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Googleの二枚舌

2006-02-01 14:20:31 | 国際・政治

本文は「無定見な中国投資に警告」の続編である。Googleは中国進出にあたり政府が指定する特定の言葉を排除する検索マシンを提供すると発表した。内外の人権団体の非難を受けてダボス会議でシュミット会長は進出国の法に従うのは当然であり、国民にとり検閲しても全然情報がないよりマシだろうと開き直ったと報じられている。しかし、実際のところ検閲手段がない中国政府の情報管理に手を貸した。

その一方で米国政府に対してGoogleは政治的中立を理由に情報提供を拒み、議会の人権監視委員会への出頭を拒否した。完全に二枚舌である。先に報告したように中国に進出した企業はその余りにも巨大な市場機会を前に目が眩み、自らのベースとする国の価値観を裏切る行為をする。特に情報を扱うマイクロソフトやシスコ等IT企業はその罠に陥りやすい。

これは民主主義の社会は成員が死守するつもりが無ければ脆弱である例である。既に中国の様子を見守っていた他の国の中に自国政権の都合に合わせた情報管制を米国のIT企業に要求し始めたという報道がある。「検閲のドミノ」である。全IT企業が立ち上がって拒否しなければ、一旦堤防に穴が開くと崩壊が進む。

その後の報道によれば、事はそれ程単純ではなかったらしい。というのは民主主義国でもドイツにおけるナチズム等ある種の情報はタブーとされ検閲すべきとの主張が圧倒的で国民的合意を得ているからである。つまり技術的には検閲手段は既に手元にあるのである。又、テロや麻薬密輸の追及等広い意味での情報管理は避けられそうもない。

グローバル化した市場原理主義自体には守るべき規範は利益最大化しかないように見える。国内では優等生が国境を越えた瞬間に規範は消えてなくなったかの如く自社の利益のみ追求する。しかし、実はそれは冷戦後のパックス・アメリカーナの下で展開され保障された活動であることを忘れている。大戦後多くの犠牲を払って勝ち取った勝利が最後に高い付けを払うことにならないよう改めて警告したい。■

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