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分かってないなー(大震災1年後の二人の政治家)

2012-03-21 23:26:37 | 国際・政治

この記事を投稿するにあたり、記憶に残る2冊の本を手元に置いて参照している。「ワイマル共和国 林健太郎 1963 中公新書」と「日本改造計画 小沢一郎 1993 講談社」である。ジャンルは違うが2冊ともよく引用される名著ではないかと思う。私は別の理由で今日の政治状況を語る上で参考にした。政府は叩かれっ放しだが、それを許した二人の政治家(屋)を2冊の本を引用して指摘したい。

垣自民党総裁は18日京都府内での講演で、大阪維新の会が地方自治体の枠を超えて国政進出を伺う政治状況を、戦前に日本軍部やヒトラー、ムソリーニが台頭した際を想起させるとの観点から警鐘を鳴らしたと報じられた。講演を聴いてないので前後の関係は不明だが、(既成政党への失望が)橋下市長のヒトラー的な独裁的手法への期待が生まれている状況に似てると警告と理解した。

私はこの発言を聞いて、大震災後の1年間の政治の停滞に最大野党の党首として全く責任を感じているように感じなかった。原発事故を誘発した原子力村を作り、経産省下に原子力行政を置いた自民党の責任を忘れ政府追及に忙しかった。厳しい現状認識があるならば国家の緊急事態に対処する政策を党派を超えて取り組むべき1年だったはずだ。評論家ではない、責任野党の党首なのだ。

谷垣氏が想起した20世紀初期のドイツの状況、民主主義からナチス誕生までが最初の本に描かれている。第1次世界大戦後生まれたワイマル共和国が僅か14年で崩壊し、しかも怪物(ナチス)を生み出す要因になったと林健太郎は結んでいる。以下にワイマル共和国失敗の原因の最後の部分を以下に紹介したい。谷垣氏の指摘は評論家としては的を射ているように感じる。しかし、それが自分の責任とは思ってないようである。分かってないなー。

「ドイツ国民はビスマルク以来、官僚の支配に馴れており、自らが国家を形作るという意識と慣行に欠けていた。その彼らが敗戦によって突然、民主主義と政党政治という新しい実践を課せられた時、彼らはそれをいかに駆使するかに迷った。そして政党政治がいたずらに混乱をもたらしたように見えた時、彼らは彼らの手にゆだねられた共和国をむしろ重荷と感ずるようになり、上からの強力な支配に救いを求める人々が増えたのである。

伝統的な上からの支配は未だなおドイツ人の心情に合致していた。しかし他方において第一次大戦後、ドイツ国民の陥った苦境は何らかの現状打破を要求していた。ここに国民の不満を最高度に刺激しながらその解決をもっぱら外国、外来思想及び異人種の排撃に求めるナチスが国民の異常な人気を博する理由があった。・・・・」

沢一郎元民主党代表がこの1年間の政治の停滞の責任の一端を政府野党と共に負うと私は考える。民主党政権発足以来、小沢氏の政治活動で国民の為になったことが一つでもあったろうか。特に大震災が起こってから被災者の為に小沢氏が何もやらなかったのは驚きだった。詳細は日経BPの安藤記者の優れたレポート「被災地より政局の小沢一郎の1年」に譲りたい。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120313/229769/?mlt&rt=nocnt 

小沢氏が書いた「日本改造計画」で規制緩和や市場開放などの構造改革を初めて読んで、その先を見通す視野の広さに大げさに言えば私は感激した。しかし、その後の彼のやった事は「日本改造計画」と真逆の政策を掲げた。その時々の政局で都合の良いように政策を使い分けた。一貫して、政策を実現する為の政局ではなく、権力闘争に勝つための政策だった。(それに平気な主流メディアにも失望したが、それは又別の機会に)

巧妙に政局を作り出すその場その場の理屈付けを聞く度に私は失望し、民主党政権が誕生した時に小沢氏はいつか問題(政局)を起こすだろうと言う予感がした。民主党政権にはマイナスに働く時が来ると。だが、この1年の小沢氏の政治活動はそれだけでは説明できない何か強い動機があったように感じる。

私は上記の安藤記者がいうこの政治屋が何故選挙に強いのか、岩手県の人達が何故彼に票を入れるのか、何故多くの新人議員が彼の周りに群れるのか十分理解できてない。或いは、大震災後の地元への不義理や裁判中の金権体質で事情が変化し、次の選挙では今までとは違った結果をもたらすのだろうか。新人議員はそういう恐れを持っていないのだろうか。私には、「分かってないなー」と思うのだが。■

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