民主党の自爆で最近の政局絡みの動きが落ち着く見通しになり、「不機嫌な2月」がこれ以上悪くならなくなったと感じる。先に私は個人攻撃に走るべきではないと指摘したが、結果は民主党にとって最悪となった。しかし、私のコンサーンは最近の論調が粉飾決算・耐震偽装・格差社会の原因は構造改革であるとし、昨年の総選挙時とは形を変えた抵抗勢力の巧妙な動きが勢いを得ようとしていた事である。
メディアは4点セットに政局を感じ取り一斉に構造改革の問題と不祥事をパッケージで指摘、小泉政権の支持率が2ヶ月続けて低下した。中でも格差社会の議論は争点となりキャンペーンを組むメディアも現れ相当の支持を受けた。しかし、不祥事は既存の利権社会の緩いルールの下で起こった問題であり、法整備と取締体制強化こそが議論され早急に取組むべき事と信じる。
こういう謂わば情勢の踊り場に立った時、市場の声を聞いてみるのが状況に流されず的確に底流を読み取る私の手法である。このところ海外投資家はスキャンダルと量的緩和解除を見通し日本株の売り越しが続いていた。アナリストは政局をみて構造改革の停滞、特に官僚の抵抗は実にしぶとく手強いことを指摘し始めた。
しかし、私は昨年総選挙で示された民意には一貫性があり成熟したものを感じる。マスコミや評論家が医療費改革や税制改革は弱者に厳しいと叫んでも、イマイチ盛り上がらないのは国民が依然「痛みを受け入れるから、しっかり構造改革をやってくれ」と思っているからである。民意のほうがより成熟していると感じる。
更に、従来なら族議員が活躍して制度変更時に既得権益受益者へ支払われた巨額の補助金(これが官僚と族議員の利権になる)ももう認めない方向に向かいつつある。従来の弱者救済の美名はもう通用しない、実はもっと弱者である次世代に巨額の負担を負わせる事だと理解されてきたからである。格差社会を語るなら最弱者は若年世代なのである。
我国の持つ者と持たざる者の差は開いたとしても、老人世代が最も富裕であり、老人世代の一部がより貧乏な次世代の負担を増して支援させていい筋合いはどう考えてもない。今後も格差の議論は重要で繰り返し出てくるだろうが、絶対にしてならないのは次世代への問題先送りであり、国民は明確にそれを求めているのである。■