアの権利のために積極的に行動することだ。
「私は今ここで、妻にキスすることができます」と彼女は言った。「誰も何もケチつけないでしょう。しかし、世界の多くの場所では、人々は同性に魅力を感じる、と声に出す自由さえないのです。私は、全ての人間の権利としてこのことを行使したいのです」
これまでに成し遂げたことで最も誇りに思うことは何かと尋ねると、ネノは2つの答えをくれた。1つは安定で、愛する人であり同士でもあるイボンヌがくれた贈り物だ。2つ目は?
「自分自身を知ったことです」
https://www.huffingtonpost.jp/entry/pride-lgbtq-powwow_jp_5cfa08ade4b06af8b506412f

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「スパイダーマン」と「ゴールデンカムイ」異色にも程があるコラボ実現 鶴見中尉とニックに共通点が多いため

2019-06-18 | アイヌ民族関連
ねとらぼ6/17(月) 22:04配信

 映画「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」と、テレビアニメ「ゴールデンカムイ」の異色コラボ動画が発表されました。いったいなぜこの組み合わせ……と思ったら、ニック・フューリーと鶴見中尉に“カリスマ的な軍人”“顔にケガを負っている”“チームをまとめるためなら手段を選ばない”など共通点が多いためとのこと。な、なるほど……?
 「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」は、映画スパイダーマンシリーズの最新作。マーベル・シネマティック・ユニバース“フェーズ3”完結作で、6月28日に日本で世界最速公開となります。
 動画では、「ゴールデンカムイ」の不死身と呼ばれる元兵士で主人公「杉元佐一」と、金塊のカギを握る強く美しいアイヌの少女・アシ(リ)パの2人が、「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」の魅力を紹介。……するはずが、鶴見中尉が登場し動画を支配。
 「アベンジャーズ/エンドゲーム」の戦いの後、新たな脅威を察したニック・フューリーは、スパイダーマンの力を必要とするあまり、夏休みの旅行でヨーロッパを訪れているピーターに先回り。さらに、ピーターの友人ネッドに麻酔銃を容赦なく打ち込むなど、その常軌を逸した姿に共感したり、“鉄の意志”を託され、アイアンスパイダースーツを着て華麗に舞うスパイダーマンのアクションに鶴見中尉は歓喜&狂乱!
 今回のコラボについて、「ゴールデンカムイ」出演の声優陣は以下のようにコメントしています。
小林親弘さん(杉元佐一役)コメント
手から糸が出るのってカッコイイですよね! 自分がスパイダーマンだったら、森とかに行って木々を凄いスピードで移動したいです。是非、映画館でご覧下さい!!
白石晴香さん(アシ(リ)パ役)コメント
世界中の誰もが知っている「スパイダーマン」とのコラボ!とても嬉しいです。初めて「スパイダーマン」を見たときは糸を出すマネをしていました(笑)新作も楽しみにしています!
大塚芳忠さん(鶴見中尉役)コメント
遡ること40年近く前に、ある局の洋画劇場でスパイダーマンを吹き替えたことがあるのです。最近のモノとは全然違って、テレビシリーズにちょっと色をつけて無理矢理映画化したというようなアナログな作りでしたが、何しろ私にとって大抜擢であり、大緊張感ガチガチの中、散々な出来だったのを覚えています。とっくに局のアーカイブからも消滅していることでしょう。そして今回のコラボですが、私鶴見が、「い~ね~!ぴ~た~くぅん。いいぞぅ~!!」と恍惚の表情で叫ぶのです。「蜘蛛のようにっ、蜘蛛のように踊るんだっ!」と、おそらく頭蓋骨から汁垂らしながら…。
こんな面白いことにはそうそう巡り会えるものでは有りませんね。
「ファー・フロム・ホーム」大期待です。早くピーターくぅ~んに会いたい!
津田健次郎さん(尾形百之助役)コメント
スパイダーマン×ゴールデンカムイのコラボは面白いです!世界観が全然違う2つの作品の交流を是非楽しんで頂きたいです。スパイダーマン楽しみにしています。そしてゴールデンカムイもよろしくお願いします。夏休み狩りだぜ。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190617-00000079-it_nlab-ent

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする