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仮説:ポピュリズムは「ベルリンの壁」崩壊が原因か(2)

2019-11-18 17:27:09 | 国際・政治
ベルリンの壁が崩壊した時、歴史家Fフクヤマは「歴史の終わり」を著し世界中でベストセラーとなった。多くの人と同じように私もそう思った。だが、それは最初の10年間だけの話だった。歴史は新たな展開を見せた。米国は没落の道を、経済大国となった中国は強国路線を歩み始めた。

哀しいかな結果としてアメリカは経済・軍事両面で没落の30年間だった。その極めつけが民主主義国リーダーとしての米国価値観の劣化を体現したトランプ大統領だ。格差拡大で「病んだ米国民」が選んだ「あり得ない」大統領であり、伝染病の様に世界各地に広がって行った。

壁崩壊後最初の10年でグローバリゼーションもたらした富を更に増やすべく冷戦の勝者(先進国)は新兵器ITプラットフォームを開発した。それを基に、資本主義社会に必須の成功要因である強欲(Greed)が、中国を仲間(WTO)に加えてグローバリゼーションを一挙に拡大させた。

中国の国家資本主義は民主資本主義(冷戦の勝者で先進国)より効率が良く、米国発のリーマンショックで世界恐慌の崖っぷちに立たされた世界を救った。中国は一躍世界経済の救世主になり、WTO加入は成功したかに見えた。だが、それは米国の覇権を揺るがすことになった。

中国は冷戦を生き残り、共産党独裁体制を維持してグローバリゼーションの世界で将来アメリカの覇権を脅かす存在になった。中国の挑戦に対峙するのが歴史観「ゼロ」のトランプ大統領というのが、「ベルリンの壁」崩壊30年目の世界の現実である。我々は今この時代に生きている。

例によって私の天邪鬼な仮説だが、人は価値観と強欲の間を行き来する動物だと改めて思った。戦後民主主義とベルリンの壁崩壊は理想を追い求めて普及し起こったが、一方で人は相対的に貧しくなったと感じると理想などぶっ飛ばすポピュリズムが蔓延った。適当な言葉は何か、貧すれば鈍する?

これから30年後に中国が覇権を握ったら、歴史家は遡って転換点は「ベルリンの壁」崩壊ではなく、その5か月前に起こった1986年6月4日の「天安門事件」勃発というかもしれない。WTOに加盟し中国が豊かになったら民主化が進むという幻想は脆くも崩れた。

昨日の早朝にNYタイムズから403ページの中国政府内文書の要約を伝えるメールが届いた。習主席の指示で100万人にもなるというウィグル人、カザフ人(彼等はイスラム)を職業訓練と称して強制収容し、政府内部からも世界からの批判を心配する声があるというもの。今後の30年でこんな中国が覇権を握た世界になったら最悪だ。

次の30年は民主主義か共産主義の戦いから、大衆迎合民主主義か大衆迎合独裁国かと共産党独裁国の戦いと予想する。基本は「世界は強欲で動く」という前提だ。30年後に誰が覇権を握るのか分からない、余り幸せな世界ではないような気がする。予想の根拠は私自身が強欲なのだ。■
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