かぶれの世界(新)

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誰も中国を止められない

2013-12-22 22:52:43 | 国際・政治

中国が尖閣列島の上空を含む防空識別圏(ADIZ)の設定を発表して1か月になる。この間に日米が強く反発し世界各国も程度の差があっても中国を非難した。1か月後の状状を冷静に振り返ってみてトータルで中国の試みを評価してみたい。どうやら上手くいったと中国は思っているというのが私の印象だ。

突然の防空識別圏設定の行方は今後の中国のやり方を方向付けるリトマス試験になると私は思う。先ず結論から言うとこの中国の乱暴なやり方は成功した。理由は簡単で日本を除く米国を含め総ての国が中国の要求を入れて民間航空がフライトプランを提出するようになったからだ。中国の要求通りになったといって良い。

中国にとってみれば尖閣列島の領有権を主張する日本の強い反発は想定通りだったと思う。他の国の反応がどうなるか、特に米国と隣接するASEAN諸国の反応を注意深く観察したはずだ。米国は即座に通告なしで識別圏を無視して軍用機を飛ばしたが、一方で国務省が民間機に飛行プランの中国提出を認め、ライス安全保障補佐官が異なったメッセージを送った。

安倍首相のASEAN諸国首脳への迅速な働きかけをした。適切な対応だった。だが、各国首脳は中国との経済関係を配慮して直接的な中国非難を避けた。中国のチベット人権問題を厳しく非難してきた英国のキャメロン首相は、経済人を多数引き連れ北京を訪問し関係改善を図った。中国を刺激して経済関係を悪化させたくない、金の為なら主義主張を脇に置いたという訳だ。

人権を云々してきたのは英国だけではない。国務省米国が違ったメッセージを出したのも中国とのビジネス関係を悪化させたくない米企業が背後にある。日本でも状況に拘らず何とか中韓関係を改善してほしいと経団連は言い続けている。ましてやASEAN諸国と中国は密接な経済関係で結びついており、何とか中国との関係を悪化させたくないのが本音だ。レアアースの対日輸出制限のように中国は経済関係を政治的に扱うことを世界各国は恐れている。

今回の世界の反応を見て私が思ったように中国が上手くいったと思えば、国際的な慣例を無視した乱暴なやり方は今後も続くと予想される。オバマ大統領の優柔不断が中国を一層強気にさせたキライはある。一旦、足を踏み出した中国はもう戻れない。誰も中国は止められそうもない。このまま経済成長が続けば、数年内に米国を追い越し巨大な経済圏が出来る。欧州等には中国に追い越された日本の焦りとの見方もあるが、それでは済まない時代が来るとの指摘がある。

今のところ一貫性を保っているのは領土問題がある日本だけだが、米国と足並みを揃えない限り単独で立ち向かうのは難しい。一方で中国と日米の経済関係はかつてないほど密接で相互依存が深まっている。日本企業は短期の利益の為に安易に技術情報を売り渡すのが国益にかなうのかよくよく考えるべきだ。リメンバー・レアアースだ。数年後両国の経済状況がどう変化しているか、次期米国大統領が誰になるかがカギになりそうだが、もうその時では手遅れになるかもしれない。もう誰も中国を止められないかも。■

コメント
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