かぶれの世界(新)

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都合のいい報道の自由

2016-04-28 23:17:15 | ニュース
熊本地震ですっかり過去の出来事になってしまったが、高市総務大臣の「政治的公平性を欠く放送を繰り返した放送局の電波停止」発言について、テレビでお馴染みのジャーナリスト6人が横断幕「私たちは怒っている」を掲げて抗議したニュースについて忘れ去られる前に、言いたかったことを投稿したい。

それは、一言で言うと彼等のとって「都合のいい報道の自由」を主張していると私は受け取った。もっと厳しく言うと彼等「老ジャーナリストの都合」というべきかも。代表的な例としてテレビニュース番組「サンデーモーニング」を過去に批判した私の記事と繋がる。テレビ局が自社の主張を持つのは問題ないが、反対意見も紹介した上で我社はこうこういう理由で自社の主張をすべきだと申し上げた。番組を見て視聴者に考えさせる材料を与えないで一方的な主張をするニュース番組はいけないと。

抗議した老ジャーナリスト達はどうも理解していない様に感じる。それはテレビと新聞・雑誌は違うことだ。テレビは限られた国民の財産(電波)を独占的に使用する権利を与えられて放送するものであり、複雑な背景のある問題を視聴者が判断する為に、彼等の主張とは異なる立場の主張を考える材料として提供する責任がある。意見を抑制したり忖度するのではなく、積極的に異なる考えを紹介して視聴者に考えさせる、それがテレビ局の最低限の責任だと。彼等は自由に意見を言えばいい、しかし反対意見も同時に紹介される。

私はCNNやPBSなど米国テレビのニュース番組をしょっちゅう見るが、賛否が分かれるような問題に関しては必ずというほど夫々の立場で異なる意見を持つ専門家を出演させて議論し視聴者に判断させるスタイルをとる。ただ一方的に片方の主張を聞くだけでなく反対意見も聞き、考える幅と奥行きが広がり理解が深まった上で判断できると感じる。私は日本のテレビも是非ともそうすべきだと強く思う。

特に日本は個人が物事を判断する時、テレビに頼る比率が高いという調査結果がある。日本の方が尚更米国スタイルにすべきであることを示唆していると言える。ただ、多党が乱立する現状の日本ではNHKの政治討論番組の様になってしまうので、テーマ毎に賛成反対の識者が代表して二者択一の議論スタイルにするなどの工夫が必要だろう。そうすれば新聞紙面に比べ時間に制約のあるテレビの番組が薄っぺらくなくなり質向上にも貢献すると思うのだが。

この重要な問いかけが熊本地震ですっかり忘れられてしまったのは残念だ。今回「怒っている」老ジャーナリスト達が何故この程度のことを分かっていないのか、私には理解できない。それ程バカじゃないはずと思うが、もう2世代くらい若いジャーナリストが改革するのを期待する。さもないと何時かネットにやられちゃうよ。■
コメント
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