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かぶれの世界(新)

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最強の透明人間

2013-10-25 23:26:02 | ニュース

最悪の判断をしても何らの咎めを受けることなく、まるで透明人間のようにいないものとして扱われるが、一方で巨額の報酬(最盛期ほどではないにしても)を期待できる商売がある。そんな美味しい商売が存在するのか、存在する。それは最強の透明人間、コンサルタント業だ、と私は思う。透明人間も地球上にし存在する。

実はサラリーマン人生最大の危機を救ってくれたのもコンサルタントだった。知識のなかったERP導入後の工場運営が混乱して在庫が積み上がった時、恩師と仰ぐ米国上司がコンサルタント会社と契約して送り込んでくれ、彼が勧めてくれ採用した経験豊かな社員等と協力してオペレーションを見違えるほどの改善してくれた。高価な料金に見合う働きだったと思う。

恩恵を受けた私だが、一方でそうでないケースも沢山見てきた。コンサルタントが成攻するのは1/3の確率(Dクレイグ)らしいから、運が良かったのも一因だろう。企業レベルでなく国家レベルでも同じだと思う。欧州で民営化した国有企業の経営の混乱の多くは実質コンサルタントの責任と言うのが定説だ。

日本でも鳩山政権で迷走した外交政策の相談相手だった評論家が、その後テレビに出演してもっともらしい顔で御託を述べるのを見ると胸糞が悪くなる。だが、コンサルタントは無敵だ。迷走の結果責任は100%鳩山氏にある。消費税増税でも浜田・本田両教授はあくまで相談役で、結果責任は疑問の余地なく安倍首相だ。鳩山氏と比べると安倍氏は理解の上で自らの判断をした例だ(勿論、結論はまだ出てない)。

何故こんな記事を書く気になったか、それはパナソニックが半導体事業を大幅縮小、来年度までに現在14,000人の従業員を7,000人に半減させると、昨日の朝刊はショッキングなニュースを一面で伝えたからだ。鳩山首相が我国を危うくする迷走をしたが、他の要因もあったと感じていた。記事によればリーマンショック後に巨額の赤字を出して苦境にあった同社は、テレビ、半導体、携帯電話事業などを構造改革してきたが、これが最後の大きな改革とみられている。誰かを傷つける恐れがあっても、パナソニックもそこまで突っ込まないと問題は再発すると信じる。

同社は中村社長時代に思い切った構造改革が成功したと見られていた。だが、リーマンショック後日本の電器・通信産業は再び経営不振に陥り、経営再建のため構造改革やM&Aが実行された。だが、いわゆるデジタル家電メーカーは再建が遅れていた。私の推測では改革プランには多くのコンサルタントが関った。多くの人の生活を一変させる決定を細心の注意を払って合理的に計画・実行するには社内スタッフだけでは無理、コンサルタントの助けが必須だったはずだ。

改革の結果として企業が生まれ変わり強い会社・組織として再生する場合もあれば、機能せず更に劣化して身売り或いは倒産の憂き目にあった例も枚挙に暇がない。エンロンの粉飾決算などの不祥事で厳しい目が注がれたが、その後も私企業から政府組織まで依然としてコンサルタントは幅広く利用されている。ビジネスモデルまでに遡った改革が必要な事態に、旧来のビジネスモデルの上で業績を上げ階段を登った経営幹部はどうして良いか分からなくて普通だ。

コンサルタントに頼んだとしても結果責任は常に頼んだ方だという覚悟がいる。経営悪化すれば経営者にスポットが当る。最近の日本のデジタル家電の凋落のニュースを見るたびに、経営者はどういう判断をしたのか知りたいが、同時にその裏で何処のコンサルタントが何を提案したのか気になる。そこには滅多に公開され日が当ることは無い。特にビジネスモデルを見直すような根本に立ち返る改革では、コンサルタントの助けは必須だし何らかの形で公になれば役に立つと思う。

事の重要さから言えば彼らの責任は極めて大きいのだが、生憎彼らは透明人間だ。彼らは中々見えないが、たまにチラッとその姿が見える時がある。1020年に遡って見ると一時コア・ビジネスだったが、今本業じゃないと切り売りされる。当時の決定には先が見えなかった、環境が変わったという。そこで働く生身の人達には10年も20年も一生懸命働いてきた人もいれば今年入社した新人もいる。7000と言う数字を越えて一人一人に哀れを感じる。彼らの将来は不透明になる一方で、巨大な収入を手に入れその意思決定を助けたコンサルタントがいる現実が見えてくる。

大きく考えればこれもまた企業・組織とコンサルタントが共存するビジネスモデルだろう。営利・非営利もしくは民間・政府に限らず、組織はあらゆるケースを考えて全てのタレントを備える事は出来ない。しかし、私はコンサルタントの役割と活動にもう少し光を当てるべきではないかと感じる。流行の言葉で言えば、透明人間(コンサルタント)の見える化だ。例えば、日常管理に組み込まれた危機管理みたいな感じで捉える。上手く行っている時は盲腸みたいに無駄な機能だし、組織内に持った途端に官僚化する恐れがある。実は私の息子も関連する業界で働いており、必ずしも私と意見は一致してない、と言うか全く噛合っていない。■

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