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朝日新聞の誤報の構造

2014-08-20 22:12:35 | ニュース

朝日新聞が「従軍慰安婦の強制連行が虚偽と判断した」と報じてから2週間たった。報道によれば32年前の記事を今頃になって嘘だったと認めたことになるという。当時その報道を見て、私は腐敗した日本軍ならやったかもしれないと思い、記事の真偽に対してそれ程疑わなかった。気にしなかったというのが正しいかも知れない。

 その後慰安婦問題は国内で不人気な韓国大統領サバイバルの便利な道具になり、日韓関係の深刻な対立を招いた。そんな重要な情報が嘘だったとは驚き失望した。深刻なのは日本を代表するメディアが情報の真偽を見分けられず、その後長年にわたり虚偽の報道を続けたことだ。その間に何度も見直す機会があったはずで検証能力も無かったことになる。ここからは推測だ。

 事実を掘り起こして伝え、万一誤りがあれば修正し、間違いを起こした要因を見直し改善する、といったジャーナリズムとして基本のプロセスが出来てないように感じた。それは自浄能力といった大層なものでは無い、普通の会社が存続していくために必要な能力のはずだ。朝日新聞にそんな当たり前の能力すら無かったのに驚き不思議にさえ思う。

 そんな基本が出来てない原因として、前々から気になっていたことがあった。メディア自らが信じる主張をサポートする情報のみを恣意的に選んで伝えるという構造がメディア内にあるという疑いだ。新聞や系列のテレビ局が伝えるニュース番組が、主張に沿った人選と情報のみを取り上げる姿勢に恣意的なものを感じる。一言で言うと信用出来ない。彼等のいう戦前の反省に基づく政府に批判的な報道姿勢が、今回の誤報の構造的な原因になったと私は考える。

 メディアが主張を持ちそれを積極的に伝えても良いし、むしろ望ましいと私は考える。だが、その主張のプラスとマイナスを示した上で当社はこう考えるという姿勢が必要だ。両論を併記して読者に示した上で自社の考えを示し、読者に考えさせることにより間違ったことを絶対に伝えないというバランスの取れた報道姿勢が求められる。従軍慰安婦の誤報にはその姿勢が全くなかった。

 メディアが強く信じる主張(シナリオ)に沿った情報を取り上げ、都合のいい人選をして意見を言わせるだけでは間違いが起こる。同じ紙面や番組で反対意見を戦わせ主張を検証する謙虚な姿勢が間違いをなくす。メディア内部に反対意見を許さない雰囲気とか編集者のような存在があるように感じる。それが虚偽報道を生んだと私は推測する。朝日以外にも日本のメジャーなメディアの中にこのような謙虚な報道姿勢を感じない構造的な問題があると私は感じる。

 メディアのクオリティは民度の反映と信じる程私はナイーブではないが、国民の考えに一定の影響を与えることに疑いはない。私は戦後の民主主義教育でそう教えられ育った。子供心に植付けられた左翼系の先生の教えから抜け出すのに随分時間がかかった。当時の新聞の論調も基本的に同じだったので疑問を感じなかった。冷戦が終了し共産・社会主義のリーダーは信頼を失ったが、同調した(私はそう感じていた)一部の新聞には50年前の主張と見まがう論評がある。

 子供の頃実家は毎日新聞、社会人になってから朝日新聞を購読した。現在は家族の希望で朝日新聞と日本経済新聞を購読しているが、私は朝日新聞以外を読むように家族に勧めるつもりだ。先日のNHKBSの特集で、米国のネットメディアが新たな報道の在り方に挑戦していると伝えていた。NEWSY.comは既存メディアの報道を分析してニュースの本質に迫る試みとか、事件を絞って徹底的に深堀する調査報道専門のサイトとか興味深い。今年になり米国では「新聞の没落」から新たな報道スタイルへの期待が生まれたという。日本にもそんな動きを期待したい。■

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