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Tapering!?

2013-12-20 16:39:43 | 社会・経済

Taperingって何?

Taperingという言葉を良く見かけるようになったのは今年の中頃だったと思う。最近まで意味が分からなかった。会社勤めの技術者だった頃、機構部品の接続をしっかりさせる為嵌合部分に「テーパーを付ける」、換言すると微妙に傾斜を付けるのだと構造設計技術者に教わった。だが今年になってその言葉を見かけたのは経済情報であり、最近やっとその意味が米国連銀(FRB)の量的緩和第3弾(QE3)の縮小だと分かった。一々断らなくてもTapering単独で「QE3縮小」を意味するようだ。

ポジティブな驚き

18日にFRBが量的緩和の縮小を決定したと報じられ英米メディアのホームページを覗くとTaper或いはTaperingの文字が踊っていた。興味があったのは世界の市場の反応だ。大方は来年春と予測していたので今回の決定は驚きだったが市場は冷静に反応し、米国株は史上最高値・日本株は年初来最高値をつけ好意的に受け取った。それだけ米国経済が順調だと前向きに捉えたということだ。半年前とは随分状況が変わったというのが私の印象だ。

ExitからTapering

5月にバーナンキ議長が量的緩和縮小の可能性を言及した時は市場は動揺、私は過剰反応したと投稿した。市場は(心の)準備が出来てなかった。世界同時的に株価下落が起こり、新興国から資金が引き揚げられ通貨が急落した。世界経済を牽引すると期待されていた新興国の経済成長は急停止、それ以来は低速運転が続いている。5月まではQE3を何時止めるか出口戦略(Exit)のみ語られていたので、バーナンキの一言で市場は量的緩和「終了」に身構えた。

市場に優しい決定

結果論を言えばバーナンキは市場との会話をしくじった。それまで目にする単語はExitだけだったが、6月以降はExitは消えてTaperingが現れた。彼は用心深く量的緩和を徐々にやっていくという印象を与えるよう工夫したようだ。その意味で今回の発表は極めて「市場に優しい(Market Friendly)」ものだったと言える。5月の発表はしくじったと言ったが、それがあったからこそ市場は心構えが出来ていて今回のTapering発表を冷静に受けたのだと私は思う。

QE1/2/3の意味

リーマンショック後の米国の金融政策を振り返るとQE1は仮死状態の経済に緊急輸血して蘇生させ、QE2は生き返った経済がデフレにならないよう(縮小しないよう)栄養を与えたのだと理解している。QE3については私は否定的だった。これ以上お金をばらまいたら実体経済を大きく上回るお金が世界を駆け巡り、又バブルが再発してしまう禁じ手だと思った。だが、米国経済は株価が史上最高値を付ける一方で雇用と住宅市場など消費回復が進んだ。QE3は米国経済をリーマンショック前の姿(世界ナンバー1)に戻したという意味で成功したと認めざるを得ない。

リーマンショック前の世界へ

一方でQE3は米国国内経済が必要とする以上の金を供給し、余ったお金が凄い勢いで新興国に向かい経済を活性化した。この状況を見て今年はBRICsの後ろに続く第2の新興国が世界経済を牽引すると予測した。だが、6月以降新興国は失速し国により差があるが株安・通貨安トレンドにある。今回のTapering発表後も中露インドブラジル等の新興国はその傾向が変わらなかった。通貨安から物価高になり内需不振という悪循環で入る恐れが大だ。QE3とその縮小は米国と世界を螺旋階段を上らせ一周して、リーマンショック前の経済の上に戻したようだ。上っただけ良い、日本は20年間踊り場にいて時に下ったのだから。■

コメント
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