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メディアの堕落(続)

2005-10-23 10:36:33 | ニュース
国会議員年金の廃止のドタバタについての報道は、夫々の党や議員の意見を紹介するに留まり概してクールだった。以前にその不公平さを散々指摘した人達がいざその議論が具体的に進むと急に大人しくなった気がする。ニュース価値がやや減少したかのように見える。特にテレビ報道はその落差が目立つ。今日、反対派の非難が激烈で敵意に満ちていればいるほど何度も引用されテレビ画面に出てくる。今回の控えめな扱いの理由は表立って大反対を唱える議員がいなかったためのようだ。これが報道の基準でよいのか。

いつの頃からか争点に対する政治家の立場を詳しく分析せず、替わりに反対派のコメントを繰り返し流すようになった。重要な問題に関するトークショウで緻密な議論がなくなり罵倒と人身攻撃の場になり、有無を言わせぬ高圧的な態度でやり込めるスタイルの有名評論家が人気を得て、まるで弱い者いじめの番組のようになった。反対派の声高な声ばかり繰り返して引用する姿勢と一致する。

私の感じていることが的を射ているか検証されているわけではないので、正直に言うと同じ指摘をする人の記事を読むと勇気付けられる。同じ意見の持ち主は主としてビジネスの世界の人達である。最近読んだ本がたまたま明確で論理的に答えていることを見つけた。それはThe Winner-Take-All Society(邦題「一人勝ち社会」の到来Rフランク、Pクック1998新潮社)である。性急な成功を望む「一人勝ち社会」はジャーナリズムの変化をもたらしたという。

それによると米国のジャーナリズムは、ベトナム戦争およびウォーターゲート事件以前までは殆どのジャーナリストは政治リーダーに対して論証可能な非難だけを取り上げたが、それ以降反対派政治家の立場を論じるより単にコメントを聞くだけに徐々に変わっていった。トークショーでは罵倒と論敵に対する人物攻撃が生み出す興奮が重要視され、ロバートノバク氏のような人物が重宝されている。(彼は攻撃的な右派の論客・評論家で現在進行中のCIA漏洩事件にも一枚かんでいる。)

昨今の日本のニュースショウは正に米国の状況を追っかけている。その点では色々な批判はあるもののNHKのコメント抜きで事実を忠実に報道する姿勢がかろうじて我国の報道のバランスを取っている。その意味ではNHKの中立な立場への信頼は守るべき重要な資産である。冒頭の議員年金廃止については、あるべき姿と各議員の意見をその背景まで分析し報じるべきで、それがこの後に続く年金改革の考え方のベースに繋がるようにすべきである。

テレビが報道機関という定義は既に適切でなく、実質エンターテインメント・メディアなのだから結果として私の議論は筋違いの議論になったかもしれない。しかし依然として日米ともテレビを見て投票を決めた人が最も多くその責任は思い。日本のネットワーク・テレビは報道の社会的責任を果たしながら、新興IT企業からの買収に脅かされビジネスとして市場の評価を得る利益を継続して上げて行くのは容易ではない。この一人勝ち社会でどう実現するかその役割と影響力をよく認識しビジョンの再構築が求められる。■


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