かぶれの世界(新)

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問うべきは、決定かプロセスか

2011-05-11 18:21:11 | ニュース

菅首相が中部電力に対しの浜岡原発の運転停止を先週要請、中部電力は今週月曜日に運転停止を決定した旨報じられた。先週から本件についての報道を注視してきたが、マスコミの主な論調は菅首相の要請が唐突であったところに重点を置いた報道であった。

9日の米倉経団連会長が決定に至る思考過程がブラックボックスと痛烈に政府を批判する映像をテレビ各社は流し、首相の意思決定が根回しのない唐突なものであったことを強調した。決定から外されて八つ当たりしている感もあった。この批判に力を得たように、政府・与野党の実務者会議でも野党から批判が相次いだという。

首相要請が先週報じられた時、私は悪い予感がした。「唐突感は否めない」とか言うニュースキャスターのコメントを聞いて、直感的にマスコミは要請の内容の妥当性を論じるより要請のプロセスに注文をつける気だなと思った。予想通りの展開だった。こんな重要な意思決定がプロセス論で終ってはいけない。マスコミの論調を確認して野党は安心して批判した様に私は感じる。

静岡県知事や大阪府知事などが要請内容を評価し、中部電力が「今回の要請は社会の原発への不安の高まりを踏まえたもの。真摯に対応して信頼を得ることが最優先だ」と判断したのは要請を正しく認識した上での決定であった。名誉の為にいうと地元自治体の市長が要請を聞いて驚き不快感を示したが、その後正気に戻り市民の安全を第一に置いた発言に変わった。

中部電力の決定の前に、「要請が国民にとってベストかどうか」どのメディアも検証しないで、ただただ唐突と繰り返すのには幾らなんでもあきれた。我国のマスコミが政策や決定の内容の妥当性を省略して、根回しとかのプロセスの巧拙ばかりを報じるのを私は憂慮する。今回だけではない。

メディアは先ずは意思決定が国民にとって最重要で優先して取り組むべきか、必要なら専門家に論じさせ視聴者に考える材料を提供すべきなのにその責務を果たしていない。ここまで来ると最早無責任だと私は考える。マスコミにはそれだけの影響力があるのだから。

私の憶測は「報じる立場の人達がインサイダーの罠」に陥っているように感じる。番記者の思考判断基準が取材される対象となるサークルの発想に染まってしまうパターン、いわゆる‘記者クラブ症候群’だ。手続きの専門家の話が最初に問われるなどというのは本末転倒だ。この先国民が判断を下す重要な局面がいくつもある、果たしてメディアは責任を果たせるだろうか。■

コメント
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